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貞子vs伽椰子 ★★

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世界でも評価の高いJホラーの2大キャラクター、『リング』シリーズの貞子と『呪怨』シリーズの伽椰子の対決を描くホラー。貞子と伽椰子、さらには『呪怨』シリーズの俊雄も絡み、恐怖のキャラクターたちによる衝突を活写する。主演は、『東京PRウーマン』などの山本美月。監督には『戦慄怪奇ファイル』シリーズや『ボクソール★ライドショー~恐怖の廃校脱出!~』などの白石晃士。Jホラー界を代表するキャラクターたちの対決の行く末に期待。
あらすじ:女子大生の有里(山本美月)は、あるビデオを再生する。それは、観た者に貞子から電話がかかってきて、2日後に死ぬという「呪いの動画」だった。一方、女子高生の鈴花(玉城ティナ)は引っ越し先の向かいにある「呪いの家」に入ってしまう。霊媒師の経蔵(安藤政信)は二つの呪いを解くために、呪いの動画の貞子と呪いの家に居る伽椰子を激突させようとするが……。

<感想>女子大生の2人がVHSのビデオ機を探しにリサイクル店にやってきて、古びたビデオデッキを買っていく。部屋で両親の結婚式のビデオを見ようとしたら、その古いデッキには汚らしい呪いのビデオが入っていたのだ。そこからが、見てはならぬ呪いのビデオを見てしまった女子大生の夏美。それから、呪いの電話が掛かってくるし、2日後には死んでしまうというのだ。
都市伝説を研究している大学教授の甲本雅裕は、もし本当に呪いのビデオがあったら高く買い取ると言っていたので相談すると、霊媒師を紹介して夏美の呪いを取払ってあげようというのだ。

しかし、貞子の呪いは強力であり、テレビの画面の中から這い出てくる貞子の気味悪さに驚くも、霊媒師もろとも、お付の2人の人間まで呪い殺してしまう。それに、大学教授の甲本雅裕までもが死んでしまうのだ。

それに、女子高生の鈴花(玉城ティナ)は、同級生からは、あの家には絶対に入ってはいけないと言われていたのに、引っ越し先の向かいにある「呪いの家」に引き寄せられて入ってしまう。猫の鳴き声とともにトシオが表れます。

そこには、近所の悪ガキと虐められている男の子の4人が入っていき、トシオに引きずられて殺されてしまう。そして、階段を四足で這いずって降りてくる伽椰子の気味悪さもひとしおですから。今回も真っ白塗の裸の男の子トシオが出てきて、ちっとも怖くありませんから。

そこへ登場する霊能界の異端児である経蔵が、盲目の少女・珠緒ちゃん(菊地麻衣)を連れてやってきて「化け物には化け物をぶっつけるんだよ」と言い張り、伽椰子の呪いの家に貞子のビデオデッキを持ち込み、その家で2人を対決させるというのだ。監督が呪いのビデオの映像を新しく作ったというが、廃墟のビルの中に、奥にドアがありそこから貞子が出てくるというものでした。

伽椰子の家には、庭に古井戸があり、そこへ夏美の代わりに友達の有里が井戸の中へ入って貞子と伽椰子を誘き出すという設定なんですね。度胸のある有里には感心させられる。

経蔵を演じているのは、安藤政信さんで黒ずくめでかっこいいです。ですが、やはり強力な貞子のパワーと伽椰子と一体化し、合体した化けもんには敵いません。真っ二つになる経蔵。貞子の姿が四つん這いになって

もうこれは、『フレディVSジェイソン』のようなもので、ですが日本版では、2つが合わさると物凄い化け物になり、これは目を覆いたくなるような代物で、やはり貞子の方が強いようで、伽椰子の目の中へ貞子の髪の毛が入っていく。怖いというよりも複雑な気分になりますから。クライマックスなのにテンションが上がらないお化け屋敷に入ったような気分ですよ。
良かったのがエンドロールで、聖飢魔Ⅱのデーモン閣下の歌に痺れました。最後まで見て下さい。貞子の姿が四つん這いになって出てくるおまけの映像がありますから。

2016年劇場鑑賞作品・・・123映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

ノック・ノック ★★

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『マトリックス』シリーズなどのキアヌ・リーヴス主演によるサスペンススリラー。家族の留守中に2人の美女を家に入れたことで、破滅への道を突き進んでいく男の姿を追う。監督は『ホステル』シリーズや『グリーン・インフェルノ』などの鬼才、イーライ・ロス。『アフターショック』などのロレンツァ・イッツォ、『サイレント・ウェイ』などのアナ・デ・アルマスが主人公を惑わす美女コンビ役で共演。あやしさとただならぬ緊張感が渦巻く展開や、モラルと欲望の間で苦悩する男の胸中を表現するキアヌの妙演にも注目。
あらすじ:家族を大事にし、幸せな日々を過ごしてきたエヴァン(キアヌ・リーヴス)。週末の夜、仕事の都合で妻子のいない家で留守番をしていると、ドアをノックする音が聞こえる。ドアを開けた彼の目に飛び込んだのは、雨に濡れたジェネシス(ロレンツァ・イッツォ)、ベル(アナ・デ・アルマス)という二人の美女。道に迷ってしまったという彼女たちを家に入れたエヴァンだが、そのなまめかしい魅力に惑わされていく。ついに誘惑に負けて快楽に浸るものの、突如として二人は凶暴な本性をあらわにする。

<感想>主人公のキアヌ・リーヴス、大好きというほどでもないが、前作の「ジョン・ウィック」がとても良かったのに、何をどう血迷ったのか酷く愚かな主人公を演じている。「メイク・アップ」のリメイクだというが、これはひどくグロテスクな喜劇映画でした。

スマートフォンで撮影したような決して人に見せてはいけないプライベートな映像、ましてや自分の子供や妻には絶対に見られたくない種類の性的なある動画がFacebookに投稿された。けれども力を振り絞り土の中からようやく手を伸ばしてそれを削除しようとするも、つい「いいね」をタッチしてしまう。これには笑ってしまう。

不条理劇として描かれ作品だが、男たるもの夜中にずぶぬれの若い女が2人、玄関のドアをノックする。妻と子供もいないのでつい優しさのあまり家の中へいれてしまう。服を乾かす間に、2人の女は客室乗務員で知り合いの家を探しているとウソをつく。そして、女2人は誘惑をするのだ。それが間違いのもとで、ただより高いものはなかった。無料ピザをゴチになった男から、すべてものを奪い取ってしまう。

これは女2人がしていることは、犯罪ではなく得体のしれない「行為」なのだ。それが刺激的なのは、その意味の絶望的無であり、建築家のエヴァンと美術家の妻、子供たちがいるきわめて幸せで美しい家を、「時計じかけのオレンジ」のアレックスたちのように破壊し、暴行するが、けれど犯罪ではない。そこには行為しか存在しない。

中年の男が2人の娘にいたぶられるという展開は、「メイク・アップ/狂気の3P」(77)のリメイクなのである。家の中をかき回し壁には落書きをし、奥さんの美術品には落書きをするし、ぶっ壊すし。
ですが行為だけが描かれることによって、その意味のなさが観る者を震撼とさせる。だからこれは喜劇なのだ。
確かに構造は不条理であるが、主人公のキアヌ・リーヴスはただ翻弄され滑稽な表情で被害者として存在させられている。いや、滑稽だけではなく、どこか恍惚とした表情でもある。

よくよく考えてみれば、元はDJをし、今は建築家として成功している主人公のエヴァンの設定がよく分からない。ここでDJとしての設定がどれだけ意味があるのか。ターンテーブルが2台ならぶ部屋で、女2人に暴行されるとき、激しく音楽が鳴り響き、女2人がわざとらしいほど大げさな演技でエヴァンを弄ぶのだが、そのための装飾としか見えないからだ。それに、キアヌのロン毛の髪型にも、2人は短くカットしてしまう。これは、妻もダサイと言って、切てしまえばと言っていた。

新たな道具仕立てにアナログ・レコードとかSNSを使っているが、あまり効果は上げていない。
そこへ美術家である妻のエージェントの男が2人の女に殺されるのも、茶番にしか見えない。どこまでもチープなのだ。
監督が『グリーン・インフェルノ』などの鬼才、イーライ・ロスなので、いつ、血がドバドバとか、内臓がはみ出ての画面が出てくるのかとハラハラして観てた。それでも、新妻のロレンツァ・イッツォにかなりエロイ狂女役を、演じさせ無茶ぶりを発揮しているのだ。だから、そんな感じで観ていると、拷問シーンの描写とかは、見る者に最上級のスリルとマゾヒスティックな喜びを与えてくれます。
監督はヒッチコックのスリラーっぽさを出したかったそうですが、残虐描写はほぼ皆無で、決してそのたぐいの映画ではありませんから。男性原理への女の復讐みたいな、浮気撲滅な映画になっていたとは。

2016年劇場鑑賞作品・・・124映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

トリプル9 裏切りのコード ★★★★

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「ザ・ロード」「欲望のバージニア」のジョン・ヒルコート監督がケイシー・アフレック、キウェテル・イジョフォー、ノーマン・リーダス、ウディ・ハレルソン、ケイト・ウィンスレットら実力派俳優陣をキャストに迎えて放つ群像クライム・アクション。ロシアン・マフィアに操られた悪徳警官たちが立てた禁断の犯罪計画が、やがて思わぬ確執や裏切りを生じさせ、予測不能の事態を引き起こしていくさまを、リアルかつ迫力のアクションとともに描き出す。

strong><感想>アトランタが舞台のクライム・アクション。ロシアン・マフィアに絡む5人のギャングの犯罪と、彼らに翻弄される刑事たちの捜査と混乱を描いている。腐敗警官たちがなんと覆面強盗との二足のワラジを履きつつも、警察組織とロシア系のマフィアの間で危ない橋を渡ろうとしているということ。

ですが、汚職デカたちと総勢5人からなる武装ギャングを結成して、銀行強盗に精を出しているのだ。まずもって目を引くのが出演陣の豪華さなんですね。元特殊部隊出身の武装ギャングのリーダーのマイケルには、キウェテル・イジョフォーが、
ロシアン・マフィアに愛する息子を極道の女組長イリーナのケイト・ウィンスレットに人質に取られているために、仕方なく犯罪者となっていた。ロシアン・マフィアの女ボスの妹エレナには、「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」で、ワンダーウーマンを演じたガル・ガドットが扮しているのだ。

その汚職デカの、武装ギャングのサブリーダーとして、「ウォーキング・デッド」で一躍有名になったノーマン・リーダスが、マイケルの右腕となり銀行襲撃の際には、冷静な判断力でチームを逃がすナビゲート役を担当している。武装ギャングのメンバーで、ノーマン扮するラッセルの弟のゲイブには、アーロン・ポールが、ヤク中で元警官。
それに、「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」でファルコンを演じていたアンソニー・マッキーが、マーカス役でアトランタ市警のギャング対策班に所属して、悪徳警官で武装ギャングのメンバーでもある。もう一人悪徳刑事で武装ギャングの仲間である「パシフィック・リム」の管制官テンドーを演じたクリフトン・コリンズ・Jr.がフランコ役を演じていて、と言う様に、皆脇役だがいい仕事をしてきた俳優ばかりなのだ。
5人組の強盗集団の銀行襲撃がキビキビしたタッチで描かれており、久しぶりにイケるノワールものかと思わせているのもいい。しかし、銀行強盗で札束の袋を開けると、真っ赤な粉末玉を入れられており失態をしでかす。

