エドワード・ノートンが「僕たちのアナ・バナナ」以来となる約19年ぶりの監督業に挑んだ作品で、1950年代のニューヨークを舞台に私立探偵が殺人事件の真相を追うアメリカンノワール。ノートンが監督のほか脚本、製作、主演も務めた。共演にはブルース・ウィリス、ググ・バサ=ロー、アレック・ボールドウィン、ウィレム・デフォーらが顔をそろえる。
あらすじ:障害を抱えながらも驚異的な記憶力を持つ私立探偵のライオネル・エスログの人生の恩人であり、唯一の友人でもあるボスのフランク・ミナが殺害された。事件の真相を探るべく、エスログがハーレムのジャズクラブ、ブルックリンのスラム街と大都会の闇に迫っていく。わずかな手掛かり、天性の勘、そして行動力を頼りに事件を追うエスログがたどり着いたのは、腐敗した街でもっとも危険と称される黒幕の男だった。
<感想>あのエドワード・ノートン、20年ぶり監督&初脚本で1人4役に挑戦した、新時代のアメリカン・ノワールの誕生です。主人公が脳の障害で藪からぼうに寄声を発するのだ。
主人公は、チック症を抱えながらも驚異の記憶力を持つ私立探偵であり、キャラクター設定がとてもユニーク。チック症の症状は自分で抑えることができないので、緊張感のある場面で思わず声が出てしまったりと、ハラハラドキドキしましたね。
それがちょっと笑えたり、逆に緊張感が高まったり、彼自身の人間性が見えたり、探偵ものに留まらない人間ドラマとしての厚みをもたらしています。観ていると幾つものノワール傑作が脳裏を過ぎるが、ここではとても多いので書き切れない。だから、セリフが多すぎる気もするが、フィルム・ノワールはもともと早口多弁なのであろうと思う。
ライオネルは事件の真相を追うことに。やがてたどり着いたのは、大都市開発にまつわる腐敗。そして、この街でもっとも危険と称される黒幕の存在だった。
だからこそ、謎を解明するおもしろさはもちろん、それを政治的な駆け引きにどう使うのかも見どころの一つ。人の弱点、プロジェクトの弱点、それをどう突いていくのか、主人公による頭脳戦を楽しんでください。
50年代のNY、探偵が腐敗した都市の闇に巻き込まれた美女を救う普遍的なノワール、と思いきや主人公は、トゥレット症候群であり、思ったことを直ぐに口に出してしまうが、驚異的な記憶力を持つという設定だからこそである。これが全体的にダークなトーンを、ギリギリのユーモアとして乱していて、それが本作の魅力といえよう。演じているノートンが、監督も兼任しているので、その絶妙なバランスを表裏でコントロールしており、彼自身の祖父が実際に関わっていた都市計画を、基にした物語でもあり、思い入れが満載の理想的な自作自演の映画でもある。
女性キャラクターがキーパーソンになっていて、さりげない流れでラブストーリーも入ってくるので、女性でも楽しめると思いますよ。
さらには、ジャズの映画音楽が良すぎて映画を喰ってしまいそうだが、強靭なストーリーと、匂い立つような風景がとてもマッチしており、映画を彩るモダン・ジャズも、主人公の脳内と融合していて、魅力的でした。
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