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チャイルド44 森に消えた子供たち★★★.5

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トム・ロブ・スミスのベストセラー小説を基にしたサスペンスミステリー。1950年代のソ連を舞台に、子供ばかりをターゲットにした連続猟奇殺人事件の真相を暴こうとする秘密警察捜査官の姿を追う。メガホンを取るのは、『デンジャラス・ラン』などのダニエル・エスピノーサ。主演を務める『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などのトム・ハーディを筆頭に、ゲイリー・オールドマン、ヴァンサン・カッセルらが顔をそろえる。謎が謎を呼ぶ展開に加え、演者たちが織り成す緊迫感に満ちたストーリー展開に引き込まれる。
<感想>旧ソ連で実際に起きた猟奇的連続殺人事件をモチーフに、“犯罪など存在しない楽園“で発見された44人の子供たちの変死体の謎を描くミステリーである。「このミステリーがすごい」海外編で第一位に輝くなど世界各国で話題を集めた小説「チャイルド44」をリドリー・スコット製作で映画化。

事件の解明に挑む主人公レオには「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のトム・ハーディーが、その他妻のライーサに「プロメテウス」のノオミ・ラパス、民警署長には「裏切りのサーカス」のゲーリー・オールドマン、MGBの悪党上司に「ロボコップ」のジョエル・キンナマン、MGBのトップにヴァンサン・カッセルら豪華キャストが共演している。

物語は、スターリン政権下にある1953年のソ連。ウクライナの孤児院出身の軍人、レオは、第二次世界大戦の英雄となり、戦後は国家保安省{MGB}で反体制活動を取り締まるエリート捜査官に出世する。私生活では美しく聡明な妻のライーサと豊かな生活を満喫していた。
だが、ある日のことレオの戦友アレキサンダーの息子が遺体となって発見される。現場は川はないのに死因は溺死。全裸で臓器は抜かれていた。事件性があるのは明白だったが、“殺人は国家が掲げる思想に反する”という理由で事故として処理される。

秘密警察の捜査官レオ(トム・ハーディ)は、親友の息子が犠牲となったことから捜査に乗り出すことに。だが、それを契機に元同僚に追われ、教員を務める妻ライーサ(ノオミ・ラパス)にいわれのないスパイの容疑が掛けられてしまう。窮地に立たされる状況で、レオに恨みを持つ部下が証拠を捏造した可能性があったが真偽は不明。
無罪を主張したレオは、妻と共に地方へ左遷されてしまう。地方都市ヴォリスクの民警となったレオは、数日後に発見された少年の遺体を見て目を疑う。以前見た変死体と全く同じ状態だったのだ。

民警署長である、ゲーリー・オールドマンの協力で、9歳から14歳までの子供たちが変死体となって、同じ“しるし”を持つ遺体が他にも多数あったことが発覚する。現場は山間の線路沿いに限定され、全ての被害者は裸で胃が摘出されており、直接の死因は溺死であった。

その後、実に44人の子供たちが犠牲になっていることを突き止める。レオは事件の解明を決意するが、その先に待っていたのは、スターリン政権下の独裁国家との深い闇と、驚愕の事実だったのである。
原作は発禁書となっている問題作で、旧ソ連時代、人類史上最悪と呼ばれる連続殺人鬼が出現した実話であります。アンドレイ・チカチーロ、通称“赤い切り裂き魔”として有名。女子供ばかりが残虐な手口で殺害され、被害者はのべ52人にのぼったが、犯人逮捕までには12年の歳月が費やされたそうです。

いたずらに被害拡大を招いた背景には、「社会主義下のわが国家にこの種の犯罪は存在しない」という当局の見解があったといわれる。この事件を基に書かれた原作小説「チャイルド44」。世界的なベストセラー小説だが、国家が今でも認めない闇を暴いたためロシアでは発禁書となっているそうです。
連続猟奇殺人鬼よりも、社会に蔓延している猜疑心と不条理の方が恐ろしいと思った。確かに、スターリン体制下の社会では、あまりにも多くの恐怖が蔓延していて、レオや民警察署長のような人間は、あらゆる物事から目を背けざるを得なかった。当時のソ連では、殺人や売春のような資本主義的な悪は存在しないことになっていた。だから、上司は平気で売春婦を抱き悪いことをする。
だから、レオたちは、倫理や感情と言う側面において、ある種の拘束衣を着せられていたといっていいだろう。党の指針から少しばかりズレたことを考えただけで、スターリンに消されてしまう。それにしても、トム・ハーディのロシア訛りの英語の台詞は、珍妙なだけにしか聞こえなかった。
だから、国の方針を守るには、どんな悲惨な殺人事件が起ころうと、見て見ぬふりをするしかない。そんな異常な状況を警察署長さえ受け入れていたわけだ。
殺人鬼を追うミステリーというより、全体主義の人々を殺しながら生かす、というおぞましさを描いた作品でもある。

主人公が同僚に売られたり、妻へのスパイ疑惑、左遷、拷問、スターリン圧政下で連続殺人犯を追う警官に降りかかる信じがたい苦難。その描写には気が滅入ってしょうがなかった。おかげで、劇中で誰かがドアをノックする度にこちらもビクつく始末。
さらには、鉛色の曇り空、無数の枯れ木、泥の水たまり、犯人を捕まえたレオに、そこへ悪党上司のジョエル・キンナマンとライーサにレオが、絡みもつれつ泥試合である。これまたテンションを下げるアレコレが映し出されるのだからたまらないのだ。
ロケを多用した監督の手腕、的確なキャスティングと相まって、見応えのある重厚な映画となっている。それに、膨大なる原作を巧みにまとめた小説家でもある脚本家リチャード・プライスの功績が大きいでしょう。
恐怖時代が生み出した強烈な怪物がふたり登場するが、その内の一人である、そして相対的に観客の同情を引くであろう連続殺人犯が、人知れず犯行を繰り返すさまは、あたかも社会の抑圧された部分がうごめいているかのよう。
しかし、アクションシーンの描写はもっと簡潔にすべきでしょうね。ラストが、目の前で両親を殺された姉妹を、孤児院まで迎えにいくレオ夫妻には感動しました。スペクタルとして魅力的なわけでもないし、緊迫感を削いでしまっているような気もした。
2015年劇場鑑賞作品・・・163映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
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