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歌声にのった少年 ★★★・5

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他界した姉との約束を果たすべく、スター歌手になる夢をかなえたパレスチナ人少年の実話を映画化。主人公のモデルとなったのは、人気オーディション番組「Arab Idol」に出場してスーパースターとなり、現在も歌手を続けながら国連パレスチナ難民救済事業機関に関わるムハンマド・アッサーフ。『パラダイス・ナウ』『オマールの壁』などのハニ・アブ・アサド監督がメガホンを取る。

あらすじ:紛争地パレスチナ・ガザ地区で生活し、スター歌手になり世界を変えたいと夢見る少年ムハンマドは、姉ヌールや友人とバンドを結成し、街中で歌声を披露していた。弟の才能を信じるヌールは、カイロのオペラハウスに出るという目標を掲げる。結婚パーティーなどで歌うムハンマドの美しい歌声は、人々を次々ととりこにしていった。そんな矢先、ヌールが病気でこの世を去り……。

<感想>スター誕生映画は数あれども、その舞台がパレスチナというのが珍しい。この地区『オマールの壁』などを題材に幾つかの作品を手掛けた監督のハニ・アブ・アサド。今回はエンターテインメントに挑戦している。英語の題名が「アイドル」となっていたように、これは中東のオーディション番組「アラブ・アイドル」から生まれた実在の人物を主人公にした成功の物語である。

ですが、どうもこの手の作品に不可欠なショウ精神が身についてない印象を受けた。音楽映画の弾むような躍動感が感じられなくて、貧乏で家族が食べるお金もなく、道端で歌を歌って小銭を稼ぐ。その後は、結婚式での余興として歌うも、目の前で大人たちはダンスをし始めるのだ。

姉ヌールが腎臓を悪くして入院し、腎臓移植するにも大金がいるし、まもなくして姉が亡くなる。この土地にいてはダメだと、ムハンマドはカイロのオーディションに参加するために、何とか国外へ脱出しようとする、そのヒリヒリ感が胸に残ります。

偽造パスポートで、友達の車で国境近くまで行き、検問所では偽造パスポートということがバレてしまうも、そこで歌を歌ってすんなり通過してしまう。

主演男優がイケメン青年で、苦労をしてオーディション番組に挑む後半のサクセス・ストーリーも、トイレで困っていて歌を歌っていると、そこにいた人が親切にもチケットを譲ってくれるという。

いざ、TVのオーディションの舞台へ、高らかに歌うムハンマドの声量に審査員たちは驚く。次々と審査を突破していき、故郷でもTVで放映されているので、ムハンマドの家族はもちろん、パレスチナのガザ地区でもみんなが応援して喜び、やがては世界的なスーパースターの道を歩むことに。

スター歌手になりたいと夢見た少年が、成功するまでを描いているのだが、実話がベースということもあり、黄金の歌声という“才能”を持って生まれた男が、それゆえにとてつもない運命に翻弄され、その運命に耐え、覚悟を持って成就させていく物語のように感じられた。
映像で、紛争地帯の過酷な状況下の中で、拾ったガラクタで楽器を作り、仲良しの姉や友達とバンドを組み、逞しく生きる子供たちの姿を描く前半の瑞々しさは感動的です。本当のパレスチナ、ガザ地区でロケされたリアルな映像が圧倒的に映る。

最後に、実物の歌手の記録映像にすり替わり、俳優のムハンマドとは余り似ていなく、イケメン青年のムハンマドには驚いた。
歌唱コンクールの成功譚に、パレスチナのナショナリズムを気兼ねなく上乗せした構成は、それにはガザという封鎖的状態にある非人道的な地域の現状を伝えなければならないのだ。監督はムハンマドの視点から、ガザが抱える苦悩を掘り起こしていく。

それにしても、ガザから目と鼻の先の隣国エジプトへの距離の何とも遠いことか。スーパーヒーロー誕生の陰に、むごい現実を突き付けられた思いがする。
ですが、どんなに過酷な状況下でも、パレスチナの人たちに一筋の光を与えたと思わずにいられない。

2016年劇場鑑賞作品・・・207映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

ニュースの真相 ★★★・5

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2004年9月、米CBSの看板報道番組『60ミニッツII』では、再戦を目指すジョージ・W・ブッシュ大統領の軍歴詐称疑惑という一大スクープを特集するが、根拠となった証拠に偽造の疑いが浮上し、一転して番組の名物アンカーマン、ダン・ラザーが事実上の降板に追い込まれる一大不祥事に発展した。本作は、ダン・ラザーとともに大統領の疑惑追及で中心的役割を担った同番組の女性プロデューサー、メアリー・メイプスの自伝を基に、一連のスキャンダルの真相と、激しいバッシングの渦中で、なおもひるむことのないジャーナリストとしての信念と矜持を描き出していく社会派サスペンス。主演はケイト・ブランシェットとロバート・レッドフォード。監督は「ゾディアック」「アメイジング・スパイダーマン」などの脚本を手がけ、本作が記念すべき監督デビューとなるジェームズ・ヴァンダービルト。

あらすじ:ジョージ・W・ブッシュ大統領が再戦を目指していた2004年。ブッシュ大統領の軍歴を巡る疑惑を追及していたCBSニュースのベテラン・プロデューサー、メアリー・メイプス(ケイト・ブランシェット)は、その決定的な証拠を入手、ついに伝説的ジャーナリスト、ダン・ラザー(ロバート・レッドフォード)がアンカーマンを務める番組でそのスクープを放送する。番組は大反響を呼ぶが、その直後、保守派ブロガーによるひとつの指摘をきっかけに、“新証拠”に対する疑惑で蜂の巣をつついたような大混乱となり、一転してダンとメアリーは釈明に追われることに。もはや軍歴そのものの疑惑は議論の外に置かれてしまい、“新証拠”の真偽のみを巡って集中砲火を浴び続けるメアリーだったが…。

<感想>何ともお堅い題名であることか、原題が「トゥルース」真実、真相だから悪くはないが、邦題としてはつまらな過ぎる。しかし、観てみると意外とこれが映画の中身とピタリと合致していて感心した次第であります。
というよりも、主人公のCBSニュースのプロデューサー、メアリー・メイプスを演じるケイト・ブランシェットの演技に始終圧倒されっぱなしだったのが印象に残る。実際に、この映画のケイトは、何かに取り憑かれてたように始終「真相」をめがけて突っ走っているのだ。目をランランと輝かせて獲物を追い求める野生の動物チーターのように。

その獲物とは、2004年にCBSニュースがスクープとして報道したブッシュの軍歴詐称疑惑である。ベトナム戦争への派兵をのがれるためのコネによる入隊と職務怠慢の疑いを立証するものだが、もし本当ならば爆弾級のスキャンダルだ。

ところが放送の終了後、報道の根拠となった文書の1枚が捏造だったと発覚。スクープの核となる資料が偽造だと批判する保守派が現れてメアリー・メイプスらCBS側は苦境に立つ。
局側は、全面謝罪し、プロデューサのメイプスと司会者のダン・ラザーがクビになり、ブッシュは大統領再選を果たした。その後にイラクや中東で起こったことについては、今更改めて振り返ることもないだろう。
プロデューサーのメイプスの自伝をもとにした実話の映画化だというが、それだけに登場するジャーナリストたちは、まるでCBSのオフィスから抜け出してきたようにリアリティーたっぷりに描いている。

伝説的アンカーマンのダン・ラザーに、ロバート・レッドフォードが扮しておりさすがの貫禄たっぷりな演技に拍手。それに取材するチームにはデニス・クェート、トファー・グレースといった面々が、そしてこのスクープの鍵を握る退役軍人には、ステーシー・キーチと個性は揃いなのだ。

結局のところ、メイプスは綿密な調査報道の末に、一度はスクープをものにするものの、保守派の反撃にあって「誤報」と断ぜられ、CBS内部の調査委員会に召喚されることになる。
すべてが実話ということもあって、説得力十分の展開なのだが、ここで何よりも観客の心を動かすのは、その報道は本当にすべてがウソだったのか?・・・真実とはなにか?、真相はどこにあるのかと、必死になって追究するジャーナリスト魂だろう。

この「世紀の誤報」が起こった過程を、真偽の再検証も織り込みつつ、スリリングな報道ドラマへと仕立てていく。その先に見えてくるのは、「テレビのニュースは誰のモノなのか?」という、現代社会の在り方を考える上で興味深いテーマだと思った。
結局、真相は?・・・実は何とも言えない。一筋縄ではいかない物語の内容については、たとえ真実に辿り着けなくとも、決してあきらめない彼女の生き方こそ尊重されるべきという、本作を手掛けたジェームズ・ヴァンダービルト監督の声が聞こえてくるから。

2016年劇場鑑賞作品・・・208映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

闇金ウシジマくん Part3 ★★・5

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真鍋昌平の人気コミックスを山田孝之主演で実写化した人気シリーズの劇場版第3弾。原作の“フリーエージェントくん編”と“中年会社員くん編”を基に、違法な高金利で金を貸す闇金業者・丑嶋(ウシジマ)が見届ける、欲望に飲み込まれていくダメ人間たちの非情な運命を描き出す。共演は綾野剛、本郷奏多、藤森慎吾、浜野謙太。監督は引き続き山口雅俊。

あらすじ:今日も高金利で金を貸す金融屋「カウカウファイナンス」の丑嶋馨(山田孝之)。フリーターの沢村真司(本郷奏多)は偶然知り合ったモデルのりな(白石麻衣)にあおられて、ネットで1秒間に1億円を稼ぐという天生翔(浜野謙太)のビジネスに身を投じ、カウカウファイナンスを巻き込んだある計画を考える。一方、サラリーマンの加茂守(藤森慎吾)は妻帯者でありながら遊ぶ金欲しさにカウカウファイナンスで借金を重ね……。美人キャバ嬢・花蓮に入れあげ、ズブズブと闇金の底なし沼にハマっていく…。

<感想>ただでさえ丑嶋馨(山田孝之)の出番が少ないのに、2本もあるなんんてね。今回も変わらずの「闇金ウシジマくん」です。で、本作では派遣の仕事で食いつなぐ真司(本郷奏多)が、誰でも稼げるという塾を主宰とするネット長者の天生翔(浜野謙太)の広告を見て、半信半疑でセミナーに出席。人生一発逆転を狙って、億単位のマネーゲームに巻き込まれてゆくという。

つまりはマルチ商法に引っ掛かったバカ者です。真司の父親の大杉漣が言う言葉「地道にコツコツ働かないでどうする。」に、今の若者には解らないでしょうから。何も考えずに簡単に借金をして、没落してく様を描いた群像劇です。

借りた金は返さなければならなく、そのことを良く考えずに10日に5割の利子で、どんどんと借金が増えてゆく様がこの映画の見どころ。結局は、返せなくて自分の首を自分で絞めてしまうという愚か者のお話しです。
マネーゲームに於いては、人は「自分だけは損しない」と信じて疑わないもの。このシリーズでは、金に人生を左右される多様な人々を描いているが、観ている側もどこか他人事で「自分だけはそうならない」と信じて疑わない。現実世界でも本作と同じように、検索サイトの隅で大金獲得を謳う怪しげな広告が、人々の欲望を誘惑しているというのに。

一方では、美人のキャバ嬢を落としたいサラリーマンの加茂守(藤森慎吾)は、カウカウファイナンスで金を借りまくって、店に通い続けるが、・・・。この役にぴったりのチャラ男の藤森慎吾でした。
いつものように、お金によって踊らされる「闇金ウシジマくん」シリーズの面白さは、現実を映して鏡にした金をめぐる人間模様であり、キレイごとは一切なしで、何より闇金“カウカウファイナンス”の社長ウシジマのブレない姿勢が小気味いいんですね。
演じる山田孝之の個々とした事情などはまったく関知しないビジネスライクな冷酷ぶり。闇金に駆け込んでくる人たちが、欲に舞い上がって足元を見ない人ばかりで、そのツケで大怪我をするのも、反面教師的で納得できるのだ。最後の最後に仕掛けるウシジマの、大岡裁きは今回もスカットしますからね。

この第3作目では、高額アフィリエイトを題材に、デフレやインフレの仕組みを学べるだけでなく、金を稼ぐことのあり方に対する是非を再確認させるのも一興ですな。
それだからこそ、惜しいデキというべきか、面白くなかったと言いたいが、それは「怒り」に続いて水澤紳吾が素晴らしかった。脇役であればあるほどにそいつが場をさらって行く存在感があり、逆に中心的な人物には、観る甲斐がないということになっている。

