「ラスト・ショー」「ペーパー・ムーン」の名匠ピーター・ボグダノヴィッチ監督が、「ブロンドと柩の謎」以来13年ぶりに手がけた映画作品。元コールガールの人気女優をヒロインに、彼女を巡って一癖も二癖もある男たち女たちが織りなす、複雑に絡まり合った愛憎の行方をユーモラスに綴る群像ロマンティック・コメディ。出演はイモージェン・プーツ、オーウェン・ウィルソン、キャスリン・ハーン、ウィル・フォーテ、リス・エヴァンス、ジェニファー・アニストン。
あらすじ:ニューヨークのとあるバーでインタビューを受ける新進のハリウッド女優イザベラ・“イジー”・パターソン。コールガールからどうやって女優になったのか、との不躾な質問にも、顔色ひとつ変えることなく答えるイジー。それは、ある奇特なお客との出会いに始まる。紳士的な彼は“この仕事を辞めるなら、君に3万ドルをあげよう”と奇妙な申し出をする。これを受け入れ、コールガールを辞めたイジーは、夢だった女優の道を目指し、舞台のオーディションに挑む。ところが、その舞台の演出家アーノルドは、偶然にも彼女に3万ドルをプレゼントしてくれた例のお客だった。まさかの再会に動揺するアーノルドを尻目に、みごとな演技で役をつかみ取るイジーだったが…。
<感想>ブロードウェイを舞台に繰り広げられる人間模様を描くロマンチック・コメディ。コールガールからハリウッドスターに上り詰めた若い女優のイザベラ。彼女の成功譚を彩る舞台人や、ユニークな人々の恋と執着を洒落たタッチで描いたコメディである。と、これはウディ・アレン爺さんお得意の早口台詞と恋のドタバタ劇の物語と同じに見えた。
ですが、70年代の匂いがしつつ、携帯もパソコンも登場する現代が舞台。こちらはピーター・ボグダノヴィッチ監督の手腕で情が深そう。惚れっぽさが生む創造力、映画はこういう色気が無くなるとお終いかも知れない。
まずは、洗練されたシーンの数々に思わずうなる。どんなに込み入った話も90分で語り終える技術こそが古典映画の遺産であると思うから。
主人公の新人イモージェン・プーツが可愛いし演技も上手い。彼女の出演作品は、「28週後...」で凶暴なゾンビから逃げ回っていたお姉ちゃん役。その後は、「フィルス」(13)や「ニード・フォー・スピード」(14)のヒロイン役でブレイク。他には「恋人まで1%」がある。
それに演出家のオーウェン・ウィルソンがいい味をだしていた。演出家の妻であり、女優のキャスリン・ハーンがイギリス俳優のリス・エヴァンスと不倫をしているのも。
コール・ガールのイザベラに一目惚れをする脚本家のジョシュアには、恋人の精神科医のジェーンがいて、セックスを介した人間関係は増々混線していくのだ。
精神科医のジェーンのジェニファー・アニストンって、「モンスター上司」とか、最近ではこういう壊れたキャラがお似合いのよう。
それに、コール・ガールが主役の舞台で本領を発揮するイモージェン・プーツが、最後にはハリウッドで監督のタラン・ティーノと仲良くなっているのも頷ける。
往年のハリウッド映画へのノスタルジアに満ちたこのコメディ映画が、気分よく見せられるのが、悪人が一人も登場せず、ひょんなはずみで舞台に引っ張り出されるコールガール以外は、お客の裁判官の爺さんに、浮気性の舞台演出家にしろ、脚本家など、ずべてが裕福な連中で、高級ホテルやレストランでお馴染みの鉢合わせで散在しても痛くもかゆくもないからだ。
それにしても、演出家のアーノルドが、コールガールのイザベラだけでなく、多くのコールガールたちに「この仕事をやめると約束したら3万ドルをプレゼントする」というのだ。実は彼には公演の先々でコールガールに“大金をプレゼントするという癖“があったのだ。
つまり「胡桃とリス」というエルンスト・ルビッチの遺作「小間使い」の中での台詞を引用しての、オーウェン・ウィルソン演じるアーノルドを中心とする、性の関係が乱れ交じるキーワードとなっていて、笑わせられます。
シンプルでわかりやすく、とても基本に忠実な見やすいコメディ映画だと思いますね。それに、映画マニアがウンチクを語りやすいようにと、オマケの映像まで最後に出てきて、面白いったらない。憧れのニューヨークの街頭描写が最高ですから。
