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志乃ちゃんは自分の名前が言えない★★★

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人気漫画家・押見修造が自身の体験を基に描いた同名漫画を、「幼な子われらに生まれ」の南沙良と「三度目の殺人」の蒔田彩珠の主演で実写映画化した感動の青春ストーリー。吃音のために孤独な高校生活を送る少女の苦しみと、初めてできた友だちと織りなすぎこちなくも愛おしい不器用な青春模様を綴る。共演に萩原利久、山田キヌヲ、奥貫薫。監督はTVを中心に活躍し、本作が長編商業映画デビューとなる湯浅弘章。

あらすじ:高校一年生の新学期、吃音に悩む大島志乃はクラスの自己紹介で自分の名前も上手く言えずに笑い者になってしまう。以来、ひとりぼっちの高校生活を送る志乃だったが、ひょんなことから同級生の加代と友だちになる。音楽が好きでギターは弾けるのに音痴な加代は、志乃の歌に心奪われバンドに誘う。そして文化祭を目標に猛練習を始める志乃と加代。そんなある日、志乃をからかったお調子者の男子・菊地がそんな2人の姿を見て、強引にバンドに参加するのだったが…。

<感想>言葉が上手く話せない志乃、音痴な加代。伝わらなくてもいい。伝えたいと思った――。不器用な二人の傷だらけでまぶしい日々。南沙良演じる志乃は、吃音で悩んでいる。他人を前にすると名前が言えないが、心を開いた相手とだったら、歌もよどみなく歌える。

そんな彼女と親しくなるのが、クールな一匹狼キャラの、蒔田彩珠扮する岡崎加代。彼女はミュージシャンを目指しながらも、歌は音程が外れてしまうほど音痴である。

吃音症とコンプレックスを抱える同級生が、意気投合して音楽を始めるありきたりな話かと思いきや、主人公の志乃の幸福の象徴を壊しにかかる男の子がいい。主人公も友人も鬱屈や卑屈さがなく、教師たちが無神経なのが気になる。

志乃の母親は、娘が吃音症で引っ込み思案なのを心配していたので、音楽で友達ができたことを嬉しく思っている。

そんな二人が、勇気をだして地元から遠くの町での橋の上で歌うシーンがとても良かった。お昼の弁当を持って校舎をうろうろする志乃が、加代という味方を得ることで内面的な負のスパイラルから一歩踏み出すことが出来た。

やがて、フォークデュオ「しのかよ」を結成する二人。地元から遠く離れた街の橋の上で、「しのかよ」コンビの路上ライブを始めるが、誰も客のいないデビューの演奏を至近距離で目撃することができるのは、映画を観る我々の特権でもある。

そこにコンプレックスから道化を演じる、虐めっ子のウザイ菊池くんが介入したことで、志乃と岡崎加代の繋がりも壊れてゆくという展開も自然である。

あんなに女子同士で仲良くやってこれたのに、菊池くんは一見明るいのだが、デリカシーや空気を読むセンスがなく、志乃の欠点を真っ先にからかうし、寒い下ネタで滑り倒してから、教室の中で空回りを繰り返して圧倒的に孤立している男の子なのだ。

そう、彼もまた生き難く不器用なのだと、我々はいつしか気づくのだ。かくして一人ぼっちの少年少女が、3人フロントに立つ。本作ではコミュニケーションが主題に見えて、本当は自分自身との戦いが課題となるのだ。

それで、問題のライブでは志乃が、3人でやるのは嫌だと解散を宣言する。それからは、喧嘩状態で口も利かない。しかし、岡崎加代の方は、音楽のことで意気投合してその菊池君と仲良くなってしまう。そのことも、志乃にはあり得ないことで、加代に嫉妬をしてしまうのだ。女二人の純粋な愛の中に、異性が入り込むのが嫌だったのだ。

志乃が歌う、懐かしめのフォークソング「翼をください」「あの素晴らしい愛をもう一度」に加え、ザ・ブルーハーツの「青空」や、ミッシェル・ガンの「世界の終わり」など、私にはそっちの方が嬉しかったりする。

全体に懐かしめの感触がするのは、CD時代の風景を映し出しているからなのか、団地住まいの加代の部屋には、ボブ・ディランのポスターが貼られており、音楽雑誌の「ロッキング・オン」と共に、ニルヴァーナやオアシスらの名盤がおかれていたりするのだ。

そして、何よりも良かったのが、結末部分をなす学園祭で、ありがちな復活劇にしなかった点もそれなりによかった。加代が一人でオリジナル曲を、ギターを弾きながら歌う「魔法」には、彼女の勇敢な決意が感じられる。

それに志乃の想いがスパークする、吃音で自分の心の中を、声を張り上げて洗いざらい曝け出すのも、涙が出るほどに嬉しかった。ハッピーエンドだが、もっとストレートなハッピーエンドでも良かったのに。この辺が評価が別れるところだ。

2018年劇場鑑賞作品・・・163 アクション・アドベンチャーランキング

 

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