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バースデーカード★★★・5

若くして他界した母が娘のために書きためたバースデーカードを誕生日のたびに受け取るヒロインの成長を見つめたヒューマン・ドラマ。主演は橋本愛、共演に宮崎あおい、ユースケ・サンタマリア。監督は「キトキト!」「旅立ちの島唄 ~十五の春~」の吉田康弘。
あらすじ:泣き虫で引っ込み思案な紀子は、10歳の時に最愛の母を病気で亡くす。亡くなる前、母は紀子が20歳になるまで、毎年誕生日に手紙を送ると約束してくれた。11歳の誕生日、約束通り母からのバースデーカードが届いた。以来、毎年届く母からのバースデーカードは、成長していく紀子を励まし勇気づけてくれるのだったが…。
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<感想>亡き母親からの手紙を通してさまざまな経験を積み、成長する女性の姿を綴った“母と娘”の物語。デビュー作の「キトキト!」は観ていませんが、吉田康弘監督がこの作品では、実直で優しさにあふれたオリジナル・スト-リーを創出。確かに王道であり、題材的によくある感動系というジャンルに埋もれてしまい、本当に泣ける作品であります。
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17歳の誕生日には、母の手紙に「自分の故郷である小豆島へ行き、中学校のタイムカプセルを掘り起こしてきてくれ」と言うもので、仕方なく出かける紀子。でも、母親の生まれ故郷へ初めて行ったわけで、母親の同級生や親友、それに修学旅行の秘密など、ピンクレディが大好きで友達と振り付けして歌っていたというのも。この時には、まだ反抗期ではなかったのに。
その中でも、19歳の誕生日には、手紙を見ないと言う紀子。いつも手紙にはああしろ、こうしろと命令調に書かれていて、紀子はその通りに行動していたのだ。それが、19歳の誕生日に爆発する。もうお母さんの手紙に振り回されるのは嫌だと。父親が怒る「お母さんの謝れ、謝るんだ」ときつい言い方。
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娘にしてみれば、今ここにいない母親に、どうしてあれこれ指図されなければいけないのかと反抗する。遅い反抗期である。それでも、手紙には、母親も「何故に手紙を書かなければならないのか、19歳の紀子には会えないのに」とさめざめと泣く。なだめる父親。だから、19歳の手紙には、お父さんと初めて喧嘩をして、結局手紙は書けなかった。という内容でした。成長する娘と息子の姿を観ることは出来ないが、せめて、誕生日に渡す手紙とプレゼントを。これは母親からの愛情だよね。
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母親が最後に、家族とピクニックへ行きたいと願い、一緒に車で行き、カレーライスを作って食べた思い出がある。やはり、家族で何処かへ揃って行くことは大事だと思います。
それに、高校生の夏休みに、同じクラスの男子を好きになるも話しかけられない。それが、町内の夏祭りに近所のおばさんに浴衣を着せられて祭り会場へ行くと、タコ焼き屋にその男の子が働いていた。照れくさいも、一緒に花火を見て、初キスもと思ったらそれはまだ早かったのね。
それでも、その男性と大学生になってから出逢い、バイクに乗ってデートをして、ラーメン屋で働いている彼と恋仲になってしまう。そのことを、父親に話す時も、中々言えずに微笑ましい場面もあります。
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亡くなった母親から毎年に誕生日に手紙が届く。それは、父親が母親の生前に子供たちの誕生日に手紙を書いてくれと頼んだからなのだ。娘の成人も花嫁姿も見届けられなかった母親が残した精いっぱいの想いが、会えなくても、話せなくても、母と娘は常に二人三脚で成長してきた。しかし、やがて娘が母から巣立つその日、20歳の誕生日が近づいて来る。
紀子という名前は「21世紀に確かに、こういう人間が存在した」という意味を込めて父親がつけたもの。子供の頃の紀子は引っ込み思案の泣き虫で、クラス対抗クイズ大会ではうまく答えられなかった。というのも、クラスの女の子たちの虐めに遭い、答えたら後でどうなるか覚えてなさい。と強い口調でクラスの女の子に言われ、クイズが始まるとそれを思い出し、何も答えられずに下を向いていたのだ。
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ですが、そんな紀子を励ましてくれるのは「パネルクイズ・アタック25」が大好きな母親で、一緒にTVを見てはクイズに答えていた。だが、母親は病に倒れ、亡くなってしまう。成長した紀子が、引き出しに入っていた「パネルクイズ・アタック25」の応募ハガキ。そして紀子が出場に応募する。このシーンも、母親が出たかったと言っていたが、実のところは、娘の紀子を出させたかったに違いない。結局は優勝しなかったけれど。
ヒロインの紀子(17歳から25歳迄)を演じた橋本愛と、母親の宮崎あおいの他に、父親にユースケ・サンタマリアが、弟役には須賀健太、恋人役の中村蒼らの淀みない好演が爽やかな印象を残している。実在の視聴者参加型番組「パネルクイズ・アタック25」に、紀子が出場する終盤の展開も楽しい。
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そして、紀子の結婚式の日、弟は大学進学を止めて、日本一周自転車旅行へ旅だってしまい、どうにか連絡が付いて式に間に合った。この晴れ姿を母親に見せたかった。しかし、母親もこの日の為にと、亡くなる前に花嫁ドレスのケープを、せっせと作っていたのですね。
“何よりも家族を大切に思う母親の願い”を描き出していて、それに娘を思う母親の愛情がもの凄く感じられて、それが「アタック25」に出場した紀子が100%のボルテージで喜ぶ表情には、天国のお母さんも喜んでいるに違いないと。
でもね、紀子に子供が生まれて、母親だってきっと紀子の孫が生まれるのを分かっていたはず、だから孫のために毛糸で靴下とか編んでプレゼントすれば尚のこと涙が零れてくるでしょうに。しかし、最後にはハッピーエンドになる素敵な物語です。
2016年劇場鑑賞作品・・・226Image may be NSFW.
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エル・クラン ★★★

アルゼンチンで起こった事件を映画化し、第72回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞に輝いた犯罪ドラマ。平和な街で多発する富裕層だけを狙った高額の身代金誘拐事件をきっかけに、ある裕福な一家に隠された秘密が描かれる。近所から慕われるプッチオ家の主を、『瞳の奥の秘密』などのギレルモ・フランセーヤが怪演。スペインの鬼才ペドロ・アルモドバルが製作を務め、『セブン・デイズ・イン・ハバナ』などのパブロ・トラペロがメガホンを取る。
あらすじ:1983年のアルゼンチン、裕福なプッチオ一家は近所の評判もよく、幸せに生活していた。ある日、二男が通う学校の生徒が誘拐され消息を絶つ。それ以来、一家の周辺で金持ちだけがターゲットにされる身代金誘拐事件が続発し、近所の住民たちは不安を募らせる。一方、いつも通りの生活を送るプッチオ家では、父アルキメデス(ギレルモ・フランセーヤ)が鍵のかけられた部屋に食事を運ぶと……。誘拐事件に街がざわつく中、プッチオ家ではいつもと変わらない穏やかな時間が流れていくのだったが…。
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<感想>この映画は軍政から民主制に移行する途上の80年代。アルゼンチンで実際に起こった一連の誘拐、監禁事件を取材しています。それでいて、監督のパブロ・トラペロは父親のアルキメデス・プッチオ率いる犯罪一家を批判することなく、彼らの日常を乾いたタッチで描くことに徹しているのだ。
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ある日、長男のアレハンドロは、友人と車にいるところをいきなり何者かに拉致される。ところが犯人は、驚くことに自分の父親だった。友人を拘束した父は、母親の作った料理を2階の監禁室へと運ぶ。
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その後のあらすじ;誘拐事件に街が騒然とする中、プッチオ家はいつもと変わらぬ生活をしていた。やがて、アルキメデスは人質の家族から多額の身代金を受け取ったが、人質は家へ戻ることはなかった。つまり、父親がその人質を銃殺して埋めてしまったから。その後も一家は、仕事(誘拐、監禁)を続けるが、彼らを疑う者は誰もいなかった。だが、息子のアレハンドロに恋人モニカができて、“仕事”から抜け出すと言い出した時、家族の歯車が狂い始める。
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面白いのはこの一家が、独裁政権時代に甘い汁を吸ったエリート官僚一家であり、民主派のアルフォンシン政権誕生によって失脚した点である。彼らは裕福な暮らしを維持するために、誘拐身代金を必要としたが、同時にかれらのビジネスは、民主制権下の社会不安を煽るため、旧政権の大物から庇護を受けていたことが匂わされるのだが。
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主人公が官僚時代にどういう役割を担っていたのか。そこを描いていないのも残念だし、父親に対する息子の存在が、独裁政権下の官僚と重なって見えたけど、恋人ができて誘拐犯から足を洗ったのに、弟がデブになって戻ってきて、父親の誘拐を手伝うことになるも、失敗してしまうのがおち。単なる犯罪スリラーとするには裏があり過ぎるのが興味深いですよね。
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この事件で一番重要に感じられたのは、その事件をモチーフにして家庭内での父と子の関係を描くことにある。食前に祈りを捧げる場面が象徴的ですが、劇中ではプッチオ家の食卓が繰り返し、まるで儀式のように描かれている。それはまるで、父の支配下でみんなが家族を“演じられされている”ようにも見えるのだが。
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外からみたらこの一家が身代金目的で、誘拐、監禁を行っているなんてとても思えませんからね。モンスター父親は映画でよく描かれますが、この父親はワースト級ですから。家族を見捨てる父と、保身ゆえ家族を犯罪組織にしていく父とどっちが酷いだろう。本人はむしろ愛と思っているようだが、特にプッチオ父親と長男の絆の宿命は鮮烈であり、最後まで尾を引いてしまうのだ。

2016年劇場鑑賞作品・・・227Image may be NSFW.
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金メダル男 ★★★・5

