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ヴィクトリア女王 最期の秘密★★

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「ヘンダーソン夫人の贈り物」「あなたを抱きしめる日まで」のジュディ・デンチとスティーヴン・フリアーズ監督が再びタッグを組み、英国のヴィクトリア女王とその従者のインド人青年の友情を描いた伝記ドラマ。気難しい晩年のヴィクトリア女王が唯一心を開いたインド人青年との身分や文化を超えた知られざる絆の物語を、それを問題視する周囲との軋轢とともに描き出す。共演はアリ・ファザール、マイケル・ガンボン、エディ・イザード、アディール・アクタル。

あらすじ:1887年、英領インド。アグラに住む若者アブドゥルは、ヴィクトリア女王の即位50周年記念式典で記念金貨“モハール”を献上する役目を仰せつかり、英国へと向かう。一方、18歳で即位してから、長年女王の座に君臨してきたヴィクトリアだったが、最愛の夫も信頼のおける側近ももはやおらず、孤独な日々を送っていた。そんな時、物怖じすることなく本音で語りかけてくるアブドゥルと出会い、興味を抱いたヴィクトリアは、祝典期間のあいだ彼を自らの従僕に起用するのだったが…。

<感想>英国ヴィクトリア女王と、19世紀末は植民地だったインドの若者の友情が、階級と文化的なギャップを超えて描かれていた。昨今の日本では天皇明仁陛下の生前退位の報道がTVにて見られるが、本作で描かれるヴィクトリア女王もそうだが、特別な階級に生まれても職務に縛られて不自由ばかりだった。おまけに、政治家や王室職員による権力ゲームにも巻き込まれてしまう。

晩年の女王を描いたこの映画では、ジュディ・デンチが継続して女王を演じたことを含め、しつらえが手堅いと思った。彼女のイギリスの女王の役柄を演技した作品は数々あれど、何時観てもハマリ役だと思う。

喜劇になっているが、インド人の彼を「心の師」のようにして慕う女王陛下の、人の上に立つ者としての孤独と悲壮感が伝わって来る。

ジュディ・デンチ演じる女王がほとんどキャラクター化しているのと、相手の青年がターバン姿でこれまたキャラクター的な出で立ちなので、恋愛なのか友情なのか、それとも利害関係なのか、そのどれでもある関係ゆえの喜劇と悲劇が、ひどく滑稽に見えてくる。実際にそういうものだろうからだ。

前作では従僕との間に相互に流れた情愛は、今作では優しくされることが嬉しい老女王の顔が、微笑んでいたのが人間として良かったのだろう。夫君に続いて従僕に先立たれた寂しさに、加齢もあっただろうが、そこに見事に取り入ったインド人のハンサムな青年の、従僕としての描き方も面白い。

女王のお気にいりとなった青年は、インドから妻と息子たちを迎えるよう女王に指示されて、家族で宮殿に住まわせてもらうのだ。なんと幸運な男なのだろう。

しかし、女王が生きている間だけで、老女王が崩御すると、息子の皇太子が、けんもほろろにインド人の青年を追い出してしまう。厄介払いでもするようにだ。本当だったら、もっと前にインド人青年は、イギリスから母国インドへと帰還するべきだったのに。女王が機嫌よく彼を手放さないのをいいことにして、ずるずるとイギリスに住んでいること自体が変である。

ですが、彼と一緒に来たインド人の扱いは酷くて放りっぱなしであり、言葉も分からず食事も口にあわないしで、病気になりイギリスで亡くなってしまう。とにかく、二人に振り回される英王室と息子の王子、といった図式になっていたが、監督スティーヴン・フリアーズの通俗の混ぜ込み方が巧いと感じた。

かつては、欧州貴族にとって、愛人やソウルメイト的な親友を作ることは一つの文化的風習であったようだが、本作で描かれている女王とインド人青年との関係も、それに属するものとして捉えることが出来ると思う。

ソールズベリー首相には、マイケル・ガンボンが扮していて、女王には「あなたの言うことはいつも退屈」などと言われてしまう。

ちなみに、2月に入って「女王陛下のお気に入り」と「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」など、英国女王とその周辺の人物を題材にした映画が、相次いで公開されますので、楽しみですね。

2019年劇場鑑賞作品・・・24  アクション・アドベンチャーランキング

 

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