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ファイ 悪魔に育てられた少年★★★.5

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『Sad Movie 』などのヨ・ジングを主演に迎え、『地球を守れ!』などのチャン・ジュヌァン監督がメガホンを取ったサスペンスドラマ。幼いころに誘拐され、5人の犯罪者たちに犯罪テクニックを仕込まれた少年が、ある事件を機に自らの衝撃の過去をたぐり寄せていく過程を活写する。犯罪集団のボスを、『10人の泥棒たち』などのキム・ユンソクが怪演。純粋な心を持つ主人公が体験する地獄の苦しみと、彼にまつわる因縁の物語に心が締め付けられる。
あらすじ:男児誘拐事件を起こした犯人グループは、身代金受け取りに失敗して逃走する。リーダーのソクテ(キム・ユンソク)は手元に残された男の子を生かすことにし、ギテ(チョ・ジヌン)をはじめ5人で彼の面倒を見る。やがて17歳になったファイ(ヨ・ジング)と名付けられた少年は自分の過去も忘れ、彼らと共に暮らしていたが……。

<感想>いかにも良く練られた韓国風因果ものアクションといったら良いだろうか。確かにアイデアの面白さ、キャストの豪華さ、アクションシーンの切れの素晴らしさ、最終展開の嬉しさと、数々の驚嘆満載の、続編さえ期待してしまう映画だった。
ですが、同時に破綻も満載で、考えてみると???マークが並ぶが、とにかくも映画は気合いだから。犯罪者集団が巧みに描かれているせいで、暑苦しくて、カタルシスが吹き抜けないのも韓国的と言えそうですね。

「チェイサー」で元警察官のデリヘル店長として、ソウルの夜を走り回ったキム・ユンソクが、本作では犯罪グループのリーダーに扮している。犯行現場では冷静な判断をしつつ、顔色一つ変えずに殺人も行える狂気を抱えた男を、これまでのイメージを裏切らずに演じている。
悪魔のような男たちに育てられるという壮絶な思春期を迎えたユ・ジングの姿が美しですね。
学校へは通わず、その代りに犯罪スキルを教え込まれ、理解不能な子育てっぷり。言うことを聞かないと、お仕置きとばかりに暗い地下室へ放り込まれる。真っ暗な地下室で見る怪物の幻覚。そのモンスターの幻覚にウナされながらも、そこから出て行こうとしない。
その少年が、周囲に溶け込むために制服を着ているが、その結果、守るべき女性と出会ってしまう。彼は自らの過去と向き合い、殺し屋へと育てられた運命を変えるために、敢えて武器を手にして、復讐の鬼と化していくラストが切ない。

それに、韓国映画が得意とする「これでもか」とぶち込まれた設定は、観客の頭を休ませません。異常な父親5人も揃えてしまった為に、一人一人の見せ場が盛りだくさんで、ファイ少年でなくとも混乱するのは無理もない。さらに、彼は誘拐事件の生き残りという過去を持っているので、誰もが実の母親の存在が気になってしまう。
父親5人が、立ち退きをしない家があると話をしているのが気になって、やはりそうかと、その家が実はファイ少年の両親の家であって、両親は息子が帰って来るのをその家で待っていたのですね。

犯罪者集団に誘拐された幼い子供が、高校生の年頃になって、優れた犯罪者としての才能を発揮するというのは、嫌な話だと思うのだが、ファイと呼ばれる17歳の若者を演じたヨ・ジングが、いかにも韓国的な美少年と言った感じで大変好感が持てました。
その他にも、「悪いやつら」のチョ・ジヌン、「ベルリン・ファイル」のイ・ギョンヨン、パク・ヨンウら、いずれ劣らぬ個性派俳優たちが脇をガッチリ固めた本作。

見ているうちにどんどんと登場人物が増えていき、連ドラでやるべき物語を、無理やり125分の映画に圧縮したのではないかと、目まぐるしく展開するのに、観客は茫然と画面から目を逸らすことが出来ずに、そして後で悩むのも韓流作品の楽しいところです。
アクション監督「ベルリンファイル」も撮影監督「ラストスタンド」も、凄い仕事をしていて、スマートな画面の力でぐいぐいと惹きつけられます。壮絶な父親殺しとか、二人の母親を守り抜こうとする少年の戦いの物語になっている。
ありえない設定の少年を演じ切るヨ・ジングと支えるオジサン軍団。

演のヨ・ジングが撮影当時では、まだ15歳だったと知り驚愕。純粋な心を歪められたファイが、少年の心によぎる疑問や葛藤、狂気じみた決断と逡巡を繊細に演じ切っていて見事です。他方、女性の扱いは相当むちゃくちゃで、フェミニストには不快指数が高くなること請け合い。
とても良く出来た犯罪ものであり、因果ものなのだが、演出も相当に変わっていて、物語りが破綻しようが、監督は登場人物を愛しつづけ決着を付けさせる。そして、血まみれの物語に似つかわしくない清清しいラスト。
また復讐するは我にありな、リーダーの恨みの原因を明確にせず、彼の心に巣食う魔物の恐ろしさを強調する演出も上手いですね。
2014年劇場鑑賞作品・・・250  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

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