「ピーナッツ」「ボクたちの交換日記」に続いてこれが監督3作目となる人気芸人の内村光良が、2011年に上演された一人舞台『東京オリンピック生まれの男』を原案に、監督のみならず原作・脚本・主演を務めたコメディ。子どもの頃からどんなことでもいいから一等賞を目指す主人公の波瀾万丈の人生を描く。内村とともにW主演で若き日の主人公を演じるのはHey! Say! JUMPの知念侑李。共演は木村多江、ムロツヨシ、土屋太鳳、平泉成、宮崎美子、笑福亭鶴瓶。
あらすじ:東京オリンピックの年に長野県塩尻市に生まれた秋田泉一は、小学生の時に運動会の徒競走で一等賞に輝いたことがきっかけで、以来あらゆるジャンルで一等賞を獲りまくり、“塩尻の金メダル男”と呼ばれるようになる。ところが中学に入ると異性のことが気になり、すっかり一等賞が獲れなくなってしまう。高校で巻き返しを図るもなかなか上手くいかない。しかしそれは、金メダルにとりつかれた秋田泉一が繰り広げる波瀾万丈の七転び八起き人生のはじまりに過ぎなかった。
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<感想>内村光良が原作・脚本・監督・主演の4役を務めて挑む内村ワールド全開のコメディ映画。アラユルジャンルで1等賞になることを目指す男、泉一を主人公に、七転び八起きしながらもチャレンジを諦めない全力な生きざまを、温かい笑いと共に描いている。知念君は内村とW出演で、若き日の泉一を演じている。絶大の信頼を寄せられての初出演です。
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中学校と高校生活の中で、何にでも1番にトライする主人公の泉一を演じている知念くん。一番の見どころは水泳部で1度も呼吸するために顔を上げない無呼吸水泳のわざには驚きでした。ですが、女性が入ってきて、水着の泳ぎ方を見たいとつい、呼吸するために顔を何度も上げてしまい、最後には溺れる始末になる。それに、剣道部でも、籠手しか狙わずに失敗するし、高校に入ってもバスケ部では戦力外でみんなの輪に混ざれずに、それからは、家でゴロゴロとTV三昧の生活です。
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そのTVの中でアイドルの北条頼子が歌う「私のサンクチュアリ」を聞き、自分一人で中庭で1人だけの部活「表現部」を作る。そこでは、文化祭で披露した「坂本龍馬 その生と死」という題目で、一人芝居というか、飛んだり跳ねたりとガンバッテ演じて全校生から拍手喝さいを得ました。
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それで、入部者がたくさん来て、第二期黄金時代の幕開けとなり、みんなでドタバタ劇団のような感じで、まさに気分は吉田松陰で、そこへまた横井さんという綺麗な女子が入部して、2人で白鳥の求愛ダンスのように創作ダンスを練習し、結局は横井さんから嫌われてしまい退部されてしまう。この横井さんには土屋太鳳さんが扮してました。そこへ部員の一人から3年生だから引退をせよと言われ、自分が始めた部活なのに辞めざるを得なくなったのだ。
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1983年、東京へ着くも、鶴瓶さんの寿司屋でバイトしたり、仮装大会に出場していちごのショート・ケーキの被り物をしたり、ウルトラクイズ大会へ出たり、ジャニーズのオーディションに落ちたり、1986年日本はバブルの景気の真っただ中、ぼったくりバーに誘われて店に入り、ヤクザの男に財布ごと全財産を取られて、そして公園のベンチで寝てしまい、朝になると元気な声がして、「劇団 和洋折衷」に入る。そこでは、高校生の時に一人部活「表現部」でダンスやら何でもしていたので、重宝されてフランケンシュタインの扮装をしたり、しかしそれも長続きせずに劇団は解散になる。
また一人になってしまった主人公が、今度は世界へ旅しようと中国から自転車でベトナム、ミャンマー、そして自転車を盗まれてしまう。イタリアではピザの大食い競争へ出て、インドではカレーの大食い大会で水に当たり断念するも、バイクでタイへ行き交通事故で入院する。
2003年、38歳になりボートで太平洋横断の旅に出て、嵐に遭い無人島へ漂着する。そこで7か月の間、巨大なハゲタカに襲われ剣道の籠手で攻めまくり打ち負かす。今までの経験をいかんなく発揮して、一人で火起こし、魚獲り、家を作り、貝殻で楽器を作り、水を濾過する発明も、だが、髭が伸び放題で原始人のようだ。すると、大型船が地平線に見えるではないか。大声大会で優勝した「お父さん、ここにいるよ」で、船に聞こえたらしく無事帰ってくる。
それからが、無人島生活、平成のロビンソー・クルーソーと言われて有名になってしまう。凱旋講演をして回り、TVにも出演して有名になる泉一。金メダル男もメッキが剥げてしまい、だんだんと出番がなくなる。彼のマネージャーをしていたのが、泉一が惚れて勇気を貰った「私のサンクチュアリ」の北条頼子だった。彼女には木村多江さんが演じており、初めはメガネをかけて地味な感じでしたが、居酒屋で酔っぱらう姿が最高。
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そして北条頼子と結婚して2人で漫才コンビ「東京アイランド」を組むもダメ、それに、究一という息子が生まれる。泉一も父親と同じくデパートで働き、広告の垂れ幕のアクロバティック・スタントで一躍ヒーローになるも、着地に失敗して足を骨折、これもいつの間にか客に忘れ去られてしまう。
2012年48歳、写真のプリントを初めて、写真を撮りまくる。その中の年老いた自分の両親が、横断歩道を渡る姿を撮った写真が、ホトコンテストで1等賞を取り有名になり個展まで開くのだ。プロカメラマンとして認められた泉一ですが、それで終わりではない。2020年の東京オリンピックへ出るのだと、ゴルフを始める泉一。諦めない心、秋田泉一52歳。
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とにかく、内村ワールドの世界感が凄いに尽きる。若い時の知念くんとウッチャンが良く似ていると思ったし、何でも全力投球でダッシュしちゃうし、この人は、何かを目指している最中が一番生き生きしているんですから。自分で納得がいくまで好きなことがやれる泉一は、やっぱり素敵ですよね。
なんてったって、出演陣の豪華版なことときたら、両親には宮崎美子と平泉成が扮しており、その他にも先生に大泉洋一、校長に竹中直人、寿司屋の店主に笑福亭鶴瓶、長澤まさみ、ムロツヨシ、高嶋政宏、田中直樹、温水洋一など、他にも多数有名な俳優さんが出演しています。ウッチャンの顔の広さか、人望かな、とにかく凄いに尽きる。

2016年劇場鑑賞作品・・・228Image may be NSFW.
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インフェルノ ★★★

人気作家ダン・ブラウンのベストセラー小説を映画化した『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズの第3弾。主演のトム・ハンクス、監督のロン・ハワードが続投し、これまで数々の歴史や名画の謎を解明してきた宗教象徴学者ロバート・ラングドン教授が、詩人ダンテの「神曲」の「地獄篇」に絡んだ世界を揺るがす陰謀に挑む。ラングドンと共に謎を追う医師を『博士と彼女のセオリー』などのフェリシティ・ジョーンズが演じるほか、『ジュラシック・ワールド』のオマール・シーとイルファン・カーンらが共演。
あらすじ:記憶喪失状態でフィレンツェの病院で目覚めたロバート・ラングドン教授(トム・ハンクス)は何者かに命を狙われるも、医師のシエナ・ブルックス(フェリシティ・ジョーンズ)の手引きで事なきを得る。やがて二人は、人口増加を危惧する生化学者バートランド・ゾブリスト(ベン・フォスター)が人類の半数を滅ぼすウイルス拡散をたくらんでいることを知る。彼らは邪悪な陰謀を阻止すべく、ゾブリストがダンテの叙事詩「神曲」の「地獄篇」に隠した謎の解明に挑むが……。
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<感想>ダン・ブラウン原作の“ロバート・ラングドン”シリーズは、前回の『ダ・ヴィンチ・コード』(2006)も『天使と悪魔』(2009)も小説のダイジェスと呼ぶべき映画だった。今回も、そのスタンスは変わらない。ボストンにいたはずのラングドン教授をトム・ハンクス(60歳)が今回も演じていて、目覚めたのは何故かイタリアのフィレンツエ。そんな彼が見る幻覚がショック描写として何度も映し出される。ダンテ「神曲」の一章“地獄篇”のビジュアル化は、疫病と炎のスペクタクル。カットとしてはどれも一瞬だが、一瞬だからこそ戦慄させられる。これはロン・ハワードの演出の妙でもあります。
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それからのラングドン教授と若く聡明な女医のシエナ(フェリシティ・ジョーンズ)との逃亡劇が始まる。暗殺者からの追跡をかわしてシエナのアパートへ行き、スーツに着替えるとポケットに円筒が入っていた。その中身には一枚の画像が映し出され、それは詩人ダンテの“地獄篇”を基に画家ボッティチェルリが描いた「地獄の見取り図」であった。
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ラングドンの行方を追う者たちは、WHO(世界保健機構)だった。彼らは膨らむ一方の世界的人口過剰を問題視し、地球の将来を守るという理由であるウィルスを生み出した生科学者バートランド・ゾブリスト(ベン・フォスター)を追跡していたのだが、数日前に彼は自殺をしてしまった。それに、医師のシエナ・ブルックスとゾブリストは恋人同士だった。ですが、亡くなる前に彼女には、そのウィルスの在りかを教えていなかった。だから、ラングドン教授を利用して、そのウイルスの在りかを一緒に探そうというわけ。
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折角のベン・フォスター出演なのに、余りにも早い亡くなり方にがっかりでした。
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しかし、ウイルスは何処かに隠されたまま、24時間後に拡散されることが分かっていた。これを食い止めようとするWHO(世界保健機構)のリーダーシンスキー(シセ・バベット)は、ウイルスのありかを示すゾブリストのメッセージ解読のためにラングドン教授の知識を借りようとしていたのだ。
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ダンテの地獄篇の見取り図に隠された秘密のメッセージが意味するものとは?
その謎を解き明かしたラングドンは、古都フィレンツェの名所の数々をシエナと駆け巡りながら、全人類の存亡に関わるような恐るべきウイルスを生み出した、狂気の天才ゾブリストの仕組んだ巨大な陰謀の正体に迫っていく。そこには、ラングドンの予想もしなかった真実が次々と待ち受けているのであった。
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見どころは、地獄篇を図像化したボッティチェッリの「地獄の見取り図」や、ダンテのデスマスクの裏に記された暗号を手がかりに、フィレンツェ、ヴェネツィア、イスタンブールと舞台は世界各地へと移行していく。
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ヴェッキオ宮を目指すラングドンとシエナが、追ってから逃走する時に通るフィレンツェ最古の橋、ヴェッキオ橋の上にあるヴァザール回廊という通路を走っている。
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そして、ラングドンとシエナがヴェッキオ宮殿に向かう途中で、追ってから隠れるシーンに登場する、フィレンツェ市内の中心部にあるビッティ宮付属の庭とされるボーボリ庭園。
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ここからヴェッキオ橋に繋がる“秘密の通路”をラングドンは知っていたのだ。
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そして、ベネチアのサン・マルコ大聖堂へ列車で向かう。ここにある4頭の巨大な馬の銅像“サン・マルコの馬”に謎が隠されている。
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そこからイスタンブールへと。アヤ・ソフィア博物館の中へ。かつてはモスクとして使用されていたこともあるが、起源は東ローマ帝国時代の正統派キリスト教の大聖堂である。これもビザンチン建築の最高傑作といわれるが、この近くに地下宮殿の大貯水槽がある。これまでにも「007危機一髪(ロシアより愛をこめて)」などで登場したところでもある。
「二つ星の料理人」のオマール・シーが悪役で出ていた。
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この地下宮殿の大貯水槽の中では、クラシックのコンサートが行われており、水の色は真っ赤に染められ、その貯水槽の中の何処に“人類の半数を滅ぼすウイルス”が沈められて隠されている。早く探して見つけなければ、そこで、シエナが爆弾のスイッチを押して大爆発が起こり、ラングドンは貯水槽の中へ落ちてしまい、ウィルスの袋を見つけてWHO(世界保健機構)の箱へと入れる。
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その箱の中で袋が破れてウイルス菌が繁殖し始める。その箱を巡って謎の男がラングドンを襲うし、絶対絶命の中WHOの人たちが助けに来てくれる。
これは意外だった、原作では間に合わなくて、ウィルスが全世界へ散らばるという終わり方であったのに。何はともあれ、ラングドン教授とWHOの彼女が、元恋人同士だったということも分かって、二人がまだ愛し合っていることも無きにしもあらずってことか。結構面白かったが、いつものごとく、あちらこちらと観光名所を振り回されて、謎解きの連続であり、最後には決着がつくと言う流れには飽きてしまった。
さてこの映画の大きなテーマである人口過剰という問題については、本作で登場する天才生化学者バートランド・ゾブリストが提唱する、極めて深刻な“人口過剰問題”。大まかだが、西暦元年ころの世界人口は推定2億人ほど。ダンテが生きた14世紀ごろでも4~5億人ほどで、20世紀初頭で15億人ほどだったといわれるが、ここからわずか100年の今世紀初頭にはいきなり60億人となっている。現在まで十数年でさらに10億人増え、ゾブリストはこのままでは、ダンテの地獄篇が現実となる近未来がやってくると説く。そこで彼が考えたのが、ウイルスを使って人口を今の半分ほどに減らそうという恐るべき策略だったのだが、・・・。それよりも、地球温暖化による大地震、ゲリラ豪雨やテロによる暴徒化、内戦も人口過剰を減らしていく殺戮ではなかろうか?・・・。

2016年劇場鑑賞作品・・・229Image may be NSFW.
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グッバイ、サマー ★★★・5