そのマーカスの相棒である新人警官のクリスには、ケイシー・アフレックが扮しており、彼は警官の仲間がまさか銀行強盗の武装ギャングたちだとは気づいていないのだ。そのクリスの叔父にはウディ・ハレルソンが、アトランタ市警のベテラン刑事であるも私生活では凄まじい勢いで荒んでいる。
本筋に入って、ロシアン・マフィアだの警察の動きなどが絡んで、登場人物が増加してくるし、それにつれて、脚本、演出ともに焦点がふらついてくるのだ。
そして、ロシアン・マフィアの女ボスイリーナが、新たな危険すぎる要求を突き付けてくる。それは、警戒厳重な国土安全保障省の施設を襲撃して、あるブツを奪って来るというもの。それはあまりにも無謀なミッションだった。追い詰められたマイケルは、警察の緊急コード“トリプル9”を利用する禁断の犯罪計画を練り上げる。

犯罪が発生すると、警察は3分で現場にやってくる。だからマイケルは無謀なミッションのために10分は必要だと考えて、「警察官が撃たれたことを意味する警察コード」の“999”をやるしかないと。そうなれば、すべての警官は職務を中断して現場に駆けつけなければならないのだ。その間は、街は無法地帯と化すわけ。
マイケルとフランコは、警戒厳重な国土安全保障省の施設を襲撃するために、苦渋の選択をする。それは誰か警官を撃つしかないと。そうすれば10分間は稼げるから。そのわずかな時間の隙を狙って、襲撃を成功させようと考えていたのだ。そのために犠牲になってもらう標的には、新人警官のクリスがいいのではないかと、バカバカしいお話しの展開になるのが、どういうわけか、マーカスが頭を撃たれてしまい、瀕死の重傷を負うのだ。
強引な作戦にボロ布のような人命。きわめて非情なる犯罪活劇であり、しかもLAやNYといった馴染みのロケ地ではなく、南部のアトランタの不規則な街景によって、ますます油断ならぬ恐怖の空間が表れていた。この辺が本当にハラハラしました。

より重要なのが俳優たちの個性であり、実力派の渋いスターが並んでおり、結構贅沢感があります。ラストのウディ・ハレルソンの存在感とか、最初誰だか分からなかった、派手目の化粧のロシアン・マフィアの女ボス役のケイト・ウィンスレットもインパクトがあって良かった。
それでも、群像劇を狙っているのは分かるけれども、人物描写の濃淡があいまいなので、観ている側としては誰に肩入れしていいのやら、分からずじまいで惜しいと思う。演出、撮影、編集にと無駄がなく、地味ながらもアメリカ映画の醍醐味を満喫できます。
マイケルたちが苦労して、国土安全保障省の施設から強奪した、問題の焦点たる重要機密ファイルが、何なのか結局分からずじまいですが、スーパーヒーロー全盛のアメリカ映画の中では、最後まで楽しめて面白かった。
2016年劇場鑑賞作品・・・125映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

MARS~ただ、君を愛してる~ ★★

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衝撃的な展開で話題を呼んだ惣領冬実のコミックを実写化したテレビドラマの劇場版。イケメン2人と心を閉ざした女子高生を中心に繰り広げられる、純粋で残酷な恋模様を描く。監督は『百瀬、こっちを向いて。』などの耶雲哉治。光と影の二面性を持つ樫野零はKis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔、零の亡き弟の親友・桐島牧生を『デスノート』シリーズなど窪田正孝、零の運命の恋人・麻生キラをNHK連続テレビ小説「まれ」などの飯豊まりえが演じる。
あらすじ:学園でスターのような扱われ方をする一方、刹那的な毎日を過ごす高校生の零(藤ヶ谷太輔)は、運命的に出会ったキラ(飯豊まりえ)と新学期にクラスメートとして再会し、互いに心に傷を抱える二人は惹(ひ)かれ合う。そこへ転校してきた零の中学の同級生の牧生(窪田正孝)は、零に特別な感情を抱いており、二人の仲を引き裂こうと画策。零に執着する牧生の思いは、いつしかゆがんだ方向へと変化し……。

<感想>原作は1990年代に人気を博した、惣領冬実のコミックを実写化して2016年テレビドラマ放映の劇場版。原作もテレビドラマも観ていません。だから、先入観として甘いラブストーリーと思って観ていたら、意外や意外、ダークな一面を持ったストーリーだったので、その点では少し面白味を感じましたね。
物語が核心に近づくまでがひどくもどかしかった。だから、運命の男と女が結びついた二人が、それぞれに思い出したくもない昔のトラウマを抱えているという展開も説明不足でした。

主人公のキラの昔のトラウマが、余りにも衝撃的であり、これでは男性不振になってしまうのは当たり前だと思う。まさか、中学生の時に再婚した母親の相手、義理の父親に性の虐待を受けていたとは、それに、同級生からそのことが噂のもととなり、彼女を苦しめるわけ。これはかなり深刻な悩みですから。
男の零には、Kis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔くんが、28歳なのに高校生役がなかなかカッコ良くて、女子生徒からモテモテの遊び人で、彼女はたくさんいるという設定。ぴったりハマってた。でも、高校生でバイクで通学とはこれいかにと。中学性の時に零には双子の弟がいて、その弟が自殺をしたのだ。それが自分のせいだと思い詰めている。
だから本気で好きになったキラに、キスをして性的関係を持ちたいと思うのは必然だったのでしょう。それが、拒否されて愕然とする零の気持ちは、嫌われたと誤解してしまうのも分かる。

そして、恐ろしいのが零を好きな男子生徒の牧生が、同性愛者であり屈折した恋慕を捧げる少年役の窪田正孝くん、どこか中性的であり女の子みたいで、いつも零の傍にいたいという欲求が、今回は零が好きになったキラとの間に入り邪魔をするのだ。後でマキオが告白して知るのだが、零の双子の弟は自分が殺したと言うのだ。零に近づく者は殺すという、恐ろしい男を演じている。

三角関係となるのだが、これがほとんどストーカーのよう。ラストでキラを廃墟ビルに呼び出し、邪魔者は殺すとばかりにキラをビルの上階から落とそうとするも、そこへ零が駆けつけて来てキラを助ける。悔しがる窪田正孝くんの演技が恐ろしく巧いので、観ていてハラハラドキドキしながら、零が刺されるのを見つめる観客。ファンの子なのか、きゃぁ~という悲鳴のような声が館内に響く。よほど好きなんでしょうね、映画の中に自分が入り込んでしまったのでしょう。
恋する2人は、仲良く昼弁当を作って食べるし、海へとバイクでデートするし、砂浜でお城を作って楽しそう。

それに、主人公キラの友達の晴美とその恋人達也の男の子が新鮮で良かった。
キラと零の恋人同士の、露骨なベッドシーンはありませんが、「胸キュン」と言われるシーンが多かったので、ラブラブなシーンには恋人のいない女性や男性には辛いかもですね。
2016年劇場鑑賞作品・・・126映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ★★★・5

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『ピンポン』『舞妓 Haaaan!!!』などの脚本を担当してきた宮藤官九郎が、監督と脚本を務めて放つ異色のコメディー。主演を務めるのは、『ヘブンズ・ドア』などの長瀬智也と『るろうに剣心』シリーズなどの神木隆之介。ユニークな設定とギャグ満載の物語もさることながら、特殊メイクを施して鬼にふんした長瀬の怪演や、猛特訓したという神木のギタープレイにも注目。
あらすじ:修学旅行で乗っていたバスが事故に遭ってしまった男子高校生・大助(神木隆之介)。ふと目を覚ますと、炎が渦を巻く中で人々が苦しめられている光景が目に飛び込んでくる。地獄に落ちたと理解するも、同級生のひろ美に思いを告げずに死んでしまったことに混乱する大助。そんな彼の前に、地獄農業高校軽音楽部顧問にしてロックバンドの地獄図(ヘルズ)のリーダーである赤鬼のキラーK(長瀬智也)が現れる。彼の指導と特訓のもと、地獄から現世に戻ろうと悪戦苦闘する大助だが……。

<感想>今年の1月に発生した軽井沢でのスキーバス転落事故の影響で、本当は2月に公開予定だったのに6月25日公開となってしまった。いやぁ、その影響でもないと思うのですが、客席はまばらで空いてましたね。
宮城県出身の宮藤官九郎監督、「中学生円山」から3年ぶりに挑んだ監督作で、“地獄”が舞台の宮藤ワールドの集大成とも言える爆笑&爆音のロックコメディ。今回はCGを使わずに演劇のような、オールセットで地獄を描いているのだ。監督いわく、「スクール・オブ・ロック」みたいな痛快なロック映画を作りたかったようです。

修学旅行中の事故で命を落とした高校生・大助(神木隆之介)が、ひろ美とキスしたい一心で、赤鬼キラーKの指導のもとに地獄からの生還を目指して、ロックバンドを率いる赤鬼と共に奇想天外な冒険と抱腹絶倒の騒動を巻き起こすという内容。

地獄の赤鬼キラーKには、長瀬智也が扮しており特殊メイクで全身真っ赤なロックの地獄の赤鬼と化し、地獄の専属ロックバンド「地獄図」のボーカル&ギターであり、地獄農業高校の軽音楽部顧問でもある。大助に生き返りを指南する役でもある。
ここからはネタバレにて書いております。内容を知りたくない方はご遠慮下さい。
現世では、大助が通う練習スタジオの「スタジオぱんだ」でバイトをするメガネの近藤という純朴な青年であり、大助がアンプのコードを綺麗に巻かずにぐちゃぐちゃにして、電気系のショートで感電死であの世に行く。そのスタジオのなおみと言う女、尾野真千子扮するバイトの女と恋仲になり、同棲をして献身的に支えていたが、彼女が妊娠したのを知らないで死んでしまう。大助がなおみに死神というあだ名をつける。「スタジオぱんだ」も火事になりなおみと息子も死んでしまう。

まずは、他の生徒たちは天国に行ったのに、どうして大助が地獄へ落ちたのかというと、生前にSNSで“死にたい”などとつぶやき、軽音部で「スーサイド」という曲まで作っていたことで、地獄で最も重い罪“自殺”と判断されてしまう。

でも、同級生のひろ美ちゃんが大好きで、まだキスの経験もなしで現世に未練たっぷりであります。とにかく奇想天外にしてハイテンションなギャグと、胸キュン要素が同居する作品であり、そんな彼に導かれ地獄で四苦八苦する高校生には神木隆之介くんが扮している。
それに桐谷健太がCOZYと言って「地獄図」のドラマーで、キラーKに従順であり、ベーシストの邪子に優しい三枚目を演じている。現世はチンピラで、バイクで逃走中に事故で若くして死ぬ。
そして、邪子に清野菜々がふんしており、「地獄図」のベーシストで、大助を慰めたり、優しくしたりする赤鬼。現世では車上荒らしで、彼氏に刺されて若くして死ぬ。

そしてえんま校長には、古田新太が地獄で一番偉くてデカいのに驚く。さすがに芸達者な古田新太の閻魔様が、かなり決まっていて演技が上手い。毎週金曜日に輪廻転生の試験を行い、大助たちに裁きを与えるが裁きっぷりはかなり適当である。

それに、大助が恋するひろ美が大人になって宮沢りえが演じている。
えんま校長が大助に初めに裁きをする転生に、小鳥のインコに、これは可愛いし結構、奮闘するのだ。次がザリガニ、アシカ、カマキリ、山羊、カメレオンなど、全部入り口は、「スタジオぱんだ」のトイレの中とは。

やっと天国へいけたのに、天国は雲の上だが、和式トイレがずら~っと並んでいて、やっぱり地獄の方がいいと戻ってくる大助。天国の番人には荒川良々さんが扮していた。
その他にも地獄のミュージシャンたちでは、「地獄図」と敵対するじゅんこ率いる「デビルハラスメント」のほか、個性的な鬼ギタリストの“Char”、鬼ミュージシャンじゅんこBの“ROLLY”やじゅんこA“マーティ・フリードマン”とか、ジゴロック挑戦者の“野村義男”とか“ゴンゾー”たちが登場します。

