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ウィッチ★・5

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低予算のインディーズ作品ながら、サンダンス映画祭監督賞受賞をはじめ各地の映画祭で評判を呼んだミステリアス・ダーク・ストーリー。17世紀のニューイングランドを舞台に、宗教上の理由から共同体を離れ、荒れ果てた原野で自給自足の生活を始めた敬虔な一家が、次々と不可解な現象に見舞われ、魔女への恐怖で次第に崩壊していくさまを、不気味さを静かに漂わせる抑制の利いた巧みな恐怖演出で描き出していく。主演は本作の演技で一躍ハリウッド期待の新星として注目を集める存在となったアニヤ・テイラー=ジョイ。監督もまた、長編デビューとなる本作で高い評価を受けた新鋭、ロバート・エガース。

あらすじ:1630年、ニューイングランド。信仰に篤いウィリアムは妻キャサリンと5人の子どもたちと入植地での生活を始めたばかりだったが、住民と衝突して共同体を追われてしまう。そのため一家は、森の近くの荒れ地に居を構え、厳しい自給自足生活を余儀なくされる。ある日、年ごろの長女トマシンが子守りをしていた赤ん坊が忽然と消えてしまう。その後も一家には説明のつかない不幸が次々と降りかかる。いつしか家族は魔女の仕業に違いないと思うようになり、恐怖に支配された彼らは次第にトマシンに疑いの目を向け始めるのだったが…。

<感想>だいぶ前に観たものですが、忘れないうちに。B級映画というべき、しょうもないホラーもので、敬虔なキリスト教徒の家族が、どういうわけか村八分みたいに住んでいた土地を追われて、森の中の荒れ果てた一軒家で暮らし始めます。それにしても、こんな閑散とした場所で、家族が多い、子供が長女のトマシンを始めとして、長男のケイレブ、それに双子の女の子次女と三女が、そして生まれたばかりの赤ん坊という、なにしろ家族が多くて、どうやって食糧を賄うのだろうなんて思ってしまった。

それでも、貧しいながらも山羊とかニワトリとかいるので、畑の野菜をとって粗末な食事をする家族。絵本があるわけでもないし、長女のトマシンに下の子供たちの世話を押し付ける母親。作り話を寝物語にしたりして、それでも長男のケイレブは姉のトマシンに懐いており、いつも森へ木の実かなんかを取りにいくのか、一緒に出掛ける。川のほとりでケイレブとお喋りをして楽しむ兄弟。

ある日のこと、トマシンが赤ん坊の子守をしている時、「いない、いない、ばぁ~」と自分の顔を手で隠して赤ん坊をあやしていた時、手で顔を隠した時に、赤ん坊が連れ去らわれてしまう。まるで神隠しにでもあったように。もしかして、狼にでもさらわれたのかもと思っているも、父親と母親は、森の中にいる魔女がさらっていったのだという。

そのころ、森の中では魔女らしき老婆が、裸で赤ん坊らしきものを潰して、血を体中に塗り付けて騒いでいた。実は本当に森の中には、この家族と同じようにコミュニティを追放された女たちが、群を作って暮らしていることが分る。

家族は、赤ん坊が連れ去らわれたのは、家族の中に神様に背いた者がいるということになってしまう。それは誰なのか?・・・家族の中で自分たちの小さな子供たちにそんな疑いの目を向ける両親っているんだね。大人の心の中が貧しさと、疎外感で自分の子供たちにまでそんな懐疑心を向けるとは、家族はバラバラになってしまうだろう。

そんな時に、貧しさから長女を奉公にだして口減らしようと両親が考え、長女のトマシンが家を出されることになる。それに、長男のケイレブが、森の中へ行って、彼は男の子なのに小心者で、いつも長女のトマシンを頼りにしていた。だから、長女が奉公に出されると、今度はケイレブが一家の稼ぎ頭となることになり、森へウサギとか狩りに行かなければならなくなる。

裸のケイレブが森から帰って来て、精神的におかしくなり発狂する。ケイレブも年頃になり、長女の悩ましい裸を見て妄想したようで、本当だったら、そういう男の生理を父親が教えなければならないのに。それを見た両親は、長女のせいだと、赤ん坊をさらわれたのも長女のせい、何でも全部悪いことが起こると長女のトマシンに疑いを掛けられ、可哀そうにいたたまれなくなる。精神的にも落ち込んでしまうだろう。

次の朝、ケイレブの容態が悪化して、しまいには死んでしまう。母親は全部長女、トマシンのせいにして、悪魔が乗り移ったと怒り狂い、トマシンの首を絞めて殺そうとする。「あんたは、父親にまで色目を使って誘惑するのねと」母親が、長女に憎しみを込めて襲い掛かるのだ。

必死で母親が自分の首を絞めるのを止めるも、傍にあったナイフで母親を刺し殺してしまうトマシン。もう、この家にはいられないと、自分の心に悪魔が棲みついたのだと思ってしまうトマシン。

 

殺されると思った長女は、急いで外へ出ると、今度は父親が襲って来る。だが、黒山羊が突進して来て父親に襲い掛かり、父親は死んでしまう。それを見たトマシンは、自分がもしかして魔女になってしまい、家族を殺していくと思い込んでしまう。誰にも相談できないし、両親は自分を憎んで追い出そうとしているから。

家を出て森の中へ消えていくトマシン。森の中では、コミュニティを追放された女たちが気が狂ったように裸で踊り出し、まるで魔女になったかのように空を目指して登っていく。トマシンも裸になり、その魔女らしき女たちと共に空へと昇っていくという最後。

長女のトマシン役のアニヤ・テイラー=ジョイが、殆ど一人舞台で演じているような映画。本当に魔女なのかどうかは分からないが、精神的に追い詰められていき、都会ではないので、暗い森の中へと、まるで集団自殺でもするかのように、そんな最後に見えました。家族からヒステリックな魔女疑惑をかけられる長女トマシン役は、これがM・ナイト・シャマラン監督作品「スプリット」の主演へとつながる出世作となったアニヤ・テイラー=ジョイちゃん。思春期特有の感情の揺らぎを表現するとともに、少女特有のアンバランスな色気を匂わせる存在感は、まさしく作品の中の魔女といっていいかも。

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