「エターナル・サンシャイン」「僕らのミライへ逆回転」のミシェル・ゴンドリー監督が自身の少年時代の体験をもとに撮り上げた自伝的青春ストーリー。家でも学校でも悩める日々を送る14歳の少年が、風変わりな転校生と友情を育み、自動車を自作して大冒険に繰り出す甘酸っぱくもほろ苦いひと夏の青春を綴る。主演はオーディションで選ばれた新人のアンジュ・ダルジャン、テオフィル・バケ。共演にオドレイ・トトゥ。
あらすじ:中学生になっても女の子のような容姿で、クラスメイトからミクロ(チビ)と呼ばれてバカにされているダニエル。憧れのローラには相手にされず、家でも過干渉な母や暴力的な兄への不満は募るばかり。そんなある日、自分で改造した自転車を乗り回し、ガソリンの匂いを漂わせている変わり者の少年テオが転校してくる。クラスに馴染めない2人は思いがけず意気投合し、親友に。2人は夏休みにこの街を抜け出そうとある計画を立てると、さっそくスクラップでログハウス型の車を自作し、大冒険と旅立つのだったが…。
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<感想>子供でもない大人でもない、14歳の春休みに、“動くログハウス”で旅に出る2人の少年を描く青春ロードムービー。一種のファンタジー映画ですよね。こういうのって、つまりはリアリズムではないということ。ここに描かれた少年たちは現在にも過去にも、どこにも存在していない。ただ監督の脳内世界だけに棲んでいるのだから。だって、パソコンやiphoneが出てくるし、だからって、一概に悪いわけでもない。フィクションなんだもの。
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出演はいずれもオーディションで選んだアンジュ・ダルジャンのダニエルと、テオフィル・バケの変わり者の転校生テオの2人。その他にはダニエルの母親にオドレイ・トトゥが演じている。
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ダニエルは絵が得意で、女の裸も自分で描くし、授業中もイラストに夢中で密かに溢れる才能を発揮している。そこへ、転校生のテオがやってきて、自分で改造したチャリに乗り登校する。マイペースなテオとダニエルは周囲から浮いた存在であり、二人は意気投合し親友になる。
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そして計画を立てるのだが、スクラップを集めて“夢の車”を作り、それで旅をしようというもの。公道を走る許可は取れそうになかったが、ダニエルの発案で外見が小屋のようなアイデアで、超シビれるデザインであり、警察の眼をごまかすことに成功。
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二人のひと夏の冒険は、トラブル続きで変な奴に絡まれたり、ダニエルが髪の毛を切りたいと床屋を探して、日本人の風俗嬢のいる変な大人の店に入り、落ち武者のように髪の毛をバリカンで剃り上げられ、お金をぼったくりされたり、仕方なくホームセンターで、売り物なのにこっそりとバリカンで坊主頭にそり上げるなんて、それもかっこいいからね。
それに、小学生の絵画コンテストに年齢を偽り飛び入り参加して、優勝は逃したが2等賞になり、帰りの飛行機のチケットが賞品だったとは。絵画コンクールに出ている間に、道端に置いた“動くログハウス”が燃やされてしまい、帰りはどうするの?・・・と、二人は途中で喧嘩したり、それでも旅が終わるころにはテオに影響されたダニエルが、ほんのちょっぴり成長する。
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ロマンチックで芸術家肌のダニエルと、兄貴分のメカおたくのテオ。世間を軽蔑しながらも世間に同調できない不安、年頃のセックス事情への不安と憧れ、家族や学校への疎ましさ、二人とも男同士の「リトル・ロマンス」のようにも取れる。
動く自動車は、家族や学校のしがらみから逃れ好きなところへ行けるアジール。こんな車を夢見る少年って、いないと思う。ラストで黒焦げになって谷底へ落ちる車は、幼年期との決別のようだ。
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この旅で二人は、周囲にいる人たちの気持ちを思いやるようになり、自分の殻を打ち破るのだ。ですが、帰ってみると家族は心配しており、葬式に間に合ったからいいものの、テオの母親は亡くなってしまう。だから、テオはまたもや転校せざるを得なくなってしまう。
二人は、折角親友になれたのに。甘酸っぱくもビターであり、ファンタスティックな味わいはまさにミシェル・ゴンドリー監督だからかなぁ。

2016年劇場鑑賞作品・・・230Image may be NSFW.
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デスノート Light up the NEW world ★★★

東出昌大、池松壮亮、菅田将暉が共演し、大ヒット作『DEATH NOTE デスノート』シリーズの10年後の世界に迫る続編。夜神月とLの死から10年後の情報社会を舞台に、捜査官と探偵、サイバーテロリストによる争いを最新のVFX技術を駆使して映し出す。監督を務めるのは、『GANTZ』『図書館戦争』シリーズなどの佐藤信介。前シリーズの遺伝子を受け継ぎつつさらに進化した、デスノートをめぐるバトルが楽しめる。
あらすじ:デスノートの力で多数の凶悪犯を破滅させた夜神月と、彼を追い詰めた天才Lの伝説のバトルから10年の歳月が経過。またしても死神がデスノートを下界にまき散らしたため、世界中が混乱していた。夜神総一郎が設立したデスノート対策本部は健在で、キラ事件を熟知する三島(東出昌大)をはじめとする特別チームが事態を注視しており……。
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<感想>前作から10年後、「デスノート」シリーズの続編、というよりも完全に新作である。冒頭でどこか北欧の外国で、空からデスノートが落ちて来て、それを拾ったのが医者で、これから余命幾ばくもない老人を訪問して、モルヒネか何かを注射する。老人の患者は「死なせてくれ」と医者に頼むのだが、尊厳死は違法であり困った医者は、拾ったノートに老人の名前を書き込む。すると、その老人が心臓麻痺で亡くなってしまうというシーンが。全世界に「デスノート」はばら撒かれたのか?
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そして、渋谷の雑踏で突然バタバタと人が倒れ、「通り魔?」と声が上がる。パニックになった通行人ガスクランブル交差点になだれ込むと、さらなる犠牲者が続発する。車同士が衝突して爆発炎上し、渋谷が一瞬にして狂乱状態に陥る。
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という出だしで、またかと思った。今回の続編では、警視庁デスノート対策本部のエース・三島に東出昌大くんが、そしてLの遺伝子を持つ正統な後継者である名探偵の竜崎に池松壮亮くんが、そしてキラを崇拝する狂気の天才サイバーテロリスト・紫苑に菅田将暉くんによって、新たに地上にもたらされた6冊のデスノートを巡るバトルが描かれる。
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この渋谷のシーンでは、その「デスノート」の所有者の一人で、顔を見ただけでその人の名前が分かる“死神の目”を持つ青井さくら(川栄李奈)が、雑踏に紛れながら「デスノート」に次々と名前を書き込み大量殺人を行う場面なのだ。これは、罪もない人々を殺すとんでもないことであり、「デスノート」の正義感や意義を担っていない。
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その中で存在感を放っているのが俳優陣であり、特に三島役の東出昌大先頭に、Lの池松が以前の竜崎とは違い黒づくめの服装で登場し、ひよっとこのお面も黒に銀色のプラスチックのような変な感じであり、前回のLより印象が薄い感じがしてならない。キラを崇拝する紫苑役の菅田は良かったです。
今、最も旬なキャストが競演し、緊迫な演技合戦を繰り広げます。監督には「GANTZ」「図書館戦争」シリーズ、「アイアムアヒーロー」の佐藤信介。
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「人間界に同時に存在していいデスノートは6冊まで!」__原作に存在しながらも使われなかったルールを基にオリジナル・ストーリーが展開する。前作とどう繋がるのか、前作にも登場した海砂(ミサ)は、10年前と今回も事件を繋ぐ重要なキャラクター。
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それにデスノートを所有する者に現れる、りんごが大好きな死神のリュークは、死神大王に「キラの後継者」を捜すように命じられ再び地上に降臨する。
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デスノートに触れる者は、みな死神のリュークが見えるのだ。
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それに、Lの竜崎の前にはマスカットが好きなアーマが出てくるし、そして鋼鉄のロボットのような鎧を着た死神も出てくる。
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3体の死神、特に真っ白な天使のような死神、優雅なたたずまいが特徴の女性の死神のアーマが最高。
デスノートを巡る熾烈な争奪戦が幕を開けるのだが、警視庁デスノート対策本部のエース・三島が、夜神月のデスノートを保管しており、残りのデスノート5冊を自分の手に取り戻したいのだ。
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月が“救世主キラ”として犯罪者を裁き続けたのに、今回では、デスノートによる無差別殺人が起こり、罪のない人間がバタバタと死んでいくのを見て、警察が三島を対策本部から排除するのだ。警察では出来ないこともあるのに、頭脳戦というよりはノートを取り返すためのアクション争奪戦の方が多いと思いました。
新生キラは果たして誰なのか?・・・クライマックスに分かるキラの存在。私には、まさかあの人がというよりも、やっぱりね、何だか変だったもの。という感じでした。
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そして月の息子がいるという、その息子がバカ者でデスノートに手当たり次第に名前を書き込むので殺してしまったという話も。それに、松山ケンイチが演じてた名探偵のLの存在感と、演技が余りにも上手かった印象が残っていて、今回の竜崎に扮した池松壮亮くんは、顔変化が得意なのかイマイチな出来具合のLでしたね。
良かったのが、キラを崇拝する紫苑の菅田将暉くんかな、真っ白い服装で、デスノートを手にしたいために体当たりで挑んでいく。一度はデスノートを手にするも、警察の乱射による拳銃で死んでしまうのが惜しいよね。
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そうそう、藤原竜也が夜神月として、今でも受容価値があるようでTVの録画で頻繁に出てくるので、10年前の藤原竜也と変わりなく良かったですよ。松山ケンイチのLは、出番が少なかったですね。
死神たちがデスノートを人間界に落とすことによって、ドラマが生まれる。その前提によって世界観を崩さずに新たな物語が生まれるという感じ。「一人の死は悲しみだが、大勢の死は統計にすぎない」という竜崎の言葉に怒りを抑えきれない三島。自分の信じた正義を貫くという三島の神髄は崩れることはなかったのだが。
しかし、デスノート6冊をすべてを回収して、デスノートを封印しようとする三島。どうしても取り戻さなければという三島の願いは、ラストに向かって警察の銃撃戦で崩れてしまいそうになるシーンもある。さすがに銃には勝てない、デスノート。続編ありきですね。
2016年劇場鑑賞作品・・・231Image may be NSFW.
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ブリジット・ジョーンズの日記、ダメな私の最後のモテ期★★★・5