やはり地獄のライブシーンが大きな見どころの一つですね。特に鬼ミュージシャンと地獄に落ちた高校生がバトルを繰り広げる「地獄ロックバトルロイヤル」=ジゴロックは本作のクライマックスでもあります。
大助とキラーKが爆音でギターソロを放ちまくり、メジャーデビュー(人間に転生する)を目指して戦う場面とかは、この映画の魅力のど真ん中を体現しているようで、爆笑と興奮が同時に押し寄せてくるのだ。地獄のコード、Hコードの弦が弾けない大助の特訓に笑った。特に長瀬智也のロックの歌声に痺れますから。
そして、赤鬼ことキラーK=近藤が、天国にいる恋人と息子のために「旅に出ようここじゃないどこかへ、あなたがいれば、そこは天国。あなたがいない、そこは地獄」と優しく近藤が歌う「天国」のバラードも中々良かった。
2016年劇場鑑賞作品・・・127映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

嫌な女 ★★★

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女優・黒木瞳の映画監督デビュー作で、黒木主演でNHKドラマ化もされた桂望実の同名小説を映画化。友達のいない真面目一徹な弁護士・石田徹子と、派手好きで社交的な天才詐欺師・小谷夏子という対照的な2人の女性の人生を、これが映画初主演となる吉田羊と木村佳乃の共演で描く。
あらすじ:司法試験にストレートで合格して29歳で結婚し、順風満帆に見える弁護士の石田徹子(吉田羊)だったが、仕事も結婚生活も上手くゆかず、心に空白を抱えていた。そんな徹子のもとにある日、同い年の従妹で、婚約破棄で慰謝料を請求されたという小谷夏子(木村佳乃)がやってくる。子どもの頃から夏子を嫌っていた徹子だったが、久々の再会をきっかけに、天性の詐欺師・夏子に振り回されることになり……。

<感想>映画は、仕事も結婚生活もうまくいかず、心に空白と孤独を抱えた日々をおくる弁護士・徹子のもとに、婚約破棄で慰謝料を請求されたという、いとこの夏子が訪ねてくる。徹子は、自己中な性格で意地悪な夏子のことが、走馬燈のように思い出されるのだ。実は子供のころ、夏の日のこと、おばさんが夏子を連れてやってきて、徹子に夏子と同じひまわり柄のワンピースをプレゼントしてくれた。そのワンピースを夏子が自分の目の前で、徹子には似合わないといいビリビリに破ってしまう衝撃の場面が。

だから、子どもの頃から自分と正反対の夏子が大嫌いだったのに、しばらくぶりの再会を果たすと、その日以来、徹子は夏子に振り回され、トラブルが発生するたびに徹子にその解決を頼みに来るのだ。
絶対に嫌な女とは関わりたくないですよ、ほんとに。でも、この徹子はそんな夏子にストレスを感じつつも、自由奔放に人生を楽しむ彼女に影響されていくという展開になる。
夏子から聞かされる、夏子に騙される男たちの話から、徹子のその人の人生に大きくスポットが当てられていく。これは徹子の成長物語なんですね。ここでは、徹子が夏子や弁護士という仕事から、そして仕事で出会った人たちから影響を受けて、少しずつ自分の殻がとれていく。基本線はそういうことになっているのですが、夏子の魅力は必須ですし、その辺のバランスが絶妙に2人の女優によって描かれていくのだ。

徹子の結婚生活も別居ということになり、久しぶりに夫の部屋を訪ねると女と同棲していたという現実に落ち込んでいく。そして、夏子の付き合っている男のところへ尋ねると、そこには老人介護をしている夏子の姿が。その隣の老人の織本順吉さんの遺言書作成のお願いの話には、涙が零れて仕方なかった。離婚した妻のことを、今更ながらに思い出し、財産を別れた妻に残してあげたいと言い、ビデオレターによる遺言書をビデオカメラに収める徹子。死ぬ間際になって別れた妻に詫び状とでもいうか、一緒にいる時に言えなかった妻に対する思いを綴るビデオレターに涙する。

夏子という女は、確かにお騒がせ女でずうずうしいところがあるが、どこか太陽のように明るい性格で人を幸せにする人なんですね。だから、徹子にとっては疫病神のような夏子でも、羨ましい存在であり、自分もあんなに明るく生きていけたらって思う女性なんです。

やっぱり刺激てきなのは、若い男を好きになり偽の絵を売りつけさせられ、それでもその男を好きで忘れられなくて、結婚式まで押しかけていく図々しさに呆れかえります。転んでも泣かない女なんですね、夏子って女は。結婚式で突然歌いだす夏子、それは竹内まりやの「元気を出して」なんですが、とにかく木村佳乃さん上手いんですよね。
夏子に騙されてお金を巻き上げられて訴えを起こす男たち。でも、夏子に対する気持ちには、まだ未練と優しさが残っているのだ。しかし、どうしても許してくれないのが、夫のところへ置いて来た息子である。会いにいったらどうして抱きしめて、「ごめんね」と誤るのも母親なのではと思いました。

そして、事務所の女性のみゆきさんに、永島暎子さんが徹子が落ち込んでいる時に、甘いものを食べて気持ちを楽にしてと元気づけてくれる。その彼女が病気で亡くなり病室へ行き、彼女の傍で泣きじゃくる徹子の後ろ姿。それは本当に大事な人を失った悲しみが溢れていた。
有名なセリフに「あなたと一緒にいたら、あたしどんどん嫌な女になる」と徹子が言う。「あんた、昔から嫌な女だよ」と夏子が言う。2人の女が本音をぶつけ合い、徹子と夏子の対照的な女性たちの人生が生み出す、ケミストリーが感じ取れる作品になっている。

その他に、共演者の中村蒼や弁護士事務所の所長のラサール石井、永島暎子、古川雄大、佐々木希らの共演者も中々良くて、竹内まりやが歌う主題歌「いのちの歌」が物語に一層の輝きをもたらしているようです。
2016年劇場鑑賞作品・・・128映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

日本で一番悪い奴ら ★★★★

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『凶悪』などの白石和彌監督と『新宿スワン』などの綾野剛がタッグを組んだ、日本の警察における不祥事をモチーフにした作品。2002年に覚せい剤取締法違反容疑などで逮捕され“黒い警部”と呼ばれた北海道警察の警部の、逮捕までの26年間が描かれる。脚本は『任侠ヘルパー』などの池上純哉、音楽を『八日目の蝉』などの安川午朗が担当。白石監督の演出と、劇中で体重を10キロ増減させ衝撃的な実話に挑んだ綾野の壮絶な演技に引き込まれる。
あらすじ:柔道で鍛えた力を買われて、北海道警察の刑事になった諸星要一(綾野剛)。裏社会に入り込んでS(スパイ)をつくれという、敏腕刑事・村井の助言に従い、Sを率いて「正義の味方、悪を絶つ」の信念のもと規格外の捜査に乗り出す。こうして危険な捜査を続けていった諸星だったが……。

<感想>この映画は諸星要一という男の26年間を描いている、いわば一代記といったようなもの。しかし、実話だということで、北海道警察の警部だった稲葉圭昭が、覚せい剤使用と営利目的の所持、銃刀法違反で懲役9年の有罪判決を受けた「稲葉事件」基に描いたのが本作である。
作品ごとにまったく別の人間を生きる俳優の綾野剛くん、稲葉をモチーフにした主人公の諸星要一は、学生時代を柔道一筋で生きてきた不器用な男。そんな彼が毒をもって毒を制すとばかりに、清い正義と濁った悪事と暴力を合わせ持つことを要求される警察組織の中で、正義を信じて間違った方向へ一直線に進んでいく。

綾野剛が演じるのは悪事に手を染める刑事の諸星要一。獰猛で俊敏な、美しい野生動物のような綾野剛の、一面を見事に生かしているといっていい。文字通り「日本で一番悪い奴ら」で描いているのは相当悪い奴らのことで、警察という正義の遂行を強く求められる組織の中で、点数稼ぎのための不正がまかり通り、モラルよりも組織の利益やメンツが優先される警察の実態。ですが、諸星は、自分の信じた正義のために、許されざる悪事を働いていたのだから。

そこへ、上司のピエール瀧が演じる村井の悪魔のささやきを真に受けて、無自覚のまま悪の道を暴走し始めるわけ。観客は、まるで諸星が暴走運転する車に乗せられたような状態で、いかにも「世界がクソまみれか」を、これでもかというくらいに見せつけられるのだ。だからなのか、どうせクソまみれの世界ならばクソにまみれた側から見た方が眺めがいいに決まっている。

諸星が初めてガサ入れに行き、覚醒剤と拳銃を見つけるシーン。窓を開けて向かいの屋上にいる風俗嬢に向かって「警察が泥棒してま~す」という諸星が言うのだ。きっと、誰かに聞いてもらいたいと思ったのかもしれませんね。

ロシア人に盗難車を売りさばくパキスタン人、その男に諸星が拳銃を買い付けするように頼む。それに覚醒剤も。警察がそんなことして、いくら拳銃摘発するからといって、北海道のヤクザから拳銃を取り締まるのを、ロシアからの密輸で拳銃を確保する。その拳銃をいかにも警察が銃器取り締まりをしましたとばかりに報告するのだ。

そして警察が、横流しをした覚醒剤が大量だとわかって、銃器対策課がどんよりとしてところへ、諸星が入ってくるシーン。そして、その覚醒剤を持ち逃げする中村獅童のヤクザ。
その背信行為は鋭く追及されるべきであり、しかし、同時に悪に対する嫌悪感を抱かせるだけでなく、奇妙な共感を生んでいくことも否定できないのだ。その背景には、いわゆる組織の定めた正義に奴隷化した存在が見え隠れするから。
夕張に転属命令が下り、覚醒剤の依存症なのか、やたらとペットボトルの水を飲み、それでも軽トラックに乗り高校野球をカーラジオで聞いている諸星。

ですが、普通なら躊躇するべきであろう一線を、彼らは意識的に踏み越えているのだ。だから、諸星の彼女が覚せい剤中毒になり、何もかもが上手くいかずにダメになり、ヤケになり自分も覚醒剤を打つ諸星。何だか、諸星が憎めないキャラクターになっていた。
彼らの多くは、所属する組織に身も心も捧げて猛烈に働くものの、組織の正義への盲信が、自己正義の熱狂へと変換された諸星とその仲間たちからは、画面の中の組織の上層部の悪い奴らが巻き起こす狂った状況を、理解しがたくもない。

2016年劇場鑑賞作品・・・129映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

二重生活 ★★

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『愛の渦』『シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸』などの門脇麦を主演に迎え、小池真理子の小説を映画化したサスペンス。抑え切れない好奇心から、近所の既婚男性を尾行することにハマっていく主人公を描写する。ヒロインを取り巻く男性たちを『鈴木先生』シリーズなどの長谷川博己、『そして父になる』などのリリー・フランキー、『共喰い』などの菅田将暉ら豪華キャストが熱演。緊張感あふれる展開に引き込まれる。
ストーリー:大学院に通う25歳の珠(門脇麦)は、19歳のときに遭遇したある出来事をきっかけに長い間絶望のふちをさまよっていたが、最近ようやくその苦悩から解放された。彼女は一緒に住んでいる恋人卓也(菅田将暉)と、なるべくもめ事にならないよう、気を使いながら生活していた。あるとき、珠は恩師の篠原(リリー・フランキー)から修士論文の題材を提示され……。

