ピュリッツァー賞作家A・スコット・バーグによる全米図書賞受賞の評伝本『名編集者パーキンズ』を豪華キャストで映画化した伝記ドラマ。アーネスト・ヘミングウェイやスコット・F・フィッツジェラルドを発掘した伝説の名編集者マックス・パーキンズと彼に見出された若き天才作家トマス・ウルフの知られざる交流の日々を、小説の編集という作業を通して紡がれる2人の葛藤と絆とともに描き出す。主演は「英国王のスピーチ」のコリン・ファースと「シャーロック・ホームズ」のジュード・ロウ。共演にニコール・キッドマン、ローラ・リニー。監督はイギリス演劇界を代表する演出家の一人、マイケル・グランデージ。本作が記念すべき映画監督デビューとなる。
あらすじ:1929年、ニューヨーク。ある日、敏腕編集者マックス・パーキンズのもとに、出版社をたらい回しにされたという原稿が持ち込まれる。作者は無名の作家トマス・ウルフ。原稿を読んだパーキンズはその才能に惚れ込み出版を約束する。ただし、その条件として膨大な原稿の大幅な削除を要求、抵抗するトマスと激論を重ねながらの気の遠くなるような編集作業に取り組んでいく。2人の苦闘の末に完成した処女作『天使よ故郷を見よ』は評判を呼び、瞬く間にベストセラーとなるが…。
<感想>名編集者パーキンズを演じるコリン・ファースを観たさに行ったのだが、天才作家のトマス・ウルフに扮したジュード・ロウの演技も良かった。
それに、トマスの年上の愛人役のニコール・キッドマンも加わって、さながら演技合戦のごとき有様。史実を基にしドラマチックに脚色してあるのだが、イギリス映画らしいしっとりとした落ち着いたトーンがよい。
敏腕編集者マックス・パーキンズは、アーネスト・ヘミングウェイやスコット・F・フィッツジェラルドなど、失われた世代の作家たちを世に送り出した著名な編集者でもある。黒子の編集者に焦点を合わせた企画がとても秀逸であります。
ですが、ウルフの原稿は膨大なページ数であり、とてもそのまま本にすることは出来ないのだ。そのため、パーキンズがページ数を減らすための編集作業も、膨大な時間を費やすわけなんですね。決してウルフの小説を台無しにしているわけではないのだ。
しかし、クラシカルな色調や調度を目指したであろう映像のルックが、なんとなくオールドライクな文学的イメージとしてしか、機能していないように書く行為、編集する行為、それに携わる人々の生きざまがすべてただのポーズにしか見えないのが惜しい。
執筆という想像を絶する孤独な作業と、向き合う作家の内面に触れずして、エキセントリックな奇人は生まれないし、編集_削除ではないのだから。二人の関係性もその周りの女性や家族の描き方も記号に過ぎず、男性的なロマンに溺れたナルシシズムばかりが、後に残っているように見えるのだが、・・・。実話がベースなので致し方ないのだろうが、脚本はもうちょっと繊細にしてほしかったという気もします。
室内でも帽子をかぶったままのコリン・ファース。どこかで必ず取るだろうと予想をしていたが、食卓につく時も、一人で書斎にこもっていても、パジャマには着替える時にも、どうしてなんだろう?・・・パーキンズには、妻と5人の娘がいたそうで、最後の最後に帽子を取るとは、心憎い演出であった。
文学と作家に対する愛情と献身あふれた編集者と、奔放な作家トマス・ウルフが、アメリカ文学の傑作を誕生させる裏話が興味深いですね。現在トマス・ウルフの著書はベストセラーの「天使よ故郷を見よ」をはじめ新刊で入手できるものは一冊もないようだ。これを機会に読んでみたいのだが、再刊を望む他ないのだろう。
2016年劇場鑑賞作品・・・233映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:1929年、ニューヨーク。ある日、敏腕編集者マックス・パーキンズのもとに、出版社をたらい回しにされたという原稿が持ち込まれる。作者は無名の作家トマス・ウルフ。原稿を読んだパーキンズはその才能に惚れ込み出版を約束する。ただし、その条件として膨大な原稿の大幅な削除を要求、抵抗するトマスと激論を重ねながらの気の遠くなるような編集作業に取り組んでいく。2人の苦闘の末に完成した処女作『天使よ故郷を見よ』は評判を呼び、瞬く間にベストセラーとなるが…。
<感想>名編集者パーキンズを演じるコリン・ファースを観たさに行ったのだが、天才作家のトマス・ウルフに扮したジュード・ロウの演技も良かった。
それに、トマスの年上の愛人役のニコール・キッドマンも加わって、さながら演技合戦のごとき有様。史実を基にしドラマチックに脚色してあるのだが、イギリス映画らしいしっとりとした落ち着いたトーンがよい。
敏腕編集者マックス・パーキンズは、アーネスト・ヘミングウェイやスコット・F・フィッツジェラルドなど、失われた世代の作家たちを世に送り出した著名な編集者でもある。黒子の編集者に焦点を合わせた企画がとても秀逸であります。
ですが、ウルフの原稿は膨大なページ数であり、とてもそのまま本にすることは出来ないのだ。そのため、パーキンズがページ数を減らすための編集作業も、膨大な時間を費やすわけなんですね。決してウルフの小説を台無しにしているわけではないのだ。
しかし、クラシカルな色調や調度を目指したであろう映像のルックが、なんとなくオールドライクな文学的イメージとしてしか、機能していないように書く行為、編集する行為、それに携わる人々の生きざまがすべてただのポーズにしか見えないのが惜しい。
執筆という想像を絶する孤独な作業と、向き合う作家の内面に触れずして、エキセントリックな奇人は生まれないし、編集_削除ではないのだから。二人の関係性もその周りの女性や家族の描き方も記号に過ぎず、男性的なロマンに溺れたナルシシズムばかりが、後に残っているように見えるのだが、・・・。実話がベースなので致し方ないのだろうが、脚本はもうちょっと繊細にしてほしかったという気もします。
室内でも帽子をかぶったままのコリン・ファース。どこかで必ず取るだろうと予想をしていたが、食卓につく時も、一人で書斎にこもっていても、パジャマには着替える時にも、どうしてなんだろう?・・・パーキンズには、妻と5人の娘がいたそうで、最後の最後に帽子を取るとは、心憎い演出であった。
文学と作家に対する愛情と献身あふれた編集者と、奔放な作家トマス・ウルフが、アメリカ文学の傑作を誕生させる裏話が興味深いですね。現在トマス・ウルフの著書はベストセラーの「天使よ故郷を見よ」をはじめ新刊で入手できるものは一冊もないようだ。これを機会に読んでみたいのだが、再刊を望む他ないのだろう。
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