恋に仕事に奮闘するアラサー独身女性の日常を描き大ヒットした『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズ第3弾。前作から十数年を経てアラフォーになったヒロインが、既婚者の元恋人と、新たに出会ったIT企業の裕福なイケメン社長との間で揺れ動く。前2作に続きブリジットをレニー・ゼルウィガー、マークをコリン・ファースが演じるほか、テレビドラマ「グレイズ・アナトミー」シリーズなどのパトリック・デンプシーが新たに登場。1作目を手掛けたシャロン・マグアイア監督がメガホンを取る。
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<感想>アラサー女子の熱狂的な支持を受けた大ヒット・ロマコメの12年ぶりの続編。主演はもちろんレニー・ゼルウィガーしかいない。
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でも、いつの間にか美容整形してたのね。その変わりように驚き桃の木山椒の木ってこと。私には、昔のはにかんだような、可愛いレニーちゃんの方が好きなのに。どうみても、50過ぎのおばさん顔だよね。劇中でも顔の皺が気になるし、愛嬌がないのがダメ。
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そして、もちろん弁護士のマーク役にコリン・ファースが続投して、今回新たにブリジットの恋人候補となったのが実業家役で「バレンタインデー」のパトリック・デンプシーが参加した。監督には第一作目のシャロン・マグアイアが復帰して、産婦人科医で「二ツ星の料理人」のエマ・トンプソンが共演とともに、共同脚本でも参加している。
独りぼっちで43歳の誕生日を迎えるブリジット。十年ほど前にはマークと上手くいっていたのに、何が起こったのだろうか。実はマークは他に女性と結婚をし、もう一人の付き合っていたダニエル(ヒュー・グラント)は飛行機事故で亡くなっていたのだ。
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今やTVのニュース番組の敏腕プロデューサーとして仕事は順調だが、いまだ独身、恋人なしのブリジットなのだった。ダニエルのお葬式では夫人を伴ったマークと再会するも、気まずい雰囲気なのだ。
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そんなブリジットを気遣った30代の職場の女性ミランダの誘いで、野外ロック・フェスに出掛けるのだが、到着早々に泥の中へコケてしまう。真っ白なセーターに白いパンツのレニーちゃん、それなりにイケていたのに、泥んこのブリジットに手を差し伸べてくれたのが、セクシーな二枚目のジャック、パトリック・デンプシー。
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その夜に、泥酔した彼女が間違って他人のテントに入るもそこはジャックが寝ていた。彼の魅力に誘われて思わずブリジットはベッドインしてしまう。二週間後に、旧友の赤ちゃんの洗礼式で、名付け親として来たマークと再会する。妻とは別居中で離婚協議の最中だと打ち明けるマーク。彼はブリジットが恋しかったと語り、良い雰囲気になった二人はついつい体を重ねてしまうのであった。
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それから数か月経ち、なんとブリジットの妊娠が発覚する。産婦人科のドクター、エマ・トンプソンの診断でお腹の子供は男の子だという。使用期限切れのコンドームのせいだ。いったいどちらの子供なのか?・・・悩むブリジットは、実はアメリカ人セレブ実業家だったジャックを、自分の番組に出演させて彼のDNA(メイク係が髪の毛をむしりとる)をゲットする。ジャックに妊娠の事実を告げるのだが、もう一人父親候補者がいることは言えなかった。
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そして、マークにも妊娠したことを告げるが、彼は大喜びする。思いあまったブリジットは二人をレストランへ呼び出し、真相を告げる。ショックを受けながらも、男たちは「大切なのか赤ちゃんだから」と大人の対応をするも、二人はその日からまだ見ぬ赤ちゃんのパパとして張り合い始めるのであった。
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そんな男性陣の姿を見ながら、心が揺れるブリジット。果たして彼女は今度こそ幸せな結婚生活に入れるのだろうか。いやはや、シリーズもこれで最後だろうと。不器用すぎるブリジットというか鈍くさいのよね。43歳にもなって結婚って、縁遠いからって二人の男と寝てしまい、挙句に妊娠してしまうという想定外の喜びもある。
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パニックになって当然のピンチ的状況なわけだが、何しろ相手は自分の赤ちゃん。この期に及んでモラトリアムな自分探しをしているヒマはないはず。エゴマニアックな恋愛主義も後回しにして守るべきものがハッキリした本作の彼女は、以前同様にチャーミングで、そして以前よりもかなり艶めかしくて美しい。
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腹をくくって現実と向き合った彼女が、父親候補の男たちと共に、やっと大人になっていく、まさにフィナーレと呼ぶに相応しい本作になっている。父親候補の二人が、嫌だといったらシングルマザーでもいいと決心をして生むことにする。そんな彼女を美中年の最盛期にあるコリン・ファースと、ワイルド系の髭デンプシーが競って愛するとは、なんたる妄想と願望の展開なんだろうか。
そうです、現実と向き合ったブリジットは、同時に最後まで夢をみせてくれる、2010年代のアラフォーのための、シンデレラー・ストーリーであり続けているのが、最高なんですよね。もちろん、子連れの結婚式もありますからね、お相手が誰かって?、劇場で観てね。
エンディングの後に、クリスマスに息子と親子3人で手編みのトナカイ模様のセーターを着て写真に納まっているのが良かった。これで、ブリジットのファンとしては安心ですからね。

2016年劇場鑑賞作品・・・232Image may be NSFW.
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ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ★★★

ピュリッツァー賞作家A・スコット・バーグによる全米図書賞受賞の評伝本『名編集者パーキンズ』を豪華キャストで映画化した伝記ドラマ。アーネスト・ヘミングウェイやスコット・F・フィッツジェラルドを発掘した伝説の名編集者マックス・パーキンズと彼に見出された若き天才作家トマス・ウルフの知られざる交流の日々を、小説の編集という作業を通して紡がれる2人の葛藤と絆とともに描き出す。主演は「英国王のスピーチ」のコリン・ファースと「シャーロック・ホームズ」のジュード・ロウ。共演にニコール・キッドマン、ローラ・リニー。監督はイギリス演劇界を代表する演出家の一人、マイケル・グランデージ。本作が記念すべき映画監督デビューとなる。
あらすじ:1929年、ニューヨーク。ある日、敏腕編集者マックス・パーキンズのもとに、出版社をたらい回しにされたという原稿が持ち込まれる。作者は無名の作家トマス・ウルフ。原稿を読んだパーキンズはその才能に惚れ込み出版を約束する。ただし、その条件として膨大な原稿の大幅な削除を要求、抵抗するトマスと激論を重ねながらの気の遠くなるような編集作業に取り組んでいく。2人の苦闘の末に完成した処女作『天使よ故郷を見よ』は評判を呼び、瞬く間にベストセラーとなるが…。
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<感想>名編集者パーキンズを演じるコリン・ファースを観たさに行ったのだが、天才作家のトマス・ウルフに扮したジュード・ロウの演技も良かった。
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それに、トマスの年上の愛人役のニコール・キッドマンも加わって、さながら演技合戦のごとき有様。史実を基にしドラマチックに脚色してあるのだが、イギリス映画らしいしっとりとした落ち着いたトーンがよい。
敏腕編集者マックス・パーキンズは、アーネスト・ヘミングウェイやスコット・F・フィッツジェラルドなど、失われた世代の作家たちを世に送り出した著名な編集者でもある。黒子の編集者に焦点を合わせた企画がとても秀逸であります。
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ですが、ウルフの原稿は膨大なページ数であり、とてもそのまま本にすることは出来ないのだ。そのため、パーキンズがページ数を減らすための編集作業も、膨大な時間を費やすわけなんですね。決してウルフの小説を台無しにしているわけではないのだ。
しかし、クラシカルな色調や調度を目指したであろう映像のルックが、なんとなくオールドライクな文学的イメージとしてしか、機能していないように書く行為、編集する行為、それに携わる人々の生きざまがすべてただのポーズにしか見えないのが惜しい。
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執筆という想像を絶する孤独な作業と、向き合う作家の内面に触れずして、エキセントリックな奇人は生まれないし、編集_削除ではないのだから。二人の関係性もその周りの女性や家族の描き方も記号に過ぎず、男性的なロマンに溺れたナルシシズムばかりが、後に残っているように見えるのだが、・・・。実話がベースなので致し方ないのだろうが、脚本はもうちょっと繊細にしてほしかったという気もします。
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室内でも帽子をかぶったままのコリン・ファース。どこかで必ず取るだろうと予想をしていたが、食卓につく時も、一人で書斎にこもっていても、パジャマには着替える時にも、どうしてなんだろう?・・・パーキンズには、妻と5人の娘がいたそうで、最後の最後に帽子を取るとは、心憎い演出であった。
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文学と作家に対する愛情と献身あふれた編集者と、奔放な作家トマス・ウルフが、アメリカ文学の傑作を誕生させる裏話が興味深いですね。現在トマス・ウルフの著書はベストセラーの「天使よ故郷を見よ」をはじめ新刊で入手できるものは一冊もないようだ。これを機会に読んでみたいのだが、再刊を望む他ないのだろう。
2016年劇場鑑賞作品・・・233Image may be NSFW.
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白い帽子の女 ★★

交際のきっかけとなった『Mr.&Mrs. スミス』以来となる、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー・ピット共演のラブストーリー。1970年代の南仏を舞台に、あることがきっかけでそれぞれの殻に閉じこもった夫婦の関係を映す。『ミモザの島に消えた母』などのメラニー・ロランや、『わたしはロランス』などのメルヴィル・プポーらが共演。監督も務めるアンジーをさまざまな側面で支えたブラッドとの力作に注目。
あらすじ:1970年代、アメリカ人小説家ローランド(ブラッド・ピット)と妻ヴァネッサ(アンジェリーナ・ジョリー・ピット)は、バカンスで南仏を訪れ、海辺近くのリゾートホテルに滞在する。ある出来事によってお互いすれ違ったまま、夫は村のカフェに通い詰め、妻はホテルに引きこもっていた。そんなとき、ハネムーンで若い男女(メルヴィル・プポー、メラニー・ロラン)が隣室にやってきて……。
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<感想>最近TVを賑わしているブランジェリーナ夫妻の離婚、それがこの作品を撮影していた時は、新婚旅行で訪れたマルタ島で、夫婦一緒に映画を撮るというもので、ロマンチックに聞こえるが、こうした他人の想いで作りに付き合わされていい想いをしたためしがない。
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昔のフランス映画を意識したような、アンジェリーナ・ジョリー・ピット作品であり、彼女にとっては3度目となる監督作品でもある。10年前の『Mr.&Mrs. スミス』以来、ファンとしては同じスクリーンで二人を再び拝める幸せを感じてしまう。殴り合い、愛し合った躍動感あるアクション・ラブストーリーとはさすがに違い、大人だからこそ知り得た痛みや苦しみを滲ませる男女の愛憎劇が本作の核になっている。
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70年代の南仏の避暑地へアメリカ人の小説家夫婦がやってくる。洒落た車に海辺のカフェ、エレガントなドレスに帽子、流れる音楽はセルジュ・ゲンズブールが作ったポップスである。風景は抜群だし、周りの人たちも優しいのに、夫のブラピは一人で酒ばかり飲んで、精神を病んで部屋に引き籠る妻。
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すれ違いの関係に光を当てるのは、隣の部屋の新婚夫婦である。かつては自分たちも持っていた希望や未来をそこに見る。純粋に欲望をぶつけ合う姿に心を奪われ、そして嫉妬する。人間心理の複雑さから目を逸らさず愛の本質を描こうとするのは、フランス映画的なアプローチでもある。
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監督も兼ねているアンジーが映画作家として新たな境地に立ったことは間違いない。新婚夫婦には、メルヴィル・プポーとメラニー・ロランが演じており、他にも海辺のカフェの主人にニエル・アレストリュブや店に良く来る老人にリシャール・ボーランジェなどフランスの大御所も顔を揃えているのも良かった。
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もうダメっぽい夫婦が、ホテルの部屋の壁穴から、隣室の若い新婚カップルを“覗き見”するだけで2時間はあったと思う。倦怠期の夫婦が、ワインを片手に二人で壁の穴を覗いて、他人のベッドインを楽しむというアブノーマルぶりにも驚くが、この”覗き”をテーマにした小説はあるようだ。
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ここで再び燃えてアレコレとするとか、そんなに倦怠期の夫婦みたいな関係を見せられても嫌気がさしてくるばかり。元ダンサーの妻はいつも暗い顔をしていて、観ている方もうんざりだし。夫がホテルの部屋へ帰って来るも妻がいない。夫が隣の部屋を覗くと、妻が男の前に立っているではないか。
サスペンスのつもりかしれないが、悪い効果しかもたらさず、ヒッチコック的な倒錯の主題が突然浮上するのは意外に面白く、途端にカット割りと音楽も、今にも殺人が起こりそうな雰囲気を漂わせ始めるのも面白い。
そして、女の哀しみが唐突に現れて明かされる。妻は新婚当時に子供を流産して、それ以来子供を産めない体になり、心を病んでいく。夫はそのことなど、あまり気にせずに、妻が不機嫌な態度をとるのにイラつくのだ。
男はそのことを小説に書くのだが、女の心はそれで納まるのだろうか。ブラピに離婚申し立てをしたアンジーだが、なるほど、その布石や前兆みたいな作品だと考えれば筋が合うようですね。
2016年劇場鑑賞作品・・・234Image may be NSFW.
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みかんの丘 ★★★

