アフリカの少年兵問題をテーマにしたドラマ。紛争が泥沼化する一方のコンゴ民主共和国を舞台に、拉致されて反政府軍の兵士となった上に亡霊が見える力に目覚めた少女がたどる波乱の運命と恋の行方を見つめていく。メガホンを取るのは、カナダのキム・グエン。ヒロインのコモナには、監督が自ら選んだ新星ラシェル・ムワンザ。機関銃を構える兵士と恋に胸を弾ませる少女、二つの顔を見事に演じ切り、ベルリン国際映画祭とトライベッカ映画祭で主演女優賞を受賞している。幻惑的な映像も見どころだ。
あらすじ:紛争終結の兆しがまったく見えない、コンゴ民主共和国。水辺の村でのどかに暮らしていた14歳の少女コモナ(ラシェル・ムワンザ)は、突如として反政府軍に拉致されてしまう。反政府軍の兵士としてゲリラ戦に駆り出される彼女だったが、亡くなった人々に導かれて戦いを勝利に導いていく。そんな亡霊が見える力に目覚めたことから、周囲から魔女として崇拝されるコモナ。
敵を撃つその銃はどこから来たのか、山から集める黒い石はどこへ行くのか、彼女は何も知らない。しかし、ふとしたきっかけで自分がいずれ殺害されることを悟ってしまった彼女は、恋仲になった少年と逃避行を繰り広げることに。
<感想>世界中の映画祭で高い評価を受けた、アフリカサハラ砂漠の南にある小さな村から、連れ去られた少女の運命をたどる衝撃作である。映画というよりドキュメンタリーに近い。現場そのものを撮影したのではないかと思えるリアリティー溢れる感じがした。
両親のもとから拉致され、脅迫と洗脳により反政府軍の少年兵にさせられた「ジョノー・マッド・ドッグ」(10)や、他にも両親が殺され少年たちが連れ去られ、銃をもたされて兵士になり人を平気で殺す映画「シティ・オブ・ゴッド」などを、たくさん観てきました。
しかもこちらはなんと少女。同様にか細い腕に銃を持たされ、麻薬で思考を封じ込められ殺人兵器に変えられた、無垢な子供たちのとてつもない悲劇を、ときにリアルに、ときには自らの手で殺すことになった両親の幽霊に導かれるような、メルヘンチックに描くなど、詩的な映像表現も見事です。
両親の射殺を強要された12歳の少女が、反政府組織のゲリラとして生きる物語はすこぶる魅力的だし、街頭で見つけたという少女コモナ・ヒロイン役のラシェル・ムワンザの力強い眼差しが凛々しく映っていました。だが、子共による残虐なシーンやセックスにカメラを背ける品行方正ぶりは、子供に見せても安心であるかと思うのだが、反政府軍の男たちが少女を女として性の処理に使っているのは許せないと思う。
物語の展開として、組織リーダーから囲われて、男を惹きつける魔女として生きる主人公の妖艶さが、モノローグ以上には伝わってこないのも残念です。ヌボ〜と佇む亡霊たち、ヒロインと恋に落ちるアルビノ少年など、ムードもビジュアルも寓話的なものにしている。だからなのか「小さな恋のメロディ」ともいうべきボーイ・ミーツ・ガールな展開にも微笑ましく感じられ、殺伐とした戦場で、いじらしい恋物語まで描く細やかさにも心が震えます。
だが、麻薬やレイプでがんじがらめにされて、幼い手に銃を持ち殺し合い、兵士としての証として、親にさえ銃口を向けさせられる非情さ。児童兵の描写には一気にガツンときます。血と汗と喧騒が渦巻く映画を期待すると、肩透かしをくらいますよ。この映画では、立派な大人が理不尽な行いで幼い子供たちを兵士に仕立て上げ、戦争の道具として小さな命を犠牲にする。戦争の愚かさに気付かない大人たち、自分の国をこれからの世代を担う子供たちに対して、こんな愚かな行為をするとは本当に情けなくて涙が出ます。「犠牲者はいつも子供たちであること」、というメッセージが込められていると思いますね。
2013年劇場鑑賞作品・・・104 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:紛争終結の兆しがまったく見えない、コンゴ民主共和国。水辺の村でのどかに暮らしていた14歳の少女コモナ(ラシェル・ムワンザ)は、突如として反政府軍に拉致されてしまう。反政府軍の兵士としてゲリラ戦に駆り出される彼女だったが、亡くなった人々に導かれて戦いを勝利に導いていく。そんな亡霊が見える力に目覚めたことから、周囲から魔女として崇拝されるコモナ。
敵を撃つその銃はどこから来たのか、山から集める黒い石はどこへ行くのか、彼女は何も知らない。しかし、ふとしたきっかけで自分がいずれ殺害されることを悟ってしまった彼女は、恋仲になった少年と逃避行を繰り広げることに。
<感想>世界中の映画祭で高い評価を受けた、アフリカサハラ砂漠の南にある小さな村から、連れ去られた少女の運命をたどる衝撃作である。映画というよりドキュメンタリーに近い。現場そのものを撮影したのではないかと思えるリアリティー溢れる感じがした。
両親のもとから拉致され、脅迫と洗脳により反政府軍の少年兵にさせられた「ジョノー・マッド・ドッグ」(10)や、他にも両親が殺され少年たちが連れ去られ、銃をもたされて兵士になり人を平気で殺す映画「シティ・オブ・ゴッド」などを、たくさん観てきました。
しかもこちらはなんと少女。同様にか細い腕に銃を持たされ、麻薬で思考を封じ込められ殺人兵器に変えられた、無垢な子供たちのとてつもない悲劇を、ときにリアルに、ときには自らの手で殺すことになった両親の幽霊に導かれるような、メルヘンチックに描くなど、詩的な映像表現も見事です。
両親の射殺を強要された12歳の少女が、反政府組織のゲリラとして生きる物語はすこぶる魅力的だし、街頭で見つけたという少女コモナ・ヒロイン役のラシェル・ムワンザの力強い眼差しが凛々しく映っていました。だが、子共による残虐なシーンやセックスにカメラを背ける品行方正ぶりは、子供に見せても安心であるかと思うのだが、反政府軍の男たちが少女を女として性の処理に使っているのは許せないと思う。
物語の展開として、組織リーダーから囲われて、男を惹きつける魔女として生きる主人公の妖艶さが、モノローグ以上には伝わってこないのも残念です。ヌボ〜と佇む亡霊たち、ヒロインと恋に落ちるアルビノ少年など、ムードもビジュアルも寓話的なものにしている。だからなのか「小さな恋のメロディ」ともいうべきボーイ・ミーツ・ガールな展開にも微笑ましく感じられ、殺伐とした戦場で、いじらしい恋物語まで描く細やかさにも心が震えます。
だが、麻薬やレイプでがんじがらめにされて、幼い手に銃を持ち殺し合い、兵士としての証として、親にさえ銃口を向けさせられる非情さ。児童兵の描写には一気にガツンときます。血と汗と喧騒が渦巻く映画を期待すると、肩透かしをくらいますよ。この映画では、立派な大人が理不尽な行いで幼い子供たちを兵士に仕立て上げ、戦争の道具として小さな命を犠牲にする。戦争の愚かさに気付かない大人たち、自分の国をこれからの世代を担う子供たちに対して、こんな愚かな行為をするとは本当に情けなくて涙が出ます。「犠牲者はいつも子供たちであること」、というメッセージが込められていると思いますね。
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