Quantcast
Channel: パピとママ映画のblog
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2328

トッド・ソロンズの子犬物語★★★・5

$
0
0
『ダークホース ~リア獣エイブの恋~』などのトッド・ソロンズが監督を務め、ダックスフントとその犬を迎えるオーナーたちの悲喜こもごもをつづる異色コメディー。トラブルメーカーの子犬がさまざまな人の手に渡り、アメリカ中を放浪する様子をブラックな笑いを交えて描く。ダニー・デヴィート、エレン・バースティン、ジュリー・デルピーらが出演。名優たちが放つ暴言と、キュートなダックスフントのギャップに笑みがこぼれる。

<感想>これはまた、タイトルとは裏腹に心温まる愛犬物語かと思えば、まるで正反対なのがこの監督らしいのだそうです。この監督の作品は、初めて見たので、ただワンコ(ダックスフント)可愛さに鑑賞してしまったので、なんて酷い飼い主ばかりに飼われて、次から次へと転々としていくことは、ワンコにとって飼い主が変わっても、一番初めの飼い主が大好きで、その飼い主のことは忘れていないようですね。

一人目の飼い主は病弱な少年、犬と少年の物語なのにホラーすぎる母親(ジュリー・デルピー)が台無しにしてしまう。それに父親も散歩に連れて行くも、犬を蹴飛ばしたりして、自分の思い通りにならないと怒って、ダメ人間である。両親の心配をよそに、病弱なレミはと子犬はどんどん仲良くなっていくが……

子犬が、生後まもなく引き取られていくのは、小児がんとの闘病から生還したレミの家。レミと子犬はすぐに仲良しになるが、サプライズとして子犬を連れてきた夫に対して、母のディナ(ジュリー・デルピー)は怒り心頭。子犬の避妊手術を悲観する息子に対して、レイプされる危険を淡々とグロテスクに語るディナって一体、何を息子に言おうとしているの。それに、最後に犬に手がかかるのを嫌い父親が、動物病院に連れて行き安楽死処分して欲しいと頼むのですからね。

母親が言うのは、野犬にレイプされてしまうからとか、確かに飼い主として繁殖させないのなら、避妊手術は必要ですよ。それに、子供が留守の間に甘いチョコレートを食べさせてしまい、ワンコは下痢をして最後は血便までだして、どうして避妊手術するくらいなら、そんな状態のワンコを病院へ連れて行って、入院させてお腹の調子を良くしてもらいましょう。それくらいやるのは当然のことですよ。留守番している息子とワンコが、ソファの上でジャンプしたりクッションを食い散らかして羽毛を出したりして遊ぶのもご愛敬ですからね、この両親は、動物を飼う資格なしですから。


二人目の飼い主は、元同級生と旅をする獣医助手。
憧れの彼は薬物中毒で、その彼ってブランドン役は「ホーム・アローン」のマコーレー・カルキンの弟、キーラン!、レミのもとから子犬を受け継ぐことになるのが、獣医の助手ドーン(実は彼女は、ソロンズ監督作「ウェルカム・ドールハウス」に登場したキャラクターの成長した姿。演じるのはグレタ・ガーウィグ)。ひょんなことからドーンは、好きだった元クラスメイトで薬物中毒者のブランドン(キーラン・カルキン)と車で遠出することに。

この女性ドーンは、自分のことに主張性がないし、彼の思いのままになっているのが気に入らない。だから、一緒にドライブへ行くも、コカイン中毒であり、売人のところへ行き薬を買いトイレで注射する。

良かったのが、ヒッチハイクをしているメキシコ人の家族を車に乗せてあげたことくらいかな。そして、ブランドンが弟の家へ連れて行くのですが、その弟はダウン症で結婚してる奥さんもダウン症であり、実は弟に父が死んだことを知らせに来たのですね。