<感想>大学院で哲学を学ぶ主人公の珠を演じている門脇麦の、他人のプライバシーを覗くような尾行という行為を真剣に取り組んでいるのが変人だと思った。普通だったら、大学院まで行って哲学を学び修士論文の題材に、他人の生活を覗くという偏見的な行為はまずしないと思うから。

ですが、主人公は教授篠原の「なぜ人間は存在するのか、何のために生きるのか」という問いに答えようと、1人の対象を追いかけて生活や行動を記録する“哲学的尾行”の実践を提案される。これは、安易に教授の欲求でもあるようにも取れるのだが、それに応える彼女も何だか頭がおかしい気がする。

その尾行の相手が、向かいの豪邸に住む、綺麗な妻と幼い娘がいる幸せな暮らしをしている家族なのに。主人公の珠が尾行をしているのを、観ている観客も、覗くというゾクゾクするような一体感が半端ではなかった。

まるで探偵のように彼女は他人の生活を覗き、またその尾行によって男の行為や行動を知り、愛人と外で出会い、ビルの間の隙間でセックスに戯れる二人を見て、若い未熟な珠は興奮したに違いないからだ。それは同棲をしている恋人には無い、何かに惹かれていっているようにも見えた

これは絶対に彼女の尾行が相手に知られていると分かってしまうから。要するに、大人の恋愛、不倫を垣間見て動揺し、自分には無かった体験を観てしまい、頭の中で尾行をした男と寝たいという欲求に迫られる。
ですが、その尾行相手の石坂には、美しい妻と娘がいて大きな家に住み理想的な生活を送っているのだ。だが、妻にも夫の浮気がバレてしまい、ホテルへと乗り込まれてしまう。不倫相手はホテルのトイレで、主人公の珠と鉢合わせになる。その後が、これまた石坂の妻が睡眠薬自殺未遂をして救急車が来る。

だから、尾行がバレてしまい待ち伏せをされて、石坂に問い詰められ、咄嗟に自分からキスをしてホテルへと入るのだ。体を合わせて激しく求める彼女。そのことに気づき始めていた同棲相手の恋人卓也は、ずっと前から彼女の後をつけていて、ホテルに入る2人を目撃している。

そのことだけでなく、アパートのゴミ置き場の防犯カメラに映し出される、管理人のおばさんと彼女に、恋人の卓也の姿が、何気に怪しく映し出されている。

大学教授の篠原を演じている、リリー・フランキーも、いつものベテラン俳優らしく淡々とした振る舞いで、母親が末期がんで余命宣告を受け、自分が独身で嫁ももらわずいい年になっていることが、死にゆく母親にせめてもの安心を与えようと、劇団員の深津絵里さんを妻役に頼み、それはお二人さん仲のいい夫婦に見えましたね。だから、病院へ彼女を連れて行き、死に間際の母親に妻を合わせて安心させることも良かったのでは。

しかしながら、主人公の珠が教授を尾行して、夫婦として二人が仲睦まじくして家の中へ入っていくのを観て安心してしまう。だが、教授はその偽物の妻のことを彼女に知らせようと、深津絵里の劇団を紹介するのだ。
ラストが、ドアノブにロープを首に引っ掛けて結び、自殺をしたような映像は、初めにも映し出されていましたが、まさか教授だと思うのですが、自分が他人を尾行することを提案したことに悔やみ悩んでたのかもしれません。
2016年劇場鑑賞作品・・・130映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

天国からの奇跡 ★★★

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『チリ33人 希望の軌跡』などのパトリシア・リゲンが監督を務め、『ダラス・バイヤーズクラブ』などのジェニファー・ガーナーらが出演したヒューマンドラマ。病の少女に起きた不思議な出来事をつづった原作を基に、愛する娘のために尽力する母親と家族が体験する奇跡に迫る。まな娘を、『パパが遺した物語』などのカイリー・ロジャーズが熱演。共演に、『フライボーイズ』などのマーティン・ヘンダーソンや『シカゴ』などのクイーン・ラティファが名を連ねている。
あらすじ:小さな町で生活しているアナ(カイリー・ロジャーズ)は、幼少期より重度の消化器疾患の持病があり、家と病院を往復する生活を送っていた。娘を愛する母親クリスティ(ジェニファー・ガーナー)は遠くの大病院での診察を希望し、何とか入院することができたものの、結局治療方法は見つからなかった。その後クリスティは、アナを連れて家に戻るものの……。

<感想>キリスト教をテーマにしたクリスチャン映画、3作品連続上映の第二弾。他の映画は観ていませんが、この1本だけは気になって鑑賞しました。
テキサス州の平和な一家の主婦クリスティに、愛娘の消化器疾患の重病が襲うのだ。すべてをなげうってボストンまで行き、名医に頼むのだが、治らないというのだ。この名医のキャラクターが深刻な話なのに救いの笑いがあって、アインシュタインの「奇跡」は信じるか信じないかだという言葉が引用されているのであります。観ている方としては、ひたすらいかなる奇跡が起こるのかと待ち受ける。

母親なら誰でもがそうするだろうと、必死になって娘の難病の治療のために病院を探す母親。ジェニファー・ガーナーが、熱演してましたね。それに、難病の娘のカイリー・ロジャーズの健気な演技にも涙、涙で感動させられました。

実話だそうで、選挙の年にアメリカで増えるキリスト教宣伝映画のような1本。なのだが、各人物の葛藤が描かれておりまともなドラマにもなっていて、宣伝臭は薄めでしたね。

クライマックスでは、娘が大木に上って、そこから落ちてしまう。もう死んでしまったと誰もが思ってしまうのだが、それが、木の中が空洞になっており木屑、腐葉土がクッションとなり娘は傷一つなく助かるのである。実話としては驚くべき事態が起こり、熱演した母親役のジェニファー・ガーナーは、教会に通うようになったとのこと。

それが、奇跡とするのはとてもいいことなのだが、医師によると大木から落ちた際に、衝撃で娘の中枢神経になんらかの作用をもたらしたようなのだ。

それでも、クィーン・ラティファが演じる天使的なポジションの人物と、小児科医のキャラクターがチャーミングで良かった。
難病の娘を抱えた母親に、クソみたいな言葉を投げつける教会の信者がいる一方で、見ず知らずの人たちが示す思いやりが美しくて、信仰と無縁の観客にもヒューマン・ドラマとして楽しめるのが良かったですね。

2016年劇場鑑賞作品・・・131映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

ウォークラフト ★★★★・5

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世界的人気ゲームを「月に囚われた男」「ミッション:8ミニッツ」のダンカン・ジョーンズ監督で映画化したファンタジー・アクション大作。剣と魔法の世界“アゼロス”を舞台に、故郷を捨て、生き延びるために侵略を企てるオーク族とそれに立ち向かう人間族の攻防の行方を、種族を越えた絆の物語を織り交ぜ、壮大なスケールで描き出す。

あらすじ:長い間平和な時代が続いていたアゼロス。しかし別世界のドラエナーに暮らしていたオーク族が、荒廃した故郷を捨て、新たな定住の地としてアゼロスへの侵略を開始する。アゼロスの平和を守ってきた人間たちは、強力な魔力を持つガーディアン、メディヴの力を借り、オークとの全面戦争を決意する。そんな中、アゼロスの騎士ローサーは、人間とオークのハーフ、ガローナと心を通わせていき、互いに協力して戦争を回避する道を模索していく。一方、オーク族の気高き騎士デュロタンもまた、この戦いに疑問を抱き、人間との共存を願い、大きな決断をするのだったが…。

<感想>人気ゲームを映画化した剣と魔法のファンタジー。人類やエルフ、ドワーフらが暮らすアゼロスで、この世界を狙って現れた蛮族オークとの侵略戦争が描かれている。エルフやドワーフはちょこっと出てくるだけで、オークとは戦いません。人間対オークとの闘いで、どちらにも魔法使いがいて、まるで「ロード・オブ・ザ・リング」の影響を受けたような物語。

ゲームをまったく知らない私でも、大いに楽しめました。監督が故・デーヴィッド・ボウイの息子としても有名な人。

とにかく戦闘のバトルシーンが物凄い迫力で、体が緑色のオークは、筋肉の付き方もあの怪物ハルクに似ているので、骨を軋ませ力と力が激突するアドレナリン放出の肉弾戦が繰り広げられるシーンでは、これはと思う場面も。

ファンタジーなので、何でもあり的な展開になっており、力では人間など到底及ばないはずなのに、それをどう切り崩し戦うのかが見せ場になっており、人間側の全知全能の守護者であるメディヴがウルフに寝返ったりして、それでも若い魔法使いのカドガー(ベン・シュネッツアー)が出てきて助けたりと、まさに、予想の付かない展開が繰り広げられるのです。ですが、守護者メディヴが制作している、粘土の巨大な怪物には驚きました。

「ロード・オブ~」でのオークは怪物で悪者だったが、この作品の中でも緑色の肌をした悪のオーク、呪い術使いの独裁者グルダン(ダニエル・ウー)は相手の精気を吸い取り、「フィル」の魔法でオークを中心とした世界のホードを支配している。グルダンが危険な闇の力を駆使し、アゼロスへと繋がる異次元の扉“ダークポータル”を開くのです。

しかし、グルダンの腹心である戦闘マシーンのブラック・ハンドと、伝説の武器ドゥームハンマーを操るオーグリム、そして物語の鍵を握る人間とオークのハーフであるガローナ(特殊メイク)もいる。

人間側では、最強の魔力を持つ守護者メディヴにベン・フォスターが扮して、テレポーテーション(瞬間移動)を使い姿を消す場面が不思議ですね。

それと、王様のドミニク・クーパーがグリフォン(鷲に馬のような足がある)に乗って空を飛ぶシーンも圧巻であり、最後が自己犠牲になるのが悲しいですね。軍神と呼ばれる戦士のローサーにトラヴィス・フィメルが、そして、聡明な王妃にはルース・ネッガが。

その呪い術使いグルダンが率いるオーク族の中でも、この侵略に疑問を持つデュロンという、悪のオークとは違う誇り高きフロスト・ウルフ(オークの乗り物で白い狼)族長もいる。愛する妻と息子と仲間たちのためにも、人間と共存をしようとする。
人間側の戦士ローサも捕えたオークの女、ガローナと心を通わせ協力して戦争を避けようとするのだが、大切なものを守ろうとする彼らの思惑をよそに、二大勢力の激突は全種族を巻き込み、アゼロスを揺るがす全面戦争へと突き進んでいく。

巨大なオークとの戦闘シーンは見ものであり、2メートルをも超すオークは、モーション・キャプチャーで撮影。リアルな質感だけでなく凝った人間の武装、鎧兜、剣、それにオークの武器に服装など個性あふれるデザインも見どころの一つです。ILMとアカデミー賞クリエイターが手掛けた、世界最高水準の特殊効果がスクリーンに映し出されます。続編がありと思わせる終わり方で、ついつい最後まで観てしまいました。

2016年劇場鑑賞作品・・・132映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅★★★★

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「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」をモチーフにした前作の続編で、アリスが時間の旅に出るファンタジーアドベンチャー。帰らぬ家族をひたすら待っているマッドハッターを助けるべく、アリスが時をさかのぼり奮闘する姿を活写。前作の監督ティム・バートンが製作を務め、『ザ・マペッツ』シリーズなどのジェームズ・ボビンがメガホンを取る。ミア・ワシコウスカやジョニー・デップなど前作のキャストが続投し、時間を司るタイムを、『ブルーノ』などのサシャ・バロン・コーエンが演じる。アリスをはじめチェシャ猫など人気キャラクターによる新しい物語に期待。
あらすじ:ワンダー号での3年に及ぶ船旅からロンドンに帰郷した後、青い蝶アブソレムにマッドハッター(ジョニー・デップ)のことを聞いたアリス(ミア・ワシコウスカ)。マッドハッターは、ワンダーランドで死んだ家族の帰りを待っていたのだ。ワンダーランドに着いたアリスは、白の女王(アン・ハサウェイ)たちから頼まれ、マッドハッターの家族をよみがえらせるべく、過去を変えようとする。時間の番人タイム(サシャ・バロン・コーエン)から時間をコントロールできる“クロノスフィア”を盗み、時間をさかのぼったアリスだったが……。

