『ヒットマンズ・レクイエム』で高い評価を受けたマーティン・マクドナー監督が、コリン・ファレルと再びタッグを組んだクライムコメディー。スランプ中の脚本家が、自分を助けようと奔走する役者によってトラブルに巻き込まれるさまを、ブラックユーモアと共に描く。共演にはベテランのクリストファー・ウォーケン、『月に囚われた男』などのサム・ロックウェル、『メッセンジャー』などのウディ・ハレルソンら豪華キャストがそろう。
あらすじ:脚本家のマーティ(コリン・ファレル)は、新作『セブン・サイコパス』の執筆に行き詰まっていた。彼にアイディアを与えた友人のビリーは、売れない役者業のかたわら、知り合いの爺さん(クリストファー・ウォーケン)と一緒にペットの「拝借業」を営んでいた。要は、飼い主の謝礼金目当ての誘拐ビジネスだが、ある日彼らは凶暴なギャングの愛犬をさらってしまい、命を狙われるハメに。
しかし、恐怖なんてどこ吹く風のビリーは、悩める親友マーティンのために脚本執筆の手助けをしようと、マーティに事前に相談することなく、ネタ集めのためにサイコパス募集の広告を出す。その後、ウサギを持つ殺人犯、犬をこよなく愛するマフィア、殺し屋が集まるのだが……。
<感想>やっと地方でも上映された本作品。この作品と「THEICEMAN/氷の処刑人」は、昨年から楽しみにしていたので鑑賞した。奇妙な味のサスペンスアクション。その奇妙さが、最後まで奇妙なままで終わってしまうところが問題である。
確かに奇想とユーモア溢れた犯罪コメディになっているが、それだけではこの映画の破天荒な魅力は語れない。サイコパスな男についてのストーリーを思いつき、そこから雪だるま式に他のストーリーを幾つか続けていった、と語っているが、まさにその行き当たりばったりの展開が裏目に出て、つまらなくはないが、面白くもないというのが正直の感想。
まぁ、それでもちゃんと、映画の前半で1番から7番までの、サイコパスがテンポよく紹介され、ド派手な血しぶき描写とともに彼らの武勇伝が語られるのがいい。
中でも5番目に出て来るサイコパスの、トム・ウェイツは有名殺人犯ばかりを狙う“シリアルキラー”で、ソディアックは自分が殺ったと豪語している。その他にも、ベトナム戦争で家族を殺された男が渡米して、退役軍人を一人ずつ血祭りに上げるエピソードとか、主人公の脚本に書かれているB級なネタがこれでもかとぶちまけられる。
一見、劇中で多用されるクレジットや、キャラ立ちしすぎた群像劇の騒々しさが、90年代のタランティーノやガイ・リッチーなど、一回り昔な気配を漂わせている感じが印象的です。
犬を偏愛するギャングのボス、ウディ・ハレルソンの設定も少し気恥ずかしいような。だが、映画内の映画を製作する虚構性は機能しているのだ。
サイコパスの中でも、叙情性を感情一杯に表現するクリストファー・ウォーケンが砂漠をさすらう美しさ、コリン・ファレルが常識人に徹し、日常に戻りながらも、もはや昨日の自分には戻れないと、最後に決定的経験を経た落ち着きには、気持ちよくマイペースで落ち付いた演技で良かった。
そして、ニヤニヤと軽薄に笑いながら冗談をいい続けるサム・ロックウェルの、ビリーというキャラクターのステレオタイプな妄想が、脇役ながら常に主役を食いかねないくらい巧すぎて怖いのだ。演技派のサム・ロックウェル恐るべし。赤い目出し帽を被った「ダイヤのジャック」の殺し屋も彼とは、驚きです。
頭の中の妄想は、何回も巡ってもステレオタイプでしかなく、だからそこに絡めとられようが、抜け出せなく結局のところ冗談の印象しかない。登場人物たちのオタク・トークも聞いていて脱力気味で惜しいきがした。
そして、女優陣の出演も、マーティの恋人のカヤ役のアビー・コーニッシュと、ギャングの愛人役、オルガ・キュリレンコをビリーが寝取ってしまうなど、チョイ役で残念です。
この映画の場合スタイルがあるとすれば痛烈なユーモアだから、コメディ、スリラー、ドラマという様々な要素が入った内容です。監督が英国の戯曲家というあたりが、この映画の雰囲気をよく表していると思います。
