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北の果ての小さな村で★★★

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グリーンランドに魅せられたフランス人監督サミュエル・コラルデが、人口わずか80人の小さな村を舞台に、デンマークから赴任してきた新米教師と村人たちの交流を、すべて本人たちを起用して撮り上げたハートフル・ドラマ。

あらすじ:グリーンランド東部にある人口80人の村、チニツキラーク。ある日、小学校にデンマークの新人教師アンダースが赴任してくる。しかし言葉や習慣の違いでまともに授業を進められず、村人たちともまったく打ち解けられないまま孤独感を募らせていく。そんな中、連絡もなしに一週間も欠席している児童アーサーを心配し、家を訪ねたアンダース。アーサーの祖母に話を聞くと、祖父と一緒に犬ぞりで狩りに出たとのこと。学校の大切さを力説してもまったく理解してもらえず、すっかり途方に暮れるアンダースだったが…。

<感想>人は分かり合いたいと願った時、もう分かり合えているのかもしれないね。まるでお伽噺のような真っ白に積もった雪原に建つ家々。赤や青の壁は白い窓枠のアクセントで目にも鮮やかで美しい。時折子供たちの弾けるような笑顔と屈強な犬ゾリが交錯して白銀の世界に微妙な変化をもたらしていた。

この世のものとは思えないほどに美しい島グリーンランド。そこの小さな村にデンマークから語学教師として、青年教師が赴任するのだ。

だが、彼は言葉や習慣の違いで打ち解けることができず、やがて主人公の少年の祖父母や村人たちから生活の知恵や人生哲学を学んでいくことになるのだった。そこで描かれているのは、子供たちとの交流だけでなく、町へ働きに出ている両親の代わりに孫の世話をする祖父母や、アザラシの解体作業、そして高齢者の葬式などの日常生活に焦点が絞られてゆく。

53年まではデンマークの植民地であり、現在は自治政府が置かれていることを知れば、このドキュフィクションの見え方が違って来る。「現地の言葉を覚える必要はない」と言う引き継ぎをする前任者の言葉。

主人公のナイーブすぎるまでの現地の人々の文化・伝統・暮らしへの溶け込み方に、同化政策に対する疑問がチラリと見える。現地と外来の人間の両者の眼差しが全編に注がれていた。

それでも中身はシンプルであって、一言で言えばこの青年教師がいかにしてグリーンランドの生活に溶け込み、そこで暮らすに至ったのかを監督のフランス人サミュエル・コラルデが、どう記録していったのかを見つめるものだ。もちろん撮影、脚本もサミュエルがやっている。

これは記録のようなドキュメンタリーのようで、どこまで実写で、どこからがフィクションなのか、その境目が漠然としないのが大きな特徴でもある。

最後にはそんな境目なんてどうでもよくなるのが、サミュエル監督の意図したところだろう。グリーンランドの村人たちの顔が、とにかくいい。顔が彼らの生きてきた土地の力を雄弁に物語っているからだ。

中でもまだ年齢の浅いイヌイットの少年アサーの顔は、その血を確かに受け継ぎながら、何物にもなれる未来を宿しているのだ。時には動物のように、無邪気なアサーと赴任教師アンダースとの交流には、神聖ささえ感じるのだ。

それにしても犬ゾリでの小旅行の楽しそうなことといったらない。どこまでも続く白銀、雪原を走る犬ゾリ。雪に囲まれ流氷の浮かぶ氷河を進むボート。

圧倒的なロケーションに言葉はいらない。雪の中に不意に現れる白熊の親子の姿は、息を呑むほどに美しく素晴らしい。とにかく、グリーンランドの魅力がいっぱいの作品ですね。

2019年劇場鑑賞作品・・・139  アクション・アドベンチャーランキング

 

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