第2次世界大戦時、ナチス・ドイツに侵攻されたウクライナで、バイオリンの演奏に生き残りをかけた子どもたちの運命を描いたドラマ。脚本・監督マルクス・ケニーヒ。音楽を担当したのは、マーティン・シュトック。ドイツでも最も人気の高い作曲家の一人に数えられる。
あらすじ:ユダヤ人の少年アブラーシャと少女ラリッサは、それぞれバイオリンとピアノの天才的な腕前で神童と呼ばれていた。2人と一緒にレッスンを受けるドイツ人少女のハンナもまた、バイオリンの才能に恵まれ、3人は音楽によってつながりを深めていく。しかし、まもなく試練が訪れる。ドイツ軍がソ連に戦争を仕掛け、ポルタヴァ在住のドイツ人は一夜にして敵となる。
3人の子供たちは「友情の曲」を作曲し、大人たちが起こした戦争は自分たちには関係ないと、更に絆を深めていく。ナチスはソ連の幹部が考えたことと同じように2人の神童を、宣伝のために利用しようとする。
ナチスがウクライナを侵攻し、ユダヤ人の絶滅計画を遂行。アブラーシャとラリッサにも危機が迫るが、ナチスのシュヴァルトウ大佐はハンナに、ヒムラーの誕生祝賀会で完ぺきな演奏を見せれば、2人のユダヤ人の子供(アブラーシャとラリッサ)の強制収容所送りを免除すると伝える。3人は自らの命運をかけて演奏会にのぞむが……。
<感想>ナチス・ドイツの非人間的暴虐と、罪なきユダヤ人の悲運を描く映画は、今までたくさん観てきた。1941年のウクライナを舞台に、ドイツ人家族とユダヤ人家族の運命を描く着眼点はいいと思う。ソ連の支配下ではドイツ人がユダヤ人に助けられ、ドイツ軍占領後には両家の運命が逆転する。
この映画は、クラシック音楽がユダヤ人と非ユダヤ人を結びつけたり、またユダヤ人に不幸をもたらす結果になったりもする。ソ連支配下のウクライナの話だが、ウクライナ人のことはあまり描かれていない。
主人公のアブラーシャ役のエリン・コレフは、両親が2人ともバイオリニストであり、12歳の時、ニューヨークのカーネギー・ホールでバイオリニストとしてデビューを飾った天才少年である。2010年に本映画のオーディションに参加し、約400名の子供たちの中から選ばれたそうです。劇中で演奏されるクラシックの名曲、ツィゴイネルワイゼン、ハンガリー舞曲、バイオリンソナタKV301、第二楽章、熊蜂の飛行、バイオリン協奏曲ニ短調、第三楽章などは、すべて彼が自分で演奏している。
しかし、主人公のエリン君、バイオリンの演奏技術は凄いのに、反面演技の方が疎かになっているような、ぶっきらぼうな佇まい、仕方がないかもしれないが、友情が主題なのだから子供たちが人種の壁を越えて、心を通わす場面がこれでは物足りなくなく感じた。
そしてクライマックスでは、ユダヤ人の少年少女がヒムラーの誕生祝賀会で完璧な演奏をすれば、収容所を免れるという悪魔の取引。命を賭けた演奏場面のモンタージュに唖然とする。失敗を待つ大佐や、取引を目撃した回想が演奏する少年少女に挿入される。これは誰の視点なのか。主観と客観を自堕落に混ぜ合わせ、作り手のみがその効果に酔いしれているようにとれる。
このようなユダヤ人擁護=ナチス断罪映画は、人類の歴史が続くかぎり、まだまだまだ作られ続けるのであろうか、多分、そうなのだろうと思う。
2013年劇場鑑賞作品・・・64 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキングへ
あらすじ:ユダヤ人の少年アブラーシャと少女ラリッサは、それぞれバイオリンとピアノの天才的な腕前で神童と呼ばれていた。2人と一緒にレッスンを受けるドイツ人少女のハンナもまた、バイオリンの才能に恵まれ、3人は音楽によってつながりを深めていく。しかし、まもなく試練が訪れる。ドイツ軍がソ連に戦争を仕掛け、ポルタヴァ在住のドイツ人は一夜にして敵となる。
3人の子供たちは「友情の曲」を作曲し、大人たちが起こした戦争は自分たちには関係ないと、更に絆を深めていく。ナチスはソ連の幹部が考えたことと同じように2人の神童を、宣伝のために利用しようとする。
ナチスがウクライナを侵攻し、ユダヤ人の絶滅計画を遂行。アブラーシャとラリッサにも危機が迫るが、ナチスのシュヴァルトウ大佐はハンナに、ヒムラーの誕生祝賀会で完ぺきな演奏を見せれば、2人のユダヤ人の子供(アブラーシャとラリッサ)の強制収容所送りを免除すると伝える。3人は自らの命運をかけて演奏会にのぞむが……。
<感想>ナチス・ドイツの非人間的暴虐と、罪なきユダヤ人の悲運を描く映画は、今までたくさん観てきた。1941年のウクライナを舞台に、ドイツ人家族とユダヤ人家族の運命を描く着眼点はいいと思う。ソ連の支配下ではドイツ人がユダヤ人に助けられ、ドイツ軍占領後には両家の運命が逆転する。
この映画は、クラシック音楽がユダヤ人と非ユダヤ人を結びつけたり、またユダヤ人に不幸をもたらす結果になったりもする。ソ連支配下のウクライナの話だが、ウクライナ人のことはあまり描かれていない。
主人公のアブラーシャ役のエリン・コレフは、両親が2人ともバイオリニストであり、12歳の時、ニューヨークのカーネギー・ホールでバイオリニストとしてデビューを飾った天才少年である。2010年に本映画のオーディションに参加し、約400名の子供たちの中から選ばれたそうです。劇中で演奏されるクラシックの名曲、ツィゴイネルワイゼン、ハンガリー舞曲、バイオリンソナタKV301、第二楽章、熊蜂の飛行、バイオリン協奏曲ニ短調、第三楽章などは、すべて彼が自分で演奏している。
しかし、主人公のエリン君、バイオリンの演奏技術は凄いのに、反面演技の方が疎かになっているような、ぶっきらぼうな佇まい、仕方がないかもしれないが、友情が主題なのだから子供たちが人種の壁を越えて、心を通わす場面がこれでは物足りなくなく感じた。
そしてクライマックスでは、ユダヤ人の少年少女がヒムラーの誕生祝賀会で完璧な演奏をすれば、収容所を免れるという悪魔の取引。命を賭けた演奏場面のモンタージュに唖然とする。失敗を待つ大佐や、取引を目撃した回想が演奏する少年少女に挿入される。これは誰の視点なのか。主観と客観を自堕落に混ぜ合わせ、作り手のみがその効果に酔いしれているようにとれる。
このようなユダヤ人擁護=ナチス断罪映画は、人類の歴史が続くかぎり、まだまだまだ作られ続けるのであろうか、多分、そうなのだろうと思う。
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