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アトミック・ブロンド★★★★

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「モンスター」「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のシャーリーズ・セロンが美しき最強女スパイを演じるサスペンス・アクション。冷戦体制崩壊直前のベルリンを舞台に、極秘ミッションに臨むヒロインが、次々と現われる刺客相手に壮絶な戦闘アクションを繰り広げるさまを、リアルかつスタイリッシュに描き出す。共演はジェームズ・マカヴォイ、ジョン・グッドマン、トビー・ジョーンズ。監督はスタント畑出身で、「ジョン・ウィック」では共同監督を務め、「デッドプール」続編の監督にも抜擢されるなどハリウッドで注目を集めるアクション演出のスペシャリスト、デヴィッド・リーチ。

あらすじ:冷戦末期の1989年。英国秘密情報部“MI6”の凄腕エージェント、ローレン・ブロートンは、何者かに奪われた極秘リストの奪還と、二重スパイ“サッチェル”の正体を突き止めよという密命を帯びベルリンに降り立つ。早速現地で活動するスパイ、デヴィッド・パーシヴァルと合流するが、彼女の行動は敵側に筒抜けとなっていた。誰が敵か味方かまるで分からない状況の中、次々と襲いかかる殺し屋たちを、強靱な肉体と圧倒的戦闘スキルでなぎ倒していくローレンだったが…。

<感想>本作の特長のひとつが、激しいアクションとファッショナブルなロレーンのギャップ。場面写真では、黒のロングコートに身を包み路地裏に立つロレーンの姿や、華やかなドレスでバーを訪れたシーン、白のコートを着こなし、任務に当たる様子が描かれている。

本作の衣装を手がけたのは、「メメント」「8月の家族たち」「テッド2」とジャンルを問わずに活躍するコスチュームデザイナーのシンディ・エバンス。本作では「80年代のファッションから最高に格好いい要素を見つける」というテーマのもと、当時のベルリンにあった60~70年代のアイテムも取り入れつつ、本作ならではのスタイリッシュなファッションを目指した。プロデューサーも兼ねたセロンからも「革のコートを着てガーターベルトを付けて変装しているスパイがいたらどうだろう」とアイデアを出し、ロレーンのスタイルが構築されていったという。

エバンスは「ステレオタイプは避け、微妙なニュアンスや美しさ、芯にあるものを見出すことを大事にしていた」と語り、「夜の外のシーンの撮影のため、ディオールのアーカイブから貸し出された赤いコートは何より輝いて見えることは間違いない」と手ごたえをにじませている。

 

クールでポップな“女性版ボンド”を心底楽しそうに演じるセロンが最高!

舞台は東西冷戦が氷解する直前のベルリン。主人公はMI6のミッションを帯びた諜報員。目的は消えたスパイリストの奪還。今やデジタルツールに主役の座を奪われ、ジェームズ・ボンドは唯一の例外として、人間の肉体そのものが機能する場所を失った時代に、これ程スパイアクションに適した時代設定はない。ポイントはその諜報員が女性である点だ。

世界中で暗躍するスパイの名が記されたリストを奪い返すため、ヒロインのロレーンがやがて崩れゆく壁に隔てられた東西ベルリンを往き来する。だが、肝心のリストはそれを奪って姿を消した殺し屋共々所在不明のまま、ロレーンの前には協力者のはずがどうも信用できないMI6支部員(ジェームズ・マカヴォイ怪演!)、同じくリストが欲しいKGBやフランスの諜報機関DGSE、挙げ句にはCIAまでが現れて、状況はさらに混迷を深めていく。誰が味方で誰が敵か、というより、怪しい者だらけの相関図を形成しつつ。

当時のベルリンの写真をヒントに美術スタッフがリメイクしたという、壁一面に描かれたカラフルなウォールペイントを筆頭に、原色のネオンが人間の顔を同じ色に染める地下クラブ、スパイが取引場所に使うシャンデリアや裸婦像が配置されたバー等、不安定な政情を補うように発展したと言われるアートやインテリアの数々が、デカダンな時代をリアルに再現している。

しかし、見ていて最高に心地いいのは、原作を一読して映画化を決意し、製作にも絡むシャーリーズ・セロンが、強者入り乱れる諜報合戦をしたたかに生き抜くクールでポップなヒロインを、心底楽しそうに演じているところ。どんな場面でも表情ひとつ変えず、刺客に対しては特訓で鍛えた必殺回し蹴りを炸裂させる。その際に脚を大きく広げると、黒いミニスカートとニーハイブーツの間からガーターベルトで吊ったストッキングが覗くのは計算済みだろうし、白いエナメルのレインコートとサングラスで町を歩く姿は、まるでキャットウォークするモデルのようだ。

それは、困難な任務に加えて格闘シーンと筋肉美のアピールがセットになったボンドの役割を、まんま女性が請け負って何の不自然さもないことを立証する、男社会のハリウッドで数少ないアクション女優として機能し続けるシャーリーズ・セロンならではのこだわりだろうか。ボンドガールと脈略を無視して簡単にベッドインし、時にはマジで恋に落ちるボンドだが、ロレーンがその部分をどう請け負うかにも、是非、注目して欲しい。

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