ロイス・ローリーのSF児童文学「ギヴァー 記憶を注ぐ者」を、『ソルト』などのフィリップ・ノイス監督が映画化。欲望や憎悪などの感情が排除され、争いもない近未来の管理社会を舞台に、記憶を受け継ぐ使命を与えられた若者がある人物との出会いを通じ、平和な理想郷のいびつさに気付いていく姿を描く。キャストにはオスカー俳優ジェフ・ブリッジスとメリル・ストリープ、『マレフィセント』などのブレントン・スウェイツ、人気歌手テイラー・スウィフトら豪華な面々がそろう。
あらすじ:文明が荒廃した社会から、人類は完全に平等で争いもない平和な理想郷を作り上げる。その社会で育ち次世代に記憶を伝える「記憶を受け継ぐ者」に選ばれたジョナス(ブレントン・スウェイツ)は、全ての記憶を持つ「記憶を注ぐ者」(ジェフ・ブリッジス)と対面したことで、恐れや憎悪といった人間の本能的な感情や、理想社会に隠された暗い過去に気付いていく。社会の秩序を守る主席長老(メリル・ストリープ)は、そんな彼の存在を注視しており……。
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<感想>SFもの児童文学というから、子供向けかと思いきや全然大人向きの近未来社会の隠された秘密とは、・・・。平和で平等な生活とはいうものの、やはり上に立って仕切る者は威厳を持ち、絶対服従の差別的な組織のようだ。
以前見た「ダイバージェント」に似ているようでもあるが、中でも成人すると一人だけ特別に選ばれる“記憶を受け継ぐ者=ザ・レシーヴァーなるもの。それは、名誉ある仕事だというが、一人だけ記憶の世界へ入り込み、人類の歴史を伝達される。
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それは、この世から消されていた色彩、音楽、特にグランドピアノがあり、それを弾く記憶を注ぐ者・ジェフ・ブリッジスの奏でるピアノの音色に感嘆する。
それに、愛、これは感情が伴うもので、特に好きな女性ができると必ずといってくらい胸がときめき、彼女を抱きしめてキスをしてしまう。幻覚のような映像で見せられる愛情という感覚は、毎朝の薬で感情を抑えてコントロールしているのだ。だから、今まで、男女間の恋愛などは一切なかったのだ。それが、ジョナスが愛というものを知り、抑えきれなくなり好きな女を隠れ場所へ連れ込んで抱きしめキスをしてしまう。驚く女は、そのキスで男の存在を意識し始めて、愛情を感じるようになる。そのことは、監視カメラで一部始終を主席長老に見られてしまう。
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そんなジョナスは、戦争の記憶に触れて恐怖や苦痛、憎しみをも知るようになる。「マレフィセント」の若手注目株ブレントン・スウェイツが、主人公ジョナスを演じていて、そんなジョナスを長老は、危険人物とみなすようになる。
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やがて彼は、長老委員会が「解放」と言っている行為の実態を知ってしまうのだ。それは、つまりこの安全で差別のないコミュニティーの中で、完全に平等で争いもない平和な理想郷を作り上げているのに、その裏側に隠された恐るべき真実を。「解放」とは、裏切者、反逆者、つまり従順に長老の言うことを聞かないで逆らってしまうことである。
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一応家族という設定も設けられてあり、つまりは疑似家族である。血のつながりなどはない。妹がいて、自転車に乗れるようにと家族で見守る温かな場面もある。母親に元トム・クルーズの奥さんのケーティ・ホームズが、でも台詞も少ないし出番もちょこっとだ。
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だから、ジョナスとキスをして愛し合ってしまった女は、「解放」といって頭に注射をされて殺されることになる。それに、赤ん坊も夫婦が愛を交わって子供を宿すのではなく、子供を産む女性が選ばれて生むのである。もちろん、その生まれた子供は、育てる者が選ばれて、若い夫婦に預けられる。そのことに対して何も不具合だとか、変だとか思わないように薬で抑えているのだ。
ジョナスの家に赤ん坊が預けられる。その男の赤ん坊は、夜になると泣き叫び手がつけられない。しかし、ジョナスがあやすと静かになり泣き止むのだ。その子にも、ジョナスと同じ手の付け根に印があった。長老は、あまりにも手がかかるその子供を「解放」するように命令して、ジョナスの家から連れて行かれてしまう。
ジョナスは、すべての記憶を唯一保持する「記憶を注ぐ者=ザ・ギヴァー」なるジェフ・ブリッジスからいろいろな知恵を授かり、この世界を変えるために、旅に出る決心をするわけ。そのジェフ・ブリッジスの家は、住んでいる世界の端にあり、雲が霞んでその先は見えないのだ。
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しかし、ジョナスには、そこから先がジェフ・ブリッジスの記憶の伝達により、未来の世界に希望を見出すのである。それは過酷な困難が待ち受けているかもしれないのに。
ジョナスが、自分と同じ印のある赤ん坊をゲイブと名付けて、「解放」される前に連れ出して、バイクで境界の先へと向かう。だが、長老の放った空軍に見つかり、崖の谷にある滝ツボへと落とされてしまう。「人間は弱くてずるいものなの、選択を誤れば危険だわ」と、長老の命令でいくらでも逆らうのもは殺されてしまうのだ。
それでも、運のいいジョナスは、赤ん坊と共にその滝壺から這い上がって、砂漠地帯を歩き進む。次第に雪になり降り積もり、歩くのに険しくなるも、ジョナスは希望を捨てないで歩き続けるのだ。
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しかし、食べ物や飲み物、それに赤ん坊のオムツとか毛布などなにも持って来ないのだ。無防備すぎるが、それでも夢の中で見た雪の景色、ソリがあった。それで、坂を赤ん坊を抱いて滑り落ちる。そこには、一軒の家があり、いえの中から歌声と笑い声が聞こえるのだ。人間としての生きることへの真実と、未来がここへ導いてくれたのだろう。
人間に生まれて、体験して大きく成長しても記憶が失いということは、老人になり認知症を患ったようなもの。確かに、感情や記憶のない人間であれば争いや、反発もない。だから長老にとっては都合のいいこと。まるで、感情のないロボットのような人間がいるのだもの。
余りにも抑圧された世界で生きることは、人間としての情緒や尊厳、感情に笑い、哀しみが失くなる。まるでロボットのようでもあり、平等だといっても、上に立つ者が支配しているわけで、平等ではないのだ。
2015年劇場鑑賞作品・・・178Image may be NSFW.