2014年劇場鑑賞作品・・・22 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:脚本家のマーティ(コリン・ファレル)は、新作『セブン・サイコパス』の執筆に行き詰まっていた。彼にアイディアを与えた友人のビリーは、売れない役者業のかたわら、知り合いの爺さん(クリストファー・ウォーケン)と一緒にペットの「拝借業」を営んでいた。要は、飼い主の謝礼金目当ての誘拐ビジネスだが、ある日彼らは凶暴なギャングの愛犬をさらってしまい、命を狙われるハメに。
しかし、恐怖なんてどこ吹く風のビリーは、悩める親友マーティンのために脚本執筆の手助けをしようと、マーティに事前に相談することなく、ネタ集めのためにサイコパス募集の広告を出す。その後、ウサギを持つ殺人犯、犬をこよなく愛するマフィア、殺し屋が集まるのだが……。
<感想>やっと地方でも上映された本作品。この作品と「THEICEMAN/氷の処刑人」は、昨年から楽しみにしていたので鑑賞した。奇妙な味のサスペンスアクション。その奇妙さが、最後まで奇妙なままで終わってしまうところが問題である。
確かに奇想とユーモア溢れた犯罪コメディになっているが、それだけではこの映画の破天荒な魅力は語れない。サイコパスな男についてのストーリーを思いつき、そこから雪だるま式に他のストーリーを幾つか続けていった、と語っているが、まさにその行き当たりばったりの展開が裏目に出て、つまらなくはないが、面白くもないというのが正直の感想。
まぁ、それでもちゃんと、映画の前半で1番から7番までの、サイコパスがテンポよく紹介され、ド派手な血しぶき描写とともに彼らの武勇伝が語られるのがいい。
中でも5番目に出て来るサイコパスの、トム・ウェイツは有名殺人犯ばかりを狙う“シリアルキラー”で、ソディアックは自分が殺ったと豪語している。その他にも、ベトナム戦争で家族を殺された男が渡米して、退役軍人を一人ずつ血祭りに上げるエピソードとか、主人公の脚本に書かれているB級なネタがこれでもかとぶちまけられる。
一見、劇中で多用されるクレジットや、キャラ立ちしすぎた群像劇の騒々しさが、90年代のタランティーノやガイ・リッチーなど、一回り昔な気配を漂わせている感じが印象的です。
犬を偏愛するギャングのボス、ウディ・ハレルソンの設定も少し気恥ずかしいような。だが、映画内の映画を製作する虚構性は機能しているのだ。
サイコパスの中でも、叙情性を感情一杯に表現するクリストファー・ウォーケンが砂漠をさすらう美しさ、コリン・ファレルが常識人に徹し、日常に戻りながらも、もはや昨日の自分には戻れないと、最後に決定的経験を経た落ち着きには、気持ちよくマイペースで落ち付いた演技で良かった。
そして、ニヤニヤと軽薄に笑いながら冗談をいい続けるサム・ロックウェルの、ビリーというキャラクターのステレオタイプな妄想が、脇役ながら常に主役を食いかねないくらい巧すぎて怖いのだ。演技派のサム・ロックウェル恐るべし。赤い目出し帽を被った「ダイヤのジャック」の殺し屋も彼とは、驚きです。
頭の中の妄想は、何回も巡ってもステレオタイプでしかなく、だからそこに絡めとられようが、抜け出せなく結局のところ冗談の印象しかない。登場人物たちのオタク・トークも聞いていて脱力気味で惜しいきがした。
そして、女優陣の出演も、マーティの恋人のカヤ役のアビー・コーニッシュと、ギャングの愛人役、オルガ・キュリレンコをビリーが寝取ってしまうなど、チョイ役で残念です。
この映画の場合スタイルがあるとすれば痛烈なユーモアだから、コメディ、スリラー、ドラマという様々な要素が入った内容です。監督が英国の戯曲家というあたりが、この映画の雰囲気をよく表していると思います。
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