『トーク・トゥ・ハー』などのスペインの巨匠ペドロ・アルモドバルが製作を担当し、ひょんなことから窮地に立たされる男女6人の姿を描くコメディー。あることがきっかけで不運に見舞われる、ごく平凡な人々の姿をブラックユーモアを交えて活写する。『瞳の奥の秘密』などのリカルド・ダリンらが出演。まるで悪い冗談のように続く災難と、衝撃のラストに思わずうなる。
あらすじ:飛行機の乗客たちは、不思議なことに全員に共通点があり……(『おかえし』)。偶然にも自分が働く店を訪れた親の敵に遭遇した女性に、調理担当が料理に毒を入れることを提案する。さすがに毒はと戸惑うが……(『おもてなし』)。ドライバーは走る車もほとんどない道路で、追い越しを邪魔するボロ車を抜き去るが……(『エンスト』)。
<感想>この映画は怒りと復讐がテーマの、ラテンの血が騒ぐ6本の短編が並び、日本人にも思い当たる感情の部分があって面白く笑えました。原題は「野生の物語」なんですが、冒頭でのアフリカの野生動物が映し出されているのが、ようするに人間も野生動物のように、キレたら動物キチガイそのもので理性なんて働かないという、そういうタイトルのようです。
日ごろは理性や世間体から耐えるしかない理不尽にたいして、ところが一度キレて牙を剥いたらどうなるのか?・・・という実験映画でもあります。
確かに第1話は、飛行機の中でここでは犯人が姿を見せず、観客が当事者だったらという恐怖を醸し出すのだが、乗っている客が全員その犯人らしき「パステルナーク」という共通の友人と関係がある設定で、全員がそのパステルナークという人間に恨まれている。結局はその飛行機がそいつに乗っ取られて、最後が犯人の両親の家へ飛行機が墜落するという、かなりの驚きと、後の挿話への期待をもたらしているようです。
中でも「激突」のパロディ風な物語では、田舎道でノロノロ走っている車を追い越して「Fuck you!」ってやったら、その後にくるまがパンクをして路肩でタイヤ交換をしていたら、そいつがやってきて、嫌がらせを受ける。それが車のボンネットに乗り、○○こに小便を引っかけて、その後は鉄パイプみたいなのでフロントガラスを叩き割るという嫌がらせだ。人間怒ると本当に怖いですよね。その後は、やられた紳士も頭に血が登って、その男のオンボロ車を川へ落とす。車の中から這い上がって来た男が、今度はまたもや車に火を付けて、運転席にいた紳士は、シートベルトが外れなくてモタモタして、そこへそのオヤジが来て川の中へ二人でドボン。車は炎上して、運転席には、真っ黒焦げの二人がなんと抱き合っているような姿勢で死んでいた。だから、消防隊員や警察の人たちは、ゲイの人間が喧嘩をして川へ突っ込んだと勘違いしてしまう。
娘の誕生日にケーキを買って、早く家へ帰ろうとするも、店の路上に停めた車がレッカー車に持って行かれる。駐車違反切符を切られて、レッカー車代金にそこへ止める駐車代金と、とんでもない金が吹っ飛ぶのだ。それが、運が悪く、さっさと家へ帰ればいいものを、またもやレッカー車で車を持って行かれて、その日の夕方には何度もそういうことが起こるのだ。人間は一度は仕方がないと諦めて支払うも、何度もとなると嫌がらせかと思ってぶち切れてしまう。
どうオチをつけるのかが見えないのが、
最後の6話が面白い。「ハッピーウェディング」はベタだけど面白かった。結婚式に花婿の浮気相手が来ていて、それに気づいた花嫁が怒り狂って式をメチャクチャにするお話。これって、実話でもある話なんだけど、ラテン系の花嫁の怒りが半端じゃないのよ。
式場から屋上へ出て、そこでコックと出会い腹いせにその男とセックスをして、花婿の浮気相手と踊ったりして、ぐるぐる回って手を放し、ガラスに激突させて大怪我させるという。じつは、花婿よりも花嫁の方が悪党だったんですね。ののしりあっていた二人が、いつの間にかダンスをして抱き合いセックスをし始めるという。過激な二人でした。
貧富の格差、公務員の杓子定規な応対、いずれも耐えている者にとっては、いつブチ切れるかが見せ場だけれど、演出のタイミングがいいので、快感を生み面白い。それに、ブラック・ユーモアが過激なので、唖然としながらもここまでやるのかと笑ってしまった。
