フィリップ・リーヴのSF小説『移動都市』を「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」のピーター・ジャクソン製作・脚本で映画化したSFアドベンチャー大作。最終戦争から数百年後、人々が移動型の都市で暮らす地球を舞台に、移動都市同士が互いに喰らい合う弱肉強食の戦いを繰り広げる奇想天外な世界観を、最新の映像技術を駆使した圧倒的スケールのヴィジュアルで描き出す。主演はヘラ・ヒルマー、共演にヒューゴ・ウィーヴィング、ロバート・シーアン、ジヘ。監督はVFXアーティストで本作が長編監督デビューのクリスチャン・リヴァーズ。
あらすじ:たった60分で文明を荒廃させた最終戦争から数百年後の世界。そこでは、人々が地を這う車輪の上に都市を創り、移動しながら他の都市を狩り、資源や労働力を奪うという、まさに都市が都市を喰らう壮絶な戦いが日夜繰り広げられていた。恐るべき野望を秘めたサディアスが牛耳る巨大移動都市ロンドンは、そんな弱肉強食の世界で圧倒的な力を誇示し、小さな都市を次々と飲み込み成長を続けていた。
ある日、一人の少女ヘスター・ショウが、そのロンドンへの潜入を図る。目的は亡き母の仇を討つこと。そのためにロンドンに抵抗する“反移動都市同盟”と手を組み、過酷な戦いへと身を投じていくヘスターだったが…。
<感想>都市が都市を食らう、最終戦争後の荒野を舞台に、都市が移動しながら襲撃しあう世界を壮大なスケールで描いているSFアドベンチャー。宮崎駿アニメを参考にしたというだけあってか、まるで「天空の城ラピュタ」や「ハウルの動く城」との共通点を意識して制作したようだ。
ヒロインはその過酷な世界で生き、顔にも心にも大きな傷を負った少女ヘスター。彼女は、母親を殺した男への復讐を果たすために巨大移動都市ロンドンに侵入する。最初は怒りに燃えて行動するが、次第に思いやりと愛に目覚めていき、やがては人類の未来を左右する大きな戦いに加わっていく。
ヒロイン、ヘスターには、アイスランド出身のヘラ・ヒルマー、相棒・トム役にはアイルランド出身のロバート・シーアンが扮している。始めはヴァレンタインが長を務める史学ギルドの見習いをしていたが、夢は飛行士になること。ロンドン育ちで世間知らずだ。
主人公ヘスターの宿敵ヴァレンタインには、ヒューゴ・ウィーヴィングが、人造人間シュライク役にはスティーヴン・ランクが演じて、まるでターミネーターのような。何百年も前に、戦闘のため人体と機械で製造された人造人間。別名“復活者”ある理由のためヘスターを探している。
それは、ヘスターが母親とヴァレンタインと一緒に研究を続けていたが、ヴァレンタインが母親を殺して、ヘスターを荒野に捨てる。
その時に、シュライクに拾われた育てられた。父親のような存在のシュライク、ヘスターを娘のように思っていて、ヘスターをいずれには自分と同じ人造人間に作り替えたいと思っている。しつこいくらいにヘスターを探すので、まるでターミネーターと同じように恐ろしく感じる。
この世界の広大さ、巨大な空間を描く映像が圧巻であり、大空の下、どこまでも広がる荒野の果てしなさ。移動都市ロンドンの重量感や威厳が感動的でした。
また、各移動都市の動きにも細かな演出があり、アニメーション監修のデニス・ヨーによれば、追われる小都市は不安な小動物のような、ロンドンが停止をした時には、死期を迎えた生物のように見えるのも怖い。
そして細部まで凝ったデザインも見ものであり、ロンドンの7層構造で出来ており、層ごとに色が異なっており、セントポール大聖堂やトラファルガー広場のライオン像など実在の建造物も使われている。迷走しながら変形する都市、昆虫型の都市、手作りの飛行船、人造人間“復活者”など、デザインはみんなリアルであり、ユニークであった。
それに、ロンドンの主義に反対し、定住して互いに協力して生きようとする“反移動都市同盟”の世界。その最大都市は、山と巨大な防壁に囲まれたシャングオだ。住民は飛行船で大空を駆けまわり交易し、移動都市側に“空賊”として追われていた。それはまるで、アジア人が集まって暮らしているように見えた。
生き残った人類は移動型の都市で、より弱い都市を喰いながら存在しているのだが、移動する設備のデザインが何故かノスタルジックなイメージなのがおかしかった。
移動都市ロンドンが遠景に見えて動き出した時、そのデティールに過大な期待を持つもの。世界はやはり弱肉強食であり、富裕層は高いところに住み、低地の労働者は難民のように描かれているのも興味津々。
銃器を持って戦うとなれば、人間の物語なのでピーター・ジャクソン製作・脚本でも、普通のアクションものになっていた。
巨大都市ロンドンの兵器が、核戦争のものとわかり、それを止めようとヴァレンタインのところへ乗り込むヘスター。母親から形見に貰ったペンダントが鍵になっていた。しかし、悲しいかな本当の父親はヴァレンタインなのね。続編があるようなので、期待したいです。
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