<感想>7月1日にオープンした「TOHOシネマズ仙台」で、待望の“3DIMAX“で鑑賞した。やはり大画面での四方八方から聞こえる音響といい、3D・IMAXの映像美の迫力と臨場感が半端なかった。
前作の終わりのアリスが未来に向かって、船出したミア・ワシコウスカの姿を思い出しつつ、冒頭でのイギリスへ帰る大海原の荒波の遭遇に驚きつつも、立派な船長として戻ってくる彼女の成長も見えたのだが。父親の遺した船を手放さざるを得ない状況に追い込まれ、すごく惨めな、それが今回の出発点になる。

「アリス・イン・ワンダーランド」から6年、たださえアリスの世界はぶっ飛んだユニークなものだが、ティム・バートンが監督したことでダークにしてポップな、形容しがたい奇想天外な映画に仕上がっていた。ですが、その続編となると至難の業です。特に前作でヒロインのアリスは、成長して自立した女性になっている。
ここからネタバレで書いております。内容を知りたくない方はご遠慮下さい。

そして、続編は「鏡の国のアリス」になっていたのだが、あまりストーリー性がない。そこで続編にふさわしい物語が作られたというわけ。待望の続編となる本作の邦題には「時間の旅」とあるように、再び美しい大アゲハ蝶がきて、青虫のアブソレムが脱皮して迎えに来たのだ、なんって思っていると、アリスはその後を追ってするりと鏡の中へと入り込んで天空に浮く部屋から地上へ。

といってもこの部屋の下にあるのだから「アンダーランド」の「ワンダーランド」へと落ちる。このアゲハ蝶の声こそ、故アラン・リックマンなんですね。そして、ワンダーランドに誘われたアリスが、かの地の「過去」を冒険する物語となっている。

冒険の目的は、過去に捕らわれた親友の、白塗りジョニー・デップことマッドハッターが意気消沈で、アリスのことも忘れ周囲を心配させていた。ジョニー・デップが老けて、中年太りなのか、あの素敵だったジョニーは何処に~と、少しがっかりした。

アリスが着るチャイナ・カラーのドレスも、素敵な極彩色でめちゃくちゃに可愛いし似合っている。それに、ここではいままでの体験から父親を奪った「時」を憎むアリスは、不幸なマッドハッターを、元気な昔に戻すために「時」を取り戻し、彼が取りつかれている家族を失った過去を消して、書き換えることが必要だと思い立つのだ。

そこで、白の女王から教えられた「時」を支配する番人「タイム」が住む永遠の城を訪れ、彼が番をする大時計の前に立つ。この大時計は「タイム」の心臓の鼓動と連動し、彼は「過去を変えることは出来ない」と当たり前のことを言う。アリスがそこで「試したことがあるの」と。そこでアリスが大時計の心臓ともいうべく“クロノスフィア“を奪って過去へと旅立つわけ。

ここでは、新キャラクターの“タイム”を生み出し、彼を動かすことによって、前作よりもコミカルな部分が増えている。“タイム”というキャラクターの存在感であり、コメディアンのサシャ・バロン・コーエンが演じているのが大きかった。

自己愛の強い時間の番人タイムだが、面白いのは赤の女王にはゾッコンなところ。タイムは、彼女に身も心もすっかり奪われてしまう。その結果、赤の女王イラスベスは、前作よりさらに笑いを誘う魅惑的なキャラクターになっていた。

イラスベスを演じるヘレナ=ボナム・カーターは、自分の娘が小さかった時に、それも機嫌が悪かった時の娘をベースに役作りをしたという。前作では、ただの嫌なヤツだった赤の女王が、何故にこんなキャラクターになったのかが、今作では描かれている。最初から頭でっかちの嫌な赤の女王ではなかったのだ。
それに、アリスが過去に捕らわれたマッドハッターを救うために、本作では自由さが与えられて、いろいろと面白い場所を旅することができるというわけ。

彼女がタイムスリップを繰り返す度にワンダーランドとその住人たちの謎が、次々に明らかになっていくわけだが、それはある意味「ワンダー=驚き」を紐解き、理解して、現実へと近づけていく過程でもある。
アリスが真実を知るほどワンダーランドが崩れ落ちていくのも、そのメタファーだろう。クライマックスの崩壊映像なんて、殆どクリストファー・ノーランの「インターステラー」みたい映像になっているのだから。

それに、ルイス・キャロルの原作からは遥かに遠い場所に来たとも言えるのですが、そもそもアリスの夢と想像力の架け橋となっていたマッドハッターは、ここでは病の床に臥しているのだ。

そして、アリスがアンダーランドの奥へと進み、お茶会の真っ最中だった、白の女王(アン・ハサウェイ)、双子のトウィードルディーとトウィードルダム(マット・ルーカス)、白うさぎ(マイケル・シーン)、チェシャ猫(スティーブン・フライ)、ベイヤード(ティモシー・スポール)、ヤマネ(バーバラ・ウィンザー)、三月ウサギ(ポール・ホワイトハウス)、バンダースナッチらと再会するシーンに嬉しくなる。
実世界でのアリスのフェミニズム的自己の葛藤といい、過去は変えられないという結論といい、本作から強く感じるのは、夢から覚めた後の「現実に戻りこれからどう生き抜くのか」みたいな教訓みたいなメッセージなのだ。
とにかく初めて体感した“3DIMAX“の感動と興奮、アリスが遡る“時の海”の大海原の映像美とか、色彩豊かなカラフルな世界「ワンダーランド」の、マッドハッターの一家が住んでいた街「ウィッツエンド」のセット、そして、「タイム」の城も、赤の女王イラスベスの城も、衣装や美術スタッフのこだわりが映画全体を盛り上げ、ディティールまで完璧な世界観を作り上げているのが良かった。

2016年劇場鑑賞作品・・・133映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

疑惑のチャンピオン ★★★★

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ガンから奇跡の復活を果たし、自転車レースの最高峰“ツール・ド・フランス”で前人未踏の7連覇という偉業を成し遂げ、自転車界のみならずスポーツ界のスーパースターに登り詰めたアメリカ人アスリート、ランス・アームストロング。長年、疑惑の目を向けられながらも、決して尻尾を掴まれることのなかった彼だったが、現役引退後の2012年、ついに米国アンチ・ドーピング機関“USADA”によって進められた調査によってドーピング違反が認定され、7連覇を含む全タイトルを剥奪された。
主演は「ローン・サバイバー」「3時10分、決断のとき」のベン・フォスター、共演にクリス・オダウド、ダスティン・ホフマン。監督は「クィーン」「あなたを抱きしめる日まで」のスティーヴン・フリアーズ。

<感想>自転車ロードレースの最高峰“ツール・ド・フランス”で奇跡の七連覇を成し遂げたランス・アームストロング。だがその偉業の裏には衝撃の事実が隠されていた。これは善なのか? 悪なのか? 見る者に問いかける衝撃の「実話映画」なのだ。それは、前人未踏のツール・ド・フランス7連覇を果たした男、ランス・アームストロングのドーピングの実態を暴く衝撃作。

それは、アームストロングのドーピング疑惑を長年追い続けた英国の新聞記者、デヴィッド・ウォルシュのノンフィクションを基に、アームストロングが行ったドーピング・プログラムの実態と、その隠蔽工作の数々を明らかにしていく世界的名選手の栄光と、転落を描いている実録ドラマである。
今夏のリオ・オリンピック直前に浮上してきたロシアの組織的ドーピングや、テニス界の人気選手マリア・シャラポワの問題など、トップアスリートには付き物のどす黒い闇。スポーツと薬物使用の関係はこれまでにも多く取りざたされてきたが、その実状を目の当たりにした者は少ないはずだ。

今作では、ひとりの男が成し遂げた世界的スポーツの偉業が、実はドーピングにまみれたものだったという事実が、衝撃的な描写とともに描き出される。

物語は、1993年の“ツール・ド・フランス”の晴れ舞台に華々しくデビューをしたアメリカ人選手の、ランス・アームストロング。彼を演じているのが最近では「ザ・ブリザード」や「ウォークラフト」に出演しているベン・フォスター。上の写真が本人なので、余りにも似ているので驚いた。

その直後、睾丸のガンが脳にまで転移しているガンが発見され、大手術を余儀なくされる。選手生命を絶たれたも同然だったが、彼は諦めなかった。スポーツ医学の権威であり、悪徳医師のフェラリー(ギヨーム・カネ)の指導を仰ぎ、敏腕エージェントのビル(リー・ペース)にガン患者への支援をアピールさせる。

こうして再出発を果たしたアームストロングは、99年の優勝を皮切りに驚異の快進撃を続ける。世界中が沸く中、スポーツ記者のデヴィッド・ウォルシュ(クリス・オダウド)だけは彼の余りの強さに疑問の目を向けるのだった。

それは、フェラリー医師の元での功妙なドーピング・プログラム。薬物を使うのは本人だけではない、チーム全員の選手が同じプログラムを適用。「ドーピング」と聞くと、注射による薬物投与や口から飲むのをイメージする者が多いだろうが、実際はそれどころの話ではなかった。

本作では、信じられないような綿密なプランニングと巧妙な手段によって行われるドーピングの実態が描かれる。チームが乗ったバスのタイヤがパンクをして道路わきに停車する。その間に、チームの選手たちはフェラリー医師の手で注射や点滴によるドーピング・プログラム。

「こんな方法があったのか!」と驚かずにはいられない。現実は、我々の想像をはるかに超えていたのだ。検査に引っ掛かりさえしなければ、どんなにクロに近くても「シロ」なのだろうか?
本作では、禁止薬物を使用したかどうかをチェックする、ドーピングテストのクリア方法、「抜け道」までが描写されます。組織ぐるみで時間を稼ぎ、運営スタッフの監視をかいくぐり、そして体内の薬物濃度を基準値にまで変化させる。その実態に驚愕しつつも、バスの中では各自の輸血袋を冷蔵庫に保管して、テストの前に自分の静脈に正常な血液を入れ替えるという作戦。

スポーツ記者のデヴィッド・ウォルシュが、アームストロングをドーピング疑惑で訴え、保険会社のダスティン・ホフマンも便乗して裁判にまで持ち込むも、アームストロングの弁護士も証拠がないのに、ドーピングテストをクリアしているのにと。だから、アームストロングは、ドーピング疑惑をきっぱりと否定して、2005年に七連覇を成し遂げた彼は引退を表明するが、やがて衝撃に事実が明らかになる。

それは、個人単位ではなく、所属チーム全体。スタッフ、選手を大きく巻き込んだ「組織ぐるみ」で行われていたのだ。さらには秘密を暴露しそうな選手を脅迫したりなど、だが、チームの選手が洗いざらい喋ってしまう。
誰がどのように管理し、指揮していたのか。高額なスポンサー費用や巨大な利権──周囲もまた、勝ち続けることを求めていたのだから。世界的スポーツを取り巻く利権と企業のきな臭い思惑までが描かれているのだ。

ランス・アームストロングは、組織的ドーピングに手を染める程の勝利への執着心を持つと同時に、ガン患者を支援するチャリティー団体を設立して尽力し、彼らに勇気を与えてきた人物だったのに。この男は、果たしてカリスマだったのか、世界をだましたペテン師だったのか。
英国人監督「クィーン」「あなたを抱きしめる日まで」の、スティーヴン・フリアーズならではの批評的視点で描かれているのも興味深い。しかしながら、観ている観客も唖然とし、その賛否両論で頭の中が真っ白状態に陥るはずです。

