第二次世界大戦下のアメリカの田舎町を舞台に、出征した父の“奪還作戦”に奔走する少年のひたむきな姿と、町で敵対視されていた一人の日系人男性との友情を描いたドラマ。主人公の少年役は、ほぼ演技未経験のジェイコブ・サルヴァーティ。共演にエミリー・ワトソン、ケイリー=ヒロユキ・タガワ、トム・ウィルキンソン。監督はメキシコ出身で本作が長編2作目のアレハンドロ・モンテベルデ。
あらすじ:第二次世界大戦下のカリフォルニア州の小さな漁村。8歳の少年ペッパー・バズビー(ジェイコブ・サルヴァッティ)は、身体が小さいせいで“リトル・ボーイ”とからかわれ、イジメに遭うこともしばしば。
そんな彼にとって、自分のことを“相棒”と呼んでくれる優しい父(マイケル・ラパポート)と奇術師ベン・イーグルがヒーローだった。ある日、兄(デヴィッド・ヘンリー)のロンドンが徴兵検査(扁平足)で引っかかり、代わりに父が戦争に駆り出されてしまう。以来ペッパーは、父を呼び戻すために戦場へ向けて念を送るようになる。そんな中、町のはずれには米国への忠誠が認められて収容所から釈放された日系人のハシモトが住んでいて、周囲から冷たい視線を浴びていた。ペッパーも他の人々と同様にハシモトに敵意を剥き出しにする。すると見かねた教会の司祭(トム・ウィルキンソン)から、すべてを達成できたら願いが叶うと、あるリストを渡される。さっそく一つひとつリストをこなしていくペッパー。そしてそこには、ハシモトに親切にという項目が加えられていたのだが…。
<感想>第二次大戦中のカリフォルニア州の小さな漁村が舞台なのに、メキシコで撮影したというのだ。全編、オールド・アメリカ感に溢れている。
古き良きアメリカの欺瞞を暴くかのように、増悪をめぐる重い重い話が始まる。体が小さい少年、リトルボーイが太平洋戦争を終わらせるって、どんな悪趣味な冗談かと思っていたら、あの日本の広島と長崎に落とされた原子爆弾に、「リトルボーイ」という名前が付いていたとは、知らなかった。
監督自身はノーマン・ロックウェルのイラスト絵にヒントを得たと言っているのだが、大声を張り上げて念力を使う主人公の少年、リトル・ボーイにしても「ブリキの太鼓」の引用に見えるのだ。
その他にも、ヒーロー魔術師のベン・イーグル(ベン・チャップリン)のマジックショーなど、作者たちの映画的教養が楽しめます。それに、日本人のハシモトを演じるケイリー=ヒロユキ・タガワが渋くて泣かせるのだ。村の老人が自分の息子を日本兵に殺されたといい、ハシモトを殴る蹴るの暴行をして重傷を負わせるのだ。この村から“ジャップ”は出ていけ。と言われても、彼の帰る場所は無いのだ。
少年、ペッパーが村人たちがハシモトのことを嫌っているのを見て、自分も兄とハシモトの家に石を投げつける。ですが、老人ハシモトと親しいオリバー司祭(トム・ウィルキンソン)は、「辛子の粒ほどの信仰心」を持たねばと。父親を取り戻すためには小さくてもパワーをつけなくては、と6つの言葉が記されたリストを渡すのだ。
「飢えた人に食べ物を」「家なき人に屋根を」「囚人を励ませ」「裸者に衣服を」「病人を見舞え」「死者の埋葬を」、そして最後に「ハシモトに親切に」とつけ加えていた。小柄な少年の夢と、現実とのバランスもかなり良かった。
少年のペッパーが、戦場へ行った父親を呼び戻すために、それに初めはヒーロー魔術師のベン・イーグルに教えられた念力を駆使して、山に向かって声を張り上げてパワーを送ると、不思議なことに地震が起きて山が少しずれてしまうという。
それから、子供たちに虐められても、日本人のハシモトの家に行き仲良くなって、夕日が沈む海の向こうが日本だと教えられ、夕日に向かって念力を送る。もちろん父親が無事に帰ってくるようにと願って。
すると、ラスト近くに日本の広島に投下された原爆により、戦争が終わることをしり、父親が帰ってくることを喜ぶも、父親は日本の捕虜になりフィリッピンにいると知らされる。そこで過酷な労働により、戦死したという知らせが入り、母親と兄、近所の人たちとで父親の葬式を執り行う。だが、少年のペッパーには、父親が生きていることを信じているのだ。
敵対する相手への増悪や破壊が人々の原動力となり、至福や希望となってしまう。戦争の恐ろしさやおぞましさが伝わってくる映像。少年の父親が捕虜として捕まったフィリッピンの戦地と、日本の広島の地獄絵図と、それぞれをリアルにかつ壮絶に描いているのも凄かったです。
それと、最後に、父親が負傷しても生きて帰ってきたことにも、ハッピーエンドで終わるところもいい。やはり、一番印象深いのが、主人公の少年を演じたジェイコブ・サルヴァーティが、あどけなくて可愛らしくて最高でした。
