「ビフォア・ミッドナイト」「6才のボクが、大人になるまで。」のイーサン・ホークが伝説のトランペット奏者チェット・ベイカーを演じて高い評価を受けた感動の音楽伝記ドラマ。50年代のジャズ・シーンで一世を風靡するも、麻薬でどん底へと転落したチェットが、愛する女性に支えられて再起を目指す苦闘の日々を見つめる。共演はカーメン・イジョゴ。監督は、これが長編2作目となるカナダの新鋭、ロバート・バドロー。
あらすじ:白人ジャズ・トランペット奏者のチェット・ベイカーは、その端正なルックスも相まって1950年代に一世を風靡する。しかしドラッグに溺れ、たびたびトラブルを起こして、いつしか表舞台から姿を消してしまう。そんな中、暴力沙汰に巻き込まれ、病院送りに。アゴを砕かれ、前歯を全部失う重傷で、トランペッターとしては致命傷かに思われた。それでも、恋人・女優ジェーンの献身的なサポートのもと、ドラッグの誘惑を断ち、再起に向けて懸命に歩を進めていくチェットだったが…。
<感想>1950年代に一世を風靡したジャズ・トランペット奏者のチェット・ベイカー。この天才トランペット奏者に「6才のボクが、大人になるまで。」のイーサン・ホークが扮した音楽伝記映画であり、ベイカーがドラッグで身を持ち崩し大怪我を負った頃から、恋人のジェーンの愛情に支えられながら、ついに再起するまでの期間にスポットを当てて描いている。
恋人役には「グローリー/明日への行進」のカーメン・イジョゴが扮しているほか、「ウォークラフト」のカラム・キース・レニーらが共演している。監督・脚本・共同制作は、元ジャズファンでベイカーについての短編を撮ったこともあるロバート・バドローが担当している。
さすがにベテラン役者であるイーサン・ホーク、役に成りきるのではなく、役を自分に引きつけてそこに新しい人間を作り出すという演技。だからいわゆる演技派の演技ではなくて、まるでドキュメンタリーのようにその役を生きるのだ。そのイーサンが、見事にチェット・ベイカーに成りきったのがこの映画。
モダンジャズ界に新風を吹き込んだ、白人のトランペット奏者チェットが、1966年に、公演先のイタリアで麻薬密輸の疑いで投獄された後、解放されて帰国して、今度は俳優として自伝映画の撮影に参加するあたりからこの映画は始まる。
モノクロの映画の世界とカラーの現実世界。その双方を行きつ戻りつしてチェット・ベイカーの、内面に迫る冒頭のシーンから、ロバート・バドロー監督は一気に彼独自の世界観へと侵入を試みる。
映画は、彼が麻薬の売人らの暴行で前歯を失う重傷を負った後、奇跡的な復活の軌跡を追うのだが、その間のチェットの繊細な内面をイーサンは我がことののように表現していくのだ。トランペットの音色とヴォーカリストとしての、スィートな歌声で装いながら、愛と救済の独自の音楽の世界を作り出していく。特に、あの独特の中性的なかすれ声のヴォーカル、とりわけ「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」は絶品だった。イーサンが特訓の末にトランペットに歌も披露しているのが最高。
ジャズクラブでの演奏していると客席には、あのジャズの帝王といわれたトランペッター、マイケル・デイヴィスが座っていた。この作品と一緒に彼の”空白の5年間”という映画も鑑賞しました。
麻薬との闘いの物語は、また夫婦愛の物語でもあるのだが、ラスト近くで「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」を妻のジェーンに贈る場面ではぐっと来ますから。
ですが、チェットがドラッグにまた夢中になりだしたころから、妻のジェーンが家を出て行く。それからは、何でも屋になり楽団に混ざってトランペットを吹く姿も、しかし、旅先のアムステルダムで自殺という悲劇が報じられる。何だか、チェットの澄んだトランペットと、甘い歌声をもう一度じっくりと聞きたくなりました。
2017年劇場鑑賞作品・・・6映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/
あらすじ:白人ジャズ・トランペット奏者のチェット・ベイカーは、その端正なルックスも相まって1950年代に一世を風靡する。しかしドラッグに溺れ、たびたびトラブルを起こして、いつしか表舞台から姿を消してしまう。そんな中、暴力沙汰に巻き込まれ、病院送りに。アゴを砕かれ、前歯を全部失う重傷で、トランペッターとしては致命傷かに思われた。それでも、恋人・女優ジェーンの献身的なサポートのもと、ドラッグの誘惑を断ち、再起に向けて懸命に歩を進めていくチェットだったが…。
<感想>1950年代に一世を風靡したジャズ・トランペット奏者のチェット・ベイカー。この天才トランペット奏者に「6才のボクが、大人になるまで。」のイーサン・ホークが扮した音楽伝記映画であり、ベイカーがドラッグで身を持ち崩し大怪我を負った頃から、恋人のジェーンの愛情に支えられながら、ついに再起するまでの期間にスポットを当てて描いている。
恋人役には「グローリー/明日への行進」のカーメン・イジョゴが扮しているほか、「ウォークラフト」のカラム・キース・レニーらが共演している。監督・脚本・共同制作は、元ジャズファンでベイカーについての短編を撮ったこともあるロバート・バドローが担当している。
さすがにベテラン役者であるイーサン・ホーク、役に成りきるのではなく、役を自分に引きつけてそこに新しい人間を作り出すという演技。だからいわゆる演技派の演技ではなくて、まるでドキュメンタリーのようにその役を生きるのだ。そのイーサンが、見事にチェット・ベイカーに成りきったのがこの映画。
モダンジャズ界に新風を吹き込んだ、白人のトランペット奏者チェットが、1966年に、公演先のイタリアで麻薬密輸の疑いで投獄された後、解放されて帰国して、今度は俳優として自伝映画の撮影に参加するあたりからこの映画は始まる。
モノクロの映画の世界とカラーの現実世界。その双方を行きつ戻りつしてチェット・ベイカーの、内面に迫る冒頭のシーンから、ロバート・バドロー監督は一気に彼独自の世界観へと侵入を試みる。
映画は、彼が麻薬の売人らの暴行で前歯を失う重傷を負った後、奇跡的な復活の軌跡を追うのだが、その間のチェットの繊細な内面をイーサンは我がことののように表現していくのだ。トランペットの音色とヴォーカリストとしての、スィートな歌声で装いながら、愛と救済の独自の音楽の世界を作り出していく。特に、あの独特の中性的なかすれ声のヴォーカル、とりわけ「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」は絶品だった。イーサンが特訓の末にトランペットに歌も披露しているのが最高。
ジャズクラブでの演奏していると客席には、あのジャズの帝王といわれたトランペッター、マイケル・デイヴィスが座っていた。この作品と一緒に彼の”空白の5年間”という映画も鑑賞しました。
麻薬との闘いの物語は、また夫婦愛の物語でもあるのだが、ラスト近くで「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」を妻のジェーンに贈る場面ではぐっと来ますから。
ですが、チェットがドラッグにまた夢中になりだしたころから、妻のジェーンが家を出て行く。それからは、何でも屋になり楽団に混ざってトランペットを吹く姿も、しかし、旅先のアムステルダムで自殺という悲劇が報じられる。何だか、チェットの澄んだトランペットと、甘い歌声をもう一度じっくりと聞きたくなりました。
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