喜劇王チャップリンの遺体が盗まれた実際の事件を題材に、マヌケでドジな2人組が巻き起こす大騒動を描いたヒューマンコメディ。「神々と男たち」でカンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞したグザビエ・ボーボワ監督が、チャップリンの遺族の全面協力を得て完成させた。
あらすじ:1978年、喜劇王チャップリンの遺体がスイスのレマン湖畔にある墓地に埋葬された。それを知ったお調子者の男性エディは、入院中の妻と幼い娘を抱えてどん底の生活を送る親友オスマンを誘い、チャップリンの棺を盗んで身代金をせしめようと思いつく。しかし計画は穴だらけで、ツキにも見放された2人は窮地に追い込まれてしまう。
主演は「ココ・アヴァン・シャネル」のブノワ・ポールブールドと「この愛のために撃て」のロシュディ・ゼム。チャップリンが晩年を過ごした邸宅や実際の墓地で撮影を行ない、チャップリンの息子や孫娘も特別出演している。「シェルブールの雨傘」などの巨匠ミシェル・ルグランが音楽を担当。
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<感想>チャップリンが亡くなった1977年が舞台の物語。まさかの、喜劇王チャップリンの遺体を墓地から掘り起こして、身代金を要求した前代未聞の誘拐事件のお話で、1978年にスイスで実際に起きたこの事件を再現するように、本当にあったものをお伽噺にしつらえている。
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まともに撮れば、「この不届き者のなんという罰あたりが」と、見ていて腹を立てる客がいるかもしれない。そういう意味では、ハラハラドキドキの推理サスペンス劇になるはずですが、そこは「神々と男たち」でカンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞したフランスの才人、グザビエ・ボーボワ監督のこと、ユーモアとペーソス溢れる現代のおとぎ話に仕立て上げているのだ。
刑務所から出所したばかりの中年男を温かく出迎える昔の友人。小悪党2人の犯行の手口も背景も当時だからこそのもので、多分にノスタルジックさが漂っているのもいい。
ですが、コメディ色は意外となくてしっかりと見せる墓掘りのシーンなどには、ノワールな匂いが立ち込めている。人間ドラマとして丁寧に描きながら、チャップリンの芸の功績を見つめ直しているのもいい。
この貧しい2人の移民が、たまたまテレビのニュースで知ったチャップリンの死と埋葬された遺体を盗み出すまでに時間はいらなかった。
身代金を要求する電話に警察が動き出すが、ドジな2人はあわてふためいて仲間割れをしてしまう。この辺りからシリアスな遺体誘拐事件も脱線につぐ脱線もようで、ついには主犯格の元受刑者は、偶然サーカス団の世話になることに。
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どうして、サーカス団にと、それも道化師の代役になるなんて、最初の場面で「二度と道化師になるんじゃないぞ」と言われて男が出所するところから見れば、「もしや、また道化師になるんだなぁ」と、これは伏線ですよね。こうした映画のお決まりどうりの作りかたは、見ていてむしろ心地がいい。
そんな疑問を持ちながらも、それも人生と、すんなり物語の流れに観客を引き込んでいくところが、この監督の技量たるゆえんで、シリアスな誘拐事件がいつの間にか、ファンタスティックなお伽噺になっていく。
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掘立小屋のような家に住んでいる貧しい移民の2人組みに、サーカス団の道化師、病気で入院中の妻に利発な一人娘とくれば、もうこれはチャップリンの世界ですよね。加えて「ライムライト」のテーマ曲を巧みにアレンジしたミシェル・ルグランの音楽が、とうとうと流れれば気分はすっかりチャップリンの映画になっているのだ。
もちろん途中には意外性とユーモアたっぷりで、特に最後の裁判シーンでの弁護士と検事のやりとりには笑ってしまった。
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2人組みを演じるブノワ・ポールブールドとロシュディ・ゼムのコンビも実に芸達者でいい味を出しているし、サーカス団の女性オーナーに扮しているキアラ・マストロヤンニと、チャップリンの邸宅で働いている執事のピーター・コヨーテの演技にも納得ですから。そして、チャップリンの息子や孫娘も顔を揃えて出演して、この映画を応援しています。エンドクレジット後に映像が少しあります。
2015年劇場鑑賞作品・・・213Image may be NSFW.
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あらすじ:1978年、喜劇王チャップリンの遺体がスイスのレマン湖畔にある墓地に埋葬された。それを知ったお調子者の男性エディは、入院中の妻と幼い娘を抱えてどん底の生活を送る親友オスマンを誘い、チャップリンの棺を盗んで身代金をせしめようと思いつく。しかし計画は穴だらけで、ツキにも見放された2人は窮地に追い込まれてしまう。
主演は「ココ・アヴァン・シャネル」のブノワ・ポールブールドと「この愛のために撃て」のロシュディ・ゼム。チャップリンが晩年を過ごした邸宅や実際の墓地で撮影を行ない、チャップリンの息子や孫娘も特別出演している。「シェルブールの雨傘」などの巨匠ミシェル・ルグランが音楽を担当。
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刑務所から出所したばかりの中年男を温かく出迎える昔の友人。小悪党2人の犯行の手口も背景も当時だからこそのもので、多分にノスタルジックさが漂っているのもいい。
ですが、コメディ色は意外となくてしっかりと見せる墓掘りのシーンなどには、ノワールな匂いが立ち込めている。人間ドラマとして丁寧に描きながら、チャップリンの芸の功績を見つめ直しているのもいい。
この貧しい2人の移民が、たまたまテレビのニュースで知ったチャップリンの死と埋葬された遺体を盗み出すまでに時間はいらなかった。
身代金を要求する電話に警察が動き出すが、ドジな2人はあわてふためいて仲間割れをしてしまう。この辺りからシリアスな遺体誘拐事件も脱線につぐ脱線もようで、ついには主犯格の元受刑者は、偶然サーカス団の世話になることに。
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どうして、サーカス団にと、それも道化師の代役になるなんて、最初の場面で「二度と道化師になるんじゃないぞ」と言われて男が出所するところから見れば、「もしや、また道化師になるんだなぁ」と、これは伏線ですよね。こうした映画のお決まりどうりの作りかたは、見ていてむしろ心地がいい。
そんな疑問を持ちながらも、それも人生と、すんなり物語の流れに観客を引き込んでいくところが、この監督の技量たるゆえんで、シリアスな誘拐事件がいつの間にか、ファンタスティックなお伽噺になっていく。
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掘立小屋のような家に住んでいる貧しい移民の2人組みに、サーカス団の道化師、病気で入院中の妻に利発な一人娘とくれば、もうこれはチャップリンの世界ですよね。加えて「ライムライト」のテーマ曲を巧みにアレンジしたミシェル・ルグランの音楽が、とうとうと流れれば気分はすっかりチャップリンの映画になっているのだ。
もちろん途中には意外性とユーモアたっぷりで、特に最後の裁判シーンでの弁護士と検事のやりとりには笑ってしまった。
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2人組みを演じるブノワ・ポールブールドとロシュディ・ゼムのコンビも実に芸達者でいい味を出しているし、サーカス団の女性オーナーに扮しているキアラ・マストロヤンニと、チャップリンの邸宅で働いている執事のピーター・コヨーテの演技にも納得ですから。そして、チャップリンの息子や孫娘も顔を揃えて出演して、この映画を応援しています。エンドクレジット後に映像が少しあります。
2015年劇場鑑賞作品・・・213Image may be NSFW.
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