旧ソ連のジョージア(グルジア)を舞台に、地域間紛争に巻き込まれたみかん農家が、敵対する2人の負傷兵を一つ屋根の下で世話したことから巻き起こる不条理な人間模様を綴った戦争ドラマ。監督は、これが日本初紹介となるザザ・ウルシャゼ。
あらすじ:ジョージアのアブハジア自治共和国でみかん栽培をするエストニア人の集落。折しもジョージアとアブハジアの間に紛争が勃発し、ほとんどのエストニア人がこの地を離れる中、イヴォとマルゴスはなおも残って収穫に精を出す。次第に戦況が悪化する中、イヴォは負傷した両軍の兵士2人を自宅で看護する。やがて2人は互いに敵兵の存在を知り、殺意を剥き出しにする。しかしイヴォが“私の家で殺し合いは認めない”と宣言、2人もこれに従うのだったが…。 2015年5月~6月開催の<EUフィルムデーズ2015>にて本邦初上映後、2016年9月に劇場公開が実現。
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<感想>グルジアとアブハジアの間の扮装をテーマに、戦争の不条理と人間の尊さを描く感動のドラマ。コーカサス地方で90年代前半に勃発したアフハジア扮装を背景としている。長い歴史の中、言語や宗教の違いを基に、自治共和国が多数生まれた地域だ。1991年のソ連崩壊の際に、領土問題を含め政治的意図で民族間の混乱を生じさせたものだと言われる。もとは風光明媚で穏やかな地続きの場所。
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民族同士それなりに、バランスを保っていただろうに、ある日突然、「隣のやつは憎い敵」になり、殺し合い、たくさんの難民が生まれたのだ。恐ろしい不幸でもある。その歴史に翻弄された人々の様子を寓話的に見せる作品でもあります。
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ザザ・ウルシャゼ監督のこの映画では、紛争真っただ中のアブハジアが舞台であり、みかん栽培で生計を立てているエストニア人の男二人が主人公である。彼らは安全な自国には帰らずに、みかんと共に飄々と暮らしている。
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ある日のこと、彼らは瀕死状態の二人の兵士を連れかえり介抱するのだが、敵同士であったために、治癒していくと言えのなかに、一触即発の空気が流れはじめるのだ。それぞれ、親せきや仲間が殺され恨みを持っているから当然のことだろう。だが、今にも殺し合いそうな亮平氏の頑なな心は、中立である家主の人間味や、同じ釜の飯を食らう体験により、少しづつ変化していく。
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話してみれば、相手の事情も分かり、増悪の理由が不確かであることに気づく。その感動たるや凄いに尽きる。人間がこれほど愛おしいと思える映画は珍しいともいえる。
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みかん箱職人の家で傷を癒すジョージア兵士とチェチェン人兵士が呉越同舟の緊張感を漂わせつつ、複雑な背景が垣間見えてくる。この両者が共同して戦う相手がロシア軍だというところに、かの国のホンネが伺える。キッチリまとまった映画で見応えもあるが、むしろそのパターンを外した方が、より深くメッセージが伝わったのではないかと思うのだが。
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自分の家の中では戦わせないと2人に言い放つ、老人の知、丁寧な生活の営みに小さな救いを感じる。手厚い看護に兵士たちは快方に向かい、敵兵に人間としての関心を持つようになっていく。
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アブハジア兵たちがやってきた時には、グルジア兵のニカが敵兵であることを隠そうとする老人に、チェチェン人のアハメドも協力してくれた。数日後、事実上アブハジアを支援しているロシアの小隊が現れ、外にいたアハメドを敵兵と疑い射殺しようとする。そこへ、グルジア兵のニカがロシア兵を撃ち、激しい銃撃戦が始まる。
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この映画には、ユーモアに満ちた映画的快楽がもたらされる。心が豊かになるようなお得感さえある。なぜなら、争いの歴史がもたらした残酷さ、人間の愚かさ、現在進行形である民族間の緊張状態など、センシティブで重い案件を扱っているからだ。
2016年劇場鑑賞作品・・・235Image may be NSFW.
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とうもろこしの島 ★★★★

旧ソ連のジョージア(グルジア)の紛争地域を舞台に、両軍がにらみ合う肥沃な大河の中洲でとうもろこし栽培を行う老人と孫娘を待ち受ける運命を寓話的に綴ったヒューマン・ドラマ。監督は、これが長編2作目のゲオルギ・オヴァシュヴィリ。
あらすじ:ジョージアと、ジョージアからの独立を目指すアブハジアが激しい軍事衝突を繰り返す中、両者の間にあるエングリ川には、春の雪解けとともにコーカサス山脈から運ばれた肥沃な土が中洲を作り上げる。両岸では兵士がにらみ合い、銃弾も飛び交う中、アブハジア人の老人は孫娘を伴い、今年もこの中洲に小屋を建て、とうもろこしの栽培を始める。そんなある日、2人は負傷したジョージア兵を発見するが…。
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<感想>ジョージアとアブハジアの間を流れるエングリ川の中州に、毎年春になると小さな島で暮らす老人と孫娘の生活が描かれる。小屋を建て、魚を採り、とうもろこしの種を撒く。実際にこの川では、毎年春にできる小島でとうもろこしを育てる風習があったそうで、監督のゲオルギ・オヴァシュヴィリが描きたいテーマは、その小島そのものであったようです。
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だからなのか、プロパガンダ的な匂いは皆無で、淡々と営まれる生活の迫力に引き込まれていきます。それに、セリフも少なく、35ミリで撮影された映像は透明感のある水彩画のように美しいのです。
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前作の「みかんの丘」と同じように、負傷したグルジア兵士をとうもろこし畑で発見し、老人は小屋にその兵士を匿い、介抱します。孫娘は兵士に心を騒がせ、回復した兵士も娘と戯れる。そのことに、眉をひそめる老人の心情が見事です。
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やがてアブハジア兵が探索にくるが、息を潜めて隠れていたグルジア兵は、その夜に何処かへ去って行ってしまう。
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この作品の見どころはグルジア兵士を匿ったために、この作品にさざ波を起こすこと。島の両岸で敵同士が銃を向け合う中で、無垢な少女が醸し出すエロティシズムなどもありますが、このラストに向かっての場面に驚かされます。
それは、収穫を前にした秋に嵐と共に洪水が起こり、中州は流されて孫娘を助けようとした老人も、激流に呑まれてしまうのです。何という太刀打ちできない恐ろしい自然の脅威など、象徴的な場面が描かれていくのも素晴らしい。これには観ていて、呆気に取られてしまった。
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季節が変わり、小島は消え、人間も消え、また新しい土壌が現れるラストシーン。人間の欲を満たすための無駄な戦争などしなくても、この世は諸行無常なのだという達観が見える傑作な映画でした。

2016年劇場鑑賞作品・・・236Image may be NSFW.
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ぼくのおじさん ★★★

人気芥川賞作家の北杜夫が自身をモデルにした冴えない“おじさん”を主人公に綴る同名ユーモア児童文学を、「天然コケッコー」「もらとりあむタマ子」の山下敦弘監督が「舟を編む」「モヒカン故郷に帰る」の松田龍平を主演に迎えて映画化。兄夫婦の家に居候する自称・哲学者のおじさんが、しっかり者の甥っ子・雪男とともに意中のマドンナを追ってハワイで繰り広げる珍道中の行方をハート・ウォーミングに描く。共演は雪男役の大西利空のほか、真木よう子、戸次重幸、寺島しのぶ、宮藤官九郎。
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<感想>おじさんと小学生のバディムービーであり、主人公の「ぼく」は、春山雪男、小学4年生。身の回りの大人についてというテーマの作文に頭を悩ませていた小学生の雪男は、お父さんでもお母さんでもなく、居候している父の弟、自称哲学者の“おじさん”を選んだ。そして、松田龍平扮するおじさんは、大学で非常勤講師をしているが、授業は週に1度で1コマだけ。家では万年床でゴロゴロしている怠け者。しかもケチで運動音痴でケチで貧乏なくせにやたら理屈っぽい男なのだ。そんなおじさんは、屁理屈ばかりこねているから、雪男の母からはあからさまに毛嫌いされていた。
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このお母さん役には、寺島しのぶさんが扮しており、お父さんには宮藤官九郎が口髭を付けている。それに、学校の先生には戸田恵梨香が、ハワイのコーヒー農園をしている娘エリーには真木よう子が扮している、その恋人には、老舗の和菓子屋の若旦那に戸次重幸が、その他にもキムラ緑子らベテラン陣が顔を揃えている。
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面白いのが、働く意欲のなく甲斐性のないおじさんに、ある日のこと縁談が持ち込まれる。せっかちで世話好きな智子おばさんの強引な誘いによって、ハワイに住んでいる日系四世の女性カメラマンの写真展を見にいくことになる。
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都内のギャラリーで、写真展に行くのだが、母から言われた手土産を買いに、中々手に入らない人気の和菓子(もの凄い行列でした)を持参したおじさんと雪男くんが、画廊の経営者である智子おばさんを見つける。
このキムラ緑子さん扮する智子おばさんは、みんながちょっと苦手なやり手の親戚のおばさん像を完璧にこなしているのだ。おじさんの手土産を目ざとく見つけて、すかさず有名店の袋をパット取ってしまう、その動きの素早さもさることながら、実はこの有名和菓子屋の若旦那が後々の展開で絡んで来るのだから。
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そのギャラリーで、ハワイでコーヒー農園をやっているエリーの真木よう子と出会い、おじさんは一目惚れしてしまうんですから。ハワイに行くために、懸賞が付いているビールにコーラをたくさん買い込んで、毎日飲んではハガキで応募するという途方もないやり方。何もしてないのだから、小説を書くとか、どこかアルバイトに行くとかすればいいのに。
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いつになったらハワイへ行けるのだろうと思っていたら、雪男の書いた作文を先生が全国作文コンクールに出してくれて、それが金賞を取ったのだ。それに副賞としてハワイ旅行が付いて来たというわけ。
ルンルン気分でいざ、ハワイへ行くも、コーヒー農園へ行くのに英語が話せない頼りないおじさんでは、エリーさんのところへ行けないね。クスッと笑ってしまうような“おじさん”の絶妙なリアクションの松田龍平に癒されます。
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コーヒー農園では、おじさんが自分から率先してコーヒー豆の収穫に奮闘するのかと思いきや、熱射病で倒れてしまう。それに、たばこが欲しいとあちこち尋ねるも、ハワイの人が勘違いをしてマリハナを渡してしまい、そこへ警察が乗り込んできて逮捕されてしまう。
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まったく、戦力にならないおじさんを見かねて、こりゃエリーさんとの恋も実らないと察してしまう雪男。それに、エリーさんの寝室には、あの和菓子屋の若旦那と一緒に仲良く撮った写真が飾られていたのだろう、伏せてあった。
その若旦那の青木伸介が、自分の店を弟に任せて、自分はエリーと結婚したいとハワイへやって来るのだ。そして、おじさんと恋人の伸介との喧嘩とか、しかし、エリーと伸介は愛し合っているので、仲直りというか目出度しで終わってしまう。
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それでは、おじさんが可愛そうだと思うでしょうが、学校の山田先生の戸田恵梨香が、おじさんに興味を持ち始めて付き合いたいと言ってきたんですからね。こちらも、良い感じな終わり方でしたね。
子役の雪男役の大西利空くんの演技の巧さと、松田龍平の、のほほんとした優しさを満面に浮かべた顔に、想像を遥かに超える楽しい作品でした。
2016年劇場鑑賞作品・・・237Image may be NSFW.
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溺れるナイフ★★★★

