スタントマン出身で「殺人の告白」のチョン・ビョンギル監督による革新的な超絶アクションとカメラワークが世界的にセンセーションを巻き起こした衝撃のハード・バイオレンス・アクション。犯罪組織によって殺し屋として育てられたヒロインが辿る壮絶な復讐の旅路を驚異のアクション満載に描き出す。主演は「渇き」のキム・オクビン。共演にシン・ハギュン、ソンジュン。
あらすじ:幼い頃に父を殺されたスクヒはマフィアの男ジュンサンに引き取られ、殺し屋として育てられる。やがて一流の殺し屋に成長した彼女は、ジュンサンと恋に落ち、結婚する。しかしその直後、ジュンサンは敵対する組織に殺されてしまう。激しい怒りのままに敵を殲滅したスクヒは力尽き、国家組織に拘束される。そして国家が運営する暗殺者養成施設に送られ、今度は政府直属の暗殺者として生まれ変わるのだったが…。
<感想>女殺し屋というと、「ニキータ」を思い出すが、それと殆ど同じような物語。韓国の新鋭チョン・ビョンギル監督(兼脚本)が「ニキータ」にオマージュを捧げた本作。主演が「渇き」のキム・オクビンで、美しい肢体と透明感のある美貌、それだけでも売れるのにアクションが凄いときている。殆ど自分でこなしたというから凄い。
そんな外見的なイメージとは裏腹に、彼女には善良さや、優しさ、純真さを感じさせる部分がある。青年諜報部員との韓流チックな恋模様に面食らうも、それが後半で物語と観る者を熱くする燃料としてキッチリ作用するのだから。任務をこなす悪女、恋する乙女、復讐に燃える狂女と、ヒロインの変化を熱演するキム・オクビンの素晴らしさ。
冒頭での廊下の格闘シーンを一人称視点の疑似長回しで見せたかと思えば、深夜の一般道で繰り広げられる逆走バイクチェイス&日本刀ダブルアタックなど。つまり、キム・オクビンと追っ手のヤクザたちが、バイクに乗って日本刀で斬り合うトンデモなバトルを展開。この辺りでは女だてらにと身震いする。一言で言って、狂気の沙汰である。スクヒがたった1人で60人近くの悪党を殺しまくる姿を。
さらに終盤では、スクヒが激走する車のボンネットの上に乗り、後ろ手でハンドル操作するシーンとか。そして、敵一味が乗るバスに後続車から飛び移り、手斧で窓をぶち破って車内に侵入、敵を次々になぎ倒していくのに圧倒される。
このバスの車内で展開するアクションシーンでは、キム・オクビンの顔がずっと映っているので、カメラも俳優も動ける範囲が限られている中での想像以上の撮影がなされていた。
テコンドー黒帯保持者というスクヒ役キム・オクビンのキレのある動きも鮮やかだが、ワンシーン・ワンカットの冒頭7分間を皮切りに、バラエティ豊かな武器とシチュエーションを駆使した驚愕のバトルシーンが随所に展開する。
その中でも、全てを上から仕切る国家情報院の幹部キム・ソヒョンの知的な佇まいが目立っていた。
念願のアクション映画を撮る夢をあきらめなかったチョン・ビョンギル監督の執念、俳優と競演するかのごとく被写体へダイナミックに肉薄するカメラワークは類を見ない。
そして韓国でも女性アクション映画は成立することを身をもって証明した主人公のキム・オクビンの女優魂が火花を散らし、壮絶な傑作が誕生したと思う。「アトミック・ブロンド」も本作の前では色あせたように思えた。
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