『リング』シリーズや『仄暗い水の底から』などの鬼才、中田秀夫がメガホンを取ったホラー。とある団地へと引っ越してきた女性が、そこで続いている変死事件の真相を追ううちに想像を絶する恐怖を体験していくさまが描かれる。『苦役列車』の前田敦子がヒロインにふんし、渾身(こんしん)の絶叫演技を披露。
『ドロップ』などの成宮寛貴が、彼女と共に団地の忌まわしい秘密を知る清掃員役で共演する。ホラーの名手としても知られる中田監督ならではの容赦ない恐怖演出に加え、社会問題となっている孤独をテーマにした物語も見ものだ。
あらすじ:老朽化したクロユリ団地へと移り住んできた明日香(前田敦子)は、隣室から聞こえる何かを引っかくような音にへきえきしていた。ある日、鳴りやまない目覚まし時計の音を発端に、隣室で亡くなっている老人を見つけてしまう。それを機に周囲で頻発する怪現象に対する恐怖、老人を救えなかったという罪悪感から、精神的疲労を募らせていく明日香。老人が何かを伝えようとして音を立てていたのではないかと思った彼女は、遺品整理で隣室を訪れる特殊清掃員・笹原(成宮寛貴)とその真意を探ろうとするが。
<感想>物語の舞台となるのは、高度成長期による人口増加と共に全国に急増した団地。かつての日本を象徴する集合住宅もいまや活気を失い、老朽化した建物が静かに立ち並んだ光景はまるで現代の幽霊屋敷のようでもある。本作の団地は「呪われた団地に幽霊が出る」というお決まりの都市伝説を連想させておきながら、実はお約束をどんどん破壊する仕掛けの野心的な映画となっています。
看護師を目指す主人公の明日香に前田敦子がヒロインを演じて、それは顔色が化粧で薄汚れているような感じで、ちょっと恐ろしい顔になっていて、けれど演技の方も力が入ってやり過ぎって感じもしました。お隣の部屋から毎朝5時過ぎにめざまし時計のベルが鳴り響きうるさくて目を覚ましてしまう。しかし、お隣には誰も住んでいないことを知っているから、じっと耐えるしかない。それに、壁越しに聞こえるごん、ごん、ごんという不気味な音が。
それにしても、こんな団地に家族と住んでいて、朝食のシーンが繰り返し映されるのですが、これってもしかして両親も弟も死んでいるのでは?・・・それと、夜に団地の公園で砂遊びをしていたミノル君という男の子も、これはすでに死んでいる子なのかも、なんて序盤からなんとなく分かるストーリーと思ってしまった。
だから、明日香がお隣の部屋へ入っていき、お爺さんの遺体を見つけた時は白目むいている爺さんの顔が怖かったです。最近多いですよね、身寄りのない老人が誰にもみとられることなく死んでいる孤独死って。爺さんの亡霊登場シーンは、部屋の中に散らばる古い写真など猛烈におぞましい雰囲気に満ち溢れて恐怖を煽る。
例えば壊れた三輪車が捨てられている光景を見て、それを片付ける人がいない。つまり誰からも気づかれない「存在」が「時間が止まったままの状態」でそこにいる。もしも、そのことに気づいてしまった人がいたとしたら、それが今回の主人公明日香なんですね。もちろん明日香には霊能力はない。でも、想像力は他の人よりも優れている。それは彼女が大きな喪失感を抱えているから。つまり彼女自身が「時間が止まっている人」なんですね。
明日香は、小学生のころ家族でバス旅行へ出かけて、途中でバスが崖下へ転落して、その時、両親と弟が亡くなり、自分だけ助かったという悲しい過去があるんです。その事故から彼女の時間はずっと止まってしまっているようなのです。だから、旅行へ行く何日か前の朝の家族との会話が、何度も繰り返されてそこで時間が止まってしまっているのでしょう。
だから彼女は死者に思いを馳せることもできる一方、そのことをお隣の老人の部屋に来た遺体清掃会社の成宮寛貴くんに話すのです。彼も事故で愛する彼女を植物人間にしてしまい、いつも心に闇を抱えている人。成宮寛貴くんに紹介してもらった手塚理美さん演じる霊能者から「あなたのやっていることは無責任で残酷なことなんだ」とたしなめられる。