各短編の幕引き方もサンタオラヤの音楽とマッチしていて上手く、こういう試みはいいんじゃないの。
2015年劇場鑑賞作品・・・194映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:飛行機の乗客たちは、不思議なことに全員に共通点があり……(『おかえし』)。偶然にも自分が働く店を訪れた親の敵に遭遇した女性に、調理担当が料理に毒を入れることを提案する。さすがに毒はと戸惑うが……(『おもてなし』)。ドライバーは走る車もほとんどない道路で、追い越しを邪魔するボロ車を抜き去るが……(『エンスト』)。
<感想>この映画は怒りと復讐がテーマの、ラテンの血が騒ぐ6本の短編が並び、日本人にも思い当たる感情の部分があって面白く笑えました。原題は「野生の物語」なんですが、冒頭でのアフリカの野生動物が映し出されているのが、ようするに人間も野生動物のように、キレたら動物キチガイそのもので理性なんて働かないという、そういうタイトルのようです。
日ごろは理性や世間体から耐えるしかない理不尽にたいして、ところが一度キレて牙を剥いたらどうなるのか?・・・という実験映画でもあります。
確かに第1話は、飛行機の中でここでは犯人が姿を見せず、観客が当事者だったらという恐怖を醸し出すのだが、乗っている客が全員その犯人らしき「パステルナーク」という共通の友人と関係がある設定で、全員がそのパステルナークという人間に恨まれている。結局はその飛行機がそいつに乗っ取られて、最後が犯人の両親の家へ飛行機が墜落するという、かなりの驚きと、後の挿話への期待をもたらしているようです。
中でも「激突」のパロディ風な物語では、田舎道でノロノロ走っている車を追い越して「Fuck you!」ってやったら、その後にくるまがパンクをして路肩でタイヤ交換をしていたら、そいつがやってきて、嫌がらせを受ける。それが車のボンネットに乗り、○○こに小便を引っかけて、その後は鉄パイプみたいなのでフロントガラスを叩き割るという嫌がらせだ。人間怒ると本当に怖いですよね。その後は、やられた紳士も頭に血が登って、その男のオンボロ車を川へ落とす。車の中から這い上がって来た男が、今度はまたもや車に火を付けて、運転席にいた紳士は、シートベルトが外れなくてモタモタして、そこへそのオヤジが来て川の中へ二人でドボン。車は炎上して、運転席には、真っ黒焦げの二人がなんと抱き合っているような姿勢で死んでいた。だから、消防隊員や警察の人たちは、ゲイの人間が喧嘩をして川へ突っ込んだと勘違いしてしまう。
娘の誕生日にケーキを買って、早く家へ帰ろうとするも、店の路上に停めた車がレッカー車に持って行かれる。駐車違反切符を切られて、レッカー車代金にそこへ止める駐車代金と、とんでもない金が吹っ飛ぶのだ。それが、運が悪く、さっさと家へ帰ればいいものを、またもやレッカー車で車を持って行かれて、その日の夕方には何度もそういうことが起こるのだ。人間は一度は仕方がないと諦めて支払うも、何度もとなると嫌がらせかと思ってぶち切れてしまう。
どうオチをつけるのかが見えないのが、
最後の6話が面白い。「ハッピーウェディング」はベタだけど面白かった。結婚式に花婿の浮気相手が来ていて、それに気づいた花嫁が怒り狂って式をメチャクチャにするお話。これって、実話でもある話なんだけど、ラテン系の花嫁の怒りが半端じゃないのよ。
式場から屋上へ出て、そこでコックと出会い腹いせにその男とセックスをして、花婿の浮気相手と踊ったりして、ぐるぐる回って手を放し、ガラスに激突させて大怪我させるという。じつは、花婿よりも花嫁の方が悪党だったんですね。ののしりあっていた二人が、いつの間にかダンスをして抱き合いセックスをし始めるという。過激な二人でした。
貧富の格差、公務員の杓子定規な応対、いずれも耐えている者にとっては、いつブチ切れるかが見せ場だけれど、演出のタイミングがいいので、快感を生み面白い。それに、ブラック・ユーモアが過激なので、唖然としながらもここまでやるのかと笑ってしまった。
各短編の幕引き方もサンタオラヤの音楽とマッチしていて上手く、こういう試みはいいんじゃないの。
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