映画化もされた「平凡ポンチ」「ピース オブ ケイク」などのジョージ朝倉の人気コミックを映画化した型破りなラブストーリー。東京から田舎町に引っ越して来た美少女と、個性的な少年の出会いを軸に、10代特有のヒリヒリとした青春の日々を描写する。主演は、小松菜奈と菅田将暉。監督を務めるのは原作の大ファンだという『5つ数えれば君の夢』などの山戸結希。原作が持つ独特の世界観をスクリーンに焼き付けた物語に魅了される。
あらすじ:東京で雑誌モデルを務める望月夏芽(小松菜奈)は、急に父親の郷里である浮雲町に転居することになる。彼女は都会とはかけ離れた田舎での地味な生活に幻滅してしまうが、カリスマ的なコウ(菅田将暉)と出会ったことで人生が一変する。彼は田舎町で有名な神主の一族の出身で、夏芽はひねくれ者で一風変わったコウに強く惹き付けられる。ある時、有名カメラマンから写真集を出さないかと持ち掛けられた夏芽は、コウに関心を持ってもらいたくてオファーに応じる。一方、コウも夏芽のことを気にかけており、二人は付き合うことになるが、・・・。
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<感想>原作のコミックは見ていませんが、主演が小松菜奈と菅田将暉ということなので、鑑賞しました。中学生から大人になるまでを、時には危うく、鋭く、あぶなく、強く、切ない恋と衝動に突き動かされる10代の青春物語。ロケ地が和歌山県の熊野古道の近くで、実際に神様を感じながらの撮影だったようです。
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だからなのか、映像の中からは、青い海とか、山とか、雨、土、夜、火祭り、など、冷たく湿った空気感が漂い、観ていて頬をかすめるような気がした。それなのに、主人公や登場人物たちはみな、汗ばむくらいに“生”の匂いを強く漂わせているのですから。
主人公夏芽の美しくこの世の感情を全部詰め込んだみたいな、実に清々しくて眩しく映る小松菜奈の若さ。そして、神様の子供みたいに儚くて激しく気性の荒いコウちゃんの菅田将暉の演技の巧さに感心しつつ、前から夏芽に恋をしていた加藤くん。あることで、傷ついた夏芽に友達でいいから付き合ってくれと頼み、大声で「おら、東京さいぐだ」をカラオケで歌う重岡大毅くん。
こんな人たちは実際にはいないはずなのだが、マンガだからこそ特別な人たちだと分かっていながらも、その一挙手一投足に呆れるくらいにのめり込んでしまった。
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夏芽とコウが海の中へ沈み、キスをする映像美が余りにも美しく、泳げない私にはそれも叶わぬ青春というもの。祭りの日に、浴衣を着た夏芽の帯がほどけてしまい、それを上手に結び直すコウの優しさ。素直に夏芽を見て綺麗だ、俺の女だときっぱり言う男らしさも。
しかし、その浴衣姿の初々しさが仇となり、東京から来た男にレイプされる夏芽。一度はコウが夏芽を助けようとするも、大人の力で頭を殴られ失神してしまい、夏芽はその男に乱暴されてしまう。
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小さな村だから、あっという間にそのことが広まってしまい、夏芽は家に引きこもり、その彼女を恋慕う加藤が、また清々しく夏芽に元気づける姿がいい。
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演じているジャニーズの重岡大毅くんが、真っ赤な椿の花を夏芽に、「蜜を吸うと甘いよ」と子供みたいなことをいい、夏芽の心を和らげる。
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それからの夏芽とコウは別れてしまい、コウは町のチンピラたちと喧嘩をしては自分を責め立てる。何故に大好きな夏芽を守れなかったのかと。観ていて、痛いほどにコウの気持ちがわかり、辛くなる。
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ラストの火祭りのシーンでの菅田将暉の鬼気迫る踊り(ハードでタフな踊り)も圧巻であり、幻想的で非常に印象に残りました。
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舞台となった和歌山県の熊野古道は、まさに神様のいるこの土地で、ずぶ濡れになりながら走ったり、叫んだりしているコウちゃんや夏芽の姿からは、触れたら壊れてしまいそうな危いさと、あと一言はなしたら途切れてしまいそうな激しさが、はっきりと見えた。
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何もかも想いどうりになるような気がしていて、思ったようにぶっつけるのが正しいと信じてやまず、世界は全部自分のものだと思っているコウちゃんと夏芽。その感情を青春とか若さとかで片づけてしまうのは簡単ですが、それだけだったら、観ていてこんなに息苦しくはならないだろう。
何故に、この映画の中の二人を見て、こんなにも心を揺さぶられるのは何故か。それはきっと、彼らのその激しさが、誰もが思春期に抱えたやり場のない感情を、最大限に増幅させた姿だからだろう。

2016年劇場鑑賞作品・・・238Image may be NSFW.
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11月に入って、寒いですコロン!

今年も後2ケ月弱で終わりですね。ここのところ、毎日の気温が上がったり下がったりと寒暖の差が大きくて、ヨーキーと老婆の私には暖房が恋しくなる季節です。で、電気スト-ブに炬燵を出してみました。
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最近のコロンは、10月の20日にトリミングをしてもらいに、いつもの店へ行ったのですが、帰ってみると全身に湿疹が出来て熱もあるようなので、大急ぎいつもの救急病院へと車で連れて行きました。
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すると、シャンプーのアレルギーだということで、湿疹のかゆみを抑える注射に飲み薬を2週間分、それに薬用シャンプーを出してもらいました。
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それから、毎日ご飯に薬を混ぜて様子を見ていると、少しづつ湿疹が破れてかさぶたが出来、それをお湯で薬用シャンプーで洗ってあげると、いくらかずつ湿疹が少なくなり、それから、2週間ごとにコロンを連れて病院通い、やっと本日連れて行って、もういいでしょうと言われてほっと安心。
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いやぁ、トリミングの店へ文句を言いたいところなんですが、10月20日の帰り際に、お高いハーブのシャンプーを薦められ、今日はそのハーブシャンプーをしたので匂いがいいですよ、なんて言われました。
だから、今となっては文句を言いたいのですが、もうその店には行かないことにしようと、自分を慰めています。だって、診察代に薬代で、保険がきかないので8万円くらい払いましたからね。
2016年愛犬コロンの日記・・・3Image may be NSFW.
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闇金ウシジマくん ザ・ファイナル ★★★★

闇金業者を主人公に裏社会を活写した真鍋昌平のコミックを実写映像化したシリーズの最終作で、山田孝之演じる丑嶋馨の過去に迫る話題作。原作の「ヤミ金くん編」を基に、丑嶋と闇金をつないだ因縁を現代と過去を交錯させて描き出す。山田のほか綾野剛、永山絢斗、やべきょうすけらが出演。貧困ビジネスや債務整理でもうける弁護士の描写や、封印した過去に直面した丑嶋の行動に注目。
あらすじ:違法な金利で金を貸す金融屋「カウカウファイナンス」の丑嶋馨(山田孝之)を、中学時代の同級生・竹本優希(永山絢斗)が訪ねてくる。しかし丑嶋は、金の貸し借りとあれば友人も冷たくあしらう。竹本は鰐戸二郎(YOUNG DAIS)に仕事を紹介されるが、それは賃金をピンハネする貧困ビジネスだった。さらにはその鰐戸三兄弟、丑嶋のライバル犀原茜(高橋メアリージュン)、そして丑嶋には12年前からの因縁があり……。
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<感想>もう、本当にこれで終わりです、という感じの終わらせ方だった。ウシジマの過去を描く本作では、中学時代の出来事を起因にあれやこれやと恨みやしがらみが描かれており、イマイチ痛快感が薄いような気がする。
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過去にこだわる男たちに、1番の弟分のやべきょうすけの柄崎のことが詳しく描かれており、なるほどと、それに、中学の同級生の永山絢斗扮する竹本との因縁関係も詳しく描かれている。丑嶋が可愛がっていたウサギのことであり、彼の亡き母の形見のようなウサギを、竹本が預かり面倒を見ていたといういきさつがある。それが、貸し借りとすれば、ウシジマは竹本には恩返しをしなければいけないのだ。もち、幼馴染の戌亥の綾野剛も出てます。
中学時代からの喧嘩相手の悪なのが、鰐戸(ガクト)三兄弟の長男の安藤政信、それに弟の三蔵に間宮祥太朗。
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他には、丑嶋のライバル犀原茜の高橋メアリージュンと、子分の高田の崎本大海、そして、極悪弁護士の都陰に八嶋智人、タコ部屋に押し込まれた甲本に太賀、他多数出演。
このウシジマが営業している闇金の他に、鰐戸三兄弟が営業している「純愛の家」貧困ビジネスであり、まるで「カイジ」のような地下ビジネスをマネているようなそんな感じがした。
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その上、過払い金返還商法のカラクリを暴く、債務整理でもうける悪徳弁護士、都陰の八嶋智人のヤバサ加減が最後には、明るみに出て警察の御用となる。
一方、中学時代の真面目人間の竹本(永山絢斗)がウシジマのところへ現れ、金を貸してくれといい、昔の恩人でもあり5万円貸してやりたいのだが、貸してやらなかった。その竹本は、ウシジマの性悪説的世界観に真っ正面から対立してくる性善説の、幼馴染の姿を借りて現れること。それにウシジマが惹かれてしまい、自身の規範が揺らぐウシジマは魅力的に映っていた。
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その竹本が、鰐戸三兄弟の「純愛の家」で働いており、いくら働いても実入りがないとは。自分が騙されていることに気づかない、バカと言うか、真面目というか、どうにもこういう男は手が付けられない。
今回では、ウシジマの過去を振り返るシーンが間に挟まれており、今の無口な丑嶋の形が出来たという。そして、ラストで丑嶋が鰐戸三兄弟のアジトへ乗り込んでいくところ、今までにありそうでなかったシーンであり、社長がわざわざ出向くことはないわけで、、ただし、今回は社員のやべきょうすけの柄崎と、高田(崎本大海)が捕まってしまい拷問を受けているので。さすがに「てめえが来い」とは言えない。拳銃を突き付けてくる長男の安藤政信、しかし、丑嶋も拳銃を持ってきている。
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ですが、実のところ、ウシジマ君の過去や因縁など知りたくもなかった。これまで通り、彼の非情な闇金ビジネスと、客に対する彼なりのケジメだけで終わりにしても良かったのではないかと。
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高利を承知で闇金に駆け込んでくる、客たちのそれぞれをの事情に世が窮えたのも大きな理由でもあるし、その事情に合わせたウシジマの対応も充分に面白かったのだから。
しかしながら、結果として最後に、竹本を寿命が縮むくらいの仕事を世話する、ウシジマの辛さが顔に滲み出ており、自分の闇金という仕事を悔やんでいるようにも見えた。

2016年劇場鑑賞作品・・・239Image may be NSFW.
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いきなり先生になったボクが彼女に恋をした★★★

