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アシュラ ★★★

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「MUSA -武士-」「FLU 運命の36時間」のキム・ソンス監督が実力派豪華キャストの共演で贈るノワール・エンタテインメント。架空の暗黒都市を舞台に、腐敗市長と悪徳検事との板挟みで追い詰められる汚職刑事の運命を、過激なバイオレンス描写満載にスリリングに描き出す。出演は「グッド・バッド・ウィアード」のチョン・ウソン、「国際市場で逢いましょう」のファン・ジョンミン、「私は王である!」のチュ・ジフン、「弁護人」のクァク・ドウォン。
あらすじ:あらゆる汚職が蔓延した街、アンナム市。末期ガンの妻の治療費が必要な刑事のハン・ドギョンは、市長パク・ソンべの悪事の後始末を請負い、汚い金を手にしていた。一方、市長の不正を暴こうと躍起になっていた検事のキム・チャインと検察捜査官ド・チャンハクは、ドギョンの弱みを握り、市長の不正の証拠を手に入れろと脅迫するのだったが…。

<感想>都市再開発に巣くう利権、市長に司法と、警察のみつどもえの抗争、各陣営の狭間を泳ぎ回る悪徳刑事の主人公。悪徳市長と手段を選ばず彼を捕まえようとする検事という、二つの悪の間でもがいている刑事ドギョンのような“取るに足らない悪党”は、いやおうなしに悪の時代に巻き込まれている、現代社会の中年男性とも重なって見えましたね。

極辛のコリアン・ノワールのようだが、香港のジョニー・トーを頂点とするこのジャンルで、目立つためには、とにかくバイオレンス描写を極辛化するしか方法はないのだ。韓国映画にはこれまでもユニークな武器(金槌とか金棒)が登場してきましたが、今回はカッターナイフとかが、リアルに痛いと言う感じのものが工夫されていましたね。
そして、隠し味はいつも“鬼の目に涙”とくる。本作も例外ではなく、その塩っけは相当なもので、ただそこが、ドライとウェットと天才的に使い分けるジョニー・トー監督と他の作り手を隔てる分かれ目になっている。

これがアメリカ映画だったら、最後の最後に知恵を絞って大逆転になるだろうに、もうやられっぱなしで、その終始を受け身のところが、韓流的といおうかアジア風味とでも言おうか、登場する人物のキャラも単純で一色。
悪いやつはひたすらに悪いし、表裏なく裏ばっかなの。ゆえに展開は、ただただ濃厚になっていくばかり。だからこうなったら、行き着くところまで行っちまえ、見たいなヤケッパチのようで、もう少し頭を使ってくれればね。
この作品は犯罪アクションスリラーですが、アクションシーンはそれほど多くなく、観客が楽しめるシーンが少ない。ですが、クライマックスの地獄絵も凄いが、迫力の雨の中でのカーチェイスや中盤までの人間描写に、緩~いアクションを絡ませる演出も良かった。

チョン・ウソンが演じた刑事にも、選択権はそれほどなくよりよい道を選んだ結果として、阿修羅の道にいってしまったというのが、人生の不思議であり、悲しさなんだろうなぁと。そうしないと生き残れないと考えたんでしょう。悪党が支配し、彼らに利用される世界の果てで待っているのは、絶望だけなんですが、それを知らずに、男たちはそうやって生きていくのでしょう。
俳優陣は圧巻でしたね。チョン・ウソンの熱演に、最近良く観る悪代官顔の「弁護人」のクァク・ドウォンという顔ぶれでした。

2017年劇場鑑賞作品・・・93
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