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キャプテン・フィリップス ★★★★★

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2009年にソマリア海域で起こった海賊船による貨物船人質事件を、トム・ハンクス主演、「ボーン・アルティメイタム」「ユナイテッド93」のポール・グリーングラス監督で映画化したサスペンスドラマ。
あらすじ:09年4月、援助物資として5000トン以上の食糧を積み、ケニアに向かって航行していたコンテナ船マースク・アラバマ号は、ソマリア海域で海賊に襲われ、瞬く間に占拠されてしまう。53歳のベテラン船長リチャード・フィリップスは、20人の乗組員を解放することと引き換えに自ら拘束され、たった1人でソマリア人の海賊と命がけの駆け引きを始める。米海軍特殊部隊の救出作戦とともに、緊迫した4日間を描く。脚本は「ニュースの天才」「アメリカを売った男」のビリー・レイ。
<感想>ポール・グリーングラス監督の本作においてリアリティ重視の姿勢は、貨物船内で展開される前半部分の緊迫したタッチも素晴らしいが、後半の、フィリップス船長と海賊4人が救命艇に乗り込むことによって、文字どおり息詰まるような状況を観客に体験させることに重点を置いていることだ。しかし、その前にも船長の働きというか彼の頭の回転の速さに驚く。

船長フィリップスは、海賊が襲撃してきたことを想定して緊急時訓練をするのだが、その時不審な小型船が近づいてくるのを発見。
すかさず、ドバイの英国海運オペレーションへ海賊の存在を報告するのだが、救助にすぐ来るわけでもなく、無防備なアラバマ号は救助が来るまで自分たちで何とか防ぐしかない。全速力で逃げるか放水をする。
海賊グループが無線を傍受していると知った船長は、無線での救援要請と、救援部隊の応答を「一人二役」で声色を変えて対応する。救助が来ると勘違いした海賊は一度撤退するのだが、海賊の2隻のボートのうち、1隻はエンジントラブルで引き返した。しかし、海賊もそんなことでは諦めない。武器を持たないアラバマ号の対抗手段は放水のみ。一ヵ所放水設備が故障しているところから、鉄のハシゴを掛けて乗り込んでくる。

ここからが緊迫感が増して見どころ満載です。ハラハラ、ドキドキの連続でした。確か、最後は船長は助かったと思ったのだが、それでも自分の目で最後まで確認しないと落ち着かない。海賊4人が船長室へ乗り込み、その前に船長は乗組員たちを機関室へ隠れるよう指示する。船長一人で海賊たちと話し合うわけだが、副船長もいたのだ。金庫の中に3万ドルあるから持って行けという。積荷のコンテナの中身は、アフリカへの支援物資だ。
しかし、海賊のボス・ムセは、船長を人質にして組織の元締めのところへ連れて行き、海運会社などと交渉して1000万ドルの身代金をせしめることなのだ。海賊っていっても、ムキムキのコワモテではない。貧乏で毎日の生活にも事欠く痩せ細ったソマリア人の猟師なのだ。地元の民兵の将軍が海賊で外国船を襲って稼ぐことを強要しているわけ。

船長だけでなく乗組員たちを探す海賊のボス・ムセ。船長はまず、金庫の金を渡す。そして上からと言いながらも船長が食堂で水を確保しようといい、食堂へ行く。食堂には、乗組員たちの一人が水を取りにやってきて隠れていた。寸でのところを見つからずに機関室へと。機関長が機転を利かして電源を切ってしまう。
海賊の一人若者が裸足なのを見て、船長が無線で機関室へ連絡。ガラスを散らばしておけと。暗闇の中、そこへやってきた海賊たち、若者が足をガラスの破片で怪我をしてしまう。増々怒り狂う海賊たち。中には血の気が多くて直ぐにライフルを撃とうとする者もいる。
しかし、機関室で乗組員たちの一人が、勇敢にもムセに飛びかかり拘束したのだ。やむなく海賊たちは救命艇を使ってアラバマ号から退去することに。船長とムセの人質交換で一見落着のはずが、事態は急展開する。それが、混乱の最中に船長が人質として連れ去られる。

そして、救命艇の中で4人のソマリア人海賊たちは皆、武装しており、フイリップスに対して数的にも優位に立っている。だが、この救命艇が船長救出のために駆け付けたアメリカ海軍の戦艦やヘリに包囲されているのがわかる。その圧倒的軍事力は、救命艇の小ささに対して滑稽なくらい不釣り合いなのだ。
ちっぽけな救命艇に乗り合わせて波に揺られるフイリップスと海賊たちは、敵対し合う立場を超えて、あたかも自分たちの力ではどうにもならない大きな状況に翻弄されているようにも見えた。ソマリアへ向かう救命艇の中は、狭さと息苦しさで最悪の状況。もはやフィリップスに残された道は、希望を捨てず粘り強く耐えるのみ。
一度はフィリップスが、足を怪我した海賊と海へ飛び込んだのだが、海軍に見つけてもらえず、その若者海賊が彼にしがみ付き離れない。仕方なくまた救命艇に戻ってしまう。手持ちカメラ多様のため、船酔い気分にもなるのが難点である。

米軍駆逐艦には、特殊部隊ネイビーシールズが数人。ヘリに乗り空から救命艇の近くに降りてロープを結び、盗聴器を船体に設置。そして、海賊のムセに長老との交渉をほのめかして駆逐艦へと連行する。その時、フィリップスが家族へのメッセージだと言いながら、自分が拘束されている座席の位置15番とさりげなく救助部隊に教える。
残された海賊は、フイリップスを痛めつけ拷問する。彼の眉間に拳銃を押し当てて、今にも撃とうとするのだ。そしてクライマックス、特殊部隊のスナイパーたちが、標的を確保して一斉に射撃開始。フイリップスは手をロープで縛られ吊るされていたのだが、一瞬のことで目の前に銃弾が飛び交う様は、自分も撃ち殺されたかもしれないと感じたに違いない。放心状態の彼を見れば分かる。

海賊の中で、米の軍艦に乗っていたムセだけが助かり、彼が言っていた「お金が入ったら、アメリカへ行って車を乗り回したい」という、その結果がアメリカの刑務所行とは皮肉なものだ。
海軍の描写には米海軍が全面協力し、実際の事件同様に駆逐艦が撮影に使用されているため、臨場感たっぷりで緊迫感を増して凄い。
2013年劇場鑑賞作品・・・333 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

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