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羊の木★★★

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山上たつひこといがらしみきおによる、第18回文化庁メディア芸術祭優秀賞(マンガ部門)に輝いた問題作を、アレンジを加え実写映画化。殺人歴のある元受刑者の移住を受け入れた町を舞台に、移住者の素性を知らされていない町の人々の日常がゆがんでいくさまを描く。『桐島、部活やめるってよ』などの吉田大八監督がメガホンを取る。お人よしな市役所職員を錦戸亮、彼の同級生を木村文乃が演じるほか、元受刑者役で北村一輝、優香、松田龍平らが出演する。

あらすじ:刑期を終えた元受刑者を自治体が受け入れる新仮釈放制度により、閑散とした港町・魚深市に男女6人が移住してくる。市役所職員の月末一(錦戸亮)は彼らの受け入れ担当を命じられるが、移住者たちの過去を住民たちに知られてはならないという決まりがあった。やがて、全員に殺人歴がある犯罪者を受け入れた町と人々の日常に、少しずつ狂いが生じていき……。

<感想>過去に殺人を犯した6人もの元受刑者たちがやって来る。静かに、しかし確実に何かが狂い始める小さな町。6人の元殺人犯たちは、顔見知りのいない新天地で更生を果たすことができるのか?__。飾らない魅力で演じきる市役所職員の錦戸亮は、前に『県庁おもてなし課』(2013)でも頑張って公務員を演じていたが、今作でも同じくお人好しな公務員を演じさせたら、なるほどと思うほどのハマリ役の錦戸亮くん。

作品はサスペンスの要素が大きく、画面に緊張感があります。シリアスな社会的テーマを内に秘めながら、月末や、文、宮腰らの恋と友情の物語としてストーリーは進んでいく。

前科がある6名を受け入れた魚深市。杉山勝志(北村一輝)は釣船業者として働きながら、今後10年間魚深市に住まなければいけないことに不満を抱えています。スタイル抜群で危うい色香を漂わせる太田理江子・優香は、介護士として働き、その介護施設に通っていた月末の父・亮介と知り合います。2人はすぐに惹かれあいキスキスの連続で、ブチューと激しいキスに驚かされます。ですが、理江子の過去には夫とセックスをしている最中に首を絞めるよう頼まれ、勢い余って夫を絞め殺してしまったという過去があります。

極端に無口で地味な栗本清美・市川実日子は、清掃員として淡々と仕事をこなし、死んだ生き物を庭に埋めて1人静かに暮らしている。彼女の過去は、夫が酒乱でDV癖のあった夫を、寝ているところを襲い、殺人を犯した罪がある。

 常にびくびくとしている福元宏喜・水澤紳吾は雇われた床屋のオーナー雨森・中村有志からその腕を認められていましたが、過去にナイフで上司の首を切って人を殺していたため、そのことがトラウマとなっているようです。

寡黙で従順だが顔に大きな傷跡がある元ヤクザの大野克美・田中泯は、組織から足を洗いクリーニング屋でうだつの上がらない日々を送っています。クリーニング店の主人には安藤玉恵が、上手い。威圧的でチャラついた態度を取る杉山・北村一輝が扮していて、何か起こらなければいいがと不安になって来る。

唯一天真爛漫な宮腰の松田龍平は、仕事ぶりは真面目であり、月末の心を和ませてくれる。次第に二人の間に友情めいたものが生まれ始め、月末のバンドの練習に参加するなど新しい趣味を見つけていました。

そんな折、かつて月末が想いを寄せていた同級生でバンド仲間だった文・木村文乃が都会から帰郷して、またバンドに入る。この文ちゃんのエレキギターには煩くって、ただガンガンとギターかき鳴らしているだけ。宮腰が文に恋をして、それに気づいた月末が失恋するというような。

そして、魚深市のお祭り“のろろ”さまが開催され、男たちが準備におわれるのだが、「のろろ祭り」とは海から来た悪霊のようなもので、その日は強風が吹き旗が倒れそうになったり、海が荒れて波が打ち寄せたりと、荒々しい嫌な感じになっていく。

この祭りではのろろの言い伝えがあり、生贄として岬から2人が荒海に身を投げるという、断崖の下は岩だらけで落ちたら、1人は助かり1人は助からないという言い伝えがある。高台に祀ってある「のろろ」様は何か不気味な顔をしたものに見えた。

宮腰が北村一輝が演じている杉山を車で轢き殺し、その後に断崖から宮腰と月末が飛び降りることを宣言するのだ。本当に飛び込むとは、死の恐怖はなかったのか?

大人しい顔した松田龍平の宮腰は、何故に刑務所に入ってのか。それは街ですれ違った男に喧嘩を吹っ掛けられて、相手を殺してしまったというのだ。判決は過剰防衛っで1年半の刑務所暮らし。だが、その他にも、宮腰は、未成年の時に人を殺して、少年院送りになるという過去があり、それは実刑判決を下されたそうです。柔和な顔した男ほど、短気で切れたら何をするか分からない。

2人が断崖から海へ飛び降りた時に、のろろ様の首が取れて落下して海の中の宮腰を直撃するのですから。ともすれば重くなりかねないドラマに、「のろろ」さまという祀りものが、恐ろしさを生み出しているようにみえた。

元殺人犯たちそれぞれのエピソードも、終盤で事件を起こす2人以外は地に足が着いていて、特に田中泯と水澤紳吾の話が良かった。

2018年劇場鑑賞作品・・・33アクション・アドベンチャーランキング

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