罰ゲームの債務者の児嶋一哉や同業者の高橋メアリージュンとか、端役の方こそが描こうとする世界にシンクロして、無意識的に俳優たちに救われていると感じた。
それでも、次作の「ザ・ファイナル」は丑嶋馨の過去が観れる物語だというので、彼が何故にこんな人になったのだろう。何故にこんな人が出来上がったのだろう、という興味はありますよね。
2016年劇場鑑賞作品・・・209映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

世界一キライなあなたに ★★★

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世界中で読まれているジョジョ・モイーズの恋愛小説「ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日」を映画化。バイク事故で車いすの生活となり生きる気力をなくした青年実業家と、彼の介護に雇われた女性の切ない恋の行方を描く。主人公の女性をテレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」などのエミリア・クラーク、実業家を『ハンガー・ゲーム』シリーズなどのサム・クラフリンが演じる。そのほか『アルバート氏の人生』などのジャネット・マクティア、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』などのチャールズ・ダンスらが脇を固める。

<感想>体の不自由な大富豪のイケメン青年と、未来の自分を探していた女性の出会いが、二人に大きな変化をもたらすのだが、・・・。最初は反発しあいながらも、次第に惹かれあっていく二人なのだが、青年ウィルにはある決意があったのだ。
物語の中心となる印象的な美しいロケ地として、ルーやウィルの暮らす英国の小さな町は、ウェールズのペングローブで撮影されたそうです。ルーが最初に勤めていたカフェもこの町にあり、トレイナー家のお城もヘンリー7世が生まれたというペングローブ城を使っている。この城壁の内側にあるトレイナー家の屋敷は、オックスフォードシャーにある私邸ワイサム・アビーが使用され、ルーの家の外観はロンドンのハーローで撮影された。ルーたちが旅をするインド洋は、実はスペインのマヨルカ島で撮影されている。他にもバッキンガムシャーのチーニーズ・マナーハウスやイーシャーのサンダウン・バークなどでもロケが行われているという。

主人公のエミリア・クラークがとても喜怒哀楽が激しい陽気な女性であり、決して美人ではありませんが、キュートで愛らしく一途な性格に心惹かれます。
相手のイケメン青年ウィルが、交通事故で首から下が麻痺して車いす生活をするサム・クラフリンが、本当に爽やかないい男で誰が観ても惚れ惚れしてしまうでしょう。

ですが、かつては人生をフルに楽しんで生きてきたウィルが、脊髄損傷で体が動かなくなり気難しい皮肉屋に変わってしまった。作業療法士のネイサン以外には、ほとんど口をきかないウィルにルーは戸惑ってしまう。髭も伸び放題でせっかくのイケメンも台無し。すると、ルーが髭剃りをしたいと申し出るのだ。

そこに、元婚約者が親友の男と結婚することになり、さらにウィルが落ち込んでいくのをルーは見守るしかなかった。でも、ルーはウィルを誘って一緒に結婚式へ行くんですね。綺麗な花嫁姿の元カノを見せつけさせられるルー、でもいつもの明るさで車いすのウィルとダンスをします。

しかし、ある日のこと、ウィルの両親が口論しているのを耳にしたルーは、ウィルが半年後に尊厳死という選択をすることを知ってしまう。何とかしなきゃと、ルーは自分流に毎日派手派手の洋服を着て、お茶目さんらしく振舞うルーに、少しずつ心を開いていくウィル。元婚約者の聡明で美人でナイスバディの、彼女のような女性としか付き合ったことのないウィルには、ルーが天真爛漫な性格で、今までに付き合ったことのない女性でもあり、それに、大雨の夜に一緒に字幕付きのDVDを鑑賞することで、二人が仲良くなってゆく。

そして、ルーが計画したプランで、競馬場やモーツアルトのコンサートには、真っ赤なドレスを着て女らしくお洒落してウィルを驚かせる。また、ルーの誕生日には、彼女の家に出向いて家族と交流するほどになるのだが、そこで、ウィルはルーの恋人パトリックと対面する。パトリクは健康そのもので、ノルウェーでの過酷なトライアスロンに行くと言う。それに、ルーも一緒に連れて行こうと思っているのだ。

だが、ルーとウィルの関係が急速に接近していき、友達以上の関係になっていることも分かるパトリック。ルーがお金持ちでハンサムな男に夢中になっていくのをただ観ているしかないのだ。しかし、まさかウィルが尊厳死を望んでいるとは思っていない。
ルーが家族にそのことを話すと、絶対にウィルの尊厳死を止めさせるべきだと家族がルーを応援する。二人と作業療法士のネイサンとで、インド洋のモーリシャス島まで連れ出し、その他の数々の冒険で二人の心は離れがたいものになっていき、パトリックとの関係では知り得なかった新しい世界が存在することを知ったルー。

それに、生きる力を取り戻したウィルだと信じたのに、やっぱり自分の選択を変えてはいなかったことを知る。ルーの力では彼の気持ちを変えることが出来なかったことを悔やむのだが、ウィルにとっては、これからもこの状態で生きることが地獄の苦しみであり、やはりスイスでの永遠の旅立ちを選ぶことになる。しかし、ルーにお金を残してくれるんですね。彼女が望んでいた、ファッションの大学への教育費を遺言で残してくれたんです。
普通はこのようなラブストーリーものは、ハッピーエンドで終わるものと信じていたのに、確かに主人公のルーのように誠心誠意彼に尽くして、強くいられるだろうか、全身麻痺の彼のことを生涯世話をして尽くして行けるだろうか。ものすごく考えさせられる内容ですね。年老いた親の介護でさえ、精神的に参っている私にとって、このような状態の彼を死ぬまで介護できるのかが問題です。だからこそ、物語の切なさが深く胸に、心に、響きました。
2016年劇場鑑賞作品・・・210映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

ジェイソン・ボーン ★★★★

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マット・デイモンが記憶を失った最強の暗殺者“ジェイソン・ボーン”を演じる大ヒット・シリーズの第5弾にして、マット・デイモンが第3弾「ボーン・アルティメイタム」以来のシリーズ復帰を果たしたサスペンス・アクション。共演はアリシア・ヴィカンダー、トミー・リー・ジョーンズ、ヴァンサン・カッセル。監督もマット・デイモンと同じくシリーズ復帰となったポール・グリーングラス。
あらすじ:全ての記憶を取り戻したジェイソン・ボーン(マット・デイモン)が消息を絶ってから何年もの月日が経ったある日、元同僚のニッキー(ジュリア・スタイルズ)はギリシャに潜伏している彼との接触を試みる。ニッキーはハッカーグループと手を組み、CIAのサーバーから極秘情報を盗み出していた。その中には“トレッドストーン計画”の全貌とそれに関わったボーンの父親の情報も含まれていた。しかしCIA長官のデューイ(トミー・リー・ジョーンズ)はニッキーの足取りを追跡し、ギリシャに凄腕暗殺者アセットを送り込む。そんな中、野心を秘めたCAIの若手エージェント、ヘザー・リー(アリシア・ヴィキャンデル)は、強引なデューイとは距離を置き、ボーンを再びCIAに引き戻そうと画策するのだったが…。

<感想>マット・デイモン主演の“ジェイソン・ボーン”シリーズ「ボーン・アルティメイタム」(07)から9年、ポール・グリーングラス監督とデイモンの名タッグが第2作、第3作に続いて復活します。記憶を失ったCIA工作員ジェイソン・ボーンの物語は、シリーズ3作目で決着がついたかに思われたのに。しかしながら、まだ彼が取り戻していない記憶があったのだ。それは、CIA分析官だった父親の死に関する謎である。

本作ではボーンを工作員に仕立てたCIAのトレッドストーン計画に、彼の父親が関わっていたことが発覚する。計画の機密に触れたボーンは、恐ろしい極秘計画を進めるCIAと彼に恨みを持つ殺し屋との命がけの攻防戦を繰り広げるのがこの映画の内容であります。
さすがにマット・デイモンも40代半ばであり、役作りのために鍛え上げた体を作り上げたというから、冒頭でのギリシャの辺境で地下格闘技みたいなことをやってるのが観られますから。

それに、ギリシャ、ベルリン、ラスベガスといった、今回のアクションもまた長帳場で、大勢の群衆がいる観光地が舞台で、臨場感たっぷりのカーチェイスがあって、手持ちカメラの映像で、やたらカット数が多いということ。だからこそ、ボーンのルーツに切り込んだスピーディなアクションと、P・O・V・の手法を用いた臨場感はさすがでした。

ですが、難を言えば手ぶれカメラによる画面の揺れが余りにも凄くて酔ってしまった。これでは折角のアクションシーンでの、主人公のマット・デイモンの姿を追いかけ、尚のことジュリア・スタイルズのニッキーを目で追い、それから殺し屋のヴァンサン・カッセルを追うという、スクリーンを見つめていると、目が老いたのか付いていけずに酔ってしまった。
これをIMAXで鑑賞した娘も、目を白黒させて酔ってしまったと言っていた。それで、2Dにて鑑賞したものの、この監督のパラレル編集手法なのか、画面が変わる度に揺れが酷いのだ。
とは言え、「ボーン・アイデンティティー」(02)では自分がCIAの殺し屋だったことを知り、「ボーン・スプレマシー」(04)では、トレッドストーン計画の黒幕を追い詰める。そして、「ボーン・アルティメイタム」(07)で、“ボーン”誕生の秘密に迫る。ここでは、自分が工作員になった経緯を調べるうちに、CIAが邪魔者を自由に排除する“ブラックブライアー計画”に行き当たる。彼は計画の密告者と接触するが、CIAから襲撃されてしまう。

そして、CIAの新たな長官として、トミー・リー・ジョーンズが扮しており、CIAがネットワークを完全に監視するプロジェクトを計画。父親の死因を追う中でこの計画の機密情報に触れたボーンを消そうと躍起になる長官。

CIA長官が送る刺客は、世界で闇の任務を行うブラックブライアー計画に参加していた殺し屋で、白髪雑じりで老人になったという感じがするでもないが、ヴァンサン・カッセルが扮して得意のスパイナーとしての腕を披露するなど、ボーンが計画を暴露したため敵に捕まった過去があり、ボーンを憎んでいるらしく、二人の一騎打ちは格闘技もあり見応えがあった。しかし、ベガスでのカーチェイスでの、軍の装甲車に乗って車を何台も壊して走行するのには、ゲンナリしてしまった。

だが、時代の電脳ネットワーク化と歩調を合わせているのは、主にCIA本部の作戦コントロールの側であり、ボーン自身はむしろそんな時代の態勢に背を向けているのだ。彼はCIAの電脳インテリジェンスに対して、徒手空拳の諜報員のインテリジェンスで立ち向かうのだ。街に溢れる手元のスマホに没頭した人々とはおよそ対照的に、ボーンは常に上下左右に目を配り、辺りに注意を怠らない。システムの末端から自分を切り離して、ただ一人自由にゲームメイクをしている。
そして、プリペイドの端末とか小型の録音機とか、オモチャのようなガジェットをくすねては思いがけない使用法で、CIAの水も漏らさぬ監視網をかいくぐりぬけ、裏をかいて、いつの間にか彼らを見下ろす超越者の立場へとなっているのだ。

今回は、もう一人CIAの作戦担当の女性局員で、ボーンといわばネットワーク越しに激しいせめぎ合いを演じる敵役のヘザーに、「リリーのすべて」「U.N.C.L.E.」「エクス・マキナ」のアリシア・ヴィカンダーが演じていて、ラストシーンでついにボーンと同じ空間に立って初めて向かい会う。まさしくパラレル編集であり、ボーンにCIAに戻って来いと言い、味方のような振る舞いをする。

今回のCIAの陰謀だって、ハイテク企業のCEOを脅して最新ソフトに手を加え、全世界の人々の個人情報を監視しようというもの。CIAというかアメリカの倫理とは、「危険な存在は何時自分たちに害を及ぼすか分からない。だから攻撃をして壊滅するのだ」というものだから。ボーン自身は静かに暮らしたいだけなのに、いつもCIAの内部事情に引っ張られる形で戦わざるを得なくなるのだろう。

