「罪の声」などで知られる作家の塩田武士が大泉洋をイメージして主人公を「あてがき」した小説を、大泉の主演で映画化。出版業界を舞台に、廃刊の危機に立たされた雑誌編集長が、裏切りや陰謀が渦巻く中、起死回生のために大胆な奇策に打って出る姿を描く。「紙の月」「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督がメガホンをとり、松岡茉優、佐藤浩市ら実力派キャストが共演する。
あらすじ:出版不況の波にもまれる大手出版社「薫風社」では、創業一族の社長が急逝し、次期社長の座をめぐって権力争いが勃発。そんな中、専務の東松が進める大改革によって、売れない雑誌は次々と廃刊のピンチに陥る。カルチャー誌「トリニティ」の変わり者編集長・速水も、無理難題を押し付けられて窮地に立たされるが……。
<感想>大泉洋にぴったりの役柄であった。雑誌出版業界の厳しさや、社員たちのあり方など、本当は大変厳しい状況での仕事だろうに、それが主演の大泉洋のキャスティングによって面白く笑えるコメディ映画になっていた。
編集部の高野さん、松岡茉優の活躍がすべての面で作品の中で面白く可笑しくて、笑えるのがポイントであって、大泉洋の上司が、彼女の思い描く出版社の命運を決めているのも良かった。
冒頭での薫風社の社長が亡くなり、次の社長には佐藤浩市が昇進。一人息子は、アメリカへ留学となる。この息子は、中々の頭脳明晰であり、最後に自分の会社を立て直すといういい感じの終わり方でした。この出版社の老重役さんたちは、ただの給料泥棒というように見えましたね。
面白いのが高野が見つけた原稿が、矢代聖というペンネームの彼が、若い美青年であり、この男が実は???、怪しい男で、大泉洋が見つけたグラビアモデルの城島咲が、「雑誌トリニティ」でジョージ真崎のペンネームで小説やイラストを書いているのを、速水が目を付けて「雑誌トリニティ」に載せるというのだ。
だが、そう上手くとんやがおろさないのである。城島咲と矢代聖とが仲良くなり、ラブホテルでの写真を撮られて世間を騒がしてしまう。
面白かったのが、モデルの城島咲がストーカーに追われて、自分で3Dプリンターで拳銃を手作りした拳銃を発砲するも、本物ではなく手の中で爆発して、城島咲が大怪我を追ってしまい、警察に捕まってしまうのだ。
そいうわけで、城島咲と矢代聖の恋愛沙汰は消えてしまうし、若い矢代聖に成りすました青年も化けの皮が剥がれてしまう。急遽に陥った速水の洋ちゃんは、そんなことには微塵も懲りていない男。
実は高野が見つけた矢代聖という男は、神座という男であり、雲隠れをしていて、後で出て来るのだが、リリー・フランキーさんだったという。高野が速水のやり方に不満をもち会社を辞めることになり、その後で、雲隠れをしていた神座(リリー・フランキー)を見つけて、新しく小説の出版に取り組み、12月25日に父親が経営していた小さな本屋で、神座の小説を独占販売することになる。
その本が、分厚い本で、代金が3万5千円という高値の初版本。いったい誰が買うのかと疑ったのだが、当日は店の外にその本を購入する人たちの行列ができていたのだ。あっという間で、ラストでどんでん返しをしてくれるのも良かった。
大泉洋が全面に出しゃばってはいるが、実は美人の高野が一番のヒーローであったと思いますね。