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軍中楽園★★★

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台湾に実在しながら戦後40年にわたり公然の秘密となっていた娼館を舞台に、時代に翻弄された人びとの姿を、「モンガに散る」のニウ・チェンザー監督が描いた。チェンザー監督が私財を投じて製作にあたり、「悲情城市」のホウ・シャオシェンも編集に協力して完成された。

あらすじ:1969年、中国と台湾の中間に位置する金門島。両国間が緊迫した状況の中、その島は攻防の最前線として砲撃が降り注いでいた。その島のエリート部隊に配属された台湾青年兵ルオ・バオタイは、カナヅチで泳げないことが判明し、831部隊と呼ばれる小部隊に転属となる。そこはさまざまな事情を抱えた女性たちが働く「軍中楽園」と呼ばれる娼館を管理する部隊だった。

 

<感想>第二次大戦後の台湾で、国共内戦に敗れた中国国民党は台湾に撤退し、中国大陸と至近距離にある金門島を要塞化して、何万という兵を配置したあ。彼らの“欲求”を満たすため、軍は直属の娼館を開設。831、または軍中楽園の通称で知られたこの施設の存在は、長らく公然の秘密だったが、その禁断の題材を商業映画として初めて描いたのがこの作品であります。

40年も公然の秘密であった実在の娼館を舞台に、純情な青年兵士が個性豊かな娼婦たちや、次々と起きる事件に翻弄されながら成長していく物語。当時の街並みや、時代背景を反映させた大規模なセットも見事であります。夢と現実の落差を感じるエンドロールの写真の数々が切ない。

「特約茶室」、党公認の従軍慰安所。90年まで実在したそうな。ここにたむろする慰安婦たち、兵隊たちの欲求、孤独、悲しみ。この抒情がややウェットに流れるのだ。慰安婦たちの中には、罪を負った囚人もいる。女性やマイノリティの人権主張の環境が、ようやく整いつつある現代社会においては、本作の抒情はアナクロニズムかもしれない。

誤解を恐れずに描けば、歴史的背景にウェイトを置かずとも、過ぎ去ったものへの郷愁に身もだえせずにはいられない。普遍的な青春映画として成立していると思う。

こぼれおちた、愛。運命に翻弄された男と女の甘美で残酷な物語。69年の金門島が背景。軍部が管理する娼館が舞台ということで、戦争映画かと思ったら、それほど戦争の要素は出てこないです。

中国からの砲撃はあっても、どこか慣れ合いの戦場といったところが面白く、ただ兵士と女たちの色模様というか、恋愛ドラマの趣向は、日本でもふんだんに作られていた赤線ものと、さほど変わり映えしなく、おやおや、またかいなという想いがした。

とはいえ、中には若い兵士と娼婦が泳いで脱出というところでは、中国との距離の近さを感じました。

外省人の中年の軍人、チェン・ジエンビンが、故郷にいつかは帰り餃子の店を持ちたいという夢、心情には、台湾という国の特殊な事情が伺えて、ほろりと胸を打たれました。残留兵として彼が、帰還は叶わぬ夢と思い、好きだった娼婦の部屋に手榴弾を投げるという覚悟の決意が裏目に出るとは。

今でも韓国では徴兵制度があります。若い青年たちが、厳しい軍事訓練を受けた後に、女性との性の体験を得て、大人になっていくという物語でもありますね。

若気の過ち、という言葉がぴったりな主人公のイーサン・ルアン青年。金門島での兵役中に出会った、「約束とは自分とするもの」とクールなヒロインと身体を張って対峙することで、勘違いをし、背伸びしながら大人になっていく。

蛍が舞う幻想的な夜に、初めて手を取り合って駆けた、二人の笑顔。二人で中国へと泳いで逃げた男女、チェン・ジエンビンと若い娼婦とが餃子の店を営む写真。それぞれの夢と現実の落差を感じるエンドロールのモノクロの写真の数々が切ない。

 

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