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あらすじ:文明が荒廃した社会から、人類は完全に平等で争いもない平和な理想郷を作り上げる。その社会で育ち次世代に記憶を伝える「記憶を受け継ぐ者」に選ばれたジョナス(ブレントン・スウェイツ)は、全ての記憶を持つ「記憶を注ぐ者」(ジェフ・ブリッジス)と対面したことで、恐れや憎悪といった人間の本能的な感情や、理想社会に隠された暗い過去に気付いていく。社会の秩序を守る主席長老(メリル・ストリープ)は、そんな彼の存在を注視しており……。
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以前見た「ダイバージェント」に似ているようでもあるが、中でも成人すると一人だけ特別に選ばれる“記憶を受け継ぐ者=ザ・レシーヴァーなるもの。それは、名誉ある仕事だというが、一人だけ記憶の世界へ入り込み、人類の歴史を伝達される。
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それに、愛、これは感情が伴うもので、特に好きな女性ができると必ずといってくらい胸がときめき、彼女を抱きしめてキスをしてしまう。幻覚のような映像で見せられる愛情という感覚は、毎朝の薬で感情を抑えてコントロールしているのだ。だから、今まで、男女間の恋愛などは一切なかったのだ。それが、ジョナスが愛というものを知り、抑えきれなくなり好きな女を隠れ場所へ連れ込んで抱きしめキスをしてしまう。驚く女は、そのキスで男の存在を意識し始めて、愛情を感じるようになる。そのことは、監視カメラで一部始終を主席長老に見られてしまう。
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一応家族という設定も設けられてあり、つまりは疑似家族である。血のつながりなどはない。妹がいて、自転車に乗れるようにと家族で見守る温かな場面もある。母親に元トム・クルーズの奥さんのケーティ・ホームズが、でも台詞も少ないし出番もちょこっとだ。
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だから、ジョナスとキスをして愛し合ってしまった女は、「解放」といって頭に注射をされて殺されることになる。それに、赤ん坊も夫婦が愛を交わって子供を宿すのではなく、子供を産む女性が選ばれて生むのである。もちろん、その生まれた子供は、育てる者が選ばれて、若い夫婦に預けられる。そのことに対して何も不具合だとか、変だとか思わないように薬で抑えているのだ。
ジョナスの家に赤ん坊が預けられる。その男の赤ん坊は、夜になると泣き叫び手がつけられない。しかし、ジョナスがあやすと静かになり泣き止むのだ。その子にも、ジョナスと同じ手の付け根に印があった。長老は、あまりにも手がかかるその子供を「解放」するように命令して、ジョナスの家から連れて行かれてしまう。
ジョナスは、すべての記憶を唯一保持する「記憶を注ぐ者=ザ・ギヴァー」なるジェフ・ブリッジスからいろいろな知恵を授かり、この世界を変えるために、旅に出る決心をするわけ。そのジェフ・ブリッジスの家は、住んでいる世界の端にあり、雲が霞んでその先は見えないのだ。
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しかし、ジョナスには、そこから先がジェフ・ブリッジスの記憶の伝達により、未来の世界に希望を見出すのである。それは過酷な困難が待ち受けているかもしれないのに。
ジョナスが、自分と同じ印のある赤ん坊をゲイブと名付けて、「解放」される前に連れ出して、バイクで境界の先へと向かう。だが、長老の放った空軍に見つかり、崖の谷にある滝ツボへと落とされてしまう。「人間は弱くてずるいものなの、選択を誤れば危険だわ」と、長老の命令でいくらでも逆らうのもは殺されてしまうのだ。
それでも、運のいいジョナスは、赤ん坊と共にその滝壺から這い上がって、砂漠地帯を歩き進む。次第に雪になり降り積もり、歩くのに険しくなるも、ジョナスは希望を捨てないで歩き続けるのだ。
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しかし、食べ物や飲み物、それに赤ん坊のオムツとか毛布などなにも持って来ないのだ。無防備すぎるが、それでも夢の中で見た雪の景色、ソリがあった。それで、坂を赤ん坊を抱いて滑り落ちる。そこには、一軒の家があり、いえの中から歌声と笑い声が聞こえるのだ。人間としての生きることへの真実と、未来がここへ導いてくれたのだろう。
人間に生まれて、体験して大きく成長しても記憶が失いということは、老人になり認知症を患ったようなもの。確かに、感情や記憶のない人間であれば争いや、反発もない。だから長老にとっては都合のいいこと。まるで、感情のないロボットのような人間がいるのだもの。
余りにも抑圧された世界で生きることは、人間としての情緒や尊厳、感情に笑い、哀しみが失くなる。まるでロボットのようでもあり、平等だといっても、上に立つ者が支配しているわけで、平等ではないのだ。
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