「エイプリルの七面鳥」のピーター・ヘッジズ監督が施設を抜け出し、家に戻ってきた薬物依存の息子と、周囲の懸念を押し切り、更生を信じて彼を迎え入れた母親の愛と絆を、緊迫感あふれるサスペンスフルな展開で描いたヒューマン・ドラマ。主演はジュリア・ロバーツと監督の息子でもある「マンチェスター・バイ・ザ・シー」「ある少年の告白」のルーカス・ヘッジズ。共演にコートニー・B・ヴァンス、キャスリン・ニュートン。
あらすじ:クリスマス・イヴの朝。19歳のベン・バーンズが薬物依存症の治療のために入所していた施設を抜け出し、実家に戻ってきた。母親のホリーは笑顔で迎え入れる一方、妹のアイヴィーは不信感をぬぐえず、継父のニールも何か問題を起こす危険があると、ベンを施設に送り返すべきだと主張する。それでもホリーがずっと監視することを条件に、ベンは一日だけ家族と過ごせることに。しかし、そんなベンの帰還をかぎつけた昔の薬物仲間たちは、決して彼を放っておいてはくれず…。
<感想>救えるとしたら、私しかいない。医療ミスによって薬物中毒に陥ってしまった息子を、どんな手を使っても救おうとする母親。ジュリア・ロバーツの、“キャリアハイ”ともいえる名演が、本作には収められていた。この女優さんなら“安心”して観ていられる。と言うジュリア・ロバーツの名演と“最適”役どころ、映画ファンにおいては、本作での彼女の圧倒的な“女優力”の数々を、魅せつけられる。
薬物依存が周囲を及ぼす影響力、家族が味わう苦悩、疑心暗鬼にならざるを得ない信用など。愛する家族をどこまで信じられるのか、愛せるか、諦めないか。たった1日の出来事をサスペンスフルに綴り、深い余韻を残す内容。
主役のベンを演じたのは、ジュリア・ロバーツの息子でもあるルーカス・ヘッジズであり、脚本・監督はジュリア・ロバーツと結婚をして、「アバウト・ア・ボーイ」などの脚本を手掛けた、ルーカス・ヘッジの実父でもある、ピーター・ヘッジズであります。
注目すべきは、ロバーツが演じるホリーが、ただの献身的な母親ではないということ。常識やルールをなぎ倒し、息子のために生きる――。ロバーツのパワフルな演技が、役をことさら力強くしている。最近では『ワンダー 君は太陽』も良かった」。本作については「正直、自分が同じ立場だったら、こんなお母さんでいられるか」……悩んでしまい専門の医療施設に入れてしまう。
そして、やはりこのオーラは、ただ者ではない。“貫禄”ともいえるロバーツの存在感は、全編を通して見る者の目と心をクギ付けにし、決して消えない強烈な印象を残す。見終えた後の満足感とポジティブな衝撃、これこそが本物の女優の“底力”だ思わせるのだ。
よくある“親子もの”だと思っていたら、それが《衝撃のサスペンス》だった。淡々とした“良い話”かと思っていたら、10分に一回《急展開》が起きるのだ。息子は自らドラッグに溺れたのかと思っていたが、それが医療ミスの《被害者》だったとはね。
母親が何らかの事情で離婚して、自分も2人の兄妹の子供を連れて、会社経営者の黒人男性と結婚した。そして二人の黒人の子供を産む。問題は自分が産んだ息子だからだろうか、誰が息子のことに本当に向き合って薬物依存症を治療させるだろうか。再婚相手は、ホリーの息子が薬物依存で治療を受けていること。それが突然クリスマスの日に帰ってきたから、さぁ~大変なことに。楽しみにしていた1年に1回の待ちに待ったクリスマスの日にだ。家族で楽しそうに準備を進めていたのに。
教会から帰ったら、家の中が荒らされ、飼い犬がいなくなっていた。警察へ知らせるという父親。待って、と母親のホリーが止める。きっと息子の薬物中毒の仲間がやってきた仕業だと思ったからだ。そこからが、ベンが一人で犬を探しに行くと言うし、母親が一緒に息子と友達のところとか、薬物の元締めのところへ行くも、知らないと言うのだ。
ところが、やはり息子のベンが家に帰って来ていることを知った、売人たちとか悪人たちがベンを利用しようとやってくるのだ。売人の所に一人でベンが行き、犬がいることを突き止め、売人が言うには、ベンに1度だけでいいからコカインを売人に渡してくれという仕事を頼まれる。
それをやらないと家族に乱暴をすると言うのだ。勝手に母親の車に乗り、売人の所へいき、仕事をこなすベン。心配でならない母親は、ベンが薬物を売ってその薬物で死んでしまった女の子の家に助けを求める。本当ならば憎んでも仕方がないのに、優しくお金や車を貸してくれる。それもこれも、同じように子供を持つホリーの母親として真剣さを知っているからだ。
ラストのホリーが取った手段は、自分の息子だったら、こんなにも迷惑をかけてしまい、自分はもうこの世の中では生きていけないと、自殺を図るのでは。そう思って薬物の解毒剤を手にしたホリーが息子を捜し出すところ。既存の概念からは逸脱したホリーの母親像、過度の薬物治療の“被害者”であるベンの複雑な心境、両者が織りなす「自己犠牲」の親子愛が、観客の涙腺に訴えかけるのですね。
鑑賞後にもう一度、本作の中に宿る「大事な人にどう接するのが、正解なのか?」という問いは、見る者の感情を揺さぶり、鑑賞後も心をとらえて離さないと思います。
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