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アバウト・レイ 16歳の決断★★★・8

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エル・ファニング、ナオミ・ワッツ、スーザン・サランドンが母娘三代を演じるヒューマン・ドラマ。性同一性障害に悩み、男として生きることを宣言した娘と、彼女の決断を戸惑いながらも尊重しようとする母と祖母それぞれの人生を、ジェンダーを巡る世代間のギャップとともに描き出す。監督はイギリス出身で、これが長編4作目の女性監督ギャビー・デラル。

あらすじ:ニューヨークに住む16歳の少女ラモーナ。長年、性同一性障害に悩んできた彼女は、トランスジェンダーを公言して自らレイと名乗り、肉体的にも男性になることを決断する。一緒に暮らしているレズビアンの祖母ドリーは“レズビアンじゃダメなの?”と孫の決断がどうしても理解できない。自由奔放な恋愛を重ねてきたシングルマザーのマギーもまた、レイの気持ちに寄り添いつつも戸惑いを隠せない。おまけにレイの治療にはマギーだけでなく父親の同意も必要だった。それでもマギーはレイのためにと、同意書へのサインをもらうため、何年も会っていない別れた夫のもとを訪ねるのだったが…。

<感想>「パーティで女の子に話しかけるには」のエル・ファニングちゃんが主演で、16歳のトランスジェンダーと、その母親と祖母の三世代の家族を描いている。女性の身体で生まれてしまった自分は、本当の自分じゃない。現在の自分に違和感を覚え、強い気持ちで「本当の自分」=男として生きることを選ぶ16歳のレイ。本人にとって一人ではどうすることも出来ないほど繊細で重大なテーマであります。

異様な家族だが、それを興味本位で描くのではなく、また性的少数者を社会派的な視点で描くのでもなく、ごく当たり前の人間の属性としてヒューマンで面白いドラマ仕立てにしているのが見事である。3人の女優の競演は、始終涙と笑いを誘うのだが、完成度は極めて高いと思う。

トランスジェンダーとして、肉体を変えるホルモン治療を始めるには両親の同意が必要だが、母は理解を示しながらも戸惑い、離婚した父親からも強い拒絶を受ける。さあ……どうするの、娘のレイを心から愛している母、けれど理解しきれない……自身が抱く問題にも向き合うことになる。

若いころから恋愛に奔放だった恋多きシングルマザーが、レイの母親マギー役で扮しているのがナオミ・ワッツ。「自慢の子よ」「自慢のママだよ」が合い言葉で、レイの良き理解者だったが、レイの決意に心が今ひとつ追いつけない。さらには元夫にもう一度会わないといけないなんて……。ストレスがたまりまくった彼女は、ついアイスの暴食と、男に走ってしまうなんて奔放すぎる母親!?

お婆ちゃん役のスーザン・サランドンは、破天荒な生き方で家族を騒動に巻き込むことも多いけど、愛するレイのために奔走してくれる。娘を育てた後にレズビアンであることを自覚してカミングアウトして、今では同性のパートナーと暮らし、自由気ままに人生を謳歌している。

孫のレイを応援はしているものの、その気持ちを充分に理解できず、「女性が好きなら、レズビアンと公言すればよくない?」と少々的外れな発言もするのだ。

元夫クレイグには「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のテート・ドノヴァンが。その弟マシューにサム・トラメルが扮して、母親との関係を認めるし、もしかしてレイの本当の父親はマシューなのかもね。

元夫の家には、腹違いの妹たちもいて、姉が出来たと単純に喜んでいるのが良かった。どうしてもテーマに奉仕するというか美化する作品になってしまいがちだが、ディテールがしっかりと描き、丁寧な演技で見せることで、地に足のついた確実で誠実な仕上がりとなっている。

最近のエル・ファニングちゃんは、作品選びが実に良いのだ。若かりし頃のディカプリオみたい雰囲気をまとったファニングちゃんの、ワイルドかつ繊細な身のこなしや、スケボーを操る中性的な姿は、見惚れてしまうレベルの演技力ですね。

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