2016年劇場鑑賞作品・・・211映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

グッドモーニングショー ★★★・5

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">「踊る大捜査線」シリーズの脚本家・君塚良一が脚本・監督を務め、主演に中井貴一を迎えて朝のワイドショー番組を舞台に贈るコメディ。落ち目のワイドショー・キャスターが次々と災難に遭遇するある一日のドタバタ大騒動の行方を描く。共演に長澤まさみ、志田未来、濱田岳、吉田羊、松重豊、時任三郎。
あらすじ:朝のワイドショー番組“グッドモーニングショー”のメインキャスター、澄田真吾(中井貴一)。ある日、いつものように深夜3時に起床し、タクシーでテレビ局に向かっていたところ、サブキャスターの小川圭子(長澤まさみ)から電話で、2人の仲を今日の生放送で発表すると宣言されてしまう。必死に説得するものの、圭子はすっかり盛り上がってしまう。そこへ来て今度は、プロデューサーの石山(時任三郎)から番組の打ち切りが告げられる。そんな中、都内のカフェで立てこもり事件が発生。人質を取った犯人(濱田岳)の要求は、なんと澄田に会わせろ、というものだった。過去の事件のトラウマから現場に出ることを極端に恐れていた澄田だったが、成り行きから現場でリポートするハメに。こうして嫌々ながらも、マイク片手に武装した犯人のもとへと向かう澄田だったが…。

<感想>生放送中に何故かワイドショーのキャスターが、喫茶店に立てこもる事件の犯人に呼び出され、交渉人の役目を果たすことになるとは。メインキャスターの中井貴一さん、さすがに演技派であり中々ハマってましたね。この物語は、ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツが共演した「マネーモンスター」(2016)のパクリ版ではないかという感じもするでもないが、しかし、日本版はコメディ映画になっており、犯人が何故にワイドショーのキャスターである澄田真吾と話しをしたいというのか?・・・そこが問題なんです。TVマンたちの仕事ぶりをコミカルに描く喜劇ドラマです。

出勤すれば、プロデューサーから“番組の打ち切りが告げられる!!”それに、TV局では、サブキャスターの長澤まさみが、勝手に澄田に想いを寄せている女子アナであり、好きだということを番組内で言うと脅してくるのだ。

真っ赤な派手な衣装とOL風のヘアスタイルの長澤まさみは、香水をシュシュと振り掛けて匂うように艶やかで美しい。それに、真面目で清楚でスポーツニュースを読む志田未来の、大きな瞳もとても素敵でした。

それに、キャスターの澄田は、家を出る前に家庭内で、妻や息子に「お父さんの仕事なんて」とバカにされ、その息子が恋人が妊娠をして結婚をしたいと言い出す。妻も悩むも息子可愛さもあってか、息子夫婦と同居して生活の面倒を見てあげようというのだ。そんなことは絶対に許さないと断言する澄田なのだが。妻には吉田羊さんが演じて、「パパ生命保険入ってたかしら」なんて、夫が事件に巻き込まれて死ぬことを想像しているような感じがするでもない。

やがて番組のスタート直後に、都内のカフェで立てこもり事件が発生。実は、犯人の濱田岳は、立てこもったパン屋で2年前に働いており、火災を出した店で、放火犯人にされてしまったのだ。本当は、店長がタバコの不始末で火事を起こしたのに、何故かアルバイト店員の彼が犯人にされてしまった。その他にも店長に文句がある、残業手当がつかないとか、売れ残ったパンを買い取らされるとか。

その事件を“グッドモーニングショー”で報道したメインキャスターの澄田真吾に良く調べもしないで、自分を放火犯人扱いをして報道したことを謝れというのだ。刑事の松重さんは、土下座して謝れという。TV局のプロデユーサーもとにかく謝れというのだ。腑に落ちない澄田真吾は始終オドオドして落ち着きがなく、自分の立場もあるので直ぐには謝りたくない。

そうこうしている内に、TV局側の内部では、ワイドショーのプロデューサーと、報道のプロデユーサーが、この時間を報道に明け渡せと言って来るのだ。独占報道であり、視聴率を上げたいプロデューサーの時任三郎は、頑固として引き渡すことをしない。
やがて、現場では犯人の濱田岳とキャスターの中井貴一が言い争いになり、猟銃を発砲する始末。驚く人質たち、早く残っている人質を解放させないと、時限爆弾が爆発するのだ。時間が無いのに、のらりくらりと、おろおろして落ち着きのない中井貴一。しかしですよ、澄田が猟銃と爆弾を持って立て篭もっている犯人の濱田岳に、どのような対峙をしていくのかが見どころですね。

その内、犯人の濱田岳が猟銃で自殺をするというのだ。これは困った。何とか説き伏せないと。それで、TV局の真面目な志田未来さんが、視聴者の反応を見ましょうと提案する。つまり、犯人の濱田岳が生きるか死ぬべきかの、イエス&ノーのボタンをTVを見ている視聴者が押して、回答するというもの。

これが本当は失敗の元だったのだが、澄田が顎を撫でる仕草でプロデューサーにサインを送るのだ。視聴者の回答は殺せが69%で、それを澄田の判断を取り入れて嘘の集計をTVの画面に出す。それで、犯人の濱田岳は「自分もこの世で生きる価値のある人間だ」と、泣きながら喜び自首をするのだ。
実は、ワイドショーのような情報番組に真実があるかどうかと言われると、おそらくなくていいと制作側は思っているのはないでしょうか。澄田は本当はその情報番組と報道番組の間で揺れている男なんですよね。だから、澄田は事実を突き止めたい男なんで、本当は報道番組へ戻りたいんですね。

最後は、犯人が自首をするのでホットする澄田なんですが、かつては報道番組のエースキャスターだったが、ある事件がきっかっけで番組を降坂した過去を持つ。その傷がいまだに癒えないでいる。
面白かったのが、ワイドショーの番組で、秘密の取材兵器を駆使する中継担当に大東駿介が、澄田の防弾チョッキにマイクにカメラが内臓されている星のバッジを5つも付けて、独占生中継をするあたりが笑えた。TV局や警察など多くの人たちが、事件に立ち向かっていく姿を面白おかしく描いているのも良かった。
2016年劇場鑑賞作品・・・212映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

少女 ★★★

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“イヤミス”を代表する作品ともなった『告白』でデビューした湊かなえがその次に発表した同名ベストセラーを「アオハライド」の本田翼と「貞子vs伽椰子」の山本美月の主演で映画化した青春ミステリー。不幸な出来事に遭遇し、心に深い闇を抱えた女子高生2人が、“人が死ぬ瞬間を見たい”との思いを胸に過ごす危険でおぞましい夏休みを描き出す。監督は「ぶどうのなみだ」「繕い裁つ人」の三島有紀子。

<感想>2人の女子高生がこの映画で紡ぎ出すのは、17歳という危うい年齢を生きる少女たちが抱える光と闇、生と死です。ミステリー要素の中に人間味が強く感じられます。主人公の桜井由紀と草野敦子の二人は、幼いころから剣道を続けて仲良しだったのですが、敦子が将来有望と言われるも高校の団体戦で一歩を踏み出した時、じん帯を損傷してしまい転落してしまう。ケガをしてから、イジメの対象になりひきこもりになる。

それに、由紀も、家庭の中で祖母がアルツハイマー症状で暴言を吐き、家族の悩みの種だったのだが、夜に由紀が濡れタオルを祖母の顔にかけて窒息死をさせようと試みるも、反対に元気な祖母の力で、頭を殴られ左手をナイフで切られてしまう。それからというもの、祖母を毛嫌いして近寄らなくなる。

学校では授業中に由紀が小説を書いているところを、担任の先生(児嶋)が咎めることもなく、後でその小説を盗み自分の名前で出版社に出し、新人文学賞を受賞してしまう。由紀はそのことで、先生を訴えることもなく、夜に教室へ行き、先生のPCのファイルにとってある生徒とのセックスの動画を暴露して、先生は学校を首になり自殺をするのだ。アンジャッシュの児嶋がこの教師の役をしている。
敦子の方は、足を引きずりながら歩くので、虐めの対象となり暗い性格なのだ。夏休みに入り、敦子は老人ホームで介護の手伝いをする。そこには、介護員の稲垣吾郎がいて、謎の多い過去にトラウマを抱えている男で、何を考えているのか分からない性格。だが、手伝いながら親しくなる。その老人ホームに、由紀の祖母も入所していた。

由紀の方は、老人ホームへ行くも、祖母の声に怯えて過去のトラウマの幻覚に苛まれる。そして、敦子に近づく紫織という転校生。彼女は実は電車のホームで中年男性に近寄り、でっち上げで痴漢をされたとその男を脅して金を巻き上げる悪い女。

敦子もそばにいて、見ていて金を巻き上げる悪女のしおりに驚きつつも、何にも言えないのだ。

由紀は病院の小児科病棟に通い、そこで余命僅かな2人の男の子と仲良くなり、手術をしても助からないかもしれないという男の子に、父親捜しをかって出る。男の子の父親が働いていた会社に行くも、そこの中年男に声をかけられ、自分の学校の生徒たちが援助交際をしているらしく、由紀も男に誘われるのだ。高校生って誘惑に弱いのか、それとも自分を大事にしてないの。

仲の良かった由紀と敦子の中がぎくしゃくしてしまい、その2人が再び話をする糸口を作るのが稲垣吾郎である。つまり、病院の男の子の父親捜しをしていて、見つかったのが稲垣吾郎であり、彼も女子高生の痴漢騒ぎで捕まり、本当は冤罪なのに結局は認めてしまい、会社も首になり家族とも別れてしまう。病院で親子の対面を果たすも、息子は父親に恨みを持っており、ナイフで父親の腹を刺す。何という悲劇なのか。

17歳の夏休みに経験をした“死にまつわる禁断の世界とは”転校生のしおりの言葉で「死体って見たことある?」という何気ない一言をきっかけに、由紀と敦子は人の死を見たいという願望に取り憑かれるようになる。
映画の中で因果応報とか、地獄や「死ね」、「死ねばいいのに」とか「死にたい」と言う、簡単に飛び交う年代なんだなぁと思いました。ですが、それは「生」の裏返しというか、「生きたい」とか「こうしたい」という欲求の裏返しかなとも取れると思います。
親友同士のヒロインを、テレビドラマ「恋仲」でも共演したことのある現在24歳の本田翼と山本美月が高校生役を演じており、17歳という多感な時期の心の闇を体現している2人は、それぞれの方法で、人が亡くなる瞬間を見れば生きる気力を取り戻せると考えるのだが、決して2人とも人殺しをしたいということではありませんからね。「死とは何なのか」を知ろうとする青春ミステリーになってました。

2016年劇場鑑賞作品・・・213映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

人間の値打ち ★★★

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ひとつのひき逃げ事件をきっかけに、登場人物たちの秘められた利己的な振る舞いが露わになっていくさまを通して、お金持ちと彼らに群がる人々が織りなす欲望と打算の赤裸々な人間模様を巧みな筆致で描き出した群像ミステリー。イタリアのアカデミー賞にあたるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では、みごと作品賞を含む7冠を獲得。出演はヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ、ヴァレリア・ゴリノ、マティルデ・ジョリ。監督は「見わたすかぎり人生」のパオロ・ヴィルズィ。

<感想>この映画では、さまざまな階級の男女による愛憎劇と欲望が渦巻く人間模様がミステリー仕立てで展開していく。それは、イタリアの高級リゾート地、コモ湖のほとりに立つ美しい邸宅を舞台に、経済格差のある複数の家庭に隠された欲望の本質を浮かび上がらせる物語。

「お金」「存在意義」「愛」をそれぞれ求める3人の人物を登場させ、同じ時系列のひとつの出来事を、別々の視点によって見つめていくというスタイルが出色だ。“人間の価値”という深遠なテーマを追求した名匠パオロ・ヴィルズィの手腕が光ります。

クリスマス・イブ前夜の、ミラノ郊外でひき逃げ事件が発生する。映画の冒頭、パーティで働いたウェイターが自転車で帰宅する途中、暗い道で何者かが運転する乗用車にひき逃げされるさまが映し出される。誰が彼をひき殺したのか? そのパーティには、ディーノ、セレーナのオッソラ家、カルラ、ジョヴァンニ、マッシのベルナスキ家の両家も出席していた。大きな謎の真相も、3つの視点で暴かれていくのだ。

その半年前、不動産屋を営む中年の男ディーノ(ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ)は、お金持ちになりたいと、自分の地位を上げるために、上流階級に憧れ、自分の見栄のために娘セレーナを金持ちの子女が集まる名門校に通わせているのが、セレーナが豪邸に住むマッシと付き合っていることを通して、彼の父親のジョヴァンニに取り入り、高利回りのファンドへの投資を図る。
だがディーノは、規約を満たすだけの資金など持っていない。知人にウソをつき、多額の借金をしてまで投資した彼は、一攫千金を実現できるのか……。

