麻生周一の人気ギャグ漫画を「銀魂」「勇者ヨシヒコ」シリーズの福田雄一監督、「四月は君の嘘」「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」の山崎賢人主演で実写映画化。様々な優れた超能力を持ちながらも、目立たず平凡な生活を望むクールな高校生が、その意に反して風変わりなクラスメイトたちのせいで次々とトラブルに見舞われていくさまをギャグ満載に描く。共演は橋本環奈、新井浩文、内田有紀、田辺誠一。
あらすじ:生まれながらにしてテレパシーやサイコキネシス、テレポートはじめあらゆる超能力を自在に操る高校生、斉木楠雄。そんな彼が何よりも願っていることは、普通に暮らしたい、ということ。しかし、彼の周りには、学園のアイドルを自認し、上から目線で斉木に言い寄る勘違い美少女・照橋心美、バカすぎて斉木が唯一心を読めない燃堂力、筋金入りの中二病患者・海藤瞬はじめ変わり者ばかりが集まり、ことあるごとに斉木の平穏な日常を踏みにじっていく。そんな中、毎年恒例の文化祭を迎え、無事に終わらせようと奮闘する斉木に、案の定次々と災難が降りかかるのだったが…。
<感想>やれやれ、たかが文化祭で、滅亡の危機とはな。「週刊少年ジャンプ」で連載され、独特な世界観が支持されている麻生周一の人気ギャグ漫画を実写映画化。生まれながらに最強の超能力を持ってしまったばかりに、日々災難に巻き込まれてしまう16歳の高校生・斉木楠雄の学園生活を描く。
主人公は、最近映画に出すぎの山崎賢人くん。ヒロインは橋本環奈で、脇陣には両親に内田有紀、田辺誠一が、そして同級生には新井浩文が燃堂力に、吉沢亮が海藤瞬を、笠原秀幸が灰呂杵志と賀来賢人が窪谷須亜蓮に扮している。そして福田作品常連のマジシャン役のムロツヨシ、校長の佐藤二朗といった個性的なキャストが集う。
ピンク色の髪の毛に無表情、殆どのセリフが脳内発言で終わる山崎賢人の謎のハマリっぷりに“おっふ”。しかしこの言葉は、ちょっと驚いた時ならいつでも使える。
作中では、才色兼備の完璧美少女、照橋心美を目にした男子が、思わず口にしてしまう言葉として登場する“おっふ”橋奈本環ちゃん可愛いですね。
1000年に一人の美少女・橋奈本環の超絶変顔コメディエンヌっぷりにおっふだ。歩くイケメン彫刻・吉沢亮が内なる中二病を卍解してハジケまくる姿におっふ。笹原秀幸の半ケツにおっふ。新井浩文のケツアゴにもおっふ。
ムロツヨシのマジシャンにおっふ。校長の佐藤二郎におっふ。そうなんですね、この映画「斉木楠雄のΨ難」を観ているだけで笑いと“おっふ”が溢れ出すスーパーハッピー・コメディであります。
楠雄の気を惹こうとする照橋の思い込みに対する彼のツッコミなどは、まさにそれ。いまじゃあ、これがお笑いの常道なのか?動きを含めた芸で笑わせる喜劇も、遠くなりにけりかい。まぁ、この映画で唯一面白かったのが、楠雄の超能力で、高校生が次々と石像になり、兵馬俑のようになる場面だった。
これは、コンセプトの勝利であり、文化祭を穏便に過ごす、そのためにだけ超能力者が瞬間移動して大活躍という物語を、だれでも可笑しいと思えるか、他人事ながら心配だった。
それでも、ポーカーフェイス少年と腹黒い美少女の取り合わせも良かったし、両者の心の声バトルみたいな構成と、どんどんと氷の世界になっていく体育館の武具室が、クライマックスで宇宙ものにスケールアップする、これが楽しかった。ですがこの映画から得ることなんか何一つなくたっていい。何もかも忘れて、ただ笑い、ただ“おっふ”するというシンプルなエンタメなのだから。
2017年劇場鑑賞作品・・・244アクション・アドベンチャーランキング