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無限の住人★★★

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監督・三池崇史、主演・木村拓哉で、国内外で高い評価を受ける沙村広明の人気コミックを実写映画化したアクション。無為に生きる不死身の剣士・万次と、復讐(ふくしゅう)のために彼を用心棒として雇った少女・凜が、壮絶な戦いに身を投じる姿が描かれる。オール京都ロケで撮影された、残酷かつ躍動感あふれる世界観の映像、三池監督の演出と木村による殺陣にも注目。

あらすじ:100人斬りの異名を持つ万次(木村拓哉)は、わなによって妹を失い、謎の老人に永遠の命を与えられる。死ぬことのできない無限の体となった今、斬られた傷は自然に治るが、剣術の腕は落ちていた。ある日、孤独な万次の前にあだ討ちを頼みたいという少女・浅野凛(杉咲花)が現れる。彼女の願いを聞き入れた万次は、凛と共に剣客集団・逸刀流の首領である天津影久(福士蒼汰)の命を狙う。

<感想>木村拓哉演じる万次とは、謎の老婆八百比丘尼(山本陽子)によって、血仙蟲を身体に移植され、死なない体を持った侍で、彼にとって死なないとは、死ねないを意味するものであり、つまり、無限の絶望の中にいる。そんな彼が亡き妹の面影を持つ少女、凛に仇討ちの助太刀を頼まれたことから。壮絶な戦いの旅に出ることになる。

冒頭での100人斬りから、クライマックスの300人斬りまで、強烈な個性を持つキャラクターたちとの対決が、三池崇史監督ならではの奔放かつ、ソリッドな描写で次々に展開されていく。と同時に、死ねないとは言え、痛覚は存在する万次の心身ともにある痛みが、映画の底にしたためられているとみた。

この作品では、万次単独では存在の意味がない。主人公の万次はいわゆる孤独なヒーローではなく、そこに妙味があるのだ。だから三池崇史監督は、この主人公万次の役に、木村拓哉を選んだわけがあるというのだ。確かに、映画の中での万次は、孤独で死にたくても死ねない、というかバンパイアのような存在でもある、しかし、かなり剣は強いがたまには斬られて負けてしまう時もある。その時の傷の痛さは、映像の中にも、万次の苦痛の顔色にも出ていて、万次がつぶやく、こんな思いをするのならいっそ死んでしまいたいと。

そういって、闘いに挑んで来る逸刀流の刺客、閑馬永空(市川海老蔵)が出て来る。虚無僧のような出で立ちをしており、外見は中年男性だが自分を「ワシ」と呼ぶなど老人のような話し方をする。実は万次と同じく血仙蟲により不死の肉体を持ち、既に200年の歳月を生きている。彼との一騎打ちでは、彼の望み通りに死なせてやることにする。

そして、黒衣鯖人(北村一輝)という男。天津影久を幼少の頃から知る、鎧兜を身に纏った巨漢剣士であり、無天一流襲撃に参加し、凛の両親を殺害した男。「女性への究極の愛情表現は死」と考える猟奇的感性の持ち主で、殺した自身の妻と凜の母親の首を剥製にして肩に縫い付けているのだ。こやつも、万次と凛が二人で殺してしまう壮絶なる戦いが見られる。
万次は、必ずしも無敵で不死身ではなく、確かに強いがやはり多勢に無勢に攻められると体を刻まれて苦痛に顔を歪め、それでも必死に戦うという繰り返し。

確かに逸刀流の統首・天津影久役を福士蒼汰が演じているのには、イケメン剣士のようで、カッコいいと来ている。キムタク影に隠れて霞んで見えるような感じがするでもない。
それに豪傑な尸良の市原隼人のめっぽうカッコよさに、見栄えさに驚くとともに、ノコギリの刃のような刀で切り刻み、万次の腕もごろんと斬られてしまうのだ。まぁ、それでもすぐに万次の腕はくっついてしまうので、何てことない。

そして、乙橘槇絵役の戸田恵梨香様ときたら、紫の着物といっても太ももが丸見えのエロチックであり、空中高く飛び長刀を軽々と扱う女剣士の役。彼女の身体能力を生かしたと、思うほど見事な立ち回りに惚れ惚れとしてしまった。
ラスト近くでご老体の、伊羽研水扮する 山崎努に、吐鉤群扮する 田中泯 が出て来るが、幕府の新番頭であり、柄に竜の紋様が刻まれた太刀・鴉鷺(あろ)を持つ居合の達人で、純粋な剣の腕では作中最強の一人。天津に、逸刀流を幕府の剣術指南役とする話を持ちかけるが、その裏で無骸流を使って逸刀流剣士の暗殺工作を進めていたというのだ。田中泯はさすがの迫力で、キムタクもすでに影が薄くなってきているのが分かる。

この映画の見どころは、やはり、キムタクファンが楽しむ剣劇映画であり、中身は『十三人の刺客』のようでもあり、クライマックスを接続させた構成の、万次が300人を超える軍勢と対峙し、壮絶な死闘が長く続き、死屍累々の光景を残していく集団抗争シーンのようでもある。

それに、少女凛の仇討ちである、天津影久(福士蒼汰)との、一騎打ちを迎える最大の見せ場にあり、とにかく、キムタクのチャンバラ、殺陣を楽しむものでもあり、とにかく、斬られて血がドバッ、ドバッ、とグロイし、ちゃんばら劇が好きな人にはたまらなく楽しく観れるでしょう。
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