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修道士は沈黙する★★★

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『ローマに消えた男』などのロベルト・アンドーが監督を務めたミステリードラマ。ある修道士がドイツの高級ホテルで開かれる財務大臣会議の夕食会に招かれ、事件に巻き込まれる。『グレート・ビューティー/追憶のローマ』などのトニ・セルヴィッロ、『隠された記憶』などのダニエル・オートゥイユ、『NINJA』などの伊川東吾らが出演。経済至上主義への批判を込めた物語が描かれる。

あらすじ:G8財務相会議の開催を明日に控えたドイツの高級リゾートホテルで、国際通貨基金の専務理事であるロシェ(ダニエル・オートゥイユ)の誕生日を祝う夕食会が開かれ、カルトジオ会の修道士サルス(トニ・セルヴィッロ)が招かれる。和やかな夕食会の後、サルスはロシェに呼び出されて告解をしたいと告げられる。その翌朝、ビニール袋をかぶって亡くなっているロシェが発見される。捜査が開始されサルスに疑いの目が向けられるが、彼は戒律に従ってロシェの告解の内容について話すことを頑なに拒む。

<感想>まずは冒頭から圧倒されますね。ドイツの高級リゾート地、ホテルの芝生で各国財務相が個別に座る、風除けのついた椅子が並んでいて、先進国G8の集合写真のような、ビジュアル的にも強烈に映りました。自由経済の権力者たちと、清貧の修道士、国際通貨基金の専務理事ロシェは自分の誕生祝いに絵本作家やロックスターなども招いて食事会を行う。

一筋縄ではゆかないストーリー展開だが、現代社会に経済の面で影響を与える重要なエコノミストたちの「罪と罰」が描かれてゆく。その会議にはおよそ世界経済とは無縁なロックスター、女性の絵本作家、そしてイタリアの戒律激しいカトリックの修道士が、なぜか加わる。主催したカリスマ的エコノミストの国際通貨基金の専務理事であるロシェが招待したらしい。

会議の日の朝、そのエコノミストの死体が発見される。夜に、告解のために部屋に呼ばれた修道士は、その職業的倫理から真実を語れない。主催者のエコノミストはなぜ死んだのか。ホテルが大きな密室となる。アガサ・クリスティの密室ミステリーの様相を呈していく。

専務理事であるロシェは、頭からビニール袋(コンビニのレジ袋のようなもの)をかぶって死んだ。窒息死である。こんなことで人間は簡単に死ねるのだろうか。死ねる。前例があるから。ある人物が映画の中で、ビニール袋をかぶって自殺をした作家がいたからだ。

現在の権力とか、経済とかを見ると、富が再分配されることなく、裕福なものはより裕福になっています。この修道士は戒律の厳しいカルトジオ修道会に所属し、世界に300人くらいで祈りにも似た“沈黙”の中で清貧に生きています。その“沈黙”という名の言葉で彼は権力者たちに挑戦をしてゆくのです。

ロシェ役のダニエル・オートゥイユに、修道士のトニ・セルヴィッロの演技が秀悦でした。この2人は秘密というテーマにピったりでした。

そして窮地の主人公修道士を助ける女性絵本作家役のコニー・ニールセンが、部屋で彼女の手を修道士が持つところは親密さを感じさせ、修道士との関係の行方に興味が湧くわけで、愛着のあるシーンでしたね。

その他にもヴァレリア・ブルーニ・テデスキは人を驚かせる特質がありましたし、ドイツの大臣との浮気を楽しむカナダの女大臣とか、もう一人のアナ・ムグラリスはエロチックな存在でしたね。

それに鳥とか犬とかの動物の使い方も絶妙でした。大臣たちは感情とか、同情心とかとは無縁の人たちで、かたや動物たちの選択肢は自由ですから。特にあのドイツの大臣の犬に関しては、動物たちがなぜにそうか、は観客の解釈に任せているようだが、最後に犬が飼い主の横暴な大臣のところから離れて、修道士の後を付いて一緒に帰るところなどは、希望を暗示しているようなシーンで良かったです。

2018年劇場鑑賞作品・・・87アクション・アドベンチャーランキング

 

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