それは、公園で男の子ミノル君が遊んでいて、声をかけて友達になって家の中へ入れてしまったこと。それは死者が見えたことで、他人には見えない存在だから。いつも朝になると、家族を囲んだ食卓が現れるのも、明日香の心に死んだ人との交流を楽しんでいるような感じもしました。
だから、死に憑りつかれてしまった明日香を救うために、霊能力者が祈祷をしてくれるんですが、いやぁ、手塚理美さん最初はそこら辺にいる普通のおばさんだったのに、下ヨシ子風にアレンジしたのか女優魂に火が付いたようで、全身で除霊をしてましたよ。
しかし、除霊をしているときに悪魔が憑りついたみたいに血を吐いて、その後どうしたんだろう、映画の中では明かされてません。
そこへやっぱりミノル君がやって来るんですね。初めは明日香も断ってましたが、だんだんとミノル君の声色が、亡くなった家族の声に変わり、弟の声で「開けてよお姉ちゃん」と言われると辛いですよね。それでも開けなかったのに、墓穴を掘ってしまった成宮寛貴くんが、自分の愛する彼女の声に変わった途端ドアを開けてしまった。だから、ミノル君は成宮寛貴くんを地下の地獄へと連れ去ってしまう。
その地獄とは、ミノル君が子供のころにかくれんぼで遊んでいて、ゴミ置き場の鉄のゴミ箱の中へ隠れて、誰にも見つからず次の朝に清掃車によって焼却炉の中へと。これは恐いですね、ミノル君の身に起こったことが、成宮寛貴くんの身にも起こると言う結末には、どうしてって、そうか彼も事故で死んだかもしれないのに生きているってことを後悔している人。ちょうどこのシーンの時に、宮城県で地震が起きて劇場が揺れるし恐いしで体感度もマックス状態でした。明日香は一人取り残されて、床を掻き毟っていたということで、そのまま養父母に引き取られて行きました。もう明日香は精神が病んでしまっているので、精神病院へ入れないといけませんね、これでは。
今までの『リング』シリーズや『仄暗い水の底から』などから比べると、怖さは半減してますが、しかし地震が加わってなおのこと恐怖が募りました。
2013年劇場鑑賞作品・・・105 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
『ドロップ』などの成宮寛貴が、彼女と共に団地の忌まわしい秘密を知る清掃員役で共演する。ホラーの名手としても知られる中田監督ならではの容赦ない恐怖演出に加え、社会問題となっている孤独をテーマにした物語も見ものだ。
あらすじ:老朽化したクロユリ団地へと移り住んできた明日香(前田敦子)は、隣室から聞こえる何かを引っかくような音にへきえきしていた。ある日、鳴りやまない目覚まし時計の音を発端に、隣室で亡くなっている老人を見つけてしまう。それを機に周囲で頻発する怪現象に対する恐怖、老人を救えなかったという罪悪感から、精神的疲労を募らせていく明日香。老人が何かを伝えようとして音を立てていたのではないかと思った彼女は、遺品整理で隣室を訪れる特殊清掃員・笹原(成宮寛貴)とその真意を探ろうとするが。
<感想>物語の舞台となるのは、高度成長期による人口増加と共に全国に急増した団地。かつての日本を象徴する集合住宅もいまや活気を失い、老朽化した建物が静かに立ち並んだ光景はまるで現代の幽霊屋敷のようでもある。本作の団地は「呪われた団地に幽霊が出る」というお決まりの都市伝説を連想させておきながら、実はお約束をどんどん破壊する仕掛けの野心的な映画となっています。
看護師を目指す主人公の明日香に前田敦子がヒロインを演じて、それは顔色が化粧で薄汚れているような感じで、ちょっと恐ろしい顔になっていて、けれど演技の方も力が入ってやり過ぎって感じもしました。お隣の部屋から毎朝5時過ぎにめざまし時計のベルが鳴り響きうるさくて目を覚ましてしまう。しかし、お隣には誰も住んでいないことを知っているから、じっと耐えるしかない。それに、壁越しに聞こえるごん、ごん、ごんという不気味な音が。