あなたなら何を求めるのか。人生で本当に大切なもの、そして人間の真の価値とは何か。濃密な人間ドラマに、自らも問いかけずにいられなくなる注目の作品です。
そして、何不自由ない生活を送りながらも、満たされない思いを募らせていたジョヴァンニの妻カルラは、老朽化した劇場の再建に情熱を注いでいく。昔、自分が舞台女優をやっていたから。その老朽化した劇場を買い取り、自分をまた舞台で演じてみたいという欲望が沸くのだ。劇場で上演する脚本を書いてる男と寝てしまう妻カルラ。夫への腹いせか、自分は夫の稼ぎで裕福に暮らしているのに。

だが、ディーノの娘セレーナは、マッシとの愛に疑問を持ち始めていた時、心療内科医である継母ロベルタの病院で、ひとりの少年ルカと出会い、心惹かれていく。そんな中、マッシの車がひき逃げ事故を起こしてしまうのだったが…。

やがて、彼らの人生は激変していき、ひき逃げ事件の意外な真相が明らかになっていく。
結局は、一攫千金を狙って投資したものの、株価が暴落して、投資をした金がパァーになる。それであきらめはしないのが、不動産屋のディーノ。娘の彼氏、大富豪のマッシの車がひき逃げをした車で、その車を運転していたのが、少年のルカ。叔父が麻薬の売人でルカも薬漬けみたいな、父母を失い、それに手首にリストカットの傷跡があり、大麻所持による逮捕で社会から阻害されている精神病患者。

マッシがひき逃げ犯人だとジョヴァンニの豪邸に警察が逮捕に来る。父親は株で大損こいて、屋敷も処分しなければならず、息子は轢き逃げ犯人になり、母親は喜んでいた劇場も売りに出され、息子が警察に捕まり自暴自棄になる。
そこへ、不動産屋のディーノが娘のPCのメールを見て、真犯人が未成年のルカだと判り、婦人に取引を願うのだ。自分が損をした投資額を返して貰うようにと。

ラストで明かされる。人間の値打ち、価値とはいったい何を指し示しているのか。その衝撃に、誰もが息を飲み、言葉を失ってしまうはずです。その轢き逃げされた男は、死んでしまい、ひき逃げ犯人として精神異常者でもある未成年のルカが犯人となれば、返済能力のないルカが、損害賠償金として21万ユーロ支払らうというのだ。轢き逃げされた男は、貧しい労働者で、生命保険も入ってないだろうし、その男の価値が日本円で2400万とは、何とも悲しい話なのだが、娘のセレーナは愛するルカと一緒に暮らせればそれでいいというのだ。最後は、ルカが刑務所に入るも、面会にいくセレーナの笑顔に、金よりも愛さえあればってことか。結果として、「人間の値打ち」とは何も結論ずけてはいないが、「お金では買えないもの」がそうなのかということ。しかし、お金も無いよりはあった方がいいにい決まっている。遺族にしても少しでも多くの賠償金が支払われることを望むだろうから。
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ソング・オブ・ザ・シー 海のうた ★★★

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第87回アカデミー賞長編アニメ映画賞ノミネートをはじめ、数々の映画賞を賑わせたアイルランド発のファンタジー・アニメ。アイルランドの神話をベースに、幼い兄妹の大冒険を素朴にしてファンタジックな映像美で描き出す。監督はアイルランド出身で本作が長編2作目となるトム・ムーア。
あらすじ:海辺の灯台の家で父と幼い妹シアーシャと暮らす少年ベン。母親はシアーシャが生まれてすぐに姿を消してしまったことから、彼はいたずらっ子の妹に優しくすることができない。

やがて6歳の誕生日を迎えたシアーシャは、父が隠していたアザラシの妖精セルキーのコートを着て海で優雅に泳ぎ回る。それを兄妹の祖母に見られてしまい、2人は町へと連れて行かれてしまう。ところがセルキーだと気づかれたことで、シアーシャは魔女のフクロウに狙われ、連れ去られてしまう。ベンは妹を救うために過酷な冒険へと旅立つのだったが…。

<感想>アイルランド発のアニメーション作品。とても美しく息を呑むような映像美に、太古の息吹を思い起こすような躍動感と、愛に満ちたヒューマニズム。実写や3Dでもない平べったいこのアニメーションに、何故にそこまでの力があるのか。ですが、人間の芯にある何かを震わせることは確かであります。
心を揺さぶられる思いがしました。
トム・ムーア監督の作品は初めてですが、ポスト・ジブリと称される、自身の制作会社「カートゥーン・サルーン」が、手掛けている。

物語は、アイルランドの神話や口承文学を基にしたファンタジーで、幼い兄妹の大冒険が描かれています。冒頭にて、小さな島の灯台守である大柄で静かな男と、白い服に長い髪の曲線的な女、モコモコした巨大な犬に、表情豊かな少年が登場する。既に不思議な空気を感じるのだ。

古い歌や巻貝の笛などに、その先の運命を変えていく予兆が見え、湿度は高い。案の定、少年の母親である白い女が早々に出奔する。消えたのか、死んだのか不明ですが、二人目の、少年の妹を出産した直後である。

ゆえに、一家にとっては長女の誕生日と妻の命日は同じ日となるわけ。しかも、その娘は6歳にになっても口が利けないのだ。子供のためのお伽噺としては、楽し気というより薄暗い感じがする。
しかし、だからこそ後に続く謎解きと、冒険の物語が宝石のごとく輝くのですね。妹を思う少年の活躍にすっかり引き込まれてしまいます。また、言葉を発さない少女の真の姿は神秘的で、初めて歌を歌うシーンには、深い感動さえ覚えます。
監督は「アニメはキャラクターがシンプルなので、自分自身を投影できるアバターになる。はっきりとした誰かではなく人間性の一面として表現している」と語るのだ。
なるほど、この美しい物語も観る人ごとに、ツボにハマルポイントが変わるのだろう。テンションの高いエンターテインメント性で圧倒するアメリカのアニメ作品とは、目指す場所が違うのですね。

語り部によって伝えられる神話であり、受け取る側の想像に委ねられ、後世へと語り継がれてゆく。そんな包容力のある物語だと思います。何故か子供よりも、大人の琴線にも触れておりホロリとさせてくれます。
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リトル・ボーイ 小さなボクと戦争★★★★

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第二次世界大戦下のアメリカの田舎町を舞台に、出征した父の“奪還作戦”に奔走する少年のひたむきな姿と、町で敵対視されていた一人の日系人男性との友情を描いたドラマ。主人公の少年役は、ほぼ演技未経験のジェイコブ・サルヴァーティ。共演にエミリー・ワトソン、ケイリー=ヒロユキ・タガワ、トム・ウィルキンソン。監督はメキシコ出身で本作が長編2作目のアレハンドロ・モンテベルデ。
あらすじ:第二次世界大戦下のカリフォルニア州の小さな漁村。8歳の少年ペッパー・バズビー(ジェイコブ・サルヴァッティ)は、身体が小さいせいで“リトル・ボーイ”とからかわれ、イジメに遭うこともしばしば。

そんな彼にとって、自分のことを“相棒”と呼んでくれる優しい父(マイケル・ラパポート)と奇術師ベン・イーグルがヒーローだった。ある日、兄(デヴィッド・ヘンリー)のロンドンが徴兵検査(扁平足)で引っかかり、代わりに父が戦争に駆り出されてしまう。以来ペッパーは、父を呼び戻すために戦場へ向けて念を送るようになる。そんな中、町のはずれには米国への忠誠が認められて収容所から釈放された日系人のハシモトが住んでいて、周囲から冷たい視線を浴びていた。ペッパーも他の人々と同様にハシモトに敵意を剥き出しにする。すると見かねた教会の司祭(トム・ウィルキンソン)から、すべてを達成できたら願いが叶うと、あるリストを渡される。さっそく一つひとつリストをこなしていくペッパー。そしてそこには、ハシモトに親切にという項目が加えられていたのだが…。

<感想>第二次大戦中のカリフォルニア州の小さな漁村が舞台なのに、メキシコで撮影したというのだ。全編、オールド・アメリカ感に溢れている。
古き良きアメリカの欺瞞を暴くかのように、増悪をめぐる重い重い話が始まる。体が小さい少年、リトルボーイが太平洋戦争を終わらせるって、どんな悪趣味な冗談かと思っていたら、あの日本の広島と長崎に落とされた原子爆弾に、「リトルボーイ」という名前が付いていたとは、知らなかった。

監督自身はノーマン・ロックウェルのイラスト絵にヒントを得たと言っているのだが、大声を張り上げて念力を使う主人公の少年、リトル・ボーイにしても「ブリキの太鼓」の引用に見えるのだ。
その他にも、ヒーロー魔術師のベン・イーグル(ベン・チャップリン)のマジックショーなど、作者たちの映画的教養が楽しめます。それに、日本人のハシモトを演じるケイリー=ヒロユキ・タガワが渋くて泣かせるのだ。村の老人が自分の息子を日本兵に殺されたといい、ハシモトを殴る蹴るの暴行をして重傷を負わせるのだ。この村から“ジャップ”は出ていけ。と言われても、彼の帰る場所は無いのだ。

少年、ペッパーが村人たちがハシモトのことを嫌っているのを見て、自分も兄とハシモトの家に石を投げつける。ですが、老人ハシモトと親しいオリバー司祭(トム・ウィルキンソン)は、「辛子の粒ほどの信仰心」を持たねばと。父親を取り戻すためには小さくてもパワーをつけなくては、と6つの言葉が記されたリストを渡すのだ。

「飢えた人に食べ物を」「家なき人に屋根を」「囚人を励ませ」「裸者に衣服を」「病人を見舞え」「死者の埋葬を」、そして最後に「ハシモトに親切に」とつけ加えていた。小柄な少年の夢と、現実とのバランスもかなり良かった。

少年のペッパーが、戦場へ行った父親を呼び戻すために、それに初めはヒーロー魔術師のベン・イーグルに教えられた念力を駆使して、山に向かって声を張り上げてパワーを送ると、不思議なことに地震が起きて山が少しずれてしまうという。

それから、子供たちに虐められても、日本人のハシモトの家に行き仲良くなって、夕日が沈む海の向こうが日本だと教えられ、夕日に向かって念力を送る。もちろん父親が無事に帰ってくるようにと願って。

すると、ラスト近くに日本の広島に投下された原爆により、戦争が終わることをしり、父親が帰ってくることを喜ぶも、父親は日本の捕虜になりフィリッピンにいると知らされる。そこで過酷な労働により、戦死したという知らせが入り、母親と兄、近所の人たちとで父親の葬式を執り行う。だが、少年のペッパーには、父親が生きていることを信じているのだ。

敵対する相手への増悪や破壊が人々の原動力となり、至福や希望となってしまう。戦争の恐ろしさやおぞましさが伝わってくる映像。少年の父親が捕虜として捕まったフィリッピンの戦地と、日本の広島の地獄絵図と、それぞれをリアルにかつ壮絶に描いているのも凄かったです。

それと、最後に、父親が負傷しても生きて帰ってきたことにも、ハッピーエンドで終わるところもいい。やはり、一番印象深いのが、主人公の少年を演じたジェイコブ・サルヴァーティが、あどけなくて可愛らしくて最高でした。
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5年ぶりの遠刈田温泉「さんさ亭」

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秋の紅葉はまだですが、久しぶりに震災の後に行った以来ですかね、湯刈田温泉、「さんさ亭」に日帰り温泉旅行です。

フロアには早いもので、ハロウィンの展示がされておりました。

仙台駅から9時発の、宿の迎えのバスで約1時間くらいのところにある温泉です。

温泉の効能は、ナトリウム、カルシウム、硫酸塩、塩化物泉、低張性中性高温泉。

そして、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器症、冷え性、疲労回復、病後回復期等々。

11時から入浴タイムとのことで、温泉に入りました。

温泉入浴後のお楽しみは、昼食ですね。それも個室の部屋で。それも夕食に出るような豪華な食事でした。釜飯は今回はひと目ぼれの新米の炊き立て。小さな鉄板でしたが、豚焼きも付いてました。


