原題:Cockneys vs Zombies 2012/イギリス 上映時間88分
監督:マティアス・ハーネー製作:ジェームズ・ハリス、マーク・レーン
脚本:ジェームズ・モラン出演:アラン・フォード、ハリー・トレッダウェイ、アラン・フォード、オナー・ブラックマン、ミシェル・ライアン、ラスモス・ハーディカー
あらすじ:不況のため祖父が入居する「ボウ・ベル老人ホーム」が、閉鎖されることになったテリー(ラスモス・ハーディカー)とアンディ(ハリー・トレッダウェイ)は、事態を打開するため銀行強盗を企てる。しかし、強盗を決行し、なんとか金を手に入れたその時、なぜか町中にゾンビがあふれだす。老人ホームにもゾンビの群れが迫り、兄弟は祖父を助けるためゾンビ退治に繰り出すが……。
<感想>東京では1月に公開された映画。地方ではやっと3月16日から上映。何だかこうも世知辛い時代になると、ゾンビにしてしまえば老若男女殺してもOKなゾンビ映画。老人たちの大量殺戮映画である本作は、ゾンビ化したフリーガンたちの乱闘や二階建てバスでのゾンビ網突破など、同じロンドンが舞台の「ショーン・オブ・ザ・デッド」の影響を強く感じさせるものの、コメディとホラーのさじ加減はちょうどいい感じ。
ダッシュするゾンビが当たり前になっている昨今、動きの鈍いロメロ・ゾンビを使って、スリリングな場面を作り上げるのは少々難しいのかもしれない。でも、もし襲われる側の人間が老人だったら?・・・。
冒頭で建築現場で偶然発見される、古代遺跡。工事作業員が恐る恐る入ると、なにやら後ろでうごめく影が。映画は銀行を襲撃した兄弟一行と、ホームに籠城した老人たちのドタバタを並行して描いている。
どうしてもこうも西欧人に限らずハリウッド映画ではゾンビが好きなのか。動きが鈍くうすのろゾンビと、武器といえば丈夫な歯ぐらいで、どうみてもおマヌケのかたまり。人間が重火器を総動員しているのに、何度やられても反省することなく、石すら持たない無防備状態。跳ぶどころか走るころさえ出来ないまるで西洋キョンシーみたいだ。でも、赤ん坊ゾンビには驚いた。
それよりさらに歩みの遅い歩行器老人の追いかけっこなど、笑わせると同時に、ハラハラさせる場面が用意されている。老い先短い自分たちが犠牲になるのではなく、寿命をまっとうするために容赦なく親しかった介護士や、若者を機関銃で射殺する生命力が素晴らしい。お上なんぞに頼らず自分たちの手で、街や仲間、命を守ろうとする老若男女どもの気骨も痛快である。
個人的な好みから言えば、ありふれたボンクラ兄弟のサバイバルよりも、老人ホームの籠城劇にもっと時間を割って欲しかったところだが、老人よりもティーンにスポットを当てた方が観客には喜ばれたのに。
監督のマティアス・ハーネーは、カンヌ国際広告祭金獅子賞を受賞した経歴を持つコマーシャル出身の新鋭。ホラー映画の魅力はエンタテイメントのなかに、社会的メッセージを盛り込むことができることだと語っており、本作におけるゾンビ襲来は、ロンドン・イーストエンドの伝統が再開発によって失われている現状を象徴しているんだとか。
ただ、それに抵抗するのが短絡的すぎる銀行強盗兄弟や、頭に金属プレートを埋め込んだ銃密売屋ってどうなんだろう?・・・。まぁ、この手の映画は、ゾンビの動きの遅さと、老人の緩い動きを競わせてサスペンスあふれる爆笑シーンを作ったのだろうが、老人ホームの爺さん婆さんのガンマンも、かっこいいというほどにはならず、全てが不燃焼気味で残念な結果になっている。
2013年劇場鑑賞作品・・・52 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキングへ
監督:マティアス・ハーネー製作:ジェームズ・ハリス、マーク・レーン
脚本:ジェームズ・モラン出演:アラン・フォード、ハリー・トレッダウェイ、アラン・フォード、オナー・ブラックマン、ミシェル・ライアン、ラスモス・ハーディカー
あらすじ:不況のため祖父が入居する「ボウ・ベル老人ホーム」が、閉鎖されることになったテリー(ラスモス・ハーディカー)とアンディ(ハリー・トレッダウェイ)は、事態を打開するため銀行強盗を企てる。しかし、強盗を決行し、なんとか金を手に入れたその時、なぜか町中にゾンビがあふれだす。老人ホームにもゾンビの群れが迫り、兄弟は祖父を助けるためゾンビ退治に繰り出すが……。
<感想>東京では1月に公開された映画。地方ではやっと3月16日から上映。何だかこうも世知辛い時代になると、ゾンビにしてしまえば老若男女殺してもOKなゾンビ映画。老人たちの大量殺戮映画である本作は、ゾンビ化したフリーガンたちの乱闘や二階建てバスでのゾンビ網突破など、同じロンドンが舞台の「ショーン・オブ・ザ・デッド」の影響を強く感じさせるものの、コメディとホラーのさじ加減はちょうどいい感じ。
ダッシュするゾンビが当たり前になっている昨今、動きの鈍いロメロ・ゾンビを使って、スリリングな場面を作り上げるのは少々難しいのかもしれない。でも、もし襲われる側の人間が老人だったら?・・・。
冒頭で建築現場で偶然発見される、古代遺跡。工事作業員が恐る恐る入ると、なにやら後ろでうごめく影が。映画は銀行を襲撃した兄弟一行と、ホームに籠城した老人たちのドタバタを並行して描いている。
どうしてもこうも西欧人に限らずハリウッド映画ではゾンビが好きなのか。動きが鈍くうすのろゾンビと、武器といえば丈夫な歯ぐらいで、どうみてもおマヌケのかたまり。人間が重火器を総動員しているのに、何度やられても反省することなく、石すら持たない無防備状態。跳ぶどころか走るころさえ出来ないまるで西洋キョンシーみたいだ。でも、赤ん坊ゾンビには驚いた。
それよりさらに歩みの遅い歩行器老人の追いかけっこなど、笑わせると同時に、ハラハラさせる場面が用意されている。老い先短い自分たちが犠牲になるのではなく、寿命をまっとうするために容赦なく親しかった介護士や、若者を機関銃で射殺する生命力が素晴らしい。お上なんぞに頼らず自分たちの手で、街や仲間、命を守ろうとする老若男女どもの気骨も痛快である。
個人的な好みから言えば、ありふれたボンクラ兄弟のサバイバルよりも、老人ホームの籠城劇にもっと時間を割って欲しかったところだが、老人よりもティーンにスポットを当てた方が観客には喜ばれたのに。
監督のマティアス・ハーネーは、カンヌ国際広告祭金獅子賞を受賞した経歴を持つコマーシャル出身の新鋭。ホラー映画の魅力はエンタテイメントのなかに、社会的メッセージを盛り込むことができることだと語っており、本作におけるゾンビ襲来は、ロンドン・イーストエンドの伝統が再開発によって失われている現状を象徴しているんだとか。
ただ、それに抵抗するのが短絡的すぎる銀行強盗兄弟や、頭に金属プレートを埋め込んだ銃密売屋ってどうなんだろう?・・・。まぁ、この手の映画は、ゾンビの動きの遅さと、老人の緩い動きを競わせてサスペンスあふれる爆笑シーンを作ったのだろうが、老人ホームの爺さん婆さんのガンマンも、かっこいいというほどにはならず、全てが不燃焼気味で残念な結果になっている。
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