2016年劇場鑑賞作品・・・134映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

ホーンテッド・キャンパス ★★★

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19回日本ホラー小説大賞・読者賞に輝いた櫛木理宇の人気小説を映画化。臆病なのに霊が見えてしまう大学生が片思いの後輩を追ってオカルト研究会に入り、仲間たちと一緒に呪われたキャンパスで巻き起こる怪事件の謎を解決する。主演はテレビドラマ「SMOKING GUN 〜決定的証拠〜」などの中山優馬、ヒロインにはAKB48の島崎遥香がふんする。オカルト研究会のメンバーとして『黒執事』などの大野拓朗、『映画 みんな!エスパーだよ!』などの高橋メアリージュン、ジャニーズJr.の安井謙太郎らが出演。

<感想>大学の合格発表の日に、屋上から飛び降り自殺をする女子高生がいた。まずはそのことで驚いた。しかし、すぐに中山優馬くん演じる八神森司が、好きな女の子の灘こよみが受ける大学に自分も合格。常に彼女から目が離せません。だから、彼女がオカルト研究会に入ったので、いやいやながらも八神森司も入部する。しかし、彼には霊感が強くて、踏切で小学生の女の子が事故死したらしく、その幽霊が見えるのだ。
臆病でヘタレな八神森司は、本当はオカルト研究会になって入りたくなかったのに、彼女といつも一緒に居たいために入部したわけ。こよみ役の島崎遥香さん、細くて透明感のある綺麗さがいいですね。

この映画では、幽霊の姿が結構「貞子」みたいな女性の幽霊がおどろおどろしく出てきて、誰にも見えないのに何故か八神森司にしか見えないのが不思議。
そこへ1番のりでやってきた依頼人、アパートの部屋の壁に女性の染みが出てくるというのだ。いくら部屋を引っ越ししても、その壁の染みの女性の顔は付いてくるというのだ。その壁の染みの原因を突き止めるべく、みんなでその依頼者のマンションへと。壁の染みはまさに女性の顔で、その顔がまるで「貞子」みたいに壁から出てきて、その女の幽霊が見えるのは八神森司だけ。
その依頼者の男がアンテーク雑貨が好きで、古びた缶を買ったらその中に人形が入っていた。実はその人形に秘密があったわけで、雑貨屋へ行きその人形のことを話すと、雑貨屋のご主人がこの人形にまつわる悲しい女性の話をする。

雑貨屋のご主人が高校時代に好きになった女性とのエピソードが、その娘に片思いをして、その女子高生は悩みを抱えていた。彼は悩みを聞いてあげて力になってあげれば良かったのに。その女子高生は母親と住んでいたが、母親が再婚をして義理の父親と3人で暮らし初め、直ぐに母親が病死をしてしまい、義父と女子高生の2人で暮らすようになる。それからが、義父が夜な夜な女子高生を襲い、幼児性虐待の毎日で、ついに彼女は妊娠をしてしまい、学校へも不登校になり、ふろ場で子供を産むも赤ん坊はすぐに死んでしまう。

そして、その後に女子高生は夜に寝ている義父を包丁で刺し殺し、自分も首つり自殺をして亡くなってしまったという話を聞くのだが、霊が見える八神森司には、その女子高生が父親を包丁で何度も刺し殺し、赤ん坊を座敷の床下へと隠したのだ。その赤ん坊を彼女は自分のお墓に一緒に弔って入れて欲しいと願う。それが古びた小さい布人形に込められた怨霊みたいなもので、その人形を持った人間に取り憑いたようですね。
もう、その床下から出てくる、段ボール箱に入った腐敗した赤ん坊の姿にドッキリですから。結構ホラー度が強いですよ。

その次が、大学教授の大和田伸也の娘が同じ大学に入学したのに、部屋に閉じこもって出てこないというのだ。教授の娘と合格発表の日に自殺した女の子キリコとは仲良しだったという。オカルト研究会の部室で始める降霊会。西洋のコックリさんみたいな木版「ウイジャ盤」に、みんなで輪になって手を繋ぎ、呪文を唱えて、すると教授の娘に自殺をした女が取り憑いている。だから引き籠り状態で、顔にはブツブツの吹き出物が出て、本当は綺麗な顔だったのに。つまり飛び降り自殺をした女キリコは、好きな男子生徒に告白して断られ、挙句に大学受験も失敗。

その女キリコは吹き出物のブス顔で、オデブちゃん。だから、死んで友達にのり移り取り憑いたということ。教授の娘の体から出てくるブス女キリコが、次に憑依するのは純真無垢な「灘こよみ」なのである。絶対に彼女を守ると言っていた八神森司が、間一髪のところで食い止めるのだが、その後にキリコの幽霊は学校の用具物置の中へ潜んでおり、「灘こよみ」に憑依する機会を狙っているのだ。
ホラー映画は好きなので、結構エグイ赤ん坊の腐乱死体とか、貞子みたいな幽霊が出てきたりするし、屋上から飛び降り自殺をしたキリコは、ラストまで続いており、最後まで観ていると、あの用具物置から黒い影のような液体状態で、またもや「灘こよみ」を襲って憑依するようなシーンで終わるのも、続編作りたいからですね。それでも、他の学生は八神のように霊感がないので、キャンパスライフの青春感も伝わってきて、コメディなのと思えるくらいに笑えるシーンも多く、恋人同士の胸キュン要素もあるという。

2016年劇場鑑賞作品・・・135映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

松島瑞巌寺と松庵夏の味覚、仙台うみの杜水族館

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6月の末に日帰り旅行してまいりました。晴れ女なんですが、梅雨時ですので、あいにくの雨降りでのツアーでした。

平成の大改修を終えた日本三景松島の国宝・松島瑞巌寺本堂を見学
その前に松島の五大堂へ


この春に、大改修を終えた瑞巌寺本堂を案内つきにて見学。










中は写真撮影禁止ですので、ホームページの資料より~
「国宝本堂解体修理展」で宝物館特別展示室に展示しました本堂唐戸は、お客様からの「是非見たい」・「また展示してほしい」との声が多く聞かれました。そこで修理をしていただいている文化財建造物保存技術協会さんと協議し、唐戸を本堂に設置する平成28年夏頃まで引き続き宝物館で展示することとなったそうです。
昼食は、松島の岬に位置する「松島松庵」で夏ランチを風情ある佇まいの中で堪能しました。


食後のお茶は、海が見えるロビーの茶室でいただきました。


その後は、一度は行ってみたいと思っていた「仙台うみの杜水族館」へと。

まずは、2時半からのパワーアップしたアシカショーと、イルカショーを楽しみました。


その後は、ペンギン館に、小さな生き物たち、それに大水槽の前に出て、それはそれは来て良かったと思いましたね。




2016年国内旅行・・・5映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

ヘイル、シーザー!★★★・5

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オスカー常連のジョエル&イーサン・コーエン兄弟によるサスペンスコメディー。ハリウッド黄金期を舞台に、超大作映画の撮影中に誘拐された大スターを奪還すべく、スタジオに雇われた何でも屋による捜査を描く。ジョシュ・ブローリン、ジョージ・クルーニー、チャニング・テイタム、スカーレット・ヨハンソン、フランシス・マクドーマンドら豪華キャストが出演。さらに、コーエン兄弟が新たに挑戦したスターたちによる華やかなミュージカルシーンも見どころ。

<感想>オスカーに4度、カンヌ国際映画祭では史上最多となる監督賞に3度輝くコーエン兄弟のもとに、豪華キャストが集結。撮影にロジャー・ディーキンス、音楽にはカーター・バウェルなどコーエン組の一流スタッフも顔を揃えて、最高にゴージャスな映画の誕生です。

舞台はハリウッドが世界に夢を送り届けていた1950年代。ジョシュ・ブローリン演じるマニックスの仕事は、スターたちが不祥事を起こさないように先回りをして手を打つことなのです。また聖書に基づく映画について宗教指導者を説得したり、レイフ・ファインズ扮するローレンス・ローレンツ監督をなだめたり、様々な問題に取り組んでいる。

同じころには、スタジオの命運を懸けた大作の「ヘイル、シーザー!」の撮影中に突然、主演の大物スタージョージ・クルーニー扮するウィットロックが姿を消すのだ。残されたのは、身代金10万ドルを要求する一通の脅迫状だった。

いつもクールでダンディな姿を見せつけるクルーニーですが、本作ではなんとダメダメ男を演じているのだ。超大作に主演する世界的スターながら、撮影中に睡眠薬を飲まされて誘拐されるわ、連れ去られた先では、犯人たちの共産主義の脚本家たちに簡単に感化されてしまうわで、トホホな状態。一番笑ったのが、ジョシュ・ブローリン演じる「何でも屋」に往復ビンタを張られ、オロオロする情けない顔のクルーニーに、思わず吹き出してしまう。

1940年代に数々のミュージカルで華麗な水中ショーを披露して人気を得た、エスター・ウィリアムズばりに水中を泳ぐスカーレット・ヨハンソン。カラフルな人魚の水着に身を包んだシンクロナイズドスイミング・チームとともに、美しい万華鏡のようなイリュージョンを熱演している。妊娠騒ぎに慌てるジョシュ・ブローリン。

ジーン・ケリーに扮するのは、軽快なタップとダンス、自慢の金髪で魅了するバート・ガーニーのチャニング・テイタム。華麗でダイナミックなダンスは「マジック・マイク」シリーズでお披露目済みだが、今作では歌とタップダンスに初挑戦。白い水兵姿でさっ爽と現われ、仲間たちと繰り広げる一大ミュージカル・シーンは、まさに見応えたっぷりだ。まさか、ロシアに亡命するとは知らなんだ。

それに、フレッド・アステアら伝説的ミュージカルスターの流れをくむ彼らのダンスやアクロバット。そんな要所要所にお目見えする、贅沢な劇中劇シーンに目を見張ってしまう。
コーエン兄弟が長年温めてきた題材は、華やかな映画業界の裏側を奇抜な発想で描くサスペンスコメディ。それはハリウッド黄金期へのオマージュでもあり、当時のスタジオ・システムに対する愛と皮肉が込められてもいる。
エディ・マニックスには実在のモデルが存在している。「キャピトル・ピクチャーズ」のフィクサーであり何でも屋のマニックスのモデルは二人。メジャースタジオ“MGM”で同様の役割を担当した副社長のエディ・マニックスと、「ハリウッドランド」にも登場した広報のハワード・ストリックリンである。劇中でのマニックスは、ナイトクラブの元用心棒と言う設定だが、彼の仕事には、まさに用心棒に弁護士、また広報的な要素も含まれている。

独特のユーモア、個性豊かなキャラ陣も健在で、注目すべきはカウボーイのホビー・ドイル役の、アルデン・エーレンライクのわざとらしい大根役者ぶりに笑えた。そして、新聞記者双子のティルダ・スウィントンの二役も。監督の奥さんでもあるフランシス・マクドーマンドは映画の編集担当者で、首に巻き付けているスカーフが飛んでもないことになるとは。
西部劇ありの、シンクロ水中バレエあり、歴史大作ありというハリウッド黄金時代の栄華の裏に、驚くべき政治プロットが渦巻いているというあたりが、いかにもコーエン兄弟監督作らしいですね。