売店もご当地のお土産がたくさんあります。

帰りも3時15分旅館発の送迎バスにて仙台駅まで送っていただきました。仙台駅には4時半に到着。
秋保温泉より少しだけ遠い場所ですが、また行きたいと思っております。

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GANTZ:O ★★★★

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死んだ人間と謎の星人とのバトルを描く奥浩哉によるコミックを基に、人気の高いエピソード「大阪篇」をフル3DCGで映像化したSFアクションアニメ。加藤勝をリーダーに東京と大阪のガンツチームがタッグを組み、妖怪軍団に立ち向かう。加藤の声には、人気声優の小野大輔。総監督に『聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY』などのさとうけいいち、監督に『エクスマキナ』などに携った川村泰が名を連ねる。迫力ある映像で表現される異形の敵とのバトルに期待が高まる。
あらすじ:高校生の加藤勝は、地下鉄で起きた事件によって死ぬ。ところが次の瞬間、マンションの一室にいた。加藤はそこで、リーダーが不在の東京チームと一緒に火の手が上がる大阪に転送され、サバイバルゲームに参加することになる。大阪チームと遭遇し、妖怪型の星人軍団=百鬼夜行と戦いを繰り広げる加藤。一人で待つ弟のもとへ生還するため戦い抜く加藤の前に、大ボス“ぬらりひょん”が現れ……。

<感想>2011年に観た実写版 「GANTZ」  2011年1月29日、「GANTZ PERFECT ANSWER」  2011年4月23日を見直しました。いや観客は少なかったけれど、好みがあるので。3Dでは観ませんでしたが、フルCG、モーションキャプチャーを使用の製作なので、アクションシーンの細かな部分の動きが再現されていてカッコいいですよね。

特に、キャラクターとしてはやっぱり実写版で松山ケンイチが演じていた加藤ちゃに共感しました。同じ設定で、高校生で弟のあゆむくんと二人で住んでいる。自分の弱さをわかっているから強くなろうとする、そして素直で、率先して人を助けようとしているし。爺さんと婆さんに子供が隠れていたのを見つけて、助けようとする加藤。でも、生きてあゆむのところへ帰りたいと願っているのだ。

冒頭でのあゆむくんの誕生日ケーキを買って地下鉄に乗るところからして実写版と同じで、アパートではあゆむが、オムライスを作って待っている。

その他の東京勢は、ハゲ親父の鈴木さんと高校生の西くんに、レイカのボインちゃん。今回は、渋谷のスクランブル交差点に怪物牛男が出現する。この時、戦うのがクロノくん、ってあの実写版でニノが演じていた玄野計かよ。でもここで彼は、牛男怪物を殺して死んでしまうのだ。人間も怪物も殺され方がグロイしで、SFアクションアニメなので割り切って観るには最高です。

私が好きなマツケン演じていた加藤は、大阪篇から活躍します。東京のマンションの1室に登場する黒い球体も同じで、100点満点、つまり敵の大物を倒した場合のみ100点であり、それで3つの選択権を得る。つまりは、死んだ仲間を生き返らせるとか、強い最先端の武器を調達するとか、後は、現実の世界へ戻れるという。だから、原作漫画ファンや、実写版ファンじゃないと観ないですよね。

それでも今回は、加藤勝をリーダーに東京と大阪のガンツチームがタッグを組み、妖怪軍団に立ち向かうさまを描いているが、東京チームは弱小チームであり、大阪へ行っても妖怪やモンスターに太刀打ち出来ないで、ただ茫然と見ているだけ。

しかし、大阪チームの2人、室谷信雄 と

島木譲二が強いのなんのと。

それに岡八郎が、100点を7回も取っていて、強い武器というかガンダムスーツみたいなのを着て、それに最後はアイアンマンにと、強い敵に対してのアイテムを100点で常備していて、とてつもなく強いのだ。
加藤は初めて怪物や妖怪にオドオドしていたが、だんだんとコツを覚えてきて敵を退治していくのだ。大阪のガンツには、室谷信雄 (レイザーラモンRG)島木譲二(レイザーラモンHG)が、最先端のガンツ・バイクに乗ってやってくるし、武器も性能がいいのを持ってるしで、化け物退治にはもってこいですよね。

真っ赤な天狗とか、こいつもやられても自在に持ち直すモンスター。これは、隙を狙ってやっつけないと、それで加藤がモンスターの気を引いて話しかけている間に、女2人がレイザー砲で撃つという。

しかし、大阪の女、山咲杏が殺されてしまう。もし、生きて帰ったら、自分には3歳の息子がいるので、加藤のあゆむくんと4人で暮らそうと約束したのに。

最後に出てくるのが、背中に骨が12本ある骸骨筋肉モンスターが出て来て、こいつは、100点メニューのラスボスだ。とんでもなく強いし、岡八郎がガンダムスーツみたいなのを着て闘うのだ。

だが、退治しても直ぐに不死身らしく立ち上がる。岡八郎が諦めて帰るのだが、加藤が退治をしないとダメだと、頑張って戦うのだ。
ハゲ親父のぬらりひょんの登場が唐突に感じたのですが、こいつがラスボスか?・・・。最先端のゲームをしてるような、アトラクション型ムービーのようでもある。それでも、CG技術が実写と同じレベルで、黒のガンツ・スーツの質感や人間の肌など鮮明な映像であり、かなりの好感度でした。
加藤が100点を取り、大阪の女の山咲杏を再生することを選択して、あゆむくんのところへ帰ります。これは、やはり、続編が観てみたいですよね。

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彼岸島 デラックス ★★

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松本光司の人気コミックを基に、白石隼也、鈴木亮平らの共演で映像化したテレビドラマの劇場版。吸血鬼の伝説がある“彼岸島”を舞台に、島に兄を捜しに行く弟と仲間たちが化け物との壮絶な戦いを繰り広げる。ドラマ版より白石と鈴木、遠藤雄弥、阿部翔平らが続投、「師匠」の声を担当する石橋蓮司のほか桜井美南、森岡龍らが新キャストとして加わる。監督は『猫侍』シリーズなどの渡辺武。巨体の師匠の丸太さばきや怪物たちとの迫力満点のバトルが見どころ。

あらすじ:生還した者は皆無といわれる“彼岸島”。吸血鬼伝説が残るこの島で禁断の封印が解かれ、吸血鬼や邪鬼(おに)と呼ばれる巨大で異様な化け物が出現し、島民は危機的状況を迎えていた。そんな島に明(白石隼也)は、行方がわからなくなった兄の篤(鈴木亮平)を捜すために、仲間たちと向かう。明たちはレジスタンスと一緒に化け物とバトルを繰り広げ……。

<感想>漫画もTVドラマも観ていませんが、気になって鑑賞。しかし、「GANTZ:O」の後に鑑賞したので、妖怪や巨大な化け物がチンプ見えて仕方がなかった。タイトルがデラックスとなっているためか、たくさんの妖怪や巨大怪獣がわんさかと出て来るシーンが多すぎです。

そして、洞窟の旧日本軍の跡地、そこから、炭鉱へとトロッコで妖怪と対峙して逃げ惑うのが、まるで「インディジョーンズ」ばりの面白さに驚く。トロッコを追いかけてくる妖怪。巨大怪獣の中で、私的には、頭だけ純和風八の字眉の巨大な顔のおばさん、足いっぱいでムカデ型、真っ白い化け化粧したオバサン顔が付いている巨大ムカデが面白かった。

主人公の弟の明に白石隼也が、兄貴の篤には鈴木亮平が扮して、兄弟なのに兄貴が吸血鬼となってしまい、島に潜んでいた吸血鬼の親玉の雅(みやび)に、栗原類が扮して化粧をして女装しているようで、妖艶で美しかったです。

見どころはというと、日本特有の妖怪、クリーチャーのデザインにも、日本的要素をプラスしており、吸血鬼も帝国陸軍の人体実験経由になっており、衣装は大正ロマン風であります。

やはり妖怪や巨大モンスターと対決するシーンでは、日本製ヒーロー特撮風味が加わっており、主人公の明が「仮面ライダーウィザード」の白石隼也ということもあり、武器は刀でバッタバッタと斬り倒していき、あとは格闘技で見せるという。

それに、時代劇の農民をプラスして、農民たちの武器も和風に刀、槍、弓など。そして原作コミック通りの能面の師匠が丸太で勝負という、それらが渾然一体となって、ド派手なVFXアクション絵巻になっているのだ。

それにしても、次から次へと妖怪やら巨大モンスターが現れて、明が必死に刀で退治をして、村では弱いものが吸血鬼に噛まれてしまうという展開。だんだんと同じような展開なので、飽きてきて眠くなるのだ。
もう少し、物語にメリハリをつけて、巨大モンスターは一番最後に出すとかしないと、またかぁと、ダレてきますから。恐ろしくも、珍しくもなく笑える。

ただし、兄貴の鈴木亮平が吸血鬼となって変貌していき、弟の白石隼也と対峙する場面では、兄弟のどちらかが死ぬとなると悲しくなる。兄貴だって吸血鬼になりたくてなったわけじゃないのに。壮絶なる吸血鬼の兄貴を倒す明のリアクションが良かった。

ですが、親分の吸血鬼・雅の栗原類は美しく、CGとアクションを組み合わせた、本当に邪鬼がそこに存在しているようなリアルさというか、ワイヤーアクションで飛ぶ自由自在の不死鳥の如くに永遠なのだろう。

あり得ないのが、島の能面の師匠が丸太で勝負という場面では、丸太が最強の武器だとかたくなに信じて戦っているのに、丸太は折れちゃうし絶対に戦えない状態になるのがあり得ないと思った。
ラストが人間たちが吸血鬼や妖怪に囲まれているし、これじゃあ人間たちは全滅であり、明も吸血鬼の親玉、雅と戦って助からないとくる。残念ながら、実写版の続編に期待するしかない。

ちなみに、「彼岸島」とは、森と海しかない離島という設定であったが、話が進むに連れて炭鉱、樹海や砂丘など様々な地形・建造物が次々登場しており相当に広く変化に富んだ島になっている。元々彼岸島は海底火山で隆起して出来た火山島で、地熱により気温がほぼ変わらず、そのため彼岸花が一年を通して咲いている。因みに、寒気で大雪が降ることもある。そして島の周りは火山で出来た岩礁に囲まれており、港のある海域以外の船での出入りは困難である。

2016年劇場鑑賞作品・・・218映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

何者 ★★★

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人気作家・朝井リョウの第148回直木賞受賞作を「ボーイズ・オン・ザ・ラン」「愛の渦」の三浦大輔監督が、実力派若手俳優の豪華共演で映画化した青春ストーリー。SNSが大きな役割を果たす現代の就活事情を背景に、情報交換のために集まった5人の若者たちが互いに励まし合いながらも、過酷な就活競争の中で嫉妬や焦燥に振り回されていく悲痛で赤裸々な人間模様をリアルなタッチで描き出す。出演は佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生、山田孝之。

あらすじ:大学の演劇サークルに情熱を注ぎ、周囲を冷静に観察・分析する拓人。拓人のルームメイトで、バンド活動をしている天真爛漫な光太郎。その元カノで拓人が秘かに思いを寄せ続ける真面目女子の瑞月。瑞月の友人で、偶然にも拓人たちの部屋の上に住んでいた意識高い系女子の理香とその同棲相手で画一的な就活に否定的な隆良。彼らは、ひょんなことから理香の部屋を“就活対策本部”と名付け、情報交換のために定期的に集まるようになる。大学院生のサワ先輩に見守られ、それぞれに内定を勝ち取ろうと悪戦苦闘する5人だったが…。

<感想>「桐島、部活やめるってよ」の、朝井リョウの2013年直木賞受賞作を、三浦大輔監督が脚本・監督したもので、5人の大学生たちがシビアな就職活動を通して変化していくSNS世代の、大学生たちの心情と人間模様を描いた青春群像劇である。
主役級の若手俳優をずらりと揃えたキャストは、演劇サークルの脚本書きとして活動している拓人役に佐藤健が扮して、冷静な観察者として仲間の行動にツッコミを入れるのが何ともリアルであります。

これは拓人が、ツイッターやSNSを駆使して“本音と建て前の使い分け”にあり、別のアカウントを作り本音を言い、自分の中にいろんな自分を気軽に作り出せることに恐怖を感じるし、二階堂ふみに指摘され落ち込むところも。本当に思っていることならば、同じアカウントで言えばいいのにと思うのだが、そういう自分の悪いところを直視できないという弱さがある。本心では編集の仕事に就きたいと思っているので、出版社を多数受けているも全部不採用の通知が来るのにがっかり。

光太郎の元カノの瑞月に有村架純が扮しており、彼女が自分たちのアパートの上の階に住んでいることを知り、瑞月のことを好きな拓人は喜んで仲良くなってしまう。だが、瑞月はまだ光太郎のことが好きなのだ。ボランティア、OB、OGの訪問。様々な切り札を駆使しつつも就活はうまくいかないことが多々あるのだ。

