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思秋期  ★★★.5

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俳優のバディー・コンシダインの長編監督デビュー作。サンダンス映画祭で監督賞などを受賞。出演は「戦火の馬」のピーター・ミュラン、オリヴィア・コールマン、エディー・マーサンら。

あらすじ:失業中でやもめのジョセフ(ミュラン)はキレやすい上に感情をコントロールできず、愛犬を蹴り殺してしまうような男。そんな彼がある日、鮭でいざこざをお越してチャリティーショップに駆け込む。そこで働く信心深い女性ハンナ(オリヴィア)は天使のような優しさで失意のどん底のジョゼフは反抗的な態度を示すもののそれ以来、毎日のように彼女の店に顔を出すようになる。
自暴自棄なジョセフは、ハンナのことを裕福で満ち足りた主婦とみなしていたが、実はハンナにも夫のジェームズ(マーサン)との間に他人には言えない闇を抱えていた。普段は敬虔な信者のジェームズは嫉妬深く、日常的にハンナに暴力をふるっていたのだ。
苦しさから酒に逃げ込んでいくハンナ。ハンナとの交流との中で、次第に彼女の苦悩を知っていくジョセフ。やがて二つの顔を持つ夫に耐え切れず、ハンナはついに家を出る決心をしてジョセフの元に一時的に厄介になる。
だがその後、ハンナとジョセフの人生に衝撃をもたらす出来事が起きてしまう。

<感想>だいぶ前に鑑賞したのだが、忘れないうちにレビュー。2011年、イギリス映画で、原題は「ティラノサウルス」。邦題の「思秋期」とは「思春期」に対してのことだと思うが、よく考えたものだ。人生の折り返し点にさしかかった男女の不安定な心模様を指していると思う。この年齢になればそれは相応の分別を持っているはずなのに。
ここに登場するやもめの中年男は、酒と暴力に明け暮れて怒りの矛先を、つい弱いものに向けてしまうどうしようもない男、最低な男で生々しいダメっぷりが哀れにさえ見える。

演じるのは「マイ・ネーム・・イズ・ジョー」「マグダレンの祈り」で知られるピーター・ミュランの演技の巧さはハンパじゃない。一度見たら忘れられない超個性派だから、怒りに駆られて自分の犬を蹴り殺したり、四六時中隣人と騒ぎを起こしたりしてもすんなり受け入れてしまいそうな雰囲気の持ち主なのだ。

そんな単細胞の男やもめが出会うのは、夫の暴力に耐える中年女性のオリヴィアなのだからやりきれない。何とかしてあげたい、ワケありのハンナのようにね。2人とも酒浸りでパブで憂さを晴らすしかないとは、いささか気が滅入ってしまう。
まるで希望の欠片も見えないこの男女に、温かい目を注ぐのはバディー・コンシダイン監督。
もともとは俳優だが、この長編第一作がサンダンス映画祭などで受賞を重ねたことから、一気に注目を集めたのだ。なるほど彼の敬愛するケン・ローチ監督を思わせる手堅いリアリズム演出によってあぶりだされる。

なるほど、女性心理を分かっている監督だからか、しかしハンナの取った行為は許されるものではないと思う。何かしら方法があっただろうに。
それにしても登場人物たちが、子供も犬もみんな不幸っていうのは、・・・やっと灯りが見えてもこの辛さ対決は忍耐力が必要だと思った。
2013年劇場鑑賞作品・・・33   映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキングへ

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