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嫌な女 ★★★

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女優・黒木瞳の映画監督デビュー作で、黒木主演でNHKドラマ化もされた桂望実の同名小説を映画化。友達のいない真面目一徹な弁護士・石田徹子と、派手好きで社交的な天才詐欺師・小谷夏子という対照的な2人の女性の人生を、これが映画初主演となる吉田羊と木村佳乃の共演で描く。
あらすじ:司法試験にストレートで合格して29歳で結婚し、順風満帆に見える弁護士の石田徹子(吉田羊)だったが、仕事も結婚生活も上手くゆかず、心に空白を抱えていた。そんな徹子のもとにある日、同い年の従妹で、婚約破棄で慰謝料を請求されたという小谷夏子(木村佳乃)がやってくる。子どもの頃から夏子を嫌っていた徹子だったが、久々の再会をきっかけに、天性の詐欺師・夏子に振り回されることになり……。

<感想>映画は、仕事も結婚生活もうまくいかず、心に空白と孤独を抱えた日々をおくる弁護士・徹子のもとに、婚約破棄で慰謝料を請求されたという、いとこの夏子が訪ねてくる。徹子は、自己中な性格で意地悪な夏子のことが、走馬燈のように思い出されるのだ。実は子供のころ、夏の日のこと、おばさんが夏子を連れてやってきて、徹子に夏子と同じひまわり柄のワンピースをプレゼントしてくれた。そのワンピースを夏子が自分の目の前で、徹子には似合わないといいビリビリに破ってしまう衝撃の場面が。

だから、子どもの頃から自分と正反対の夏子が大嫌いだったのに、しばらくぶりの再会を果たすと、その日以来、徹子は夏子に振り回され、トラブルが発生するたびに徹子にその解決を頼みに来るのだ。
絶対に嫌な女とは関わりたくないですよ、ほんとに。でも、この徹子はそんな夏子にストレスを感じつつも、自由奔放に人生を楽しむ彼女に影響されていくという展開になる。
夏子から聞かされる、夏子に騙される男たちの話から、徹子のその人の人生に大きくスポットが当てられていく。これは徹子の成長物語なんですね。ここでは、徹子が夏子や弁護士という仕事から、そして仕事で出会った人たちから影響を受けて、少しずつ自分の殻がとれていく。基本線はそういうことになっているのですが、夏子の魅力は必須ですし、その辺のバランスが絶妙に2人の女優によって描かれていくのだ。

徹子の結婚生活も別居ということになり、久しぶりに夫の部屋を訪ねると女と同棲していたという現実に落ち込んでいく。そして、夏子の付き合っている男のところへ尋ねると、そこには老人介護をしている夏子の姿が。その隣の老人の織本順吉さんの遺言書作成のお願いの話には、涙が零れて仕方なかった。離婚した妻のことを、今更ながらに思い出し、財産を別れた妻に残してあげたいと言い、ビデオレターによる遺言書をビデオカメラに収める徹子。死ぬ間際になって別れた妻に詫び状とでもいうか、一緒にいる時に言えなかった妻に対する思いを綴るビデオレターに涙する。

夏子という女は、確かにお騒がせ女でずうずうしいところがあるが、どこか太陽のように明るい性格で人を幸せにする人なんですね。だから、徹子にとっては疫病神のような夏子でも、羨ましい存在であり、自分もあんなに明るく生きていけたらって思う女性なんです。

やっぱり刺激てきなのは、若い男を好きになり偽の絵を売りつけさせられ、それでもその男を好きで忘れられなくて、結婚式まで押しかけていく図々しさに呆れかえります。転んでも泣かない女なんですね、夏子って女は。結婚式で突然歌いだす夏子、それは竹内まりやの「元気を出して」なんですが、とにかく木村佳乃さん上手いんですよね。
夏子に騙されてお金を巻き上げられて訴えを起こす男たち。でも、夏子に対する気持ちには、まだ未練と優しさが残っているのだ。しかし、どうしても許してくれないのが、夫のところへ置いて来た息子である。会いにいったらどうして抱きしめて、「ごめんね」と誤るのも母親なのではと思いました。

そして、事務所の女性のみゆきさんに、永島暎子さんが徹子が落ち込んでいる時に、甘いものを食べて気持ちを楽にしてと元気づけてくれる。その彼女が病気で亡くなり病室へ行き、彼女の傍で泣きじゃくる徹子の後ろ姿。それは本当に大事な人を失った悲しみが溢れていた。
有名なセリフに「あなたと一緒にいたら、あたしどんどん嫌な女になる」と徹子が言う。「あんた、昔から嫌な女だよ」と夏子が言う。2人の女が本音をぶつけ合い、徹子と夏子の対照的な女性たちの人生が生み出す、ケミストリーが感じ取れる作品になっている。

その他に、共演者の中村蒼や弁護士事務所の所長のラサール石井、永島暎子、古川雄大、佐々木希らの共演者も中々良くて、竹内まりやが歌う主題歌「いのちの歌」が物語に一層の輝きをもたらしているようです。
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