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リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン★★.5

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『インファナル・アフェア』シリーズのアンドリュー・ラウ監督と、そのリメイク版『ディパーテッド』で監督を務めたマーティン・スコセッシが製作総指揮を担当した衝撃作。1980年代のアメリカを舞台に、移民改革統制法により不法移民であふれたニューヨークの中華街を、必死に生きる若者たちを描き出す。『トワイライト』シリーズなどのジャスティン・チョンや、『サムシング・ワイルド』などのレイ・リオッタらが共演。アメリカの歴史の恥部をえぐり出す、思いがけない内容に言葉を失う。
あらすじ:1980年代のアメリカでは、不法移民が急増したため移民改革統制法が成立するものの、逆にスネークヘッドと呼ばれる密入国ブローカーたちが暗躍することに。数百万人もの密入国者が続々と押し寄せ、あらゆる悪が人々をむしばんでいた。そんな中、サミー(ジャスティン・チョン)とスティーブン(ケヴィン・ ウー)は密航船で中国からニューヨークにたどり着く。

<感想>1980年代のニューヨークを舞台に、密入国で儲ける中国系ギャングが引き起こした事件を再現した実話である。アンドリュー・ラウ監督が、マーティン・スコセッシと組んだ新作ということで、勝手に過剰な期待を持ったのかもしれない。新しいコラボで斬新な作品を作りだそうとする意欲が感じられなかったのが残念であった。
とはいうものの、香港ノワールの名手がハリウッドの巨匠と組んだとあってか、描写は鮮烈で、十分に楽しめる映画であることには間違いありません。

主人公の孤児サニーには、「トワイライト」シリーズに出ていたジャスティン・チョン、実年齢は33歳だが、アメリカ社会の中だとやはりアジア人は若く見え、10代で密入国してきた少年時代は、平和な思春期を奪われて大人びざるをえなかった悲哀と、それでも垣間見える幼さとの味わいがほどよいのだ。
違法な移民船に放り込まれて自由の国アメリカに送られる。船内で「新天地の味に慣れろ」と渡されるホットドッグの味に感激し、隣にいた少年スティーヴンに半分あげる。そのスティーヴンにはケビン・ウーが、個性的な髪形と顔立ちでひときわ目立つのだ。二人は生涯の親友となるのだが、「青龍」というギャングの仲間に入り、ボスのハリー・シャム・Jrがやけに目立っていた。

FBIのブルームにはレイ・リオッタというお馴染みの俳優さんが演じて、他にもいるのだが、中国系の俳優さんの名前は覚えられない。
二人は養子に貰われ、新天地の学校では、スティーヴンがギャングに目を付けられ拷問されて大怪我をする。それに少年の顔の上で小便をさせられ、ショックのあまりそのままギャングの仲間になってしまう。

一方、サニーは顔相学を学ぶ女の子フィナと出会う。女の子に見つめられて、初めて恋をするサニー。その女の子に裏切られ、警察でベラベラと仲間の名前をしゃべってしまうから、最後はギャングのボスの怒りで殺されてしまう。
画面には生々しい味と匂いと、皮膚感覚が渦巻いているような感覚に陥る。口中に広がったホットドックの新天地の味の感動、排便の開放感と激しい屈辱。自ら肉体の放つ耐え難い悪臭。偶然の連続によって運命が幾度も変わっていくと言う、時間の残虐さ。苦い現実をただ生き延びるしかない時、人間は二つの顔を必要とするのだ。
急ぐ、急ぐ、全体を90分に収めるせいか、移民少年二人が中国ギャングの「青龍」にスカウトされて、人を殺すまでを20分程度で、そして、青年となった二人が「白虎」組の抗争のなかでどう立ち回るのか。香港調というよりも、日本版の深作調の手持ちのストップモーションで、アクション場面のメリハリはあるのだが、サニーの恋した娘との押話など、情が行き渡らないのも惜しい。

80年代アメリカの東洋人差別を背景にした、中国人刑事とギャングの関係をもっと有効利用できないものなのか。アメリカンドリームを夢見て新天地に渡った若者たち、中国人同士の殺し合いの連続にその結果、ギャングの非情なる掟に胸が張り裂ける感じが弱いのだ。ただグロイだけ。「報應」という言葉を良くしていたが、報復、復讐という意味なのだろうか。
それでも、若くて血の気の多い不法移民の中国人がみんないい顔をしている。
「因果応報」という意味での、血で血を洗う報復劇の渦中にいる二人は、漫画じみたキャラの宝庫で、そのギャップが少し切なかった。
2015年劇場鑑賞作品・・・139映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

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