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スティーブ・ジョブズ★★★

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「スラムドッグ$ミリオネア」「127時間」のダニー・ボイル監督が、独創的な発想で数々の革新的商品を生み出し、人々の日常生活に革命をもたらしたカリスマ経営者スティーブ・ジョブズの知られざる素顔に迫る異色の伝記ドラマ。主演は「SHAME -シェイム-」のマイケル・ファスベンダー、共演にケイト・ウィンスレット。スティーブ・ジョブズの人生において大きな転換点となる3つの新作発表会に焦点を絞り、それぞれの本番直前の舞台裏を描く斬新なスタイルで、スティーブ・ジョブズの仕事と家族を巡る葛藤と信念を浮き彫りにしていく。

あらすじ:1984年。Macintosh発表会の40分前。“ハロー”と挨拶するはずのマシンが何も言わず、激高するジョブズ。マーケティング担当のジョアンナは、そんなジョブズにいつも振り回されてばかり。するとそこに、ジョブズの元恋人クリスアンが、娘のリサを連れて現われる。いまや公然の秘密である娘の認知を頑なに拒絶するジョブズだったが…。

<感想>アップルの共同創始者であるスティーブ・ジョブズが、映画の題材となりうる魅力を備えていることは間違いありませんが、それにしても題材があまりにも豊富で複雑なため、上映時間に限りのある映画ではその全容を描くのが不可能であるということです。

スティーブの死からわずか1年あまりという驚くべき速度で完成したアシュトン・カッチャー主演版「スティーブ・ジョブズ」では、スティーブの人生のハイライトのみを繋ぐという平凡なアプローチを選択。出演者や製作陣のレベルを含めてテレビ映画的な仕上がりだったと思う。

ですが、今回のマイケル・ファスベンダー主演版では、緻密に書き込まれた会話劇になっており俳優陣もみな力を発揮している。プレゼン前の緊迫した時間に展開される緊張したやり取りを見ているだけで興奮してしまう。
なにしろ脚色を担当したアーロン・ソーキンは、伝記映画を作ることを拒否しているのだが、ソーキンはジョブズのキャリアで重要な3つの新作発表会を舞台に、彼を取り巻く人々の葛藤を描いている。

5,6人の主要人物と、たった3つの舞台。そして、大量の台詞。舞台劇に作り替えるアプローチは斬新だが、スティーブ・ジョブズを知らない人にはハードルが高いだろう。映画には向かない題材なのかもしれない。
それでも、ベタに少年時代や青年時代から描かず、ジョブズ的にもコンピューター史的にも、エポックな3つの発表会だけで時制を区切る構成が良かった。その中でも、彼の切れ者ぶりと人格破綻者ぶり、出自、人間関係、家族、などなどといった人となりを、全て見る者に伝えてしまう語り口も巧いのだ。

不器用な女性関係、企業内の人間関係、科学者と企業家の対立など、ストーリーは巧みに作られている。その結果、興味深い人間像が浮かび上がるのだが、それは共感し、感銘さえ覚える。ですが、前妻との離婚のいきさつは説明不足で、魅力的な人物とはいささか違うようだ。
“シンク・ディファレント”と大衆にけしかけて世界を変えた男が、自身の偏狭で歪んだ部分を少しだけ変えてゆく物語といったところ。スティーブ・ジョブズに扮したマイケル・ファスベンダーが、風貌が似ていて枯れていて良かった。

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