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バチカンで逢いましょう ★★★

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『飛ぶ教室』のトミー・ヴィガントが監督を務め、『バグダット・カフェ』で人気を博したマリアンネ・ゼーゲブレヒトをヒロインに迎えたチャーミングな人間ドラマ。ローマ法王への謁見(えっけん)を実現するために一人でローマを訪れた老女が、さまざまな出会いを通して人生の喜びを再発見する姿を活写する。『007』シリーズなどのイタリアの名優ジャンカルロ・ジャンニーニらが共演。困難な人生を笑い飛ばす主人公の明るさと善良さに元気をもらう。
あらすじ:カナダで生活するドイツ人のマルガレーテ(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)は夫に先立たれ、長きにわたり暮らしてきた家を離れて長女マリー(アネット・フィラー)一家と暮らすことに。敬虔(けいけん)なカトリック信者の彼女は、以前から楽しみにしていたローマ旅行を心待ちにしていたが、その話はうやむやにされてしまう。結局マルガレーテは手紙を残し、一人でローマへと向かい……。

<感想>あの1989年に公開された「バグダッド・カフェ」で人気を得たドイツ人女優マリアンネ・ゼーゲブレヒト主演によるコメディドラマです。日本の映画ファンならあの張り切り、おデブの中年おばさんといえばきっと判るはず。体型も愛嬌も度胸も、以前と少しも変わらぬまま、年齢とともにさらなる輝きを重ねてきた女優マリアンネの魅力が全編に溢れている作品です。
久しぶりにマリアンネ・ゼーゲブレヒトに逢えたのは嬉しい。ゆったりとした体形はあまり変わらず、年齢を重ねても太っているせいか若く見え、彼女を見ていると気持ちが和みますね。これは大事なことですぞ。

彼女はまだ、観る者を癒す力を保ち続けているのである。柔和な態度でさらりとエキセントリックな行動をする、オマことマルガレーテ役は、文字通りハマリ役でした。
それに、相手役のイタリアの名優ジャンカルロ・ジャンニーニの胡散臭いロマンス・グレイぶりもなかなか魅力的だけに、二枚目はこんなふうに成熟し、やがて枯れるべきだと、心の中で思ってしまった。
トミー・ヴィガント監督の演出はかなり野暮ったいが、好意的に言えば、それがドイツ的というものなのかもしれない。バチカンのイメージが変わりますね。
カナダからイタリアへ、海を越えて繰り広げられる、祖母、母親、娘ドイツ三大女を巻き込む、てんこ盛りの愛の物語。

溢れるエピソードを伝統的技法できっちりと撮って行きながら、軽みもおかしみも醸し出すヴィガント監督、たいした手腕ですよね。物語の娘が母親を老人ホームへ入れてしまおうとする考えに、それを拒否して我が道をゆく勇敢な女性を演じている。
見知らぬ土地へと、舞い降りる役を演じる時に真骨頂を発揮するマリアンネ。マルガレーテは、過去の過ちをローマ法王のもとで懺悔するため、単身バチカンへと向かう本作。教会で懺悔することを心の慰めとしているように、マリアンネが演じる熱心なクリスチャン役には、どこかユーモラスなところがあると思う。

それに、思わず眼を引くのがその豊満な身体から想像しがたい軽快さで、ローマの街を闊歩したり、走り、踊り、バイクを乗りこなすマルガレーテの姿だ。ローマの孫の部屋を訪ねていくと、掃除もしてなく汚いのでさっそうと掃除をする。その孫娘の恋人の働いているヘビメタロックのバーへ行くも、私なら騒音としか思えない音楽なのに、平気で店で聞いているのだ。
その孫娘から貰った痴漢退治の辛子入りスプレーを、あろううことかバチカンで法王謁見の時に、間違って法王様にスプレーしてしまう。

それは、大勢の人が並んでいるのに、盲人と偽って前列に割り込んで来る老人に対して、偽ものと分かりスプレーを噴射してやるのが、誤って法王様にかかってしまう。その偽盲人役に名優ジャンカルロ・ジャンニーニが扮して、警察沙汰になるところを、彼女と結婚の約束しており喧嘩をして自分に嫌がらせでスプレーしたと、警察で嘘の作り話をする。その嘘も、結局は形ばかりの花嫁衣裳を着てバチカンで結婚式をすることになるとは、夢にも思わなかったでしょうに。

本当に、ドタバタ喜劇で、そのことがTVで報道され、カナダの娘に知れ渡り、娘もローマに来るという。そして、ローマ法王の前で懺悔したいこととは、何と破廉恥なマルガレーテが結婚前にミュージシャンと恋仲になり、一夜の出来事で今の娘が生まれたということ。これには呆気に取られてしまった。

娘も、亡くなった父親を愛していて、その父親の子供でなかったことを恨んで、今更知らされてもと、マルガレーテが墓場までその真実を話さないでおけばいいのに、と思いました。
そして、バチカンで開かれる式典にドイツのお菓子(カイザーシュマーレン)を100人前作るという、張り切り婆ちゃん。

それから、彼女がたまたまローマで入ったドイツ料理の店。入ったはいいが閑古鳥がないていて、出された料理のまずいことと言ったらないのだ。早速彼女は厨房に入って、自分で料理を作ってしまいます。その店は、あの偽盲人ロレンツォの甥の店だったというわけ。借金もあり店を売りに出さないとダメのよう。その店は甥っ子の母親が開いた店で、病院で母親は危篤状態。その母親のためにも、マルガレーテがシェフになって料理を出すと、閑古鳥が鳴いていた店は大繁盛になる。

ちなみに「ローマに休日」へのオマージュになっているラストシーンなど、本作でのスクーター(ベスパ)に乗るために3日間練習して自分で運転したそうです。
いささか無理な設定の数々に、素敵なハーモニーが生まれていくのは、これぞ俳優の力かと感心もしきり。観客はもうスクリーンを見ていれば幸せに包まれること間違いなし。詰るところ、カトリックは関係ないのも何だかおかしな話で、泣かせて湿っぽくなるところはありません。
ドイツに軽やかな映画があるわけないと思っている人がいるとしたら、その思い込みをこれは気持ちよく打ち消してくれるのもいいですね。
2014年劇場鑑賞作品・・・285  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング


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