その他に、二階堂ふみ演じる帰国子女で意識が高い系の女子の空回りっぷりとか、その恋人で同棲している岡田将生、彼は芸術家気取り屋で、内心の焦りを見せたくない空想クリエイターでもある。

その他に、菅田将暉のバンドのボーカルの光太郎に扮して、茶髪から黒髪に短く変身して就活を始める清々しさもいい。それに大学院生のサワ先輩の山田孝之。

彼らはそれぞれにSNSに想いや悩みを綴るも、そこに書かれているのは果たして現実なのか、本音なのか。そこで初めて他人の生活を見られるようになり、他人が自分よりも幸せそうだったり、充実していることに対して嫉妬したり、

初めは若さゆえか、同じ部屋で仲良く就活の話をするようなそぶりも見せるが、だんだんと一人づつ内定が決まり焦っていく自分は孤独を覚える。
だからなのか、お互い腹の探り合いをしているかのような、嫉妬や嫌悪感が露わになっていく。それは、若さゆえの痛さであり、現代的でありながらも普遍的な人間の感情が描かれているようです。
私は、1番希望の大企業の内定が決まったのに、父親の反対を受けて断念して仕方なく2番手の商社に就職した。だが、やっぱり自分には向いてないと辞めてしまった。それからが大変だったことは、今にして思えばいい経験であったと思う。まぁ、その当時では、女子は最終就職は結婚ということで、付き合っていた彼と結婚してしまったのだから。

2016年劇場鑑賞作品・・・219映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

淵に立つ ★★★

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『ほとりの朔子』などの深田晃司監督と、『私の男』などの浅野忠信がタッグを組んだ衝撃のヒューマンドラマ。ごく平凡な夫婦の前に突然ある男が現れたことにより、平穏だった日常に不協和音が響き始める様子を描き出す。『かぐらめ』などの筒井真理子と『下衆の愛』などの古舘寛治が夫婦を熱演。不可解で深淵なテーマに切り込んだストーリーに心揺さぶられる。
あらすじ:鈴岡家は郊外で小さな金属加工工場を営み、夫の利雄(古舘寛治)と妻の章江(筒井真理子)、10歳の娘・蛍(篠川桃音)は穏やかに暮らしていた。ある日、利雄の古い知り合いで、最近出所したばかりの草太郎(浅野忠信)がやってくる。利雄は妻に何の相談もなく彼に職を与え、自宅の空室を提供する。

<感想>静かに暮らすどこにでもいるような夫婦。そこへある日ふらりと、謎めいた男が一家を訪れる。主人の旧友である男は、殺人を犯して刑務所から出てきたばかり。何故に夫のところへ尋ねて来たのか、妻は訳が分からないまま日にちが過ぎてゆく。

それでも、八坂は真っ白いワイシャツを着て、作業衣も真っ白で家業を手伝い、彼の無口で清潔な性格が妻の章江には好感が持てた。それに、娘の蛍に懐いてオルガンを教えるところも、章江には好印象を与える。
八坂が刑務所に入った理由は、殺人罪だが夫も共犯だったということを知らされ唖然とする妻。それでも、娘のオルガンの発表会のために、真っ赤なドレスを自分で裁縫して夜なべをして作った。それを嬉しそうに八坂に見せにいく妻の章江。

そして、みんなで川遊びに出掛けるのだが、そこでも夫と娘が昼寝をしている間に、抜け出して隠れてキスをする2人。まるで恋人みたいに。周りには真っ赤な花が咲いていた。帰ってから、4人で川の字になり寝そべって写真を撮るのだが、これもまるで家族のように映る。

一緒に寝起きして、朝ごはんを食べ夕ご飯を食べる同じ家の中で、自然と家族に溶け込んでいく八坂。しかし、だんだんと判ってくる八坂の本性というか、女の隙を狙って唇を奪い、体をも奪って来る。妻にしてみれば、夫婦生活が無いも同然だったに違いない仲で、夫の友人という男らしい八坂に好意を持ち始めていただけに、つい魔がさしたようでもある。
後半からは、オルガンの発表会に来ていく真っ赤なドレスを、近所の友達に見せびらかしにいくと出ていく娘。そして、夫もたばこを買いに出かけた後、八坂は真っ赤なTシャツを着て、台所にいる妻の章江を襲う。まるで野獣のように。寸でのところで、章江が八坂を押し倒して拒絶する。八坂が家を出ていくのだが、娘の蛍が帰ってこない。夫に近所まで探しに行かせると、公園で娘が頭を打ち倒れていた。それを境に八坂も姿を消すのだ。

その8年後は、興信所を使って八坂を探すも見つからず、知り合いのツテで若い山上孝司という男が、金属加工工場を手伝う。その孝司が、18歳になり全身麻痺となった娘の蛍に興味を持つ。

その若い山上孝司の素性を知り、あの八坂の息子だったとは。夫と友達の八坂が犯した昔の罪が、八坂だけが一人で罪を被って刑務所へ入り、夫は家業を継いで結婚もして、子供までもうけて幸せに暮らしていることに、八坂は腹が立ったらしいいのだ。
しかし、この映画の中でも真っ赤な色が人間の欲情を表していて、八坂の来ている真っ赤なTシャツに川遊びでの真っ赤な花。それに、仕返しのつもりなのか、幸せな家族に水を刺すように、真っ赤なドレスを着た娘に悪戯でもしたかのようにもとれる。最後の妻と娘が川に飛び込むシーンでも、八坂が真っ赤なTシャツを着て立っていた。
因果応報、ここでも昔の自分の罪が、後で返ってくるということなのか。だが、自分だけなら仕方がないのかもしれないが、二人の子供にも罰のように返ってくるのはどうかと思う。妻の章江も夫に対しての腹いせなのか、女としての欲情なのか知らないが、ラストが余りにも悲惨で子供たちが可愛そうである。

妻の章江役の筒井真理子さん、前半部分と後半では長い髪を切り、撮影の3週間で13キロ体重を増減してぽっちゃり姿で登場している。それに、18歳になった娘の蛍を演じた篠川桃音さんは、難しい障がい者の役を演じて良かったです。もちろん、八坂草太郎の浅野忠信さんは、インパクトのある冒頓として男から野獣のような男に変わる演技も。
それでも、全編を通して夫の利雄役を演じた古舘寛治さんの、無口で卑怯な男を演じて何事も反省してないような。タイトルの「淵に立つ」というのは、もしかして妻と娘ではなく、夫だったのではなかったのか。ラストの出来事に、一番に自分が死ななければならなかったはずなのに、家族が壊れてしまい、八坂の息子までもが巻き添えをくってしまったような感じに、観ていて苛立ちを覚えてしまいました。

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HiGH&LOW THE RED RAIN ★★★

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EXILE TRIBE による、ドラマやライブなどをメディアミックスプロジェクトとして仕掛ける企画の映画第2弾となるアクション。他を圧倒する強大な力で街を支配していた「ムゲン」と互角に渡り合った雨宮兄弟と、彼らの兄の謎を描く。雨宮3兄弟を演じるのは斎藤工、TAKAHIRO、登坂広臣。監督は『極道兵器』『珍遊記』などの山口雄大。彼らの固い絆と、ド迫力のアクションシーンが見どころ。
あらすじ:かつてSWORD地区を支配していたチーム「ムゲン」にも劣らない強さを誇った雨宮兄弟。その雅貴(TAKAHIRO)と広斗(登坂広臣)は、1年前に行方知れずになった兄の尊龍(斎藤工)を捜していた。両親の命日に、尊龍の行方を知っているという人物が現れる。尊龍失踪の背後にはある目的を遂行しようとする人間たちがいて、さらに3兄弟の過去に隠された秘密も関係していた。

<感想>青春群像劇として多数のグループが入れ乱れていた前作の映画までの流れとは一線を画し、今回の「THE RED RAIN」と、雨宮三兄弟が主役の映画となっていますが、謎に包まれていた雨宮兄弟の背景を主人公として掘り下げていく映画でもあります。

その真ん中に立っているのがTAKAHIRO扮する雅貴であり、ぶっきらぼうの弟、登坂広臣扮する広斗や弱いものを守るために、我を忘れて本気で闘う男として魅力がダイレクトに投影されている。登坂広臣扮する広斗は、父親の再婚相手が連れてきた少年であり、初めは長男の尊龍と雅貴に懐かずに独りぼっちで行動していたが、両親が首つり自殺をしてから3人は力を合わせて生きてきた。

「THE MOVIE」では、女性から見て少年ぽい可愛さが感じられるも、そういう雅貴の愛すべきキャラクター性が抜群に発揮されているシーンでは、無名街での女性をかっこよく助けた後、バイクがレッカーされてしまうシーンなど、特に面白かったです。

今回は、特に長男、雨宮尊龍(タケル)に斎藤工を迎え、最強の三兄弟が実現して、斎藤工は先輩俳優として、立ち居振る舞いだったりとか、スイッチが入ると目の色を変えて役に徹するところなど、長男としての演技の幅を見せてくれました。フィリッピンロケでの撮影の中、高速道路を貸し切ってのバイクチェイスが凄かった。これは日本では撮るのとはまったく違う画が撮れていると思う。

タイトルの通りに、「THE RED RAIN」の中では、TAKAHIROの雅貴は雨のなかずぶ濡れで立ちすくみ、登坂広臣(三代目J Soul Brothers)の広斗と長男の斎藤工の尊龍は、女性をきつく抱きしめており、3人の切なげな表情から熱演ぶりが伝わってきます。

幼い頃に両親を亡くした三兄弟の絆は固く、尊龍は弟たちに「拳は、大事なもんを守るために使え」と言い聞かせていた。

しかし一年前、尊龍はふたりの前から突如姿を消してしまう。実は、両親の死に不信感を持ち、地上げ屋と何か関係があると睨んだ尊龍は、九龍グループに潜入しており、白いスーツのヤクザ九龍グループの上園、演じているのが石黒賢であり昔よりかなり貫禄が付いている。

それから弟たちは兄の行方を探し続けていた。 ふたたび巡ってきた両親の命日。尊龍が現れることを期待して、雅貴と広斗は家族の墓を訪れるのだが、そこに現れたのは兄の行方の手がかりを持つ謎の少女・成瀬愛華(吉本実憂)だった。

彼女は、九龍グループの弁護士をしていた父親の娘であり、上園会の秘密情報が入ったUSBを持っていることから上園に殺されて、長男の尊龍に助けられたのだ。

カジノの建設予定地をSWORD地区に定め、上園会と秘密裏に手を結びカジノ推進法案を可決するため画策をはかる男、政治家の篠原には長谷川初範が。カジノ計画を阻む有力者のリストを上園に渡す。それが彼女が持っていたUSBに入っていたのだ。

雨宮三兄弟は、上園会の運び屋の仕事をしていたが、上園会と秘密裏に進めているカジノ計画実現の為、尊龍が上園会へと潜入開始する。両親の敵討ちのために、3兄弟が力を合わせて復讐を誓うのだ。
結局は、上園に潜入捜査のことがバレてしまい、長男の尊龍が銃撃されて死亡してしまう。それを見届けた2人は、両親の復讐とばかりに上園を倒すべく乗り込むのだが、・・・。USBは上園の手に渡るも、ファイルを開けると自然に削除されていくという。それを見て、九龍の妻が「とっとと、ガキ束ねて来んかい」と啖呵を切る女に、飯島直子がちょこっと演じていた。九龍の親分黒崎には、岩城滉一が着流し姿で凄みがあります。

USBをPCで開くのに、岩ちゃんの組織で凄腕ハッカーの女がいるというので解読させるのに、ちょこっと岩ちゃんが出てきます。
そしてラストは、生き残った雅貴と広斗がアイスを食べながら、ソーダ味とグレープ味を仲良く交換をしながら舐めあい、USBは一番信用のおける人に頼んだ、・・・と言うことで、琥珀(AKIRA)の登場となる。ということは、続編ありですね。

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永い言い訳 ★★★・5

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「ディア・ドクター」「夢売るふたり」の西川美和監督が、直木賞候補ともなった自身の同名ベストセラーを映画化したヒューマン・ドラマ。妻が不慮の事故で亡くなったにもかかわらず悲しむことができなかった主人公が、同じく事故で妻を亡くした男性とその子どもたちと出会い、彼らとの思いがけない交流を通じて改めて妻への愛と向き合い、人生を見つめ直していくまでの揺れる心の軌跡を、ユーモアをちりばめつつ、切なくも温かなタッチで綴る。主演は「おくりびと」の本木雅弘、共演にミュージシャンの竹原ピストル。
あらすじ:人気小説家の津村啓こと衣笠幸夫(本木雅弘)の妻で美容院を経営している夏子(深津絵里)は、バスの事故によりこの世を去ってしまう。しかし夫婦には愛情はなく、幸夫は悲しむことができない。そんなある日、幸夫は夏子の親友で旅行中の事故で共に命を落としたゆき(堀内敬子)の夫・大宮陽一(竹原ピストル)に会う。その後幸夫は、大宮の家に通い、幼い子供たちの面倒を見ることになる。