2016年劇場鑑賞作品・・・216映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:第二次世界大戦下のカリフォルニア州の小さな漁村。8歳の少年ペッパー・バズビー(ジェイコブ・サルヴァッティ)は、身体が小さいせいで“リトル・ボーイ”とからかわれ、イジメに遭うこともしばしば。
そんな彼にとって、自分のことを“相棒”と呼んでくれる優しい父(マイケル・ラパポート)と奇術師ベン・イーグルがヒーローだった。ある日、兄(デヴィッド・ヘンリー)のロンドンが徴兵検査(扁平足)で引っかかり、代わりに父が戦争に駆り出されてしまう。以来ペッパーは、父を呼び戻すために戦場へ向けて念を送るようになる。そんな中、町のはずれには米国への忠誠が認められて収容所から釈放された日系人のハシモトが住んでいて、周囲から冷たい視線を浴びていた。ペッパーも他の人々と同様にハシモトに敵意を剥き出しにする。すると見かねた教会の司祭(トム・ウィルキンソン)から、すべてを達成できたら願いが叶うと、あるリストを渡される。さっそく一つひとつリストをこなしていくペッパー。そしてそこには、ハシモトに親切にという項目が加えられていたのだが…。
<感想>第二次大戦中のカリフォルニア州の小さな漁村が舞台なのに、メキシコで撮影したというのだ。全編、オールド・アメリカ感に溢れている。
古き良きアメリカの欺瞞を暴くかのように、増悪をめぐる重い重い話が始まる。体が小さい少年、リトルボーイが太平洋戦争を終わらせるって、どんな悪趣味な冗談かと思っていたら、あの日本の広島と長崎に落とされた原子爆弾に、「リトルボーイ」という名前が付いていたとは、知らなかった。
監督自身はノーマン・ロックウェルのイラスト絵にヒントを得たと言っているのだが、大声を張り上げて念力を使う主人公の少年、リトル・ボーイにしても「ブリキの太鼓」の引用に見えるのだ。
その他にも、ヒーロー魔術師のベン・イーグル(ベン・チャップリン)のマジックショーなど、作者たちの映画的教養が楽しめます。それに、日本人のハシモトを演じるケイリー=ヒロユキ・タガワが渋くて泣かせるのだ。村の老人が自分の息子を日本兵に殺されたといい、ハシモトを殴る蹴るの暴行をして重傷を負わせるのだ。この村から“ジャップ”は出ていけ。と言われても、彼の帰る場所は無いのだ。
少年、ペッパーが村人たちがハシモトのことを嫌っているのを見て、自分も兄とハシモトの家に石を投げつける。ですが、老人ハシモトと親しいオリバー司祭(トム・ウィルキンソン)は、「辛子の粒ほどの信仰心」を持たねばと。父親を取り戻すためには小さくてもパワーをつけなくては、と6つの言葉が記されたリストを渡すのだ。
「飢えた人に食べ物を」「家なき人に屋根を」「囚人を励ませ」「裸者に衣服を」「病人を見舞え」「死者の埋葬を」、そして最後に「ハシモトに親切に」とつけ加えていた。小柄な少年の夢と、現実とのバランスもかなり良かった。
少年のペッパーが、戦場へ行った父親を呼び戻すために、それに初めはヒーロー魔術師のベン・イーグルに教えられた念力を駆使して、山に向かって声を張り上げてパワーを送ると、不思議なことに地震が起きて山が少しずれてしまうという。
それから、子供たちに虐められても、日本人のハシモトの家に行き仲良くなって、夕日が沈む海の向こうが日本だと教えられ、夕日に向かって念力を送る。もちろん父親が無事に帰ってくるようにと願って。
すると、ラスト近くに日本の広島に投下された原爆により、戦争が終わることをしり、父親が帰ってくることを喜ぶも、父親は日本の捕虜になりフィリッピンにいると知らされる。そこで過酷な労働により、戦死したという知らせが入り、母親と兄、近所の人たちとで父親の葬式を執り行う。だが、少年のペッパーには、父親が生きていることを信じているのだ。
敵対する相手への増悪や破壊が人々の原動力となり、至福や希望となってしまう。戦争の恐ろしさやおぞましさが伝わってくる映像。少年の父親が捕虜として捕まったフィリッピンの戦地と、日本の広島の地獄絵図と、それぞれをリアルにかつ壮絶に描いているのも凄かったです。
それと、最後に、父親が負傷しても生きて帰ってきたことにも、ハッピーエンドで終わるところもいい。やはり、一番印象深いのが、主人公の少年を演じたジェイコブ・サルヴァーティが、あどけなくて可愛らしくて最高でした。
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