日本でもヒットを記録したフランス映画『最強のふたり』の監督エリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュ、俳優オマール・シーが再びタッグを組んだコメディードラマ。料理人を目指してひたむきに勤務していたにもかかわらず国外退去を命じられた移民の青年が、追い込まれた状況でも周囲の人々を笑わせ、元気にしていくさまを描く。主人公をオマールが、燃え尽き症候群のボランティア女性をシャルロット・ゲンズブールが演じる。個性豊かな登場人物と温かな物語に心をつかまれるとともに、オマールの人懐っこい笑顔に魅了される。
あらすじ:アフリカからフランスに来て10年になるサンバ(オマール・シー)は、料理人になるべく頑張っていた。ある日、ビザの更新に気が付かなかったことが原因で国外退去命令を受けて拘束されてしまう。サンバのためにやってきた移民協力ボランティアのアリス(シャルロット・ゲンズブール)は、以前燃え尽き症候群によって大企業を辞めたことがあったが、厳しい状況でも明るいサンバに興味を持ち……。
<感想>今回オマール・シーが演じるのは、コックを目指す真面目ナセネガル系の移民の名前がサンバ。で、役所の手違いで就労ビザが失効、国外退去処分を受けてしまう。支援団体に掛け合ってみても担当の、シャルロット・ゲンズブール演じるアリスは、実は過労から神経を病んで休職中のキャリア・ウーマンのボランティアなのだ。
他人事のようなアリスの対応に、サンバはブチギレして、これに対してアリスも自分を責めるなど逆ギレ状態。しかし、これをきっかけに二人の交流が始まり、サンバは生活費稼ぎのために、違法就労に身を投じて、アリス以外にもさまざまな出会いに恵まれていく。
背景ハリアルで、移民たちの過酷な労働の現場が描かれているが、前作同様、描かれる世界はあくまでもファンタジーであります。移民を生む政治的背景や、セックスは封印され、悪意の人物は登場しません。
ですが、物足りないなどと言うなかれ。それがこの監督たちの持ち味であり、この映画の魅力なのだから。オマール・シーの底抜けの善人ぶりと移民局で働くシャルロット・ゲンズブールの不思議な存在感を楽しめればそれでいい。
だからということでもないが、これはシャルロット・ゲンズブールにとって名誉となる仕事ではない。演出が仕事をしてないとこれほどひどくなるのか。
アリスがサンバに性的に惹かれているのを、愚かに示してもそれは設定を説明しているに過ぎない。
究極のワンパターン演技に、凡庸な撮影編集が加わって、映画的感性の欠如した時間が過ぎていくのみ。特に前半のシーンは酷い。高層ビルの窓ふき作業あたりから、少しだけ空間が活用されるが、時すでに遅しである。意中の女性がせkっかく楽しい気分で持ちかけたダンスの誘いを、踊れないからといって頑なに断る。逃げなくちゃ捕まる一大事なのに、高いところが怖いからと屋根に登れないのだ。
ですが、他の男と彼女がダンスを踊るのは気に入らないし、友人の助けで逃亡にも成功する。人間らしくはあるが、魅力的な人物にはとても見えません。
ただし、彼女と友人がもの凄くいいヤツなのだ。自分ではなく周りの人を魅力的に見せるのも一つの才能かも。友人である自称ブラジル移民のウィルソンのキャラに癒されてしまう。ウィルソンを演じたタハール・ラヒムという役者が面白くていい。
あまりにも完璧な作りとなった前作と比較すると、突っ込みどころもいろいろあるかもしれない。しかし、世界的な大ヒットとなった前作の次の作品として、この流れるような語り口とユニークな笑わせどころの連続技をまったく新しい設定とテーマでもって披露するのは、見事としかいいようがない。
移民と人種差別という重いテーマについてメッセージ性が見失われているという点があるかもしれないが、笑いの中にそのテーマが記憶されることが重要なのでは。
2015年劇場鑑賞作品・・・43 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:アフリカからフランスに来て10年になるサンバ(オマール・シー)は、料理人になるべく頑張っていた。ある日、ビザの更新に気が付かなかったことが原因で国外退去命令を受けて拘束されてしまう。サンバのためにやってきた移民協力ボランティアのアリス(シャルロット・ゲンズブール)は、以前燃え尽き症候群によって大企業を辞めたことがあったが、厳しい状況でも明るいサンバに興味を持ち……。
<感想>今回オマール・シーが演じるのは、コックを目指す真面目ナセネガル系の移民の名前がサンバ。で、役所の手違いで就労ビザが失効、国外退去処分を受けてしまう。支援団体に掛け合ってみても担当の、シャルロット・ゲンズブール演じるアリスは、実は過労から神経を病んで休職中のキャリア・ウーマンのボランティアなのだ。
他人事のようなアリスの対応に、サンバはブチギレして、これに対してアリスも自分を責めるなど逆ギレ状態。しかし、これをきっかけに二人の交流が始まり、サンバは生活費稼ぎのために、違法就労に身を投じて、アリス以外にもさまざまな出会いに恵まれていく。
背景ハリアルで、移民たちの過酷な労働の現場が描かれているが、前作同様、描かれる世界はあくまでもファンタジーであります。移民を生む政治的背景や、セックスは封印され、悪意の人物は登場しません。
ですが、物足りないなどと言うなかれ。それがこの監督たちの持ち味であり、この映画の魅力なのだから。オマール・シーの底抜けの善人ぶりと移民局で働くシャルロット・ゲンズブールの不思議な存在感を楽しめればそれでいい。
だからということでもないが、これはシャルロット・ゲンズブールにとって名誉となる仕事ではない。演出が仕事をしてないとこれほどひどくなるのか。
アリスがサンバに性的に惹かれているのを、愚かに示してもそれは設定を説明しているに過ぎない。
究極のワンパターン演技に、凡庸な撮影編集が加わって、映画的感性の欠如した時間が過ぎていくのみ。特に前半のシーンは酷い。高層ビルの窓ふき作業あたりから、少しだけ空間が活用されるが、時すでに遅しである。意中の女性がせkっかく楽しい気分で持ちかけたダンスの誘いを、踊れないからといって頑なに断る。逃げなくちゃ捕まる一大事なのに、高いところが怖いからと屋根に登れないのだ。
ですが、他の男と彼女がダンスを踊るのは気に入らないし、友人の助けで逃亡にも成功する。人間らしくはあるが、魅力的な人物にはとても見えません。
ただし、彼女と友人がもの凄くいいヤツなのだ。自分ではなく周りの人を魅力的に見せるのも一つの才能かも。友人である自称ブラジル移民のウィルソンのキャラに癒されてしまう。ウィルソンを演じたタハール・ラヒムという役者が面白くていい。
あまりにも完璧な作りとなった前作と比較すると、突っ込みどころもいろいろあるかもしれない。しかし、世界的な大ヒットとなった前作の次の作品として、この流れるような語り口とユニークな笑わせどころの連続技をまったく新しい設定とテーマでもって披露するのは、見事としかいいようがない。
移民と人種差別という重いテーマについてメッセージ性が見失われているという点があるかもしれないが、笑いの中にそのテーマが記憶されることが重要なのでは。
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