<感想>西川美和監督の最初に観た「ゆれる」(06)は衝撃的でした。次の「「夢売るふたり」(12)「ディア・ドクター」はそれなりにと、本作ではこいう男は本当にいると思うわけで、何だか身近に感じて観てしまった。主人公の衣笠幸夫に本木雅弘が演じていて、彼の「おくりびと」は厳かで秀悦でした。それに、宮沢りえとのお茶のCMもいい。最近では「日本のいちばん長い日」での昭和天皇・現人神の役である。そういえば、是枝監督の「

今回、そんな本木雅弘が演じるのが、どこにでもいる普通の男で夫である。タイトルからして「永い言い訳」であり、しかも長いではなく“永遠の永い”も、主人公の幸夫の人生そのものを示しているのだ。それに幸夫はどの男でも持っているような自意識過剰、当惑、混乱、自虐、と人間の危うさが満載だし、さらには、結果としてこの主人公は自力では変わっていけずに、周囲の人間たちの関わりによって、わずかに差した光のようなものに気づかされていくという、その辺の情けないリアル感が中々到達しない感じも、そんな自分の素に近い人間を演じる本木雅弘の本人と被って見えた。

冷たい言い方をすれば、男の人って、夫婦生活が長すぎると妻に対して愛情とかは持っていないらしく、この映画の夫みたいな人が多いからだと思う。この映画の中での幸夫は、妻が美容院を経営しているせいか、生活面でもおんぶに抱っこで、髪結いの亭主気取りである。だから、妻が友達と旅行へ行くのにも、それをいいことに、愛人を家に入れて情事にふけるのだ。その愛人のこともすでに妻はお見通しなのに。
だからなのか、妻が亡くなり葬式にも涙することなくあっさりとした感じがする。死んだ妻にいくらか未練はあったのだろうか、二人だけの懐かしい思い出に耽るシーンはない。だから、本木雅弘が演技とはいえ、十分にいけ好かない嫌な男を演じていた。

子供のいない幸夫は、事故で亡くなった妻の友人夫婦の2人の子供の世話を引き受けることになるのだが、それが実に面倒見のいいお父さんになっていた。本当だったら、夏子との間に1人ぐらい子供がいても良かったのに。きっと幸夫にとっては、妻の夏子に対する贖罪だったに違いない。

本当に一生懸命に子供たちの世話をする幸夫には感心させられました。幼い娘の灯にしても、エビ・カニアレルギーということも知らない。普通ならファミレスでいいのに、自分がいつも言っているお高い、フレンチ・レストランに大宮家族を連れて行き、娘がアレルギー症状を起こして大変なことになる。

2人の子供たちの世話を買って出る幸夫は、今までにない生活と一変してか、頑張るのだ。それに、息子の勉強のことも、塾通いを止めるように父親から言われてしょんぼりしていると、幸夫が「俺が応援するから高校だって、大学だって行け」と息子と父親に言う。これは、自分よがりで、よく他人の家庭環境も考えていないのだ。確かに、息子は父親の職業をバカにしていて、自分は高校にも大学にも行きたいのだから。

しかし、このことは自分の家の家族のことではないし、父親がトラックの運転手という職業なので、夜勤もあり金銭面でも無理ということも。この家族にあまり深入りしない方がいいと思った。ですが、幸夫は誰かに必要とされる喜びを知り、至極ご満悦に浸っているふうもあるのだ。
ですが、案の定、初めは子供たちも喜んで幸夫を迎え入れた。それが、だんだんと親切なオジサンから、当たり前のような慣れになってくるのだ。家の掃除に洗濯に買い物と炊事。自転車で娘を保育園へ連れて行き、息子も塾通いにバスで行き、帰りはバス停まで迎えに行く幸夫。

しかし、良いこともある。みんなで海水浴へ行った時、こういう行事なんて無かった幸夫には、物凄く幸せな気分になり、優越感に浸るのだが、子供は正直で父親のところへと抱き着いて行くのだ。幸夫と夏子は2人で海水浴なんて行ったことがない。その浜辺に妻の夏子が子供たちと立っている幻覚を見る幸夫。

それに、いつまでも2人の子供の面倒だって見れるわけではない。それが、娘の保育園の関係で、吃音の女性(山田真歩)が大宮に好意を持ち、家まで来てこれからは灯ちゃんを家で面倒を見ると言い出す。それに対して、「今までしてきた俺の立場は」とか、嫉妬なのか喧嘩をしてそれっきり大宮の家には行っていない。

大宮だって、亡くなった妻の”留守電”を大事そうに寂しくなると聞き直すのだ。愛していた妻を忘れるわけにはいかない。だからすぐに結果を出すわけでもなく、そのまま2人の子供を抱えてトラックの運転手を続けるわけで、息子は塾に行くどころか、妹の世話と家の洗濯、炊事と小学生なのに大変なことになっていた。それに、父親が交通事故を起こして入院ということに。これをきっかけに、幸夫は大急ぎ駆けつけて、前みたいに家族の世話に大忙しである。
最後には、悪いことばかりではなかった。この映画のタイトルの「永い言い訳」という小説を書き文学賞を受賞するのだ。妻に対しての長い言い訳を書いた小説のようだ。大宮家の家族と共に、幸夫も成長して、妻が残した携帯のメッセージ「もう愛してない ひとかけらも」の文字に、何故か涙が込み上げてくる私だったのだが。

編集担当者岸本には、最近良く出ている池松壮亮の「奥さん亡くなってから、ちゃんと泣きましたか?」と言われて、お前に何が分かると憤慨する幸夫。
妻の深津絵里さんは、冒頭の短いシーンだけでしたが、幸夫の浮気も十分に知っていて許していた。それに甘えていた幸夫。さすがに演技の巧い女優さんだと感心させられました。愛人の黒木華さんもベッドシーンが異様にエロかったし。この大宮家の家族と暮らして、幸夫が妻にしたことへの償いをして成長したようにも取れた。

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お父さんと伊藤さん ★★★

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心のおもむくままに過ごす30代の女性と20歳上の恋人、彼女の父親の共同生活を、上野樹里、リリー・フランキー、藤竜也らの共演でユーモラスに描くドラマ。書店でアルバイトをする女性と給食センターでアルバイトをする男性が暮らすボロアパートに、息子の家から追いやられた父親が転がり込み、三人で生活する姿を映す。第8回小説現代長編新人賞を受賞した中澤日菜子の小説を基に、『百万円と苦虫女』『四十九日のレシピ』などのタナダユキが監督を務める。絶妙な掛け合いを繰り広げる、個性的な役者陣の演技が見どころ。
あらすじ:書店でアルバイトをしている34歳の彩(上野樹里)は、給食センターでアルバイトをする20歳上のバツイチ男・伊藤さん(リリー・フランキー)と交際中。ある日、彼らが一緒に住むアパートを、息子の家を追われてしまった彩の父(藤竜也)が訪れる。父親は伊藤さんの存在に驚きながらも、「この家に住む」と言い……。

<感想>とってもホンワカとした気持にさせる物語でした。私の父は60代で胃癌でなくなってしまったので、こういう父親を引き取って暮らすことなんてなかったので、もしこういう生活があったとしたらと、考えてしまいました。それに、一緒に暮らしているのが20歳も年上のバツイチの伊藤さんという、少しオジサンが入っている男。20歳も年上の男の人に惹かれるのは、彼女にファザコンがあるのかもしれないと思った。

ですが、この作品の彼女は34歳で結婚も考える年頃なのに、何となく一緒に暮らすようになり、喧嘩もしないで毎日がのほほんと過ごせるし、飄々とした人柄だから。過去にどんな暮らしをしてきたのかよく分からない謎めいたところがあるが、およそギラついたところがないのがいい。仕事は小学校の「給食のおじさん」だと自分でいう。

というのも、20歳も年上の男だと、生活のノウハウも知っていて、女の好みにも合わせて、朝飯を作って先に仕事へ行くし、洗濯、掃除とか何でもするし、それに彼女の神経にさわることなんて言わないし、嫌いになるようなこともしない。
何しろ、小さな庭で野菜つくりをするのが趣味。花ではなくて、ナスやきゅうりにトマトを作っているのが面白い。リリー・フランキーさんがこの伊藤さんをゆったりと演じていて、映画全体に温かみを与えてるのがいい。

そこへ、兄のところへいた父親がやって来て一緒に暮らすことになるのだが、どうも兄嫁とうまくゆかなくなり転がり込んできたのだ。父親には藤竜也さんが扮しており、小学校の教師をしていたらしく、口やかましく何かと細かく注意をするのがたまにキズである。年寄りだから、晩飯のおかずがトンカツという、脂っこいものは苦手なのだが、それでも出された中濃ソースに文句をつけて、トンカツには“ウースターソース”だと妙なところにこだわる。それに、柿を食べようとすると、柿なんてものは、買ってくるのもじゃない。近所の柿の木から取って食べるもんだと言うのだ。
本屋のバイトをしている娘に、「正社員じゃないのかな、再就職しようとおもわないのかな」と小うるさく言うし、ビールをよく飲む娘に「みっともないんじゃないかな」とか、余りキツク言う言葉には聞こえないのだが。それでも娘には鬱陶しい存在なのだ。

このお父さんが、実は万引きの常習犯で警察のやっかにになる。引き取りに行くも、お兄さんは知っていたらしく、そのことをどうして妹に言わなかったのだろう。家に居候する時に小さな段ボールを大事そうに抱えてきた。その中には何が入っているのだろう。「きっとお母さんからのラブレターだよ」「いや、貯金通帳か金目のものかもしれない」なんて兄妹で詮索する。

その段ボールの中身を知る時がくるのだが、それは父親が万引きをして警察に捕まり、その後に娘の家にいずらくなり家出をしてしまう。何処へいったのかと、伊藤さんが知人に頼んで調べてもらうと、父親の実家へ帰っていたのだ。父親にしてみれば、子供たちに疎んじられて行くべきところは、実家なのだ。そこは兄貴が亡くなり空き家になっていた。

子供のころによく父親に連れられて、遊びにきた思い出のある田舎の古い家。庭の真ん中に大きな柿の木があった。懐かしい古びた我が家で、余生を暮らしたいと思ったのだろうが、老人一人をここに置いておくわけにはいかない。兄妹で相談しても、どちらが引き取って面倒を見るかと迷ってしまう二人。
次の日は、ゲリラ豪雨で大荒れの天気、庭の柿の木にカミナリが落ちて燃えてしまう。それに燃えた木の枝が折れて、古い民家まで飛び火してしまい、お父さんの実家は丸焼けになってしまった。
その時に、父親が大事な段ボール箱を探しているのを見つけるも、箱が破れて中から大量の“ティースプーン”が飛び出すのだ。何故に大事にしまって置いて、これが、万引きをしたスプーンだとは思いもよらなかった。

そうこうするうちに、父親は自分で有料の老人ホームを見つけて来て、退職金と田舎の家を売った金で老人ホームへ入ることを決めてきたと言うのだ。子供たちに残す金を、全部老人ホームへ入る資金にしてしまったことを詫びる父親。まさに、これからの老人たちは子供の世話にならずに、自分で終の棲家を探すことなのだ。
元気なうちに、ボケないうちに、自分の最後の住処を見つけるということは、何か自分にも当てはまるような、そんな気もしないではない。考えさせられる思いであった。

