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ワン チャンス ★★★.5

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イギリスの人気オーディション番組での優勝をきっかけに、一夜にして携帯電話の販売員から世界的オペラ歌手となったポール・ポッツの半生を映画化。恥ずかしがりやでパッとしない容姿、不運続きの彼がオペラ歌手になるという長年の夢をかなえるまでを描く。監督は、『プラダを着た悪魔』などのデヴィッド・フランケル、主演は『人生は、時々晴れ』などのジェームズ・コーデン。ポール本人の吹き替えによる「誰も寝てはならぬ」などの名曲の数々が、奇跡のようなサクセスストーリーを彩る。

<感想>スーザン・ボイルド物語じゃないけど、こちらも実話で「リトル・ヴォイス」のような物語。イギリスにはハートフルコメディ映画の系譜がある。
国民性なのか、低予算でハリウッドに対抗するためにイギリス映画界が知恵をしぼった結果なのかわからないけれど、コンスタントに良作を生み出してくれるのはじつに嬉しい。
この手の映画は革新性やエッジがあるわけではないので、賞レースには中々絡まないけれど、良質のストーリーとハートが詰っているのが特徴ですね。

さて、本作品もイギリス映画の伝統を見事に受け継いだ佳作である。英オーディション番組で見いだされたオペラ歌手、ポール・ポッツの生涯を、ユーモラスに描いていく。
物語は、子供の頃から太目で内気なポール。虐められっ子だったが、歌だけは上手く地元の聖歌隊で歌いながら、オペラ歌手を夢見ていた。大人になっても両親と同居し携帯ショップで働くポールに、父親は失望していたが、母親は息子の夢を応援していた。

そんなポールにもメル友がいたが、店の上司ブランドンが勝手にメールを送り、手筈を整えたことから、ポールはその相手のジュルズと初めてデートをする。

二人は意気投合し、ポールはベネチアでオペラを勉強したいという夢を打ち明け、地元のタレント・コンテストでピエロの格好をして「涙のクラウン」を歌う。声量もあり聞き惚れる声、観客の拍手が鳴りやまない。で優勝し短期留学することになる。
憧れのパヴァロッティの前で歌うこともできたのだが、高音が出ないのだ。緊張して失敗し、ポールはオペラ歌手にはなれないと断言されてしまう。その音楽学校でキャメロンという女性に恋をする。ジュルズのこと忘れたの?・・・男ってもうダメね。失意のポールだったが、故郷に還って父親の鉄工所で働くポール。友人たちに「お前には天性の声がある」と励まされ、彼女にも連絡してなかったことを詫びて、ジュルズの誤解を解いて結婚する。だが、そんな彼を次々と不幸が襲う。「アイーダ」を歌っている最中に虫垂炎になり、甲状腺の腫瘍で声が出なくなる。やっと声が出たと思ったら、交通事故。しかし、ポールは数奇な運命を経て、ようやくオペラ歌手としてデビューするチャンスを掴むことになる。

昔は炭鉱の街だったイギリスの田舎町。父親は溶接工で工場で働いている。楽しみは仲間と酒を飲むこと。ポールの歌声を初めに見出したのが母親で、聖歌隊でも一番大きな声で歌うので、目だって仕方がなかった。それでも、ポールは、好きなレコードを買い、その歌(プッチーニのラ・ポエム)を一緒に歌真似しながら楽しんでいる。
実話を基にした伝記映画というと、どうしても退屈になりがちだけれど、この作品はオペラ歌手として成長物語と並行して、心温まるタブストーリーが丁寧に描かれているのはいいですね。

この映画の題材になった英国の大人気オーディション番組「プリテンズ・ドット・タレント」では、スーザン・ボイル歌手を生み出したことは知っていたが、ポール・ポッツのことは本作品で初めて知りました。彼が「オペラを歌う」と言うと、客席からは失笑がもれ、審査員たちも困惑気味でした。だが、彼の歌声が放たれた瞬間、会場は静まりかえり、そして何とも言われぬ興奮と昂りが込み上げて来てどよめきに変わったのです。その時に歌ったのが「トゥーランドット=誰も寝てはならぬ」なんですね。衝撃の実話なんて宣伝文句がなくても、充分に成立する映画だと思います。
2014年劇場鑑賞作品・・・66  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング


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