2016年劇場鑑賞作品・・・136映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

インデペンデンス・デイ:リサージェンス3DIMAX★★★★

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地球に攻めてきた侵略者と人類の激突を描いたSF大作『インデペンデンス・デイ』の続編。前作での闘いから20年後を舞台に、地球防衛システムを完備した人類が再び侵略者と対峙(たいじ)する。『ホワイトハウス・ダウン』などのローランド・エメリッヒ監督、『ロスト・ハイウェイ』などのビル・プルマン、『ディープ・カバー』などのジェフ・ゴールドブラムと第1作のメンバーが再結集。新たに『ハンガー・ゲーム』シリーズなどのリアム・ヘムズワースらが加わる。壮大な物語と圧倒的な映像技術に息をのむ。

<感想>今回も3DIMAXにて鑑賞。前作の戦いは序章にしか過ぎなかった!・・・合衆国全土を覆う超巨大な宇宙船が襲来する。物語自体も前作から20年後と言う設定で、エイリアンと人類の戦いが、さらにスケールアップに描かれている。監督は前作に引き続き「デイ・アフター・トゥモロー」(12)「2012」などパニック超大作を得意とする巨匠ローランド・エメリッヒ監督。物凄い音響とともに、画面いっぱいの宇宙船の迫力に圧倒されました。

前作に引き続き出演しているのが、デイヴィッド役のジェフ・ゴールドブラムの他、ホイットモア大統領役のビル・プルマン、ジュリアス・レヴィンソン役のジャド・ハーシュ、ブラキッシュ・オークン博士役のブレント・スピナーが、老人ホームに住んでいるようなデイヴィッドの父親ジャスミン・ヒラー役のヴィヴィカ・A・フォックスなどが前作から続投。しかし、爺さんたちが意外に頑張っていたのに驚いた。

今回では新たな主役を任されたのが『ハンガー・ゲーム』シリーズなどのリアム・ヘムズワース、主人公が扮する戦闘機パイロットの新キャラクター・ジェイクにバトンタッチされていて、元大統領ビル・プルマンの娘役で、マイカ・モンローが恋人になっていた。彼女は「イット・フォローズ」のホラー映画で活躍。女性パイロット役で香港女優のアンジェラ・ベイビーがクール・ビューティな魅力を発揮している。

他にも女大統領のランフォードを演じるのが、『ゴーン・ガール』『デイ・アフター・トゥモロー』でも知られるセーラ・フォード。そして、アフリカに残されていた宇宙船の基地のゲリラの女博士にシャルロット・ゲンスブールが。

そして同作の時間軸の2007年4月27日、スティーブン・ヒラー大尉は戦闘機の試用運転中、原因不明の誤作動が起こり死亡したとのことで、ウィル・スミスの出演はなし。しかし、ヒラー大尉の妻ジャスミンと息子のディランは生きている設定のようで、ディラン・ヒラーを演じるのはジェシー・アッシャー!役職は父スティーブンと同じく大尉であり、スピード出世でエリートコースを歩む彼はパイロットの精鋭部隊を率いる空軍のリーダーを演じます。リアム・ヘムズワースと地球防衛軍の戦闘機乗りで活躍する。

1996年のエイリアンとの激戦から20年後。その間に人類はさらなる襲来に備えようと、エイリアンが残した宇宙船の技術を転用した地球防衛システムを作り上げる。つまり、エイリアンの技術が様々なビークル(乗り物)や武器システムに取り入れられ、開発が繰り返された、と言うのが本作の設定。

印象的なのが、月面基地での主人公ジェイクが操縦する「ムーン・タグ」である。2つのアームと足があり、しかもコンパクトで実用的な外見。実物大のモデルも制作したというこだわり。

2016年7月、そんな人類を試すようにアメリカ全土を覆うほどの大きさを誇るエイリアンの宇宙船が出現。彼らは重力を自在に操る圧倒的な科学力で、ニューヨーク、ロンドン、パリといった都市を次々と襲撃する。猛攻撃は止むことなく続き、人類存続の要であった防衛システムも無力化してしまう。

20年後という設定で、人類が月面基地にも地球防衛システムが、そこへ球体の宇宙船が接近。実は後で分かるのですが、この球体の宇宙船は地球の味方だったのに、撃ち落としてしまうなんて。基地からの攻撃で撃墜されるも、その球体を調べるデイヴィッドの前に新たな宇宙船が現れる。それは月と同じくらい巨大な宇宙船であり、月面基地は壊滅になってしまう。
そして、エリア51へ集結。エリア51に捕獲されているエイリアンたちは冬眠から目覚めて騒ぎ出し、その間の巨大宇宙船が地球へと近づき、重力によって各地の建物を吸引すると、それらを別の都市に落下させ、世界中を破壊していく。最終的に、大西洋全体の上空が宇宙船に覆われるのであります。

その巨大宇宙船にはエイリアンの女王が存在していることが発覚。戦闘機パイロットのジェイクらは宇宙船内部で女王攻撃するために飛び立つのだが、一方では、エイリアンが宇宙船を使って大西洋の海底から地球の「核」を吸い上げ始める。「核」を失えば地球は崩壊することになる。
エイリアンの女王はさしずめスズメバチの女王であり、兵隊蜂が命令で物凄い数で飛んでくる。元大統領のビル・プルマンが、今度こそ女王をやっつけると戦闘機に乗り飛んでいくも、罠であり女王がいない巨大宇宙船を攻撃することになる。
そして女王の乗った宇宙船が、デイヴィッドのパパが運転するスクールバスの前に現れます。そこは真っ白い塩湖で、出てきた女王エイリアンは、大イカの化けもんであり、中に小さい女王イカが入っていた。父の敵とばかりに、娘のマイカ・モンローが戦闘機に乗りでやっつける。
エメリッヒ監督によると、20年前に比べると、ミニチュアモデルも多用し、そこに多少のデジタル合成を加えるのが精一杯だった。水をデジタルで表現することも不可能に近かった時代だった。燃えるような雲を表現するために、アナログな複雑な挑戦もあった。今回は、水、火、煙をすべてデジタルで映像化することができ理想的な映像になったと言っている。
映像のリアリティやスケール感が格段に進歩している本作。見どころは、月と同じ大きさの宇宙船が現れ、地球上で有名な建造物のクアラルンプールのツインタワーや、ドバイのブルジュ・ハリファなどを重力で吸い上げ、ロンドンの上空から落下させるなど、これまでのパニック超大作の常識を超えるシーンが見られます。

2016年劇場鑑賞作品・・・137映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

セトウツミ ★★★・5

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関西の男子高校生2人が放課後に何となく会話するだけという異色さで話題の、此元和津也による人気漫画を実写映画化。タイトルは瀬戸と内海という主人公2人の名前を組み合わせたもので、彼らが交わす嘲笑的でユーモアを織り交ぜた掛け合いが展開していく。クールな内海役には『海を感じる時』などの池松壮亮、天然キャラの瀬戸役に『共喰い』などの菅田将暉。監督は『まほろ駅前多田便利軒』などの大森立嗣が務める。
あらすじ:性格は正反対だがどこかウマの合う高校2年生の内海想(池松壮亮)と瀬戸小吉(菅田将暉)は、放課後にいつも河原で話をしながら暇つぶしをしている。くだらない言葉遊びや、思いを寄せる女子へのメールの内容、時にはシリアスなことも語り合う。そんな二人を見守る同級生の樫村一期(中条あやみ)に瀬戸は憧れているが、樫村は内海に好意を抱いており……。

<感想>元サッカー部の少々熱血なお調子者で、部活をやめて暇をもてあましている瀬戸、塾に通うクールなメガネ男子で、塾までの時間をつぶしたい内海。関西の高校生であるこの二人が、放課後はいつも一緒に河原で時間を潰して、ただただ川辺でだべっている。これといった目的もなく、ダラダラと無駄話を続ける瀬戸と内海だったが…。

言ってしまえばこの映画はそれだけの作品なのだ。体育会系でアホな瀬戸を菅田将暉が演じて、クールで賢い内海を池松壮亮が演じている。
どちらがボケで、どちらがツッコミという漫才コンビでもない。まさに「暇つぶし」の他愛もない会話だけが繰り広げられ75分。ドラマチックなことは起こらない。恋も実らないし、ガチャガチャのシークレットも出ないのだ。

しかしながら、これは紛れもなく青春映画なのだ。例えば教室、通学路、コンビニの前、駅のホームなど、何するでもなく友達と過ごした、クダラナイ時間がきっと誰にでもあるだろうから。

町中を流れる川に沿った、ちょっとした広場の短い石段。座り込んだ2人の背後には人や車が行き来して、広場にも人が出たり入ったりと。ポイントはあくまでも彼らの関西弁の他愛もないお喋りなのだが、その日替わりのお喋りが座り込んだ2人の周辺の人々の動きと、自然体で反応しあっているのがまるで連続コントのようだ。

原作が漫画だが、小咄をしている漫画のよう。本作で延々と描かれている会話には、相手からどんなに退屈な会話を振られても、関西人の多くはそれを受け止めようとする。意味なさげな会話は、相手を放っておかない優しさのようなものでもあり、関西の言葉の持つ独特なドギツサと柔らかさがその印象を深め耳障りにはなっていない。

その中に、回想シーンや、中条あやみさん、映画監督の鈴木卓爾とか、ピエロ役・宇野祥平らが、名バイ・プレーヤーぶりを見せいて、いろんな人との絡みもあるんで結構面白い。

瀬戸と内海のなんでもない毎日は、私たちの何でもなかった毎日とまるで同じなのだ。それは恋も部活も勉強もケンカも関係ない「物語にはならない」日々だけれど、大人になって思い出すのはそういうどうでもいい時間だったりする。
そして、そうやって思い出した時に初めて、あれが青春だったと気付くのである。シンプルな設定の中に青春という季節の宙ぶらりんさをここまで表現している演出と、主演の2人が実に巧い。

2016年劇場鑑賞作品・・・138映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

死霊館 エンフィールド事件★★★

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著名な心霊研究家ウォーレン夫妻の実体験に基づく大ヒットホラー『死霊館』の続編。史上最長のポルターガイスト現象とされるエンフィールド事件を題材に、人体浮遊など説明のつかない現象に悩まされる一家を救うため、ウォーレン夫妻が調査に乗り出す。前作に続きジェームズ・ワン監督と、夫妻役のパトリック・ウィルソンとヴェラ・ファーミガがタッグを組む。共演には、『A.I.』などのフランシス・オコナー、『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』などのマディソン・ウルフらが名を連ねる。
あらすじ:ロンドン北部に位置するエンフィールドで、4人の子供とシングルマザーの家族は、正体不明の音やひとりでに動く家具が襲ってくるなど説明のつかない数々の現象に悩まされていた。助けを求められた心霊研究家のウォーレン夫妻(パトリック・ウィルソン、ヴェラ・ファーミガ)は、一家を苦しめる恐怖の元凶を探るため彼らの家に向かう。幾多の事件を解決に導いた夫妻ですら、その家の邪悪な闇に危機感を抱き……。
 前作の「死霊館」   「アナベル死霊館の人形」

<感想>前作の続編ということ、監督も同じだというので鑑賞した。実話だそうで、1977年、心霊研究家のウォーレン夫妻がアミティビルの惨殺事件の調査を終えた後、ロンドンで起きた奇怪なポルターガイスト事件の真相を探るため渡英する。
向かったのはシングルマザーのペギーと4人の子供が暮らすエンフィールドの古い家。ここで毎日のように起きる数々の不可解な現象に苦しめられる次女のジャネットを救うために、ウォーレン夫妻は調査を開始するのだが、・・・。

同じような住宅が並んでいる一軒家、その古びた家に離婚をして子供4人と暮らしている家族がいるのですが、暮らしは夫からの養育費と母親の収入で生活をしているようだ。ですが、夫からの養育費が途絶えており、母親はイライラが募り神経質になっている。
それでも、4人の子供たちは皆元気で、その中の次女のジャネットが霊感が強いのだろう彼女が毎晩夜中に起き上がり、幽霊とご対面をする。この家に住んでいた老人の霊がジャネットに取り憑いで、少女の体を借りて老人の皺声、ダミ声で話すのだ。