2016年劇場鑑賞作品・・・22映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:ニューヨークのとあるバーでインタビューを受ける新進のハリウッド女優イザベラ・“イジー”・パターソン。コールガールからどうやって女優になったのか、との不躾な質問にも、顔色ひとつ変えることなく答えるイジー。それは、ある奇特なお客との出会いに始まる。紳士的な彼は“この仕事を辞めるなら、君に3万ドルをあげよう”と奇妙な申し出をする。これを受け入れ、コールガールを辞めたイジーは、夢だった女優の道を目指し、舞台のオーディションに挑む。ところが、その舞台の演出家アーノルドは、偶然にも彼女に3万ドルをプレゼントしてくれた例のお客だった。まさかの再会に動揺するアーノルドを尻目に、みごとな演技で役をつかみ取るイジーだったが…。
<感想>ブロードウェイを舞台に繰り広げられる人間模様を描くロマンチック・コメディ。コールガールからハリウッドスターに上り詰めた若い女優のイザベラ。彼女の成功譚を彩る舞台人や、ユニークな人々の恋と執着を洒落たタッチで描いたコメディである。と、これはウディ・アレン爺さんお得意の早口台詞と恋のドタバタ劇の物語と同じに見えた。
ですが、70年代の匂いがしつつ、携帯もパソコンも登場する現代が舞台。こちらはピーター・ボグダノヴィッチ監督の手腕で情が深そう。惚れっぽさが生む創造力、映画はこういう色気が無くなるとお終いかも知れない。
まずは、洗練されたシーンの数々に思わずうなる。どんなに込み入った話も90分で語り終える技術こそが古典映画の遺産であると思うから。
主人公の新人イモージェン・プーツが可愛いし演技も上手い。彼女の出演作品は、「28週後...」で凶暴なゾンビから逃げ回っていたお姉ちゃん役。その後は、「フィルス」(13)や「ニード・フォー・スピード」(14)のヒロイン役でブレイク。他には「恋人まで1%」がある。
それに演出家のオーウェン・ウィルソンがいい味をだしていた。演出家の妻であり、女優のキャスリン・ハーンがイギリス俳優のリス・エヴァンスと不倫をしているのも。
コール・ガールのイザベラに一目惚れをする脚本家のジョシュアには、恋人の精神科医のジェーンがいて、セックスを介した人間関係は増々混線していくのだ。
精神科医のジェーンのジェニファー・アニストンって、「モンスター上司」とか、最近ではこういう壊れたキャラがお似合いのよう。
それに、コール・ガールが主役の舞台で本領を発揮するイモージェン・プーツが、最後にはハリウッドで監督のタラン・ティーノと仲良くなっているのも頷ける。
往年のハリウッド映画へのノスタルジアに満ちたこのコメディ映画が、気分よく見せられるのが、悪人が一人も登場せず、ひょんなはずみで舞台に引っ張り出されるコールガール以外は、お客の裁判官の爺さんに、浮気性の舞台演出家にしろ、脚本家など、ずべてが裕福な連中で、高級ホテルやレストランでお馴染みの鉢合わせで散在しても痛くもかゆくもないからだ。
それにしても、演出家のアーノルドが、コールガールのイザベラだけでなく、多くのコールガールたちに「この仕事をやめると約束したら3万ドルをプレゼントする」というのだ。実は彼には公演の先々でコールガールに“大金をプレゼントするという癖“があったのだ。
つまり「胡桃とリス」というエルンスト・ルビッチの遺作「小間使い」の中での台詞を引用しての、オーウェン・ウィルソン演じるアーノルドを中心とする、性の関係が乱れ交じるキーワードとなっていて、笑わせられます。
シンプルでわかりやすく、とても基本に忠実な見やすいコメディ映画だと思いますね。それに、映画マニアがウンチクを語りやすいようにと、オマケの映像まで最後に出てきて、面白いったらない。憧れのニューヨークの街頭描写が最高ですから。
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