韓国の人気グループSUPER JUNIORのリードボーカル、イェソンを主演に迎えて贈るラブコメディ。共演は「呪怨 -終わりの始まり-」「さいはてにて ~やさしい香りと待ちながら~」の佐々木希。監督は「釣りバカ日誌」シリーズ、「愛を積むひと」の朝原雄三。
あらすじ:東京に来て3年になるイ・ヨンウン(イェソン)は、恋人に捨てられ、勤めていた会社をリストラされ、出張先の沖縄で途方に暮れていたところを、外国語学校の経営者に拾われ、いきなり韓国語の先生になる。そんな彼の前に現われたのが、幼い息子を抱えたシングルマザーの山城さくら(佐々木希)。彼女は韓国語ができると嘘をついてようやく旅行会社に仮採用されたばかり。そこへきて、大きな取引がかかった韓国の旅行会社の社長が来日することになり、追い詰められたさくらはヨンウンに個人レッスンを頼むのだったが…。
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<感想>この邦題のタイトルだけ見ると、恋愛ものだと思い半分観るのやめようかと思った。魅力に欠けるタイトルだが、「愛を積むひと」の朝原雄三監督だけあってか演出で見せてくれる。
主人公にあのSUPER JUNIOR のイェソンが出ていると思って鑑賞。酷いイェソンの恋人が、男を部屋に引っ張り込んでHしているところへ、ばったりとイェソンが帰って来る辺りには、韓国のイケメン歌手をぞんざいに扱っているなぁと、それでも主人公が沖縄へ行った辺りからは、それなりに見られました。
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ちょっと、頼りなげな主人公のイェソンでしたが、さすがに人気グループのボーカリストだけあってか、「勝手にしやがれ」をカラオケで熱唱するところは良かった。彼を韓国語の教師に仕立てて、外国語塾の二人組の老人?と3人で、韓国から来た社長を沖縄観光に案内する佐々木希扮するさくらに、遠隔から韓国語の通訳をするため追いかけて行くシーンなどは、コミカルに飛んでいて面白かった。
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パターン通りの再会や別れのシーンをどんどん省略するのは小気味がいいが、米軍機や雇用問題など沖縄の現実をさりげなく提示することも忘れていないところもいい。ですが、韓国語もあまり話せないさくらに、商談の相手の接待と通訳を任せ、挙句に強姦されそうになるパワハラ&セクハラを古めかしい笑いに利用するのはいけ好かない。
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旅行会社のデブ社長が、通訳のさくらに韓国の旅行会社との接待に、若い女を当てがったということも含めて、いくらイケメンの青年実業家でも許せませんからね。それでも佐々木希は、1カ月弱で韓国語のセリフをマスターしたそうです。イェソンも日本語のセリフを流暢に喋ってたしね。
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沖縄のバーのマスターに扮する吹越満さん、見た感じがそう見えませんからね。そのマスターがさくらを助けるために、妙な発明品を持ち出すあたりから面白くなってくるんですよね。
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無線を使って通訳作戦を活かすために、かなり喋ることができたはずのさくらが、日常会話までロクに分からなくのはちょっとご都合主義かも。レイプされるところを、イェソンに助けられたからいいものを。
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それでも、さくら役の佐々木希は前にも「さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~」で、シングルマザー役を上手く演じていたから、違和感がなかった。イェソンが、さくらの息子を自転車に乗せて保育園の送り迎えまでするなんて、微笑ましい場面も見られ、二人が上手くいきそうになったところへ、逃げて行った子供の父親が帰って来るなんてね。いくら子供の父親だからって、こういう男を許してはダメですから。
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仕方なく、イェソンが韓国へ帰るも、韓国へ帰れば、父親が癌で入院しているし、頑固な父親に反発して家出して日本へ来たイェソン。お互いに意固地になっていたんですね。父親の会社を継ぐ決心をして、沖縄のさくらと韓国のホテルでばったり再会するとは、・・・。このシーンは、冒頭で描かれており、そして3年前に戻ります。
観客が3人ぐらいで寂しいかぎりで、とても軽やかなコメディであり、沖縄の魅力がぎゅっと詰まっている映画なので、それにラストに流れるイェソンの歌声がとにかく痺れさせてくれますからね。
2016年劇場鑑賞作品・・・240Image may be NSFW.
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PK ピーケイ★★★

ヒットを記録した『きっと、うまくいく』のラージクマール・ヒラニ監督と、主演のアーミル・カーンが再び組んだヒューマンコメディー。テレビ局で働く女性が神様を探している謎の男に興味を持ったことから始まる物語を、世界中で起きている社会問題を絡めて描く。主人公のPKを熱演したアーミルが、50歳を超えたとは思えない肉体美を披露し、ヒロインを『命ある限り』などのアヌシュカ・シャルマが演じる。
あらすじ:留学先のベルギーで恋に破れ、祖国インドのテレビ局に勤務するジャグー(アヌシュカ・シャルマ)は、ある日黄色いヘルメットをかぶって大きなラジカセを持ち、さまざまな宗教の飾りを身に着け、チラシを配布する男(アーミル・カーン)と出会う。PKというその男は神様を探しているらしく、興味を持ったジャグーは彼を取材する。しかし、PKが語る話は途方もない内容で……。
「チェイス!」2014年12月5日
「きっと、うまくいく」2013年5月18日
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<感想>主演をしたアーミル・カーンは、インド・ムンバイ出身。父が映画プロデューサーで、おじも監督・脚本家・プロデューサー。おじがメガホンをとった「Yaadon Ki Baaraat」(73)で子役としてデビュー。主演作「きっと、うまくいく」(2013)はインドの歴代興行収入1位を記録した。その後の「チェイス!」(14)では裏の顔は金庫破りで、サーカス団ではマジックとダンスを融合させたゴージャスなショーを披露している。
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この作品の冒頭で、雲に隠れて巨大な宇宙船で地球に飛来したアーミル・カーンが、素っ裸で登場する。まぁ、顔は子供っぽいけど、体を鍛えているので、脱いでも筋肉モリモリで見ごたえがあります。地球の風習もまだ分からないままに、UFOを呼ぶのに必要な絶対必要なグリーン色したベンダントのリモコンを盗まれてしまい、慌てて車が揺れているところから洋服を失敬して警官に相談する。
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すると、警官は「神様にでも頼んだら」と言われて神様探しに奔走するのだ。それが、日本も多いが、インドでは宗教が多くヒンドゥーのみならず、仏教やキリスト教、イスラム教など、ありとあらゆる神が溢れている宗教大国なのだ。
だから、そのインドの宗教をパロディ化するような大胆なプロット。インドの宗教観を様々な角度から見ることができる。
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だからなのか、この映画の中でも歌と踊りに、いつものポリウッドらしい映像がいくらか入っている。だが、それほど目障りではない。この歌と踊りを楽しみにしている観客もいる分けだしね。
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しかし、彼が宇宙人であることが最初から分かっているので、まばたきもせずギョロメで、だから目が充血しているし、口の中に何か入れているような、そんなに頭のいいエイリアンではない。
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無知で余りのバカさ加減に、観ていてイライラさせられるし、主人公が神様探しに一生懸命なのは分かるが、PKと対立するのは、ヒンドゥー教の新興宗教的一派の導師である。インドには、宗教を商売にしている人は何千人といる。人々の恐怖心に付け込み、信仰心を利用して金を儲けている人たちですね。そういうエセ宗教者も追及したという監督。
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それぞれの宗教が自分たちの神様が一番だと主張すると、そこに争いが生じてくる。宗教の名のもとに、いかに人間が殺されてきたか、ということも訴えようとしている。
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「神と交信ができる」と自称する宗教家と対決するようになっていく後半の展開は、それが、その宗教家の持っている盗まれたグリーンの交信機(リモコン)を取り戻したいために、TV局の女ジャグーに頼んで宗教家と対決することになる。
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人々の願いは神様に届いておらず、宗教家が伝える神様の言葉は「間違い電話」だと言い切る。創造主たる本物の神のほかに、人間が創り出して、お金を貢がないといけない偽の神がいるのだと。人間は誰しもが間違い電話を繰り返す。宇宙と神様を巡る物語が、最後には地球に住んでいる人間の物語になるということ。
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この作品の中では、宗教問題に重ねて、インド人女性ジャグーと、パキスタン人青年サルファラーズの恋も描いており、インドとパキスタンの関係にも踏み込んでいるのですね。
ヒロインのジャグーが結婚しようとした彼氏が、パキスタン人で宗教も違うしで、結局は別れがきたと決めつけているヒロインのジャグー。でも、男の方は、諦めていなく、パキスタンの大使館に彼女から電話があったら知らせてくれと何度も電話が入っており、それも何年間も諦めずに彼女からの電話を待っていたなんて。
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2人の恋物語は感動的なラストを迎え、PKはリモコンを取り返して自分の星へ帰るのだが、別の宇宙人(イケメンで筋肉モリモリの男性)数人を連れてまた地球に戻って来る。まるで地球へ観光旅行みたいに、ツアーを組んでいるのだ。これは続編への伏線かもしれませんね。

2016年劇場鑑賞作品・・・241Image may be NSFW.
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続・深夜食堂★★★★

小林薫が小さな食堂の寡黙なマスターを演じ、日本のみならずアジア各国で人気を博す安倍夜郎原作の人情ドラマ・シリーズの劇場版第2弾。夜な夜な常連客で賑わう“深夜食堂”を舞台に、マスターの作る素朴で懐かしい料理の数々とワケありな客たちが織りなす悲喜こもごもの人間模様を心温まるタッチで綴る。共演は松重豊、オダギリジョーら常連客の面々と前作に続いての出演となる多部未華子、余貴美子に加え、佐藤浩市、河井青葉、池松壮亮、キムラ緑子、小島聖、渡辺美佐子、井川比佐志らがゲストで参加。監督は引き続き「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」の松岡錠司。
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あらすじ:繁華街の路地裏で、深夜になると開店する小さな食堂。メニューは酒と豚汁定食だけながら、注文すれば出来るものなら何でも作ってくれる。そんな“深夜食堂”には、今宵も店ののれんをくぐって、ワケありの客がやって来る
「深夜食堂」2015年
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<感想>本作も第1作目と同じように三篇のエピソードと看板メニューが出て来て、もちろん、主人公小林薫がマスターを務め、真夜中だけ営業する小さな飯屋“深夜食堂”を舞台に、そこの常連客や新規のお客の人生を、食い物に絡めて描いた作品であります。
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今回は、「焼肉定食」、「焼うどん」「豚汁定食」をテーマに、3つの物語が綴られていく。
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埼玉県入間市にある倉庫の中に、「深夜食堂」を中心にした周辺の街並みのセットが建てられ、外から見ると普通のだだっ広い倉庫だが、一度中へ入ると何故か美味しい香りがどこからともなく漂ってきて、ここでは、物語の舞台である新宿・花園神社周辺にある、新宿ゴールデン街を思わせる小さな路地裏が出来上がっていた。
昭和の香りを残したネオン街の店看板、吐き出されたチューインガムやポイ捨てされた吸い殻など、ドラマシリーズから調整を重ねてきたという街並みには、カメラが映さないところでもディテールにこだわりが見られる。
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いつもの常連さんの不破万作、金子清文、平田薫、そして深夜ファンからはお茶漬け三人娘のミキ、ルミ、カナらが、焼き色の付いた大ぶりの秋刀魚焼きをつつきながら、話に花を咲かせていた。
すでにTVドラマシリーズでも出ているキャストたちなので、息ももぴったりでテンポも良く撮影が進められていく。それにしても、これまで美味しそうな家庭的な、おふくろの味のする料理が出てくる映画はなかなかない。本シリーズのフードコーディネーターを務める飯島奈美は、本番前に一角に作られた小さなキッチンで、綺麗に並べた秋刀魚をじっくりと七輪で焼き上げている。この飯島奈美さんは、「かもめ食堂」、「海街diary」や、NHKの「ごちそうさん」でも活躍している。
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本当に美味しいから、みなさん演技をしながら実際にどんどん食べちゃっている。料理を食べる出演者たちの幸せそうな表情が本物だったことは、映像からも伝わってくるのだ。
冒頭の場面では、ある夜のこと、常連客が揃いもそろって喪服姿で現れる。そんな中で、もう一人喪服姿の女範子(河井青葉)が入ってきて、彼女はストレス発散に喪服を着て街を歩くという一風変わった女。いつも食べるのは「焼肉定食」これも、豚バラ肉に生姜醤油で絡めて美味しそうだった。
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編集社に務めており小説家の死に目に遭い、葬式場で渋い男性と出会う。その男は佐藤浩市が扮しており、心惹かれていくのだが、実は香典泥棒だったとはこれいかに。ベテランの佐藤浩市の渋い中年の男が演じているので、まさか香典泥棒だとは思いもよらなかった。コメディを見ているような感じでしたね。
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最初の豚汁定食を食べる熊本から上京して来た渡辺美佐子おばあちゃん。キテキテ詐欺と思われる電話で息子のために200万円を持ってやってきて、見事に騙されてしまう。
帰り道途方にくれている渡辺婆ちゃんが今夜の泊まるところを探しているのに、マスターが2階が空いているのに泊めると言わない。
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実は、2階では警察が向かいのアパートに住んでいる犯人を、張り込みしているわけで、時折2階で音がするのを、ネズミだろうと平気な顔して言う。
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そこで出る「すきやき」も豪華版である。
仕方なく近所のカプセルホテルへ泊まるも、次の日は、1作目に出ていたみちるという女の部屋に泊まる。新潟から出て来て、男にお金を全財産騙されて取られてしまい、この店の前にいたあの女、多部未華子だ。この店の常連客でマスターの恋人のような存在の料亭の女将、余貴美子の店で板前修業をすることになるとは。
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そして、「焼うどん」のお話しでは、近所のソバ屋の息子清太(池松壮亮)が、亡き父親の跡継ぎとして、母親(キムラ緑子)が子離れしてくれず、彼は近所の運送屋の事務員で、15歳も年上の女性さおり(小島聖)との結婚を母親に言い出せずにイライラしている。それに、ソバ屋の息子が大好きなのは、うどんなのだ。
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母親に内緒で近所のソバ屋で修行をしていることも、趣味は卓球でそこで恋人のさおりと出会い、急速に仲良くなったというわけ。この二人に結婚も、初めは母親も15歳も年上の姉さん女房なんてと、怒って取り合わなかったが、最後には認めてやるのだ。
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マスターがソバ屋の女将に出してやるざるそばは、息子の清太が近所で修行して打った蕎麦。涙を流しながら、ボソボソして美味しくないといい食べる母親の顔は、幸せそう。
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この店に集まる客たちの人情味溢れる人柄に、喜劇ふうな笑いもあり、交番のおまわりさんのオダギリジョーが、これまたお人よしで熊本の渡辺ばあちゃんの為に、幼い時に若気の至りで置き去りにしてしまった息子を探してやるとは、最後にタクシーの中から遠くに見える、大きくなって幸せな生活をしている息子に嫁、孫の姿を見て安心して涙をこぼすシーンでは、観客もついもらい泣きしてしまう。
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ラストは、大晦日で3人女が振袖を着て現れ、年越しをここで過ごす常連客たち。そこへ、みちるが重箱におせちを詰めて入って来る。
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みんな家族のように和気あいあいであり、観ていてこういうお店があったら、私も通うのになんて思ってしまった。いい映画には美味しいごはんと、おふくろの味のする家庭料理に、旨い酒が一番ですからね。
2016年劇場鑑賞作品・・・242Image may be NSFW.
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やさしい嘘と贈り物★★★