初めは心霊現象といっても、女の子に取り憑く前の住人の老人の幽霊であり、そのことが分かるとあまり怖くはない。TVクルーや調査隊もやって来て撮影するのだが。家の片隅や子供部屋のベッドの下の暗闇、大きな物音など子供のころに擦り込まれたリアルな恐怖を感じさせる。結局は心霊研究家のウォーレン夫妻のところへ以来される。

初めは、家族の生活が苦しいこともあり、次女の体にのり移った霊が困らせようとしている。カメラに写った映像から一連の怪奇現象(ジャネットがベッドの上に飛び上がっている写真)は、ジャネットの狂言だったという疑いが浮上するのだ。つまり、気の毒な家族に政府から援助してもらうための作り話、狂言ではと考えられるということになる。
しかし、ロンドンに来る前にウォーレン夫妻に、強力な尼僧シスターの悪魔が見えるのだ。夫が絵に描いているのがそうで、妻ロレインにもその悪魔が宿った強力な尼僧姿のシスターが見え隠れする。そして、夫が体に木の杭で打抜かれているのが見えるロレイン。何とかして、夫をその悪魔から守らなければ。

その悪魔の尼僧シスターが、少女ジャネットの体に取り憑き、老人のバックにいることを突き止めるあたりから、映画はホラー度がもの凄く恐怖に満ちた映像と、音響でどん底へと観客を怖がらせるのだ。
ロンドンと言うこともあり大雨が降り、家の地下室にまで水が入り、その暗い地下室へ行く夫のウォーレン。その水の中に悪魔のような老人の顔が写り込むし、母親の腕にも噛みつき歯形がくっきりと、それは、その老人の入れ歯ということが判明する。

子供部屋は、怪奇現象でベッドやクローゼットが壊されて、壁には十字架がたくさん吊るされているも、その十字架がクルクルと回り出すのだ。恐ろしい悪魔の怪奇現象や、物を飛ばして壊したり、人間を持ち上げて床に叩きつけるなどの怪奇現象とみられるシーンが多い。これも慣れてくると、あまり怖くなくなるから、またかぁ~って、変な感じですよね。
それに、クリスマスという時期でもあり、部屋にはツリーを飾り付け、プレスリーの「好きにならずにはいられない」のレコードで心が和むシーンもあり、何だか恐怖心が無くなってくるのだ。

一度帰ったウォーレン夫妻が戻ってくるところから、一家のために立ち上がるクライマックスには、俄然恐怖度が増加して、それは飛んでもなく恐ろしい恐怖へと誘うのです。
家はカギがかけられて外からは入れない。中には少女ジャネットが助けを呼ぶ声が聞こえるし、夫役のパトリック・ウィルソンの活躍による少女を助けるシーン。それは、ローレンが夢にまで見た、悪魔が夫を木の杭で体を射抜くシーンがまざまざと見せつけられること。夫とジャネットを助けないと、ヴェラ・ファーミガの悲愴な顔が青白く映りだし、絶対に悪魔祓いをしてやるという強い決心が見える。
悪魔の姿をした尼僧のシスターは、かなりやりすぎのような感じがしたが、ロレインが聖書に書いた名前、“ヴァイラ”地獄の侯爵よ、地獄へ戻れと唱えると、その悪魔は消えていくのだ。そして、アメリカへ帰った夫妻、自宅の地下室にある「博物館」に、また一つロンドンから持ち帰った「ヘソ曲がりの男」という周りドウロのオルゴールが増えていた。エンドロールで、この一家の母親ペギーが、亡くなるまでこの古い家に住んで、爺さんと同じ脳溢血で亡くなったというのだ。その後には怪奇現象なんて起きなかったのかは分かりませんが、なんというか因果関係が少しはあるのかなぁと思いましたね。

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素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店 ★★★・5

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『キャラクター/孤独な人の肖像』が第70回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したマイク・ファン・ディムによるコメディー。大富豪の青年が自殺ほう助のサービスに申し込んだものの、ある女性と出会ったことから一転、二人で逃避行を繰り広げる羽目になる姿を描く。『LOFT −完全なる嘘(トリック)−』などのイェロン・ファン・コーニンスブルッヘと『人生はマラソンだ!』などのジョルジナ・フェルバーンが出演。重いテーマを扱いながらもユニークで軽快な物語に引き込まれる。
ストーリー:オランダの大富豪の息子ヤーコブ(イェロン・ファン・コーニンスブルッヘ)は、母の死後に自殺しようとするもあえなく失敗。偶然知ったベルギーの代理店が「最終目的地への特別な旅」のプラン、つまり自殺ほう助を行うサービスを提供していたことから、ヤーコブはどのタイミングで死ぬかわからないサプライズコースに申し込む。ところが同じコースを選んだアンネ(ジョルジナ・フェルバーン)と出会い、心境が変化していき……。

<感想>自殺に失敗ばかりしている男の話ではないんですね。贅沢な悩みで、母親が亡くなってしまい、自分ひとりでは生きられないとでも思ったのでしょうかね。つまりは世間しらずのお坊ちゃんで、貴族の御曹司でありながら、恋も知らずに毎日をただ無意味に過ごしてきたらしい男が、母親の死後に、全財産を財団に譲り、自殺ほう助が合法となる国ベルギーで、その専門の会社に依頼するのだ。

それからは、毎日のように自分の近辺で暴走トラックに轢かれそうになったり、今にも殺されそうな事態に陥るのだが、それでも死ぬことができず、何故か人生初めての女の子と恋に落ちてしまう。

だから、それからというものは、死ぬことよりも、その彼女と一緒にいたいし、全財産の寄付も破棄しようと画策するのだが、貴族のバカ息子が気が変わって命が惜しくなったのかと。

それにしても、貴族の家に生まれて経済的に何不自由もなく贅沢三昧に暮らし、母親が亡くなり自分も後追い自殺をしようと考えるバカ息子の話で。必ず訪れる死を、意識しながら生きるとは、生を濃密に経験することにほかならず、そうやって主人公が人生に目覚める物語なのかと。そう思っていたら、それだけに留まらず後半では怒涛の展開になっていた。

それでも、ベルギーという国は、自殺幇助が合法となるお国がらなので、請け負った葬儀社はこれぞとばかりに、バカ息子を殺しにやってくる。

そのバカ息子が初めて女の子に恋をしたその女が、自殺を請け負う葬儀社の娘で、御曹司の殺し屋として仕向けられたのだから。二人とも好きになってしまい、ベッドインまでしてしまって、これでは死ぬに死にきれず、これから彼女と暮らしていくには、豪邸も財産もいるわけで、心変わりをする主人公。

それに、生まれてからずっと世話になっている屋敷の使用人たちも、全員リストラされてしまい、挙句に庭師のムラーが、老い先短い人生を屋敷を追い出されて、途方にくれる始末。そんなことにはお構いなしの世間知らずで、感情のない男が、初めて恋をしたことで生きることへの執着心とか、他人に対しての心づかいとか、いろいろと学んでいくわけ。

奇妙な倫理とブラックユーモアで笑わせてくれる。大富豪が主人公ゆえに随所に充満するラグジュアリーな雰囲気と、高いプロ意識を持つわりには、何だか間の抜けたところがある自殺請負会社のメンバーのキャラ。恋した娘の父親が経営する会社であり、義理の兄弟が殺し屋をしているのも笑わせる。

生と死、愛と幸福、といったものを丸く収めて、しっかと見つめた人生観をめぐる物語が、絶妙なさじ加減で心地よく絡み合っているいるのだ。
ヒロインの娘、ジョルジナ・フェルバーンがちょっと、オードリー・ヘップバーン似でお転婆娘で美人なのが素晴らしい。主人公のみならず、この娘が最後に明かす、どんでん返しともいうべき、作劇上のサプライズにもなっていくのも巧みで良かった。

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ピアノ・レッスン ★★★★

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ジェーン・カンピオン監督の『ピアノ・レッスン』は深く琴線に触れる作品であり、1993年に公開されると、その豊かで夢幻的な映像によって観客を魅了している。映画は力強くも夢のようなロジックに基づいており、ストーリー性すらあっさり否定してしまう。息をのむほど美しい恋愛映画であり、異彩を放つ演出家であるカンピオン監督が独特の手法で作り上げている。
カンヌ国際映画祭ではパルム・ドール賞を受賞し、さらにアカデミー賞ではホリー・ハンターとアンナ・パキンがオスカーを受賞して、カンピオン監督が脚本賞をそれぞれ受賞している。1993年、世界を魅了し、多数の映画賞を受賞した「ピアノ・レッスン」がインターポジからのニューテレシネで登場。19世紀、ひとりの女の愛と官能を丹念に、映像美豊かに描いた大傑作。
監督・脚本:ジェーン・カンピオン
撮影:スチュアート・ドライバラ
美術:アンドリュー・マッカルパイン
衣装:ジャネット・パターソン
音楽:マイケル・ナイマン
出演:ホリー・ハンター、ハーヴェイ・カイテル、サム・ニール、アンナ・パキンほか

<ストーリー>19世紀の半ば、夫と死別したエイダは、娘とともに再婚相手スチュアートの暮らすスコットランドからニュージーランドへと写真結婚で嫁ぐエイダ。旅のお供は娘のフロラと一台のピアノ。
エイダは6歳の時から口がきけなく、ピアノが彼女の言葉だった。そのピアノを夫のスチュアートは重すぎると浜辺に置き去りにし、原住民に同化している男ベインズの土地と交換してしまうが、ベインズはエイダに“ピアノ・レッスン”をしてくれればピアノを返すという。レッスン一回ごとに黒鍵をひとつずつ。エイダが奏でる甘い調べは、いつしか激しい愛とエロティシズムの炎を燃えあがらせてゆく……。

<感想>映画を観て欲しくなりVHSで購入したもの。久しぶりに観たくなり引っ張り出しました。美しい調べにのせて繰り広げられる、哀しくも熱い愛の物語。

さすがジェーン・カンピオン、映像と音楽が本当に素晴らしい。激しい心情を内に秘めたエイダ役を演じるホリー・ハンターと、そんな彼女の心の垣根を一枚一枚剥がしてゆくベインズ役、ハーヴェイ・カイテルとの“純愛”には、観るものの胸を打つものがあります。
不倫の物語ですが、エイダが口が利けず、 感情表現の手段がピアノだけだという設定がとても効いていて、 言葉にできない感情が、音楽に乗って見る者に迫ってきます。
海辺に届いたピアノ、・・・そして、 ピアノの鍵盤を1つずつ返してもらうために、 ベインズ(ハーヴェイ・カイテル)の元へピアノを教えに行く道すがらの気持ち…。
ピアノ・レッスンとは名ばかりの二人の交際だけれど、いつしかエイダとベインズの間には愛情が芽生えます。それはやはり体を重ねたからなのだろうか。それとも、旦那とは違う魅力に惹かれたのか。

最後に一度は、もう一つの自分ともいえるピアノとともに、死んでしまおうかと考えながらも、やはり生きていこうとするエイダの、それまでには見られなかったような生への、執着が感じられるところもよかった。
もう、これからのエイダにはピアノだけではない。ピアノもろとも海中に落ちてしまうまで、見事な映像と音楽。 そして、「新しい指」で弾くピアノ。

エンド・ロールを見ながら、生きるということについて、・・・ため息の出るような官能的な作品です。
音楽は勿論マイケル・ナイマン。この映画がこれだけ深味のある作品になったのも、彼の力が50%はあったんじゃないかと思える程、絶品です。
娘役のアンナ・パキンは可愛らしくも凄い演技を見せていたと思います。

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