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スター・トレック BEYOND ★★★・5

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往年の大ヒット・ドラマ・シリーズを「M:i:III」「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」のJ・J・エイブラムス監督がリブートしたSFアドベンチャー大作のシリーズ第3弾。深宇宙へ向けて航行を続けていたエンタープライズ号が惑星連邦を否定する新たな敵と遭遇、連邦の理念を守るべく過酷な戦いに身を投じるカークたちクルーの運命を描く。出演はクリス・パイン、ザカリー・クイント、ゾーイ・サルダナらレギュラー・メンバーに加え、新たにイドリス・エルバ、ソフィア・ブテラが参加。監督は前2作のJ・J・エイブラムスに代わり、「ワイルド・スピード EURO MISSION」のジャスティン・リンが務める。また本作は、長年スポック役としてファンに愛され、2015年に惜しまれつつこの世を去ったレナード・ニモイと、本作にもチェコフ役で出演し、全米公開直前に事故で急死したアントン・イェルチンの2人に捧げられている。
あらすじ:5年におよぶ宇宙探査へと旅立ったエンタープライズ号。それから3年あまりが経ち、ジェームス・T・カークの中には艦長という役目に対する迷いが生じていた。一方、副艦長のスポックもまた別の理由から迷いを抱えていた。そんな中、宇宙基地ヨークタウンに寄航したエンタープライズ号一行は、そこで未知の宇宙船に乗る女性から仲間の救助を求めるメッセージを受け取り、すぐさま救出へと向かう。しかしそれは巧妙な罠で、エンタープライズ号はクラールという異星人からの襲撃を受け不時着を余儀なくされ、クルーたちもバラバラになってしまうのだったが…。

<感想>第1作目、J・J・エイブラムスの「スター・トレック」、第2作目「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(13)に続く第3作目では、J・J・エイブラムス監督からバトンを受け取った「ワイルド・スピード EURO MISSION」のジャスティン・リンが、得意のテンポのいいアクション&ユーモアで新たな「スター・トレック」を見せてくれる。スコッティ役のサイモン・ペックが脚本も兼務し、スポック&マッコイのやり取りなどコミカルな面も強化している。

人生のターニング・ポイントを迎えたクルーたちが、救助の要請を受け未知の惑星に向かう途中でいきなり敵の猛襲に遭い、エンタープライズ号は大破し墜落。不時着した船内に最後まで残ったカークとチェコフは、脱出ポットで船を離れ連絡の取れないクルー救助に動き出す。だが深く考えずに行動するカークと彼に振り回されるチェコフは、ジェイラの罠にかかり動けなくなってしまう。

ジェームズ・T・カークにはクリス・パインが、彼は船長の後任にスポックに託すつもりでいた。母星を失ったスポックは、ウフーラとの関係を続けるべきか悩んでいる。チェコフにはアントン・イェルチンが、惜しまれるのは今回事故で急逝してしまったことだが、遺作となった本作が、彼が今までになく活躍することが、ファンにとってはせめてもの慰めになってくれることでしょう。

不時着したマッコイが観たものは、腹部に大けがを負ったスポックの姿。自分を置いていくべきと主張するスポックに、仲間を見捨てられないというマッコイ。「このトンガリ耳」と悪態をつきながらも友を助け、追ってから逃れる。治療の道具はなく、命の危険が迫るスポックを救うために一刻も早く仲間と再会したいマッコイなのだが。マッコイにはカール・アーバンが、感情に走りがちな船医。口喧嘩が絶えない。スポックには、ザッカリー・クイント。バルカン人と地球人のハーフで論理的な思考を是とし、融通がきかない。しかし、スポックは仲間を守るために、ケガを押して敵に立ち向かう。エンタープライズ号の船内に襲撃を手引きする者がいた。ヨークタウンに敵の戦闘機軍が現れる。

脱出ポットを出るなり敵に襲われたスコッティを助けたのは、100年前にこの惑星に墜落した連邦の宇宙船、U・S・S・フランクリン号に隠れ住んでいるジェイラだった。最初は話が噛みあわなかったが、互いが技術者だと判ると意気投合し、2人で壊れたフランクリン号の転送装置を修理して、囚われたクルーの救出に挑む。スコットには、サイモン・ペッグが、陽気な機関主任で、無茶な要求ばかりするカークにいつも文句を言いながらも、完璧にこなす。ジェイラには、ソフィア・ブテラが。宇宙行きを夢見る墜落した星の女性。トリッキーなワナを作るのが得意で、分身術も駆使する。

墜落した星で、スールーやウフーラなど大半のクルーは、エンタープライズ号を襲った敵に拉致されていた。敵のリーダーのクラール(イドリス・エルバ)は、カークが持つ古代の武器を狙っていたのだ。ウフーラたちは、クラールが強大な力を秘めたその武器を使い惑星連邦への復讐と、ヨークタウンへの攻撃を企んでいることを知る。ウフーラには、ゾーイ・ソルダナが、常に冷静沈着な通信士官で、さまざまな惑星言語に堪能。スポックとの恋は曲がり角に?。スールーにはジョン・チュウが、確かな腕を持つ勇敢な主任パイロットであり、基地惑星のヨークタウンに、最愛の一人娘がいる。

クルー救出のためにカークは、フランクリン号にあったヴィンテージのバイクで派手に暴れて敵の気を引き、その間にクルーを転送させる作戦を決行。スピーディなバイクアクションとタイム・リミットのスリル感が融合した名シーンになっていた。

宇宙空間で無数の敵機の攻撃によりワープ推進部が2つとも破壊され、ついには円盤部だけとなり、見知らぬ星に墜落。劇場版ではしばしば災難に遭うエアンタープライズ号だが、中でも今回は最大規模に破壊されてしまい修復不可能になる。墜落までの銃撃戦では、外壁が壊れ人間が宇宙に吸いだされるまでを1カットで活写。墜落後は斜めになった船内で、古代武器をめぐるカークらと敵のチェイス・バトルが繰り広げられる。

小型戦闘機同士のバトルでは、前2作になかったもので、決戦の地ヨークタウンで負傷中のスポックに付き合わされて敵戦闘機を操縦するはめになるのがマッコイだ。笑いも交えたアクションシーンにも高感触です。
もちろん大掛かりなアクションシーンもたくさんあるし、デザインもスケールアップしているけれど、元々のTVシリーズ(宇宙大作戦)の面白さはこれだったのかと、想い出させられて個人的には嬉しかった。お馴染みのキャラクターたちが魅力を発揮して、ユーモアが全編に漲っているのも最高。

それに、ろくな兵器もなし(ラジオから大音量で流す古いハードロックとか)で、宇宙に於いても空手ふうの武術格闘技とか、バイクアクションでケリを付けるとか、敵の大編隊に立ち向かうところのアイデアは面白かったです。
それに、元新体操フランス代表で「キングスマン」では、義足の殺し屋に扮したソフィア・ブテラが、仇敵との肉弾戦でハイキックなど、しなやかな動きを披露してくれる。

クライマックスでは、無重力状態でカークと敵のクラールが一対一でガチの殴り合いをするシーンもあります。それにしても、ヨークタウンの美しいこと、透明なガラスの球体の中に、ビル群が立ち並びそれは見事なCGでした。これまでのスタトレと比べると、・・・みたいなことをウダウダ考える暇など与えぬ、猛スピード感がゲーム感覚のようにも取れる。


2016年劇場鑑賞作品・・・224映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

ジェーン ★★★

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『ブラック・スワン』や『マイティ・ソー』シリーズなどのナタリー・ポートマンが、製作と主演を務めたウエスタン。ニューメキシコを舞台に、夫を傷つけた悪漢に戦いを挑む女性とその手助けをする元恋人の姿を描く。メガホンを取るのは、『ウォーリアー』などのギャヴィン・オコナー。『スター・ウォーズ』シリーズなどのユアン・マクレガー、『ウォーリアー』にも出演したジョエル・エドガートンらが共演している。ナタリーが見せるガンアクションに注目。
あらすじ:ニューメキシコで夫のハム(ノア・エメリッヒ)と娘の三人で平穏な日々を過ごしていたジェーン(ナタリー・ポートマン)だったが、ハムが悪名をとどろかせているビショップ一家を率いるジョン・ビショップ(ユアン・マクレガー)に撃たれてしまう。重傷を負って苦しむ夫と娘を守る決意をしたジェーンは、以前付き合っていた南北戦争の英雄でもあるダン(ジョエル・エドガートン)に助けを請う。久々の対面を果たしたのを機に過去を思い返す二人。そして、ビショップ一家との対決が近づいていた。

<感想>久しぶりのナタリー・ポートマン主演の作品、それも汚れ役ときてる。彼女にはとてもハマリ役だと思う。「I’ll be back」と言い、必ず君のもとに帰ってくるから待っていて。映画や小説の中でこの手のセリフを男が女に置いて去る時には、悪い予感がするものだ。十中八九、男は戻ってこないから。たったこの一言で“待つ女”をセッティングできることは確かである。待たされるのは女だけではなく、観客も同様であります。期待と不安を詰め込まれた観客は、たちまち女となり替わり、先延ばしされた約束を待つことに付き合わされるのだ。

その結果が苦いものであれ、甘いものであれ「I’ll be back」の効果は物語を躍動させるほどに劇的になっている。戦前のジェーンは恋人のダンが南北戦争に徴兵されたために、“待つ女”になってしまう。それにダンの子供を妊娠していたのだから。
まさにこれが「ジェーン」という長いドラマの起点となる。今度は夫のハムにジェーンが、「I’ll be back」と言って家を出て行く。“待つ女”から“待たせる女”へと立場を逆転させるのだ。ところがジェーンは、わりとあっさりと帰ってくる。

ダンの「I’ll be back」に比べれば、ジェーンのそれはさりげなく、身構えた観客に対して呆気ないほど。その後も、夫のサムは戻って来なくていい、自分を見殺しにして逃げろと言うも、瀕死の夫のもとにジェーンは意地でも残るのだ。
つまり、ジェーンは自分が待たされたようには、男を待たせることをしないと決めた女なのだ。

女性が自立する物語ですが、単なる男女の反転ではない。戦時にあたって銃後の守りについた彼女が、戦後になって銃を手に取り武装する。あらたに彼女が何を戦い始めたかと言えば、夫と子供を守ること。ジェーンは家族が一番に大事なのだ。

生活保守の武装自衛戦が始まるわけだが、敵は戦中戦後の混乱を利用して女たちを半ば誘拐する形で売春街の経営に乗り出した反社会的勢力である。しだいに観客に明らかにされるように、ジェーンはその売春宿で働かされた上に決定的な喪失感をもたらされた過去を持つ。それはダンの娘を拉致されて殺されたということ。

だから、ジェーンの戦いは私的な動機に支えられているが、戦闘を開始するにあたりジェーンは拳銃の撃ち方を習うがどうにも酷い腕前であった。ところが拳銃を猟銃に持ち替えた途端、ジェーンは優秀なヒットマンに様変わりする。彼女曰く、生きるために獣を狩りしなければならない。夫や子供のために自分で獣を仕留めてきたから。
それは、床下の貯蔵庫の保存食で火炎瓶を作り、猟銃で敵をぶっ殺すのだ。どうして、恋人のダンを待っていなかったのかというと、戦時中の女は弱いものであり男に誘拐され、売春婦として働かされる。売春宿にいる時に、今のサムに見受けをしてもらい、現在の小屋に住んでいる。夫の仕事はどうやら賞金稼ぎのよう。そういう夫にも2000ドルの賞金が掛かっている。

敵は、その売春宿を経営していたビショップのユアン・マクレガーであり、昔の恋人ダンに金を払って助っ人を頼むも断られる。仕方なく、町へ行き大量の弾薬を購入。その時に運悪くビショップの子分に見つかり、絶体絶命のピンチに立たされる。その場を救ったのが、銃を手にしたダンである。

困っているジェーンを助けようと、家まで一緒に来て、襲撃に備えてビショップたちが現れるまで、家の庭にワナを仕掛けて、家の床下に夫のサムを隠して準備をする。
それから、2人は過去のことを語り初め、ビショップに拉致され売春宿で働かされていたことを。ハムに助け出されたことも。

夜になり、ついにビショップたちが襲ってきた。珍しく悪役のビショップを演じたユアン・マクレガー、顔が童顔なので髭ズラで決めているが、それでも私にはいい男にしか見えなかった。敵は10数人であり、家は蜂の素状態に穴が開き、夫も重体で今にも死にそうだ。それに、ジェーンも腹を撃たれており、最悪な状態に。それでも、敵を倒して、裏の崖まで馬で逃げようと頑張る2人。ダンには、「ブラック・スキャンダル」のジョエル・エドガートンが扮しており、最後まで諦めないというジェーンの心情が伝わってくる。

それは、友人に預けたハムとの娘と、ビショップに殺されたと思っていたダンの娘を連れ戻して一緒に暮らすことを。ラストでジェーンがビショップを追い詰めて殺すところ、命乞いするビショップがダンの娘がまだ生きているということを知らされる。それに、5000ドルの賞金がかかているビショップを、ジェーンが殺して金に換えるという、彼女が一流の賞金稼ぎになったと言うことも分かる。
ナタリー・ポートマンが、主演と共に自らの制作会社でプロデュースも担当しており、女優だけでなく製作者としても彼女が活発な活動を続けていることが分かる。

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