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Channel: パピとママ映画のblog
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ソニー ★★★.5

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巨匠コッポラの甥としても有名な俳優ニコラス・ケイジが、ついに初メガホンを取ったのが本作。『ソニー』は15年も前に俳優としてアプローチしたこともある、思い入れの深い作品だったとか。時代設定を彼が青春時代を過ごした80年代初頭に、舞台も彼が大好きな街ニューオリンズに変更。室内シーンはそのほとんどを彼の自宅で撮影、とニコラス・ケイジのパーソナルな映画に仕上がった。もちろん彼もチョイ役で出演! お見逃しなく。
あらすじ:1981年。ニューオリンズの歓楽街に、軍を除隊したソニー(ジェームズ・フランコ)が帰ってきた。娼館を営む母親ジュエル(ブレンダ・ブレッシン)のもと、少年時代から男娼として完璧な教育を受けてきたソニーは、その類い稀な容貌と才能で街の伝説になっていた。
以前の生活を望んでいたジュエルは早速彼に仕事復帰を促すが、ソニーはこの世界から足を洗い、普通の人生を手に入れようと決意していた。新しい生活をスタートさせるため、軍隊の友人を頼って家を出るソニー。

しかしそこで堅気の人間たちの乱れた生活を目にした彼は幻滅し、また元の生活へと舞い戻ってしまう。そんな中でソニーは、ジュエルのもとで働く新入り娼婦キャロル(ミーナ・スヴァーリ)と心を通わせる。だが、現状に甘んじているソニーに対し、キャロルは荒んだ境遇からの脱出を願う気持ちが強くなる。
キャロルは一緒に旅立とうと誘い掛けるが、ソニーがどうしても踏み切れないため、プロポーズされた冴えない中年の客との結婚を選択する。孤独に打ち拉がれるソニーに追い打ちをかけるように、年上の友人ヘンリー(ハリー・ディーン・スタントン)が事故死。しかもジュエルから、彼がソニーの父親であるという驚愕の事実を知らされた。そして、いよいよキャロルが町を出て行く時がくる。ソニーは彼女が乗った車を追いかけようかどうか葛藤したまま、家の前のドアから動けないのだった。

<感想>ニコラス・ケイジの初監督作。これが意外な拾い物だった。イーサン・ホークやジョージ・クルーニーのように思い入れにハマることなく、アメリカ南部の異境性とそこに住む「男娼」の疎外感を描いている。
15年前、自らがオファーされたというソニー役には、「スパイダーマン」、「127時間」のジェームズ・ブランコを起用しているが、体も鍛えていいし、中でもソニー役の演技が光っています。
ニューオリンズの歓楽街に娼婦の息子として生まれたソニーは、セックスのプロではあっても愛は知らない。似た境遇の若い娼婦と出会い、過去を断ち切ろうとするが、世間の目や母親との関係が重くのしかかる。
南部独特の閉塞性、「かわいい坊や」と溺愛する母親の呪縛、不意に爆発する暴力、・・・。リンチの「ワイルド・アット・ハート」のごくわずかな部分が随所にちらつくのもニコラスならではなのだろう。
脇を固めるブレンダ・ブレシン、ハリー・ディーン・スタントンらの超熟成チーズのような演技も含めて親密な手作り感のある作品です。それに場面場面で流れるクラシックがとてもいい味を出していますね。残念なのはニコちゃん、監督に徹して出なくても良かったのに、どうしても自分をアピールしたかったのでしょうね。
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