弟が父親の死を理解したのかどうかは知りませんが、犬がブランドンの弟と奥さんに懐いていたので、ドーンは弟家族に犬を譲ることにする。それに、結局は最後はこの二人がどうなったのかはさだかではない。
ここで休憩が入る。

そして3人目の飼い主は、落ちぶれた脚本家兼映画学校の教師シュメルツ。成長した子犬が次に出合うのは、映画学校の講師デイブ(ダニー・デビート)。かつてハリウッドで1本当てた脚本家で、今も新作を書いてはエージェントに送る毎日だが、古くさい理論と熱意のない授業で生徒からの人望はなく、同僚からも総スカン。まったく冴えない彼はあることで大いに傷つけられ、ついに大事件を起こす!

ユーモアたっぷりですが、傍若無人、苦渋に満ちているダニー・デヴィート演じる映画学科の教授は、卒業生のトークショーで侮辱を受けます。この苦渋に耐えられる観客はいないでしょう。悔根、不寛容、孤立無援が渦巻く中を、一匹の犬が通り過ぎてゆく。

そのワンコの胴体には、名前の「糞」ドゥーディであると同時に、犬の背中にダイナマイトを取り付けて、時限爆弾装置付きってひどいよ、もし爆発したら近隣の人たちや、罪のない何も知らない犬が木っ端微塵になってしまうのに。そこへ爆弾処理班が駆けつけて、終わります。

4人目の飼い主は、余命幾ばくもない老婆。ターミネーターのようなサングラスをかけて、いつも横に座っているお利口な犬。「アリスの恋」でアカデミー主演女優賞を受賞したエレン・バースティンも出演。デイブとも別れた子犬(今や成犬だが)が落ち着いた先は、末期がんの老婆ナナ(エレン・バースティン)のもと。イヌに「がん」を意味する「キャンサー」を名付けるなど偏屈極まりない彼女のところに、おバカな孫娘ゾーイと、彼女の謎のボーイフレンド、黒人のファンタジーが訪ねてくる。サングラス姿の仏頂面で、ナナは話を聞くが……。

金の無心に来た孫娘、その彼の芸術活動の中には動物の死体を剝製にして、それをロボット化するという作品もあるということを話します。婆ちゃんは、余命幾ばくもないので、お金を残しておいてもしょうがないと思い、可愛い孫のために金額の書いてない小切手を渡す。「お婆ちゃん有難う!また来るね」と帰るも、その後がいけなかった。
外へ出てベンチに座るエレン・バースティン、少女の天使が6人も出て来て、あなたの今までなれなかったことの自分の幻想だというのだ。楽しかった思い出もたくさんあったのだろう。人間何時かは死ぬのだが、もうお迎えが来たのかしらと、気が付くとダックスフンドのキャンサーがいない。見ると表の車の激しく通る道路へと歩いていくワンコ、たちまち車に轢かれてしまう。それも4回もだ。このグシャリは悪趣味ですね。ですが、このお婆さんにとっても助けられなかったと思いますね。ワンコの寿命にしても、交通事故死でなく人間に見守られて亡くなって欲しかった。
しかし、ラストに思わぬサプライズがあったのですから。ダックスフンドが死んで6か月後、孫娘の彼氏のと思われる展覧会場が映し出されて、アクリルケースに入ったダックスフンドの剥製の首が動いて、ワンワンと吠えるんですよ。
この作品は、ワンコの映画になってますが、世界に対するシニカルな視線を、ダックスフントが繋ぐ人間模様。そこに皮肉とおかしさと哀れが込められている。全体に胸に沁みるところまでいかないが、やたらと苦みだけが口に残る作品。私が愛犬家だからなのか、過激で下品な悪趣味カルト作です。それがこの監督の持ち味なんだろうが、どうも人間観というか世界が窮屈に思えて、間に休憩はいらなかったのに、しかし、各挿話をつなぐアニメと歌は楽しめましたけどね。
2017年劇場鑑賞作品・・・54映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2328

Trending Articles