それにしても、こんな団地に家族と住んでいて、朝食のシーンが繰り返し映されるのですが、これってもしかして両親も弟も死んでいるのでは?・・・それと、夜に団地の公園で砂遊びをしていたミノル君という男の子も、これはすでに死んでいる子なのかも、なんて序盤からなんとなく分かるストーリーと思ってしまった。
だから、明日香がお隣の部屋へ入っていき、お爺さんの遺体を見つけた時は白目むいている爺さんの顔が怖かったです。最近多いですよね、身寄りのない老人が誰にもみとられることなく死んでいる孤独死って。爺さんの亡霊登場シーンは、部屋の中に散らばる古い写真など猛烈におぞましい雰囲気に満ち溢れて恐怖を煽る。
例えば壊れた三輪車が捨てられている光景を見て、それを片付ける人がいない。つまり誰からも気づかれない「存在」が「時間が止まったままの状態」でそこにいる。もしも、そのことに気づいてしまった人がいたとしたら、それが今回の主人公明日香なんですね。もちろん明日香には霊能力はない。でも、想像力は他の人よりも優れている。それは彼女が大きな喪失感を抱えているから。つまり彼女自身が「時間が止まっている人」なんですね。
明日香は、小学生のころ家族でバス旅行へ出かけて、途中でバスが崖下へ転落して、その時、両親と弟が亡くなり、自分だけ助かったという悲しい過去があるんです。その事故から彼女の時間はずっと止まってしまっているようなのです。だから、旅行へ行く何日か前の朝の家族との会話が、何度も繰り返されてそこで時間が止まってしまっているのでしょう。
だから彼女は死者に思いを馳せることもできる一方、そのことをお隣の老人の部屋に来た遺体清掃会社の成宮寛貴くんに話すのです。彼も事故で愛する彼女を植物人間にしてしまい、いつも心に闇を抱えている人。成宮寛貴くんに紹介してもらった手塚理美さん演じる霊能者から「あなたのやっていることは無責任で残酷なことなんだ」とたしなめられる。
それは、公園で男の子ミノル君が遊んでいて、声をかけて友達になって家の中へ入れてしまったこと。それは死者が見えたことで、他人には見えない存在だから。いつも朝になると、家族を囲んだ食卓が現れるのも、明日香の心に死んだ人との交流を楽しんでいるような感じもしました。
だから、死に憑りつかれてしまった明日香を救うために、霊能力者が祈祷をしてくれるんですが、いやぁ、手塚理美さん最初はそこら辺にいる普通のおばさんだったのに、下ヨシ子風にアレンジしたのか女優魂に火が付いたようで、全身で除霊をしてましたよ。
しかし、除霊をしているときに悪魔が憑りついたみたいに血を吐いて、その後どうしたんだろう、映画の中では明かされてません。
そこへやっぱりミノル君がやって来るんですね。初めは明日香も断ってましたが、だんだんとミノル君の声色が、亡くなった家族の声に変わり、弟の声で「開けてよお姉ちゃん」と言われると辛いですよね。それでも開けなかったのに、墓穴を掘ってしまった成宮寛貴くんが、自分の愛する彼女の声に変わった途端ドアを開けてしまった。だから、ミノル君は成宮寛貴くんを地下の地獄へと連れ去ってしまう。
その地獄とは、ミノル君が子供のころにかくれんぼで遊んでいて、ゴミ置き場の鉄のゴミ箱の中へ隠れて、誰にも見つからず次の朝に清掃車によって焼却炉の中へと。これは恐いですね、ミノル君の身に起こったことが、成宮寛貴くんの身にも起こると言う結末には、どうしてって、そうか彼も事故で死んだかもしれないのに生きているってことを後悔している人。ちょうどこのシーンの時に、宮城県で地震が起きて劇場が揺れるし恐いしで体感度もマックス状態でした。明日香は一人取り残されて、床を掻き毟っていたということで、そのまま養父母に引き取られて行きました。もう明日香は精神が病んでしまっているので、精神病院へ入れないといけませんね、これでは。
今までの『リング』シリーズや『仄暗い水の底から』などから比べると、怖さは半減してますが、しかし地震が加わってなおのこと恐怖が募りました。
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