「エド・ウッド」のマーティン・ランドーと「アリスの恋」のエレン・バースティン、2人のオスカー俳優が共演。独り暮らしの孤独な老人が、美しい女性と出会って生活に潤いを取り戻すが、彼女は実は…。大人の恋愛と家族愛をやさしいタッチで描いた物語。監督は、本作がデビュー作となる24歳の新鋭ニコラス・ファクラー。
あらすじ:孤独な生活を送る老人ロバート・マローン(マーティン・ランドー)のもとに、ある日、夢のような出来事が訪れる。スーパーでの仕事を終えて帰宅すると、そこに一人の美しい女性がいたのだ。メアリー(エレン・バースティン)という名のその女性は、通りがかったロバートの家の扉が開いており、住人のことを心配したのだと語る。立ち去る間際、彼女はロバートを食事に誘う。久しぶりとなる女性とのデートに心躍らせながら、若いスーパーのオーナー、マイク(アダム・スコット)に、その出来事を相談。
当日、慣れない場に苦戦しつつも、小洒落たレストランで楽しいひと時を過ごすロバート。そして2人は“絶対に物事をあきらめない”という約束を交わす。こうしてロバートとメアリーの交際が始まる。メアリーの娘アレックス(エリザベス・バンクス)からは、メアリーがロバートに好意を寄せていると知らされ、まるで10代のような恋にときめいてゆくロバート。(作品資料より)
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<感想>この作品もだいぶ前に鑑賞したもので、老人の認知症をよく捉えた内容で身につまされた作品。だれでも年をとると元気で呆けることもなく、少々の物忘れくらいは仕方がないとしても、元気で毎日のことを自分でちゃんとやるということが出来ない人達が増えています。
そうなると家族は、てっとりばやくに老人ホームへ入れてしまうんですね。この作品では、家族が父親が呆けて認知症にかかり、それでもまだ丈夫な体で動けるので、スーパーで働かせて家も家族の向かいの家に住まわせている。何かあったら直ぐにでも駆けつけることが出来るようにと。
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主人公の老人ロバートは、毎日決まった時間にラジオから流れる音楽で目を覚まし、歯を磨き、スーパーへ働きに行くのが日課なんです。
この初めの部分を見ると、どこにでもいる一人暮らしの頑固な老人のように見受けられる。
初めは老人の独り暮らしで、スーパーに働いているのは健康のためかと思っていた。しかし、メアリーという女性が現れたころから、もうストーリーの展開が読めてきて、認知症の父親を老人ホームになど入れないで、何とかして元の父親の記憶が戻るようにと家族が結束して頑張っているのだなぁと感心しました。
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父親がすっかり自分の奥さんのことを忘れてしまっていて、突然家に女の人がいるのに驚いたが、すぐに話している内にメアリーと親しげになる。
クリスマスに向けて食事に行き、雪の夜に馬車に乗ったりソリで滑ったり、まるで若い恋人同士のように、それはロバートの心にまるでお伽噺のような世界が広がる。
まるで恋愛ドラマのような、そして彼がメアリーを愛することになる展開はとてもほんわかとして良かったです。
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でも、自分の兄弟のこともすっかり忘れてしまっているロバート爺さんは、メアリーが親しげにお話をしている男を見て、ヤキモチを焼いて怒りだしその結果、メアリーの電話番号を書いたメモも、彼女の名前すら忘れてしまうということに。
メアリーが古い家族の写真をロバートに見せて、少しづつ思い出していく過去のことを、それは働いていたスーパーの社長は自分の息子で、メアリーの娘は自分の娘だったことに気が付く。そして恋に落ちたメアリーは、自分の妻だったことを思い出し、倒れて病院へ搬送されるも、もう助からないという。この「やさしい嘘」の種明かしは、ロバートにとっては幸運だったのだろうか。
しかし、同じような作品で「アウェイ・フロム・ハー君を想う」というサラ・ポーリー監督の映画がありますが、こちらの方が、老優の素晴らしい演技で成功していると思いますね。それにやはり奥さんの方が認知症になり旦那さんが何とか自分のことを思い出してもらいたいという、この作品「きみに読む物語」も記憶に残る名作品だったと思います。
こんなふうに、家族が認知症になって全てを忘れてしまった両親を、温かく見守って記憶を呼び起こすストーリーも悪くありません。特に奥さんのメアリーを演じたエレン・バースティンが良かった。邦題の付け方も良かったけれど、原題の「LOVELY, STILL」というのも的を得てズバリな表現ですよね。

2016年DVD鑑賞作品・・・61Image may be NSFW.
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ボクの妻と結婚してください。★★★

TVドラマ化もされた売れっ子放送作家・樋口卓治の同名ベストセラー小説を織田裕二主演で映画化した感涙ラブ・ストーリー。余命宣告を受けた敏腕放送作家が、最愛の家族のために、妻の結婚相手を探す人生最後の“企画”に奔走する姿を描く。共演は吉田羊、原田泰造。監督は「阪急電車 片道15分の奇跡」「レインツリーの国」の三宅喜重。
あらすじ:人気バラエティ番組の放送作家として活躍する三村修治はある日突然、すい臓がんで余命半年と宣告されてしまう。途方に暮れる修治だったが、何よりも気がかりなのは、遺される最愛の妻・彩子と一人息子の陽一郎のこと。そこで修治は、人生最後の“企画”として、妻の結婚相手を見つけようと決意する。そして、知り合いの結婚相談所社長・知多かおりの協力を得て、ついに理想の相手、伊東正蔵に巡りあうが…。
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<感想>タイトルを見てなんだろう?・・・って思いましたね。余命半年の男が、残していく妻と息子のために新しい夫を探してやるという物語。これは、普通じゃない、かなり突拍子もないことでファンタジーものとして考えればいいのかもしれませんが、やっぱり見ていてどうしても違和感を感じてしまった。
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とにかく、夫が結婚相談所に頼んで、妻のために自分の身代わりの男を探してもらう。それが驚くことに、見つかるんですね。それも高学歴で、若い実業家でもあるイケメンの原田泰造さんなんですから。上手くいけば、夫は安心してあの世へ旅立てるということ。そんなわけないのに。結婚相談所の社長に高島礼子が、彼女にもいろいろありましたが、さすがに女優です、明るく機敏に振舞ってました。
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ですが、これは主人公の三村修治って、一見エゴが強い人のような気もします。自分よりも若くて高学歴で実業家で、性格も優しい美男子の男が、妻の伴侶として再婚するなんて、嫉妬とかないんでしょうか。きっとありますよ。そんなそぶりを見せているシーンもありましたもの。
確かに残された妻と子供のことを考えると、どうせ再婚するのなら、奥さんのことを良く知ってくれている男性で、生きている自分が見て器のでかい素敵な人がいい。その方が奥さんも子供も幸せになれるかもしれない。とんでもなくファンタジーな話かと思ったら、意外とそうじゃないなって、もっと自分の身体のことを考えて、末期のすい臓癌ということで、治療のしようがなく、ただ死を待つのみって、辛いと思うんですけど。
だから、本当だったら、奥さんと息子とで、夫の残っている日をいかに楽しく思い出を残すような企画を立てた方が良いのではとも思いました。嫉妬は当然主人公の修治にもあるんですよ。
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でもそれ以上に修治にとって大事なのは、奥さんの笑顔が続くことなんですね。それを大前提において、自分でこんな企画をしているわけですから。なおかつ自分が気に入った相手を探しているから、そういう意味では根っこにある嫉妬心はいくらか薄れるし、忘れられるんですよね。
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ただ、ちょっとした瞬間には嫉妬心が出ると思うんですよ。最初は3人でデートをしたりして、そのうち2人になっていくんですね。そうすると、息子と家で待っている間に、ちらっと時計を見ている。まだ自分は生きているのだから、まさか朝帰りはないよな、とか、ホテルへは行ってないよな、とかあれこれと悩むのもちょっとね。
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息子がいい子でね、父親の病気のことを知り、「僕がママを守るから」と、父親に約束する。それでも、父親は、若いモモと浮気の偽装工作をしてまで、妻に離婚届けを書いてもらいたいのだ。それが週刊誌に載って、大騒ぎになる。そこまでしなくても、結局は偽装工作でも奥さんを泣かせてしまうことになるもの。
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それで、ラストには修治の身体もやせ細って寝たっきり生活。それで、妻が夫が見つけた理想の相手、伊東正蔵に会い、夫の死に際に間に合うようにと、嘘でいいから結婚式を挙げようとお願いするんですね。
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ウェディングドレスの吉田羊さんは本当に綺麗な花嫁姿でした。まさか、本気じゃないので、夫へのプレゼントですね。エンディングは、今までの10年間の家族の生活を映像で描いて、陽一という名前を付けた由来とか、息子の誕生日にクリスマスと、それは笑いの絶えない家族の絆の証ですから。
2016年劇場鑑